なぜ自動車業界がもっとも深刻な影響を受けているのか、そして自動車メーカーや他の半導体チップの買い手は、今後の半導体不足に向けてどのような備えができるのか

現在、半導体不足が世界規模で発生していることにより、経済や私たちの生活様式がどれだけ半導体に依存しているかが浮き彫りになりました。新型コロナウイルスの感染拡大によるパンデミックを含め、度重なる天災や人災といった一連の出来事によって半導体製品が不足し、この状況は2022年に入ってもしばらく続くと予想されています。

自動車業界は、他の業界よりも早い段階でより深刻な打撃を受けました。これは、他の業界の顧客が半導体サプライヤーと時間をかけて築いてきた密接な関係を、自動車メーカーがまだ育んでいない傾向にあることが主な原因です。自社製品における半導体の重要性は高まっているにも関わらず、自動車メーカーは、半導体チップを重要な部品として扱ってきませんでした。半導体チップメーカーとの交渉をティア1サプライヤーといった第三者に頼っていることが多く、総じてサプライチェーンの見通しや理解が不十分です。

コロナ禍の影響を受け自動車の売上が停滞すると、自動車メーカーは資産を抑えるために、タイヤやマフラーの注文を削減したこととまったく同様に、電子部品の注文も削減しました。一方で、かつて半導体チップの不足を経験したことがある、半導体を扱う他業界の顧客企業は、最終製品の需要が疑問視されていたにも関わらず、注文をキャンセルしませんでした。その後、同年の後半に自動車の需要が回復すると、自動車メーカーは需給バランスが深刻に崩れた市場で最も後れた位置にあることに気が付いたのです。

本稿では、半導体チップ不足の原因と通常の状態に戻るまでの見通し、つまり、自動車メーカーと他の半導体チップのユーザーである企業が今後の供給不足による影響を最小限に抑える方法について分析しています。需給のミスマッチはすぐには解決しません。半導体チップメーカーの生産能力拡大計画が加速し、欧米では国内供給を増強する政治的圧力が高まっているにも関わらず、新規生産の稼働には時間がかかるため、すぐに解決できる応急策は存在しません。

詳細については下記のリンクより全文をダウンロードしてください。