SASBに聞いてみた! - SASBを知るための10の質問 - | KPMG | JP
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SASBに聞いてみた! - SASBを知るための10の質問 -

SASBに聞いてみた! - SASBを知るための10の質問 -

2011年に米国で設立されたサステナビリティ・アカウンティング・スタンダード・ボード(SASB)の存在は、日本においても徐々に認知されつつあります。SASBの目的や活動内容について、4月に来日したSASBの戦略アドバイザーKatie Schmitz Eulitt氏にインタビューを行い、10の質問にお答えいただきました。

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SASBを知るための10の質問

Q1 SASBとはどんな団体ですか?

企業の情報開示の質向上に寄与し、中長期視点の投資家の意思決定に貢献することを目的に、将来的な財務インパクトが高いと想定されるESG要素の開示スタンダード(これを「サステナビリティ・アカウンティング・スタンダード」と呼ぶ。本稿では、以下「スタンダード」)を設定する非営利団体です。2011年の設立以降、現在まで、11セクター79業種向けのスタンダードを設定しています。

Q2 なぜSASBを設立したのですか?

将来的な財務インパクトが高い非財務情報の活用に対する中長期視点の投資家の関心が高まっていることは認知していました。ESGの格付けや指数は存在していましたが、それらのレーティング基準の多くは詳細が非公開であるため、より有用性が高く、比較可能性のある情報を求める声が多かったのです。世界の持続可能な開発を実現するためには、このような中長期視点の投資家のニーズに応え、開示の質的向上を通じて変革を起こしていく必要があると考え、SASBの設立に至りました。

Q3 SASBの特徴は何ですか?

まず、スタンダードそのものについて言えば、網羅性を追求するのではなく、財務的なマテリアリティの高いESG要素の開示にフォーカスしているため、情報の利用者、提供者の双方にとって、利便性の高い(そして、対応コストの低い)ツールとなっていることです。また、スタンダードの設定プロセスに関して言えば、各セクターの実務家が関与し、業種ごとの独自性を反映しつつ、根拠に基づいて検討・開発していることです。暫定スタンダードは広く公開し、意見を募ったうえで、最終化するというオープンかつ厳格な手続きを経ていることも特徴です。

Q4 SASBのスタンダードは、米国の制度開示資料(10-Kや20-F)への適用が目的ですか?

SASBは、米国で発足した団体であることから、当初は、米国の制度開示で利用されることを想定しているとのメッセージを打ち出していました。しかし、実際には、スタンダードの利用を米国に限定しているわけでも、制度開示資料に限定しているわけでもありません。むしろ、制度開示に組み入れることとなれば、特に米国では、企業に内部統制の整備が必要になるなど、相応の準備期間が必要となります。従って、まずは任意開示に積極的に取り入れられ、早期に実務が積み上げられることが望ましいと考えています。

Q5 SASBは米国の証券取引所に上場する企業をターゲットとしているのですか?

いま(Q4でも)申し上げた通り、米国市場に上場する企業だけがターゲットなのではありません。欧州の非財務情報開示指令に則った情報提供に際して参照可能なフレームワークとして認められていますし、日本や韓国など、アジアでもSASBスタンダードを参照しているレポートは増えています。

Q6  「非財務指標」ではなく、「財務的にマテリアル(Financially material)な指標」と呼ぶのはなぜですか?

非財務情報の開示は、その範囲が非常に広く、人によって、捉える領域が異なることがしばしばです。ですので、SASBが取り扱う指標の範囲を明確にするために、財務的にマテリアルな指標と呼んでいます。つまり、SASBのスタンダードでは、環境、人的資本、知的資本などの領域にかかわらず、将来的にマテリアルな財務インパクトを及ぼす可能性の高い要素にフォーカスし、それを業種ごとに定めています。なお、SASBでは「脱漏していた情報がもし開示されていたとしたら、合理的な投資家が利用する情報の位置づけを著しく変更していた可能性が大きいようなもの」をマテリアリルと定義しています。

Q7 SASBのスタンダードを利用する場合は、スタンダードにある全てのトピックを開示しなければなりませんか?

企業ごとに、何がマテリアルな事象であるかは異なるものです。ですから、企業が、固有の状況に照らして、SASBスタンダードのトピックや指標の一部を開示ないと判断するケースは考えられるでしょう。ただし、SASBスタンダードは、投資家を含む様々な市場関係者が参画し、業種ごとのマテリアリティを反映して設定しています。従って、特定の指標を開示しない理由の説明を、投資家から求められる可能性はあると考えます。

Q8 主たる情報利用者である投資家は、SASBスタンダードをどう評価していますか?

SASBでは、インベスター・アドバイザリー・グループ(IAG)を設置し、様々なアセットクラスに属するアセットマネジャーとアセットオーナーの参画を得ています(IAGに属する投資家の資産運用規模の合計は26兆ドル超です)。IAGのメンバーは、SASBのスタンダードが、サステナビリティに関する情報開示のクオリティと比較可能性の向上に寄与すると考え、企業にも、SASBスタンダードを参照した、投資家の意思決定に資するマテリアルなESG要素の情報開示を促してくれています。

Q9 今後、SASBスタンダードはどのように発展していくのでしょうか?

SASBでは、業種ごとに、3年おきにリサーチを行い、実際の財務インパクトや、企業における情報開示の実態を定期的に十分反映しながら、スタンダードの見直しを行っていきます。スタンダードの暫定版は公開して広くコメントを募り、SASBとしての意思決定を行うボードミーティングも一般に公開しています。このようなプロセスを経ることで、スタンダードの公正性と有用性を維持しながら、今後も発展させていきます。

Q10 日本企業の皆様にメッセージをお願いします。

SASBは、今後も市場におけるデータのリサーチを重視し、事実と根拠に基づくスタンダードを発展させていくことで、より実態に即した有用性の高いツールを継続的に提供していきます。SASBのスタンダードは、もともと業種ごとの特性を反映する特性を有していますが、それは、決して米国中心の視点ではなく、グローバルな視点で反映すべきだと考えています。従って、多くの日本企業にSASBスタンダードを使っていただき、そのフィードバックを提供してもらいたいと願っています。そうすることで、日本の実態を、今後のスタンダードに、より反映していきたいと考えています。

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
統合報告センター・オブ・エクセレンス(CoE)

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