IASB、「IFRS第9号『金融商品』のIFRS第4号『保険契約』との適用(IFRS第4号の修正)」を公表 | KPMG | JP
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IASB、「IFRS第9号『金融商品』のIFRS第4号『保険契約』との適用(IFRS第4号の修正)」を公表

IASB、「IFRS第9号『金融商品』のIFRS第4号『保険契約』との適用(IFRS第4号の修正)」を公表

IFRSニュースフラッシュ - 国際会計基準審議会(IASB)は、2016年9月12日、「IFRS第9号『金融商品』のIFRS第4号『保険契約』との適用(IFRS第4号の修正)」を公表しました。本基準書は、IFRS第9号の発効日と新しい保険契約に関する会計基準の発効日が異なることに対する市場関係者の懸念に対処したものです。

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要約

  • 現行IFRS第4号を改訂し、要件を満たす企業に対し、以下のいずれかの選択を認める(強制ではない)。
    • 過去にIFRS第9号を適用したことがなく、かつ、その活動が主に保険に関連している企業に対し、IFRS第9号の適用を一時的に免除する(IFRS第9号の適用の一時的免除)。
    • IFRS第4号の適用範囲に含まれる契約を発行する企業に対し、適格金融資産の一部について、IFRS第9号を適用して当期純利益に報告した金額の一部をその他の包括利益に振り替える(上書きアプローチ)。
  • 初度適用企業も、適用要件を満たす場合には、IFRS第9号の適用の一時的免除または上書きアプローチを適用することができる。
  • 本基準書の発効日は、IFRS第9号の適用の一時的免除については2018年1月1日以降開始する事業年度から、上書きアプローチについては企業がIFRS第9号を最初に適用する時からである。

IFRS第4号改訂の背景

IASBは、2014年7月に最終版のIFRS第9号「金融商品」を公表した。IFRS第9号は金融商品の認識及び測定について規定しており、その発効日は2018年1月1日以降開始する事業年度である(早期適用も可能)。IASBはまた、IFRS第4号「保険契約」を新しい会計基準に差し替えるプロジェクトを進行中である。しかしながら、新しい保険契約に関する会計基準の発効日は、IFRS第9号の発効日よりも遅れることが見込まれている。IFRS第9号と新しい保険契約に関する会計基準の両方により、多くの保険者の会計処理は大幅に変更されることになる。そのため、一部の市場関係者は、IFRS第9号が新しい保険契約に関する会計基準より前に適用される場合には、新たな会計上のミスマッチや一時的な損益のボラティリティが生じる等、望ましくない結果が生じる可能性があることを懸念していた。

そこでIASBは、これらの懸念に対処するためのIFRS第4号の改訂案を2015年12月に公表し、寄せられたコメントへの対応を経て今回の改訂に至った。
 

IFRS第4号改訂の内容

本基準書は、IFRS第4号を改訂し、IFRS第9号の適用の一時的免除及び上書きアプローチの2つの選択肢を導入した。

(1)IFRS第9号の適用の一時的免除

以下の両方の要件を満たす場合にのみ、企業は、2021年1月1日より前に開始する事業年度について、IFRS第9号ではなく、IAS第39号「金融商品:認識及び測定」を適用することができる(強制ではない)。

  • 企業は、過去にIFRS第9号のいずれの版(当期純利益を通じて公正価値で測定する(FVTPL)区分に指定した金融負債の自己の信用リスクの表示に関する規定を除く)も適用したことがない。
  • 企業の活動が主に保険に関連している。

企業の活動が主に保険に関連しているか否かの評価は、報告企業レベルで行われため、連結グループ財務諸表と個別または単体財務諸表について、評価結果が異なる可能性がある。以下の両方に該当する場合にのみ、企業の活動は主に保険に関連している。

  • IFRS第4号の適用範囲に含まれる契約(保険契約から区分された預り金要素または組込デリバティブを含む)から生じる負債の帳簿価額は、企業の総負債の帳簿価額合計と比較して重要である。
  • 企業の総負債の帳簿価額合計に対する、保険に関連する負債(IAS第39号のもとでFVTPLで測定される投資契約や保険契約の発行に伴い生じる負債等を含む)の帳簿価額合計の割合が、以下のいずれかである。
    • 90パーセント超である。
    • 90パーセント以下であるが、80パーセント超であり、企業は保険に関連しない重要な活動を行っていない。

なお、企業の活動が主に保険に関連しているか否かの評価は、2016年4月1日の直前の年次報告日において実施する。ただし、2016年4月1日の直前の年次報告日においてIFRS第9号の適用の一時的免除の要件を満たす企業は、その後の期間において事業の取得や廃棄等、企業の活動が変化した非常に稀な場合のみ、再評価しなければならない。2016年4月1日の直前の年次報告日においてIFRS第9号の適用の一時的免除の要件を満たさない企業は、企業の活動が変化した場合のみ、再評価することができる。

本基準書はまた、IFRS第9号の適用の一時的免除を適用していない企業との比較可能性を高めるために、金融資産の公正価値や信用リスクに関する情報の開示を要求している。

(2)上書きアプローチ

IFRS第4号の適用範囲に含まれる契約を発行する企業は、一部の適格金融資産について指定を行うことにより、以下の差額を当期純利益からその他の包括利益に振り替えて表示する「上書きアプローチ」を適用することができる(強制ではない)。

  • 当該適格金融資産についてIFRS第9号を適用して当期純利益に報告した金額
  • 当該適格金融資産についてIAS第39号を適用していたならば当期純利益に報告されたであろう金額

上記の差額として当期純利益からその他の包括利益に振り替えられる金額は、損益計算書及び包括利益計算書において、それぞれ区別して表示しなければならない。

なお、適格金融資産とは、以下の両方の要件を満たす資産のみが該当する。

  • IFRS第9号を適用すればFVTPLで測定されるが、IAS第39号を適用していたならばその全体がFVTPLでは測定されなかったであろう金融資産である。
  • IFRS第4号の適用範囲に含まれる契約と無関係な活動に関連して保有される金融資産ではない。

適格金融資産のうち、上書きアプローチを適用する資産について、金融商品単位で指定することができる。なお、上書きアプローチを適用する適格金融資産が、IFRS第4号の適用範囲に含まれる契約に関連しない活動のために保有されることとなった場合には、上書きアプローチの適用は取り消される。

(3)初度適用企業

適用要件を満たす初度適用企業は、IFRS第9号の適用の一時的免除または上書きアプローチを適用することができる。

発効日

IFRS第9号の適用の一時的免除及び上書きアプローチの発効日は、それぞれ以下のとおりである。

(1)IFRS第9号の適用の一時的免除

IFRS第9号の適用の一時的免除に関する規定は、2018年1月1日以降開始する事業年度から適用する。

(2)上書きアプローチ

上書きアプローチを適用することとした企業は、IFRS第9号を最初に適用する時に上書きアプローチを適用しなければならない。

なお、上書きアプローチを適用することとした企業は、当該アプローチを遡及適用しなければならない。IFRS第9号を適用した場合の適格金融資産の公正価値とIAS第39号を適用した場合のそれらの帳簿価額との差額は、その他の包括利益累計額の期首残高の調整として認識しなければならない。また、IFRS第9号に従い比較情報の修正再表示を行う場合にのみ、企業は上書きアプローチの影響を比較情報に反映する。

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