学校法人の勘定科目と会計上の留意点 第1回:収入(1/3) | KPMG | JP

学校法人の勘定科目と会計上の留意点 第1回:収入(1/3)

学校法人の勘定科目と会計上の留意点 第1回:収入(1/3)

学校法人で使用される勘定科目の内容と当該勘定科目における会計上の留意点を解説していきます。第1回は収入に関する勘定科目のうち、学生生徒等納付金収入、寄付金収入について解説します。

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学生生徒等納付金収入

(1)取引内容

学生生徒等納付金収入は、教育研究活動の対価としての性質を有し、在学条件として義務的かつ一律に納付させる授業料、実験実習料や学生生徒等を就学させるにあたって義務的かつ一律に納付させる入学金等から構成されます。
具体的な科目例は以下のとおりです。

科目名 備考
授業料収入 聴講料・補講料等を含む。
入学金収入  
実験実習料収入 教員資格その他の資格を取得するための実習料を含む。
施設設備資金収入 施設拡充費その他施設・設備の拡充等のための資金として徴収する収入をいう。

「科目名」は「学校法人会計基準 別表第一 資金収支計算書記載科目」より該当科目を抜粋したもの。
(以下同様)

(2)会計上の留意点

1.授業料等を減免した場合の会計処理

授業料等の減免を行った場合、減免額控除前の金額を学生生徒等納付金に計上し、減免が行われた理由に応じて、減免額を教育研究経費支出(「奨学費支出」)又は人件費支出に計上します。

減免の理由 会計処理方法
成績優秀者、スポーツ特待生、兄弟姉妹在学者、その他経済的理由による減免 奨学的な性格を有するものとみられるため、「教育研究経費支出(「奨学費支出」)」として計上。
教職員子弟の減免 給与への追加としての性格を有するものとみられるため、人件費支出として計上。
なお、本務教職員の場合、人件費内訳表では「その他の手当」として計上。

ただし、休学による減免については、教育サービスの提供を行っていないため、徴収額(免除控除後の金額)を学生生徒等納付金収入に計上します。
<参考:授業料等の減免に関する会計処理及び監査上の取扱いについて(学校法人委員会報告第30号)、(学校法人会計問答集(Q&A)第1号)>

 

2.入学辞退者に係る会計処理

入学辞退者の入学手続時に納付された入学金、授業料等及び諸会費等の取扱いは以下のとおりです。

対象科目 取扱い
入学金 特段の事情がない限り返還不要。他の入学金と同様に会計処理。
授業料等
(授業料、実験実習費、施設設備費、教育充実費等)
  • 3月31日までに入学辞退の意思表示をした場合は、原則として返還。
  • 4月1日以降に入学辞退をした場合は、原則として、返還に応じる義務はない。
    但し、入学試験要項、入学手続要綱等に「入学式を無断欠席した場合には入学を辞退したものとみなす」等の記載がある場合は、入学式の日までに明示または黙示により入学辞退したときには返還する。
  • 諸会費等(学生自治会費、同窓会費、父母会費、傷害保険料など)の取扱いも同様。

<参考:文管振第158号及び18文科高第536号>

なお、入学辞退者に対する返還予定の納付金が期末にある場合は、学校の事業活動収入とはならないため、「前受金収入」から「預り金収入」へ振り替えます。


3.学生生徒等納付金収入の未納分の取扱い

期日に納付されなかった授業料等は、未収入金として計上します。
前年度以前に計上した未収入金等につき、当年度において回収不能と判断した額については、学内での適切な承認手続を経た上で「徴収不能額」として処理します。
期末時点の未収入金につき、将来徴収不能となるおそれがある場合には、徴収不能見込額を一定の方法により見積もり、「徴収不能引当金繰入額」を計上する必要があります。

 

4.高等学校等就学支援金制度について

国の法律に基づく全国一律の制度として、平成22年4月1日より開始された制度で、私立高等学校等に通う生徒の授業料の一部に充てる費用として、「高等学校等就学支援金」を学校に支払い、家庭の教育費負担を軽減する制度です。
就学支援金は学校が代理受領しますが、保護者に対する支援金のため、学校法人においては「預り金」であるため、会計処理は以下のようになります。


(例)授業料100、高等学校等就学支援金80、生徒からは就学支援金相当額を差し引いた額20を収納

  会計処理仕訳
就学支援金の受領 借方 貸方
現金預金  80 預り金受入収入 80
授業料の納付期限 現金預金
20 授業料収入 20
(生徒からの収納分)
預り金支払支出 80 授業料収入 80
(就学支援金の振替)

<参考:高等学校等就学支援金事務処理要領>

なお、入学辞退者に対する返還予定の納付金が期末にある場合は、学校の事業活動収入とはならないため、「前受金収入」から「預り金収入」へ振り替えます。

 

5.その他徴収金

その他、金銭を徴収する項目の具体例、及びその会計処理方法は、以下のとおりです。

金銭を徴収する項目 会計処理方法
教材料
  • 教材料としての徴収金は、1.学生生徒等納付金収入、2.預り金収入、3.補助活動収入等の科目で処理され、学校法人により異なる会計処理が行われる場合がある。学生生徒等納付金収入として教材料収入を計上する場合には、「教育研究活動の対価としての性質を有し、在学条件として義務的かつ一律に納付させる」ものである必要がある点に留意すること。
  • 教職員等が実費や経過的な金銭を徴収する場合であっても、学校法人が収受した金銭であることから、学校法人の責任において適切な会計処理を行うことが求められている。
    (学校法人における会計処理等の適正確保について(通知)(27高私参第13号))
後援会費・校友会費・生徒会費 後援会費・校友会費・生徒会費等は、納付金と同時に徴収される場合が多いが収納事務を学校が代行しているに過ぎないため、預り金として処理される。
寮費・給食費・スクールバス維持費 本来の教育活動ではなく、教育活動に付随する諸活動により派生するものであるため、補助活動収入として処理する。
修学旅行費 預り金処理することが求められている。(学校法人委員会報告第24号)

 

寄付金収入

(1)取引内容

寄付金収入とは、金銭その他の資産を寄贈者から贈与されたもので、補助金収入とならないものであり、以下に分類されます。

科目名 備考
特別寄付金収入 用途指定のある寄付金をいう。
一般寄付金収入 用途指定のない寄付金をいう。

(2)会計上の留意点

  1. 寄付金の会計処理すべき年度
    原則は、寄付金品の受領日の属する年度となります。
  2. 入学時の寄付金の募集時期
    学校法人の設置する私立大学の場合は、入学者選抜に関し、疑義を招くことがないように、入学者又はその保護者等関係者からの寄付金の募集開始時期は入学後であることが求められています。
    (文部科学省事務次官通知第454号)
  3. 事業活動収支計算書における寄付金の区分
    資金収支計算書の「特別寄付金収入」は、事業活動収支計算書では、その内容によって区分されます。施設設備拡充等のためという寄付者の意思が明確な寄付金収入については、「施設設備寄付金」(特別収支)に区分し、それ以外の寄付金については、特別寄付金(教育活動収支)に区分します。
  4. 現物寄付(事業活動収支計算書)
    資金収入がないため資金収支計算書では認識しませんが、資産等の現物を寄付された場合、事業活動収支計算書では現物寄付として収入を計上します。施設設備の受贈は「特別収支」として計上し、それ以外の受贈(貯蔵品、固定資産に計上されない機器備品、雑誌等)については教育活動収支に計上します。

執筆者

あずさ監査法人
第2事業部
マネジャー 酒寄 裕子

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