半導体:活況は続くか - 2018年グローバル半導体業界の展望 | KPMG | JP

半導体:活況は続くか - 2018年グローバル半導体業界の展望

半導体:活況は続くか - 2018年グローバル半導体業界の展望

2017年の半導体業界は、シリコンサイクル(3~5年で好景気・不景気を繰り返す)を超え、予期せず好景気サイクルに入りました。このような目覚ましい業績を達成した後、2018年は半導体メーカーにとってどのような年になるのでしょうか。予想外の大波を長期的な成長の波へと変えるために半導体業界のエグゼクティブはどのように舵を切ればよいでしょうか。

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売上高と営業利益率は上昇する見込み。事業投資は増加

2017年の半導体業界の営業利益率は51%という脅威の数値となりました。半導体業界のエグゼクティブの57%は来期の営業利益率も上昇すると予測しています。自社の売上高については63%が増加すると予測。売上高のトレンドについては、2017年ほどの増収は見込んでいないものの、現在の上昇基調が今後3年以内に反転する兆しはほとんどないと楽観視する向きが大勢を占めています。

半導体メーカーによる設備投資は、引き続き過去最高の水準となる見込みです。設備投資の拡大を予想した回答者は前回から13ポイント増加しており、この調査で質問したすべての財務・投資要因の中で最大の増加率となりました。2018年に自社の研究開発費を引き上げる予定であるとした回答者も増加しています(前年の41%に対し50%)。世界全体の半導体事業に携わる人員数については、回答者のうち43%(2017年の調査から6ポイント増)が、次年度に増やす予定と回答しました。

今後1年間で世界の半導体業界の年間営業利益率はどのように変化すると予想しますか。

今後1年間で世界の半導体業界の年間営業利益率はどのように変化すると予想しますか。

各社の戦略的優先項目は多様化。R&Dの再考が課題

今後3年間の戦略的優先項目のトップは「新規事業分野への多角化」となりました。ネット接続とデジタル化が飛躍的に進む現在においては予想通りの結果と言えます。次いで、前回の調査同様に「買収、合併、合弁事業」「タレントマネジメント」が上位を占めています。一方、「ビジョン・文化・目的の明確化」と「多様性/インクルージョン」のランキングが大きく下がったことは予想外でした。KPMGの「グローバルCEO調査2017」で、レピュテーションリスク(評判リスク)やブランドリスクを不安要素の上位に挙げるCEOが急増したことからも推測できるように、文化と多様性の問題は重要性が高まり、KPMGは当面はこの傾向が続くと予想しています。また、回答は多様化しており、半導体事業にさまざまな機会があることも明らかになりました。とりわけ「破壊的技術の実現」が急上昇したことから、半導体メーカーがR&Dとオペレーションの変革に注力していることが伺えます。

R&Dについての調査では、51%の企業に、研究開発投資を市場機会に整合させる上で改善の余地があることがわかりました。さらに、3分の1の企業が研究開発費の10%以上を無駄にしているなど、R&Dプロセスの進化は待ったなしの状況となっています。企業がR&Dの効率性向上のために用いている方法論についての質問では、主に「ゼロベース予算」「データ分析(D&A)」「モジュール設計」「アジャイル」の4つが挙がりました。

今後3年間における貴社にとっての戦略的優先項目を3つ挙げてください。

今後3年間における貴社にとっての戦略的優先項目を3つ挙げてください。

センサー/MEMS、マイクロプロセッサーに注目

「半導体業界に5億ドルを投資できるとしたら、どのセクターに投資しますか」という質問には、最も多くの回答者がマイクロプロセッサーを挙げました。マイクロプロセッサーは、人工知能(AI)やモノのインターネット(IoT)市場が発展の初期段階を超えればさらに成長すると見られ、すでにベンチャーキャピタルが多額の資金を投じています。昨年同様に、成長機会が大きいと期待されているセグメントであるセンサー/MEMSも多数の回答がありました。一方で、現在大幅な売上増をもたらしているメモリは、あまり重要視されていないことがわかりました。

今後1年間に売上高を押し上げる用途については「無線通信」が最も重要視されています。加えて今回の調査結果では、AIやクラウドコンピューティングの重要度も大きく上昇するなど、半導体企業がフォーカスする用途が分散化していることがわかりました。業界を牽引している用途はほんの2、3ではなく、10~11にのぼることが明らかになったと言えます。

あなたが投資家で半導体業界に5億ドルを投資できるとしたら、どのセグメントまたは技術に投資しますか。

あなたが投資家で半導体業界に5億ドルを投資できるとしたら、どのセグメントまたは技術に投資しますか。

今後の課題とまとめ

将来の見通しは明るいとはいえ、今後3年間で半導体業界が直面する課題は多岐にわたります。エグゼクティブは、「平均販売価格(ASP)の低下」「多様な顧客ニーズへの対応」「製造・バックエンドの設備のコスト高」「ムーアの法則・スケーリングの継続」「生産設備の制約」など、幅広い問題に悩まされています。なかでも、「クロスボーダーの規制」は、今回の調査から新たに追加された項目であるにもかかわらず、23%もの回答者が今後3年間に業界が直面する重大な課題の1つに挙げています。その一方で、2年前には一番に挙げられていた「研究開発費の増加」は他の課題の重要性が高まったことに伴い、今回は7位となっています。

半導体業界には課題も多くありますが、拡大フェーズにあり、前途は明るいと思われます。2018年の売上予想は良好です。回答者の半数以上が、来期は研究開発費と資本投資を拡大すると回答しています。戦略的優先項目については、一貫して「多角化」「M&A」などが上位を占めていますが、「破壊的技術の実現」や「サイバーセキュリティリスクの最小化」も上昇してきました。逆に、特に長年M&Aをしてきた企業にとって重要な「ビジョン・文化・目的の明確化」、「多様性/インクルージョン」のランキングが昨年を下回ったことは予想外な結果でした。

「平均販売価格(ASP)の低下」は今後3年間も引き続き最大の課題であると見られていますが、昨年よりも縮小しています。「多様な顧客ニーズへの対応」が今回は2位に急上昇し、当面は高い順位を維持すると予想されます。今回から「クロスボーダーの規制」が選択肢に加わったことも注目されます。

今後3年間で半導体業界が直面する最大の課題は何だと思いますか。

今後3年間で半導体業界が直面する最大の課題は何だと思いますか。

※2015年、2016年には選択肢なし 複数回答可

次へのステップとして、2018年に半導体業界のリーダーが注目すべき重要なテーマがいくつかあると考えられます。

1.製品とシステムのセキュリティ:
ネットワークの入り口となるコネクテッドデバイスにチップが使われるケースが増えるため、サイバーセキュリティの対策は必須です。自動運転車、医療ロボットなどいくつかの技術が現実となるに従い、その必要性はますます高まります。
2.R&Dの効率性:
多用な顧客ニーズと新興技術が、R&Dの効率性や予算を圧迫しています。企業は、最も収益性の高い製品ポートフォリオを特定し追求するよう統制をしなければなりません。データ分析(D&A)とアジャイルに関する方法論を採り入れることも、R&Dの効率性を高める方法です。
3.カルチャー:
過去数年にわたってM&Aを実施してきた企業は、新たに加わったオペレーションとカルチャーの統合を継続しなければなりません。また、そうした統合の課題を抱えていない企業であっても、多様性に富み、高潔志向で、包括的な企業文化を伝え、育てていく必要があります。これは、戦略的優先項目の上位に挙げられる「タレントマネジメント」にも影響を与えます。

レポートの全文についてはダウンロードPDFをご参照ください。

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