2024年3月期決算の留意事項(税務)

大企業(主に資本金1億円超の法人)の2024年3月期の税務申告に影響のある4項目にフォーカスして改正のポイントを解説いたします。

大企業(主に資本金1億円超の法人)の2024年3月期の税務申告に影響のある4項目にフォーカスして改正のポイントを解説いたします。

2023年度税制改正では、「成長と分配の好循環」の実現に向けて、スタートアップ・エコシステムを抜本的に強化する改正が行われました。たとえば、研究開発税制では、研究開発投資の維持・拡大に対するインセンティブを強化するため、控除率や控除上限の見直しが行われるとともに、研究開発の質を高める観点から、既存企業とスタートアップのオープンイノベーション等を促すため、特別試験研究費の範囲の見直しが行われました。また、スタートアップの成長を強力に促すため、オープンイノベーション促進税制をスタートアップのM&Aにも適用できることとされたほか、Web3.0エコシステムの発展のため、暗号資産の時価評価課税の見直しも行われました。

本稿では、大企業(主に資本金1億円超の法人)の2024年3月期の税務申告に影響のある4項目にフォーカスして改正のポイントを解説するとともに、適用時期は2025年3月期以降であるものの2024年3月期決算における税効果会計に影響を及ぼす可能性がある改正項目についても言及いたします。

なお、本文中の意見に関する部分については、筆者の私見であることをあらかじめお断りいたします。
 

Point

1 ,研究開発税制について、一般型税額控除制度における税額控除率の見直しや試験研究費の増減割合に応じて控除上限が変動する制度の導入、特別試験研究費に係る税額控除制度における対象範囲の拡充のほか、研究開発税制の対象となる試験研究費の範囲の見直しが行われた。

2.租税特別措置の適用制限に係る一定規模以上の大企業に対する要件が強化された。

3.オープンイノベーション促進税制をスタートアップのM&Aにも適用できるよう、制度の見直しが行われた。

4.期末に保有する暗号資産のうち、自己が発行し、その発行の時から継続して保有する暗号資産であって、継続して譲渡についての制限等が付されているものは、期末時価評価課税の対象から除外される等の見直しが行われた。

5.2023年度税制改正項目のうち適用時期が2025年3月期以降であるものや2024年度税制改正で提案されている改正項目のなかには、2024年3月期の決算における税効果会計に影響を及ぼす可能性がある項目が含まれている。

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Ⅰ.研究開発税制

1. 一般型税額控除制度

2023年度税制改正では、研究開発投資の維持・拡大に対するインセンティブを強化するため、一般型税額控除制度( 試験研究費の額に税額控除率を乗じた金額を法人税額から控除する制度)について、試験研究費の増減割合に応じて控除上限額が変動する制度が導入されるとともに、税額控除率の見直しが行われました。

研究開発税制は青色申告法人に広く適用される制度( 恒久措置)ですが、本稿では、大企業の2023年4月1日から2026年3 月31日までの間に開始する各事業年度について適用される制度について解説いたします。

(1) 税額控除率(原則)
増減試験研究費割合に応じて、図表1の税額控除率が適用されます。
( 2) 控除上限額
控除上限額は原則として、法人税額の 25%相当額とされていますが、図表2のとおり、増減試験研究費割合に応じて控除上限額が変動する制度が導入されました。

図表2 控除上限額

増減試験研究費割合 控除上限額(*1)
4%超の場合(*2) 法人税額×25%(*4)+ 法人税額 ×{( 増減試験研究費割合-4% )×0.625 }( 上限:法人税額×5% )
- 4%~ 4%の場合 法人税額×25%(*4)
- 4%を下回る場合(*3) 法人税額×25%(*4)+ 法人税額 ×{( 増減試験研究費割合+ 4% )×0.625 }( 上限:法人税額×-5% )

(*1) 設立事業年度及び比較試験研究費が零である事業年度は、法人税額×25%( *4)
(*2) 試験研究費割合が10%を超える場合には、本制度と試験研究費割合が10%を超える場合の「控除上限額」の特例( 図
表3参照)とのうち、控除上限額が大きくなる方が適用される
(*3) 試験研究費割合が10%を超える事業年度には適用されない
(*4) 研究開発を行う一定のベンチャー企業は、40%

出所:KPMG作成

 

(3) 試験研究費割合が10%を超える場合の特例
試験研究費割合が10%を超える場合には、図表3の2つの上乗せ措置を適用することができます( 双方の併用も可能)。

図表3 試験研究費割合が10%を超える場合の特例

税額控除率(上限:14%) 税額控除率( 原則 )+ 税額控除率( 原則 )× 控除割増率
控除上限額 法人税額×25%(*) + 法人税額×{( 試験研究費割合-10% )× 2 }( 上限:法人税額×10% )

(*) 研究開発を行う一定のベンチャー企業は、40%
出所:KPMG作成

(4) 用語の意義

  • 大企業:中小企業者以外の法人
  • 中小企業者:以下のいずれかに該当する法人( 適用除外事業者を除く)

① 資本金の額が1億円以下の法人(以下の法人を除く)
 (ⅰ) 発行済株式の総数の2分の1以上が同一の大規模法人( 資本金の額が1億円を超える法人等)に所有されている法人
 (ⅱ) 発行済株式の総数の3分の2以上が大規模法人に所有されている法人

② 資本又は出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人

適用除外事業者:その事業年度開始の日前3 年以内に終了した事業年度の所得金額の平均が年15億円を超える法人
増減試験研究費割合:①/②
① 当期の試験研究費-比較試験研究費( マイナスの場合、そのマイナスの額)
②比較試験研究費

  •  比較試験研究費:当期前3 年以内に開始した各事業年度の試験研究費の平均値
  • 研究開発を行う一定のベンチャー企業: 以下のいずれの要件も満たす法人

① その事業年度が、設立日から同日以 後10 年を経過する日までの期間内の日を含む事業年度に該当すること
② その事業年度終了の時において、大法人( 資本金の額が5億円以上である法人等)の100%グループ法人に該当する法人( 大法人による完全支配関係がある法人等)及び株式移転完全親法人のいずれにも該当しないこと
③ その事業年度終了の時において、翌期繰越欠損金額を有すること

  • 試験研究費割合:当期の試験研究費/平均売上金額
  • 平均売上金額:当期及び当期前3年以内に開始した各事業年度の売上金額の平均値
  • 控除割増率:( 試験研究費割合-10%)×0.5( 上限10%)
     

2. 特別試験研究費に係る税額控除制度 ( オープンイノベーション型)

さらなるオープンイノベーションの促進に向けて、特別試験研究費に係る税額控除制度( 特別試験研究費の額に税額控除率を乗じた金額を法人税額から控除する制度)の対象となる特別試験研究費の範囲について、以下の拡充が行われました。

(1) 研究開発型スタートアップ企業の範囲の拡大

幅広いスタートアップ企業との共同研究、委託研究を促すため、研究開発型スタートアップ企業の対象が大幅に拡充されました。具体的には、特定新事業開拓事業者{ 新事業開拓事業者(III.3「用語の意義」を参照)のうち、すでに事業を開始している株式会社で、設立後10年未満の会社又は設立後10年以上15年未満であって営業損失が生じている会社であり、直前事業年度の研究開発費の売上高に対する割合が10%以上であること等の要件を満たすものをいい、特別研究機関等、大学等及び関係法人等を除く}と共同して行う試験研究及び特定新事業開拓事業者に委託する試験研究に係る試験研究費が特別試験研究費に追加され、その税額控除率が25%とされました。一方で、これまで対象とされていた新事業開拓事業者等と共同して行う試験研究及び新事業開拓事業者等に委託する試験研究に係る試験研究費は、対象から除外されています。

なお、この制度の適用を受ける場合には、確定申告書等に経済産業大臣の証明に係る書類の写しとして、特定新事業開拓事業者から交付を受けたものの添付が必要とされています。

(2) 高度研究人材の活用に関する試験研究の追加

特別試験研究費の対象となる試験研究に、高度専門知識等を有する者に対して人件費を支出して行う試験研究が追加され、その税額控除率が20%とされました。

これは、最先端の知識を有する博士号取得者や、経験を積んだ外部の研究人材の新規雇用に対するインセンティブとして設けられたものです。これらの者を雇用することによって、企業が有する既存の知識や経験と新たな最先端の知識を融合させ、国際競争に資するハイレベルでオープンなイノベーションにつなげることが目的とされています。

3. 研究開発税制の対象となる試験研究 費の範囲の見直し

(1) 試験研究費に追加されたもの
新たなサービス開発を促すため、対象となる試験研究費のうちサービス開発のための試験研究に係る試験研究費について、既存のビックデータを活用する場合も対象とする見直しが行われました。

(2) 試験研究費から除外されたもの
性能向上を目的としないことが明らかな開発業務の一部として考案されるデザインに基づき行う設計及び試作に要する費用が、研究開発税制の対象となる試験研究費から除外されました。
 

4. 適用時期

  • 上記2.(1)の改正は、2023年4月1日以後に支出する試験研究費について適用されます。
  • 上記以外の改正は、2023年4月1日以後に開始する事業年度について適用されます。
     

Ⅱ.租税特別措置の適用制限

大企業が2024年3月31日までに開始する各事業年度において、図表4に掲げる要件のいずれにも該当しない場合(その事業年度の所得金額がその前事業年度の所得金額以下である一定の場合は除かれる)には、以下に記載する租税特別措置における税額控除制度の適用が制限されます。

  • 研究開発税制
  • 地域未来投資促進税制
  • 5G導入促進税制
  • デジタルトランスフォーメーション投資促進税制
  • カーボンニュートラルに向けた投資促進税制

図表4 租税特別措置の適用制限に係る要件

(i)及び(ii)のいずれにも該当しないこと
(i) 一定規模以上の大企業 継続雇用者給与等支給額≧ 継続雇用者比較給与等支給額× 101%
上記以外 継続雇用者給与等支給額> 継続雇用者比較給与等支給額
(ii) 国内設備投資額 > 当期償却費総額 × 30%

出所:KPMG作成

この租税特別措置の適用制限に係る一定規模以上の大企業に対する要件について、2023年3月31日までに開始する事業年度では継続雇用者給与等支給額を前年比で0.5%以上増加させることとされていましたが、2023年4月1日以後に開始する事業年度からは、図表4のとおり、前年比1% 以上の増加が求められることとなります。

【用語の意義】

  • 大企業:I.1. (4)「用語の意義」を参照
  • 一定規模以上の大企業:以下のいずれにも該当する法人


① その事業年度終了の時において、資本金等の額が10 億円以上であり、かつ、常時使用する従業員の数が1,000 人以上である場合
② 以下のいずれかの場合
 (ⅰ) その事業年度が設立事業年度又は合併等事業年度である場合
 (ⅱ) 上記以外の場合でその事業年度の前事業年度の基準所得等金額が零を超える場合

  • 継続雇用者給与等支給額:継続雇用者に対する当期の給与等支給額で、当期の所得の金額の計算上損金の額に算入されるもの
  • 継続雇用者:当期及び前期の全期間の各月において給与等の支給を受けた一定の国内雇用者
  • 国内雇用者:法人の使用人( 役員の特殊関係者及び使用人兼務役員を除く) のうち、その法人の国内の事業所に勤務する雇用者として、労働基準法に規定する賃金台帳に記載された者
  •  継続雇用者比較給与等支給額:前期の継続雇用者給与等支給額
     

Ⅲ.オープンイノベーション促進 税制

本税制は、青色申告法人でスタートアップと共同して特定事業活動を行うもの(以下、「対象法人」という)が、2020年4月1日 から2024年3月31日までの間に特定株式を取得し、これをその取得の日を含む事業年度終了の日まで引続き有している場合において、その特定株式の取得価額の25%相当額以下の金額をその事業年度の確定した決算において特別勘定を設ける方法により経理した時は、その特別勘定の金額を損金の額に算入できるというものです。

2023年度税制改正では、スタートアップの出口戦略として、本税制を資本金の増加に伴う払込みによる取得( 以下、「増資特定株式」という)だけでなく、スタートアップのM&A( 第三者からの株式の取得による子会社化)にも適用できるよう、既存株式の購入による取得( 以下、「購入特定株式」という)についても対象とされました。また、スタートアップの成長に真につながるよう、株式取得から5年以内に売上高や投資規模等の「成長要件」を満たした場合には、その後も減税メリットが継続し得ることとする改正が行われました。
 

1. 新たに対象とされる購入特定株式

新たに本税制の対象とされる購入特定株式は、特別新事業開拓事業者の株式のうち、以下の要件のすべてを満たすことにつき、経済産業大臣の証明を受けたもの( 内国法人株式に限る)とされています。

  • その株式がその取得( 購入による取得に限る)により、その特別新事業開拓事業者の総株主の議決権の50%を超える議決権を有することとなるものであること
  • その株式の保有が、その取得の日から5 年を超える期間継続する見込みであること
  • 対象法人及びその特別新事業開拓事業者の特定事業活動に特に有効なものとなると認められるものであること

また、特定株式に係るそのほかの要件は、図表5のとおりです。

図表5 特定株式の要件

  増資特定株式 購入特定株式
1 件当たりの取得価額
  • 大企業による払込み:1億円以上
  • 中小企業者による払込み:1,000万円以上
  • 外国法人への払込み:一律5億円以上
5億円以上
保有見込期間 3年超 5年超
1 件当たりの取得価額の上限 50億円 200億円
一事業年度当たりの損金算入額の上限 増資特定株式と購入特定株式の合計で125億円

 

2. 購入特定株式の取崩し事由

本税制の適用により特別勘定として経理した金額について、一定の取崩し事由に該当することとなった時は、その特別勘定の金額の全部又は一部を取り崩して益金の額に算入することとされています。

新たに本税制の対象とされた購入特定株式に係る取崩し事由のうち、増資特定株式に係る取崩し事由と異なる点は図表6 のとおりです。

 

図表6 購入特定株式の取崩し事由及び取崩し額(増資特定株式と異なる点)

  取崩し事由 取崩し額
(1) 特定事業活動に係る継続証明がされなかった場合( 取得の日から5年を経過した特定株式に係る特別勘定の金額を除く) その継続証明がされなかった事業年度終了の時の特別勘定の金額
(2) 特定株式に係る特別勘定の金額のうち取得の日から5年を経過したものがある場合( 取得の日から5年以内に、いずれかの事業年度においてその特定株式を発行した特別新事業開拓事業者が成長要件を達成した場合を除く) 5年経過した特別勘定の金額
(3) 特定株式を発行した特別新事業開拓事業者が解散した場合(対象法人を合併法人とする合併により解散した場合を含む) 解散の日における特別勘定の金額
(4) 対象法人が特定株式を発行した特別新事業開拓事業者の総株主の議決権の50%超を有しないこととなった場合 有しないこととなった日における特別勘定の金額
(5) 特定株式につき剰余金の配当を受けた場合 5年以内に成長要件を達成した場合 配当を受けた額の25%相当額の特別勘定の金額
上記以外の場合 剰余金の配当により減少した資本剰余金の額に係る金額等の25%相当額の特別勘定の金額
(6) 特定株式を組合財産とする投資事業有限責任組合等の出資額割合に変更があった場合 出資額割合が減少した場合 出資額割合の減少により、特定株式を発行した特別新事業開拓事業者の総株主の議決権の50%超を有しないこととなった場合 有しないこととなった日における特別勘定の金額
出資額割合の減少後に、特定株式を発行した特別新事業開拓事業者の総株主の議決権の50%超を有する割合 5年以内に成長要件を達成した場合 変更があった日における減少した出資額割合に応じた特別勘定の金額
上記以外の場合 変更があった日における特別勘定の金額
出資額割合が増加した場合(5年以内に成長要件を達成した場合を除く) 変更があった日における特別勘定の金額

出所:KPMG作成

また、図表6に記載のとおり、購入特定株式を取得してから5年以内にその特定株式を発行した特別新事業開拓事業者が成長要件を達成するか否かで、取崩し事由に該当するかどうかやその取崩し額が異なることとされていますが、この「成長要件」とは図表7に掲げる要件を、「成長要件を達成した場合」とは図表7のいずれかの要件に該当することにつき、経済産業大臣から証明を受けた場合とされています。

なお、図表6に掲げる取崩し事由以外については、増資特定株式に係る取崩し事由と同様ですが、増資特定株式については取崩し事由に該当しなければ、損金の額に算入した特別勘定は将来益金の額に算入する必要がないという実質的な免税制度であるのに対し、購入特定株式については、成長要件を達成した場合であっても、将来その購入特定株式を譲渡したタイミング等で必ず特別勘定を取り崩して益金の額に算入することとされており、実質的に課税の繰延べ制度とされている点が大きく異なります。

図表7 成長要件

 

類型

特定株式の取得から5 年以内に特定株式を発行した特別新事業開拓事業者が満たすべき要件

成長投資 事業成長
【売上高成長類型】 売上高≧33億円 かつ 売上高≧基準年度の決算の売上高×1.7

【成長投資類型】
基準年度の決算において、以下のいずれにも該当する法人

・売上高≦10億円
・(研究開発費+減価償却費)/売上高≧5%

研究開発費≧4.6億円 かつ
研究開発費≧基準年度の決算の
研究開発費×1.9
又は
減価償却費≧0.7億円 かつ
減価償却費≧基準年度の決算の
減価償却費×3
売上高≧1.5億円 かつ
売上高≧基準年度の決算の
売上高×1.1

【研究開発特化類型】
基準年度の決算(営業損失を生じているものに限る)において、以下のいずれにも該当する法人

・売上高≦4.2億円
・研究開発費/売上高≧10%

研究開発費≧6.5億円 かつ
研究開発費≧基準年度の決算の
研究開発費×2.4 かつ
( 研究開発費-基準年度の決算の
研究開発費)≧購入特定株式の
取得価額×15%

上記の表において、基準年度の決算とは、特定株式を取得した日の直前のその特定株式を発行した特別新事業開拓事業者の事業年度の確定した決算をいう
出典: 国税庁「 令和5年度 法人税関係法令の改正の概要」の「1 オープンイノベーション促進税制の見直し」P.9を基にKPMG作成
 

3. 交際費(接待交際費に係る損金算入の特例)

飲食費(社内飲食費は除く)のうち1人当たりの金額が5,000円以下であるものについては、一定の書類の保存を要件として損金不算入となる交際費等の範囲から除外することとされていますが、2024年度税制改正では、会議費の実態を踏まえ、この金額基準を1人当たり1万円以下に引き上げることが提案されています。

この改正は2024年4月1日以後に支出する飲食費について適用される予定です。

4. 過大支払利子税制

過大支払利子税制において、損金不算入とされた対象純支払利子等の額(以下、「超過利子額」という)は、一定の要件のもと7年間繰り越され、控除枠が生じた事業年度に一定の金額を損金算入することができます。

2024年度税制改正では、昨今の欧米の金利上昇により、市場から外貨を調達して国際投資を行う金融機関において、海外に対する利息の支払いが増加し、租税回避を行う意図がないにもかかわらず、本制度の適用により多大な税負担が生じる可能性があることを踏まえ、2022年4月1日から2025年3月31日までの間に開始した事業年度に生じた超過利子額に係る繰越期間が10年に延長される予定です。

執筆者

KPMG 税理士法人
タックステクニカルセンター
大島 秀平/パートナー  
山崎 沙織/マネージャー

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