ブラジル:OECDガイドラインに適合した移転価格税制が上院で可決

ブラジル連邦上院は2023年5月10日に、ブラジルの移転価格税制を大幅に変更する暫定令1,152号/2023(Projeto de Lei de Conversão n.8/2023)を全会一致で可決しました。

ブラジル連邦上院は2023年5月10日に、ブラジルの移転価格税制を大幅に変更する暫定令を全会一致で可決しました。

KPMGブラジルは、今後の展望を含め、この暫定令を解説するニューズレター(Brazil: Transfer pricing rules passed by Senate - KPMG United States/英語)を発行しました。

以下がその日本語訳です。

ブラジル連邦上院は2023年5月10日に、ブラジルの移転価格税制を大幅に変更する暫定令1,152号/2023(Projeto de Lei de Conversão n.8/2023)を全会一致で可決しました。

この法案は、ブラジルの歴史的な算定式ベースの移転価格税制から、OECDガイドラインに適合した独立企業間原則へと移行するものです。

ブラジル政府は2022年12月29日に暫定令1,152号を発表し、ブラジル議会(下院および上院)は120日以内に当該暫定令を一般法として成立する必要がありました。

暫定令1,152号は、ブラジルの移転価格税制に独立企業間原則を導入することに加え、新たな移転価格算定方法と文書化要件を設け、無形資産、金融取引、事業再編の取扱いを大幅に変更するものです。

【参照バックナンバー:1月16日】ブラジル:移転価格の新たな展望

ブラジル連邦下院は2023年3月30日、暫定令1,152号を369対10の賛成多数で可決しました。

暫定令1,152号/2023(Projeto de Lei de Conversão n.8/2023)では、ロイヤルティ、税務当局による二次調整、コモディティに関していくつかの変更が加えられました。

【参照バックナンバー:4月18日】ブラジル:OECDに適合した移転価格税制法案が下院で可決し、上院での採決に移行

ブラジル連邦上院では、以下2つの変更案が真剣に議論されましたが、全会一致で採択された法案では変更は行われませんでした。

  • 強制適用開始時期を2024年1月1日から2025年1月1日へ延期すること。
  • ブラジル石油・天然ガス・バイオ燃料庁(Agência Nacional de Petróleo、 Gás e Biocombustíveis:ANP)が公表する基準価格を、石油輸出に適用すること。

次のステップ

ブラジル大統領が法案に署名する必要がありますが、ブラジルメディアでは、政府が上院可決に向けてフェルナンド・アダッジ財務大臣を中心に、下院で承認された法案を維持するために多大な介入を行ったと報じられており、KPMGの税務専門家はブラジル大統領が法案に署名することはほぼ確実とみています。

さらに、KPMGの税務専門家は、ブラジル税務当局(Receita Federal do Brasil、RFB)が、独立企業間原則の適用に関する包括的なガイダンスを、特に文書化要件に関して発表すると予想しています。

なお、上記の日本語訳は一般的な情報の提供を目的に作成しているものであり、正確性を期すために必ず原文をご参照いただきますようお願いします。また、何らかの行動を取られる場合は、ここにある情報のみを根拠とせず、プロフェッショナルが特定の状況を綿密に調査した上で提案する適切なアドバイスをもとにご判断ください。

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