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WCO勧告的意見(4.17)の概要とインパクト

WCO勧告的意見(4.17)の概要とインパクト

Trade and Customs Newsletter - 世界税関機構(WCO)が発表した、関税評価上のロイヤルティ等の支払いに関する勧告的意見についてポイントを整理しています。

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WCO勧告的意見(4.17)の概要

  1. 勧告的意見の意義
    5月31日、WCO(注)は、ロイヤルティ等の支払いに関する勧告的意見(4.17)を発表しました。勧告的意見とは、一般に、国際機関等がその権限により当該機関の加盟国に向けて解釈や行動の指針を示すもので、採択された意見に法的拘束力はないものの、各加盟国においてもこれに沿った運用が期待されます。
  2. 本意見の概要
    売買の伴う輸入取引における輸入貨物の課税価格の決定に当たり、両者間で締結されたフランチャイズ契約に基づいて輸入貨物の買手が売手に支払うロイヤルティ等が当該課税価格に算入されるか否かを論点とした事例を挙げています。

本事例の事実関係は次のとおりです。

  1. 輸入貨物の買手であるフランチャイジーが輸入原材料をもとに国内で最終製品を製造するにあたり、原材料を買手が売手から購入するか、あるいは売手が承認する第三者から原材料を購入するか、いずれも可能である。
  2. 購入する原材料は特許や他の一切の知財権による保護対象外である。
  3. 買手は売手とのフランチャイズ契約に基づき、販売店舗の業務において使用する商標およびシステムの当該使用の対価として、買手が国内で製造した最終製品の総売上の一定率のロイヤルティを支払う。

ロイヤルティ等の支払いについては、関税評価協定第8条1項(c)において「輸入貨物に関連のあるロイヤルティ及びライセンス料であって輸入貨物の販売条件として買手が直接又は間接に支払わなければならないものについては、現実支払価格に含まれていない限度において、これを課税価格に算入する」と規定していますが、この事例でのロイヤルティ等の支払いについては、”輸入貨物に関連のある”ものとはいえないので課税価格に算入されないという見解を示しています。

本意見で提示された事例においては、“品質基準上の要請を満たすと認定された一定の(第三者)調達先からも原材料を入手可能”であるので、必ずしも買手が売手から輸入貨物(原材料)を購入しなければ国内製造販売できないというような事情は無いとして、当該ロイヤルティ等は輸入貨物(製品の材料)に関連するものではない(むしろ国内で買手が行う製造販売業務に関連するもの)と判断されたものと考えられます。

参照:WCOウェブサイト(PDF:141kb)

(注)WCOは、各国の税関制度の調和・統一及び国際協力の推進により、国際貿易の発展に貢献することを目的として設立された国際機関で、2017年7月現在、182か国・地域がメンバーとなっております(本部:ブリュッセル(ベルギー))。主要任務としては、(1)関税分類や税関手続に関する諸条約の作成・見直しを行い、これらの統一的解釈を示すこと、(2)国際貿易の安全確保及び円滑化等に関するガイドライン等を作成・推進すること、(3)WTO(世界貿易機関)が主管する関税評価及び原産地規則に係る協定の統一的解釈及び適用のため、技術的検討を行うこと及び、(4)不正薬物及び知的財産侵害物品等の監視・取締りの国際協力、関税技術協力の推進を行うこと、があります。(参照:財務省ウェブサイト)

本意見のインパクト

  1. 日本
    日本におけるロイヤルティ等支払いについては、関税定率法基本通達4 - 13(2)において「「輸入貨物に係る」ものであり、かつ、「輸入貨物に係る取引の状況等からみて当該輸入貨物の輸入取引をするために買手により直接又は間接に支払われるもの」である場合には、当該輸入貨物の課税価格に算入する」と、先の関税評価協定に準じた規定に定められております。
    また、本意見の類似事例の掲載が税関ウェブサイトに従前より見受けられます。この類似事例では、先の“品質基準上の理由により制約された一定の(第三者)調達先から入手可能”ではなく”一般的に入手可能”とされていることから、本意見により、課税対象とならない範囲が従前の類似事例と比べても、より明らかにされたものと考えられます。
    参照:税関ウェブサイト(関税評価に関する取扱事例について「別紙事例22」)
  2. 諸外国
    他方、諸外国においては、本意見において示された関税評価協定第8条第1項(c)の解釈が必ずしも採られているわけではありません。例えば、中国におけるロイヤルティ等は、輸入貨物との関連性が関税当局により十分精査されないまま課税価格に算入されるような状況が起こっているのが実態のようです。本意見が今後の中国税関当局の行政にどのような影響を及ぼすのか注目されるところです。

輸入者によるリスク対応について

上述のとおり、本意見はあくまで法的拘束力のない「勧告的」意見であるため、本意見において示された関税評価協定第8条第1項(c)の解釈と異なる執行がされている加盟国の税関当局がその運用を変更するかは、当該国に委ねられています。一方で、進出先の外国の税関当局の運用が不透明な場合などにおいてその税関当局が事前教示(Advance ruling)制度を有するときは、輸入貨物に関連のないロイヤルティ等が輸入貨物の課税価格に算入されないことについて税関当局の確認を得ることは、関税コスト管理及び課税リスクの予見可能性を高めるにあたって有効な手立てと言えます。なお、加盟国税関当局から関税評価等について不当な取扱いを受けた輸入者等の支援を目的として、現在、経済産業省には、外国で不公正な貿易措置によって損害を被った企業・事業者のための相談窓口が設置されています。

参照:経済産業省ウェブサイト

 

Trade & Customs Newsletter No.6

執筆者

KPMG税理士法人
関税・間接税サービス
パートナー 梅辻 雅春
パートナー 神津 隆幸

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