自社仮想通貨の発行(ICO)
「ビジネステーマ解説2018」連載第6回 - 仮想通貨を自社で発行するICO(Initial Coin Offering)という資金調達の新しい仕組みについて紹介する。
仮想通貨を自社で発行するICO(Initial Coin Offering)という資金調達の新しい仕組みについて紹介する。
投機目的での仮想通貨の購入が一大ブームとなったが、仮想通貨はほかにも様々な可能性を秘めている。
代表的なものとして、仮想通貨を自社で発行するICO(Initial Coin Offering)という資金調達の新しい仕組みがある。ICOの特徴としては株式を公開するIPOと異なり、ビットコインやイーサリアムなど既に法定通貨と兌換可能となっている仮想通貨で出資を募ることが前提となっている。特にスタートアップ企業ではエクイティの分配を必要としないため、資金調達の新たな手段として検討されている。
IPOとICOの比較
IPO |
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ICO |
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ICOの手順としては、まず企画内容についての説明資料(ホワイトペーパー)を作成する。ホワイトペーパーへの記載基準は現時点では明確な指針はなく、プロジェクトのビジョンや実現するためのテクノロジーおよび役員構成を中心に記載されているものが多い。海外では詐欺まがいの行為も横行しているため、昨今は技術的な実現性やコンプライアンス体制、セキュリティ対応など多くの情報を盛り込むことが主流になっている。
その後トークンと呼ばれる電子暗号を発行し、ビットコインなどで購入することができる。トークンにはプリペイドのように割引に使えるものや、特別なサービスが受けられるもの、ファンドのように運用して収益を上げるものなど様々な機能がある。トークンの機能によって対応する規制や会計処理も異なるため、企画の初期段階から会計・税務・規制対応に注意しながら検討を進める必要がある。しかし最も重要なことは、調達した資金で何を実現するのかという理念が固まっていることである。