日本企業の統合報告書に関する調査2017 | KPMG | JP
close
Share with your friends

日本企業の統合報告書に関する調査2017

日本企業の統合報告書に関する調査2017

企業の自発的な取組みである統合報告書の発行は、企業と投資家との対話の促進を通して価値向上に貢献します。それゆえに、統合報告書の現状を見つめ、成果や課題の一端を明らかにすることが必要であると考え、日本企業が発行する統合報告書を対象に、さまざまな角度から調査・分析を行いました。その結果から、日本企業の統合報告書の現状と課題を考察しています。

関連するコンテンツ

調査の概要

KPMGジャパンは、日本企業の統合報告書に関する調査を2014年から継続して実施しています。昨年に引き続き、「国内自己表明型統合レポート企業発行リスト2017年版」で公表された341社の報告書を対象として調査を実施しました。
本調査報告では、統合報告書の発行状況に加え、「長期志向」、「価値創造」、「ガバナンス」、「マテリアリティ」、「リスクと機会」、「主要指標(KPI)」の6つの領域における開示状況を調査し、その結果から、日本企業の統合報告書の現状と課題を考察し、提言をまとめています。

統合報告書発行企業の概要

2017年の統合報告書発行企業数は、前年比50社増の全341社となりました。
このうち、93%を東証一部上場企業が占めています。東証一部上場企業に占める統合報告書発行企業の割合は、発行企業数でみれば全体の15%に過ぎませんが、時価総額では51%と過半数を超えました。

6つの領域における調査結果の主なポイント

長期志向

トップメッセージで長期ビジョンを説明している企業は50%にとどまっています。また、財務戦略にも言及している企業は38%に過ぎません。
トップメッセージにおいて、組織が目指す将来像や、進むべき方向を明確に示すことは、統合報告書全体を貫く軸ができ、価値創造ストーリーのわかりやすさへとつながります。そして、価値創造の実現性を裏付ける財務戦略の説明は、説得力の付加にもなるでしょう。

価値創造

統合報告書において、価値創造プロセスを示している企業は57%と、引き続き増加傾向にあります。しかし、描かれた価値創造プロセスが他社と似通っているケースが多く見られました。
価値創造プロセスは企業独自のものであるはずです。自社がどのような資本を保有し、それら資本をどのように活用して価値を創造していくのかを、明確に説明できているでしょうか。改めて見直してみる必要があるのではないでしょうか。

ガバナンス

ガバナンスの有効性を示すための基礎的な情報を統合報告書に記載する企業が昨年より増加し、ガバナンス改革の意識と取組みが浸透しつつあることがうかがえます。しかし、これらの情報を、戦略と関連づけて説明している企業は少数にとどまっています。
統合報告書において、戦略と合致したガバナンスの取組みを具体的に示すことは、企業と投資家の有益なコミュニケーションの実現につながるでしょう。

マテリアリティ

統合報告書でマテリアリティについて言及することが定着しつつあります。しかし、統合報告書でマテリアリティを取り扱う意義を意識し、それを示すことができている企業は限られていました。また、マテリアリティ評価プロセスに経営者が関与している企業は26%でした。
マテリアリティ分析では、企業の中長期的な価値創造に影響を及ぼす事象を検討すべきであるため、その評価プロセスには経営者の主体的な関与が不可欠です。

リスクと機会

統合報告書でリスク情報を提供している企業は79%となりました。しかし、今回の調査結果からは、経営者が価値向上に影響が大きいと考えるリスクと、統合報告書で説明されているリスクに乖離があり、経営者が懸念するリスクが統合報告書で説明されていない可能性があることがわかりました。
統合報告書が経営者の主張であるならば、両者は一致するはずです。この点も、統合報告書の役割を鑑みれば、改善すべき点であると言えます。

主要指標(KPI)

ハイライトセクションにおける非財務KPIの開示比率が36%と前年比で7%上昇し、非財務KPIの充実を目指そうとする企業の姿勢が読み取れました。しかし、選択したKPIを、その背景となる戦略や達成目標と結びつけて説明している企業は多くありません。また、経営者自らがKPIについて説明する企業も少数にとどまっています。
経営者がKPIについて説明し、目標へのコミットメントを示すことで、価値創造に向けた企業の本気度合いが読み手に伝わります。

より確固たる価値創造ストーリーを伝えるための3つの提言

地球レベルで深刻化する持続可能性への脅威を前に、企業は自らの目的に立ち返り、見えざる資産を効率的に活用して企業の価値創造に結び付けること、さらには未来に続く社会の構築に貢献していくことをこれまで以上に求められ始めています。
企業の責任者は、統合報告書の発行を通じて、そこに描く未来への道筋が実現可能であることを示すことで、投資家をはじめとするさまざまな関係者の理解を獲得しようとしています。
その道筋をより明確に示していくために、今回の調査の結果から考察し、以下の3つの点を提言として掲げました。

 

より確固たる価値創造ストーリーを伝えるための3つの提言

  1. 財務戦略を伴う、より確固たる価値創造ストーリーを伝えること
  2. 中長期的な価値創造を実現するためにマテリアルだと認識する事象を示すこと
  3. 価値創造ストーリーと関連性のある非財務情報を示し、読み手の理解を深めること

詳細はPDF(日本語PDF:1,383kb)をご参照ください。

英語PDFはこちら(English PDF:952kb)

執筆者

KPMGジャパン
統合報告センター・オブ・エクセレンス(CoE)

統合報告に関する解説

お問合せ

 

RFP(提案書依頼)

 

送信