2016年5月に開催された保険契約に関するIASB会議の概要 | KPMG | JP
close
Share with your friends

2016年5月に開催された保険契約に関するIASB会議の概要

2016年5月に開催された保険契約に関するIASB会議の概要

IASB Board Meeting Flash - 2016年5月に開催された保険契約に関するIASB会議の概要が記載されています。

関連するコンテンツ

2016年5月、IASBは2015年12月に公表した公開草案(ED/2015/11)「IFRS第9号『金融商品』のIFRS第4号『保険契約』との適用(IFRS第4号の修正案)」に寄せられたフィードバックに基づいて、以下に関する審議を行いました。

  • IFRS第9号適用の一時的免除:適格要件の再評価
  • その他の論点:IFRS初度適用企業、関連会社及び共同支配事業に対する免除

1. IFRS第9号適用の一時的免除:適格要件の再評価

2015年12月に公表された公開草案(ED/2015/11)「IFRS第9号『金融商品』のIFRS第4号『保険契約』との適用(IFRS第4号の修正案)」(以下、IFRS第4号の修正案)は、企業がIFRS第9号適用の一時的免除に関する適用要件の評価を最初に実施した後に、当該企業の事業形態の変更について明らかな証拠がある場合には、適用要件の再評価を行うことを要求しています。そして、再評価の結果、企業がもはやIFRS第9号適用の一時的免除の適用要件を満たさない場合には、翌事業年度の期首から、IFRS第9号を適用しなければならないとしています。

このIFRS第4号の修正案の提案について、市場関係者は、IFRS第9号適用の一時的免除の要件を満たさなくなった翌事業年度からIFRS第9号の適用を開始するための充分な準備期間がないことを理由に、支持しませんでした。

そこでIASBスタッフは以下を提案しました。

項目 IASBスタッフの提案
適格要件の再評価
(企業がすでにIFRS第9号適用の一時的免除の適格要件を満たしている場合)

IFRS第4号の修正案における以下の提案を確認する。

  • 企業の支配的活動の変更をもたらす可能性のある事業形態の変更について明らかな証拠がある場合、かつその場合にのみ、企業はその活動が保険に関連して支配的であるか否かを再評価しなければならない。
  • 事業形態の変更が生じた直後の年次報告日における負債の帳簿価額を使用して、支配比率を再計算する。
  • 企業の活動がもはや保険に関連して支配的であるとは言えない場合、企業は次のいずれか早い期間からIFRS第9号を適用しなければならない。
    • 事業形態の変更が生じた後に始まる2期目の年次報告期間
    • IFRS第9号適用の一時的免除の有効期限以降に開始する年次報告期間
  • 企業の活動がもはや保険に関連して支配的であるとは言えない場合、IFRS第9号を適用する前の年次報告期間において、以下を開示しなければならない。
    • もはやIFRS第9号適用の一時的免除の適格要件を満たさない旨及びその理由
    • 事業形態の変更が起こった日
適格要件の再評価
(企業が過去においてIFRS第9号適用の一時的免除の適格要件を満たしていない場合)
  • 過去にIFRS第9号適用の一時的免除の適格要件を満たさなかった企業は、その支配的活動に変更をもたらす可能性のある事業形態の変更についての明らかな証拠が2018年より前に存在する場合には、IFRS第9号の強制適用日(2018年1月1日)より前に適格要件を再評価することができる。
  • 事業形態の変更が生じた直後の年次報告日における負債の帳簿価額を使用して、支配比率を計算しなければならない。
  • IFRS第9号適用の一時的免除の適格要件を満たすことになる企業は、以下を開示しなければならない。
    • 再評価の理由
    • 企業の支配的活動の変更に関する説明
    • 適格要件を満たすこととなる事業形態の変更が生じた日
適格要件の再評価日
  • 企業の支配的活動に変更をもたらす可能性のある事業形態の変更についての明らかな証拠は、企業の事業にとって重要であり、第三者に対して説明可能でなければならない。

IASBは、IASBスタッフの提案に同意しました。

2. その他の論点

(1)IFRS初度適用企業

IFRS第4号の修正案は、IFRS第9号適用の一時的免除及び上書きアプローチについて、IFRS初度適用企業は適用が禁止されることを提案しています。これに対して反対意見が寄せられたため、IASBスタッフは以下を提案しました。

項目 IASBスタッフの提案
IFRS第9号適用の一時的免除
  • IFRS初度適用企業は、要件を満たす場合には、IFRS第9号適用の一時的免除を適用することができる。
  • 最初の評価日(すなわち、2015年4月1日と2016年3月31日の間の年次報告日)において適格要件を評価する際、IFRS初度適用企業はIFRSに従った負債の帳簿価額を使用しなければならない。
上書きアプローチ
  • IFRS初度適用企業は、適格資産に対して上書きアプローチを適用することができる。
  • 上書きアプローチを適用するIFRS初度適用企業は、比較情報をIFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」に従って修正再表示する場合には、上書きアプローチを反映するために比較情報を修正再表示しなければならない。

IASBは、IASBスタッフの提案に同意しました。

(2)関連会社及び共同支配事業に対する免除規定

IAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」第35項及び第36項において、企業は、持分法を適用する場合には、関連会社または共同支配企業の会計方針を当該企業の会計方針に合わせるために修正しなければならないと規定されています。この結果、企業の持分法適用対象である関連会社または共同支配企業が財務諸表上でIFRS第9号適用の一時的免除を適用しているが、当該企業はIFRS第9号適用の一時的免除を適用していない場合、関連会社または共同支配企業の財務諸表に持分法を適用する前にIFRS第9号を適用しなければならないことになります。

一部の市場関係者は、当該規定について、企業が持分法適用対象である関連会社または共同支配事業の会計方針を引き続き使用できるように免除規定を設けることを要望しました。

そこで、IASBスタッフは以下を提案しました。

企業の適用基準 関連会社または共同支配企業の適用基準
IFRS第9号を適用(上書きアプローチを適用する場合、しない場合) 財務諸表においてIFRS第9号適用の一時的免除を適用する関連会社または共同支配企業が使用しているIAS第39号の会計方針の維持を認める(強制ではない)。
IFRS第9号適用の一時的免除を適用 関連会社又は共同支配企業が使用するIFRS第9号(上書きアプローチを適用する場合も適用しない場合も)の会計方針の維持を認める(強制ではない)
上記提案は投資ごとに適用することができる。ただし、持分法を適用する場合にIFRS第9号を適用することを選択した企業が、事後的にIAS第39号に変更することはできない。

また、IASBスタッフは、(関連会社又は共同支配企業がIFRS第9号適用の一時的免除又は上書きアプローチのいずれかを適用している場合には)企業に対して以下の開示を提案しました。

  • 企業の財務諸表において個別に重要である場合には、以下を開示する。
    • 企業が持分法を適用するために使用する財務諸表において、IFRS第9号適用の一時的免除または上書きアプローチを適用する関連会社または共同支配企業ごとに、IFRS第9号適用の一時的免除又は上書きアプローチの適用について要求される開示項目
  • 企業の財務諸表において個別に重要ではないが、全体として重要である場合には、以下を開示する。
    • 企業が持分法を適用するために使用する財務諸表において、IFRS第9号適用の一時的免除または上書きアプローチを使用するすべての関連会社または共同支配企業について、IFRS第9号適用の一時的免除または上書きアプローチの適用について要求される量的開示(総額)
  • 個別に重要な関連会社または共同支配企業について開示される金額は、当該関連会社または共同支配企業のIFRS財務諸表上の金額であり、企業の保有持分ではない。
  • 個別に重要ではないが全体として重要な関連会社または共同支配企業について開示される金額は、持分法の適用による企業の保有持分である。

IASBは、IASBスタッフの提案に同意しました。

(3)その他論点の確認

IASBスタッフは、残りの論点について、IASBに以下の確認を求めました。

項目 IASBスタッフの提案
有効期限

IFRS第4号の修正案の以下の提案を確認する。

  • 企業は、IFRS第9号適用の一時的免除の適用を、2021年1月1日以降に開始する年次報告期間より前に終了しなければならない(第20A項)。
  • 上書きアプローチには有効期限は設定するべきではない。
IFRS第9号適用の一時的免除の適用を停止することを認めるか否か

IFRS第4号の修正案の以下の提案を確認する。

  • 過去にIFRS第9号適用の一時的免除を選択した企業は、その後の年次報告期間の期首においてIFRS第9号の適用を選択することができる。
  • 新しい保険契約に関する基準書の適用日より前に、IFRS第9号適用の一時的免除の適用を終了する企業は、適格資産に対して上書きアプローチを適用することができる(強制ではない)。
  • IFRS第9号適用の一時的免除の適用を終了することを選択した企業または要求された企業は、IFRS第9号の適用開始日に、IFRS第9号の関連する移行規定を使用する。
IFRS第4号の修正の適用日

IFRS第4号の修正案の以下の提案を確認する。

  • IFRS第9号適用の一時的免除は、2018年1月1日以降開始する報告期間より有効となる。
  • 上書きアプローチは、企業が最初にIFRS第9号(自己の信用リスクの規定を除く)を適用する時に有効となる。

IASBは、IASBスタッフの提案に同意しました。

3. 今後のスケジュール

IASBは、IASBスタッフに投票プロセスを開始することを承認しました。IFRS第4号の改訂の最終化は2016年9月になる見込みです。

一方で、IASBは新しい保険契約に関する基準書の投票プロセスを進めており、最終基準書の公表は2016年の終わり頃になる見込みです。

このページに関連する会計トピック

会計トピック別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。

このページに関連する会計基準

会計基準別に、解説記事やニュースなどの情報を紹介します。

IASB Board meeting Flash

お問合せ

 

RFP(提案書依頼)

 

送信