税務アップデート

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「税務アップデート」では、米国の税務に関する立法、司法、行政動向のうち、在米日系企業に影響が大きいと思われるものについて最新情報を提供しています。

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2016年4月

規則案:「インバージョン」およびアーニングス・ストリッピング:新たな事業税改正フレームワーク

2016年4月4日、財務省およびIRSは、「内国歳入法第7874条および第367条を回避するように構築された」取引および一定のインバージョン後の租税回避取引について取り扱っている暫定規則(T.D. 9761)、ならびにその相互参照先として規則案(REG-135734-14)を連邦公報に掲載しました。

204ページにわたるこの暫定規則は、外国企業によって直接的または間接的に資産を取得された一定の国内企業および国内パートナーシップならびに当該国内企業および国内パートナーシップに関連する一定の個人を対象としています。

財務省はこれに関連して、この暫定規則および規則案の目的は、アーニングス・ストリッピングへの対応も含め、企業のタックス・インバージョンによる恩恵を制限し、タックス・インバージョンを実施する企業数を減らすことであると発表しています。財務省の説明にもあるように、企業はインバージョン取引によりその事業活動に大きな変化をもたらすことなく税務上の居住地を移転し米国の税金を回避します。インバージョン後も、こうした企業の多くは米国に所在することによる恩恵を享受し続けます。

今日の財務省の発表の中で説明されているこの規則の概要は以下のとおりです。

  • 最近行われたインバージョンや米国企業の買収取引に帰属する外国の親会社の株式を考慮しないことにより、インバージョンを制限する。これは、株式ベースの取引により複数の米国企業を取得する外国企業(直近のインバーターを含む)が、将来的な米国企業の取得の際に適用される現行のインバージョン閾値を回避する目的で規模を拡大することを阻止するためです。
  • アーニングス・ストリッピングについて以下の方法で対応する。(1)米国内において新たな投資を行うことなく関連会社からの借入を増加させることにより、多額の支払利子控除を生じさせる取引を対象にする。(2)IRSの税務調査に際し、負債性金融商品の全体を負債または資本のいずれかに分類するという現行の制度に代わり、部分的に負債と資本に分けて分類することを認める。(3) 特定の大企業に対し、関連会社の金融商品を負債とする評価に関する事前のデューデリジェンスと文書化を義務づけることにより、より綿密なデューデリジェンスとコンプライアンスを可能にする。もしこれらの要件が満たされない場合、この金融商品は税務上、資本として取り扱われる。
  • 財務省が2014年9月および2015年11月に公表した2つの規則案を最終化する。

財務省はインバージョンについて、さらなる対処法を模索しています。

ミシガン州:裁判所がユニタリーグループ構成に関する州財務省のガイダンスを無効化

最近、ミシガンの控訴裁判所は、ユニタリーグループの枠組みにおいて間接的所有は連邦法における「みなし所有」と同じであるかどうかについて判決を下しました。この案件の当事者は2つの企業と1つのリミテッド・パートナーシップでした。ユニタリーグループに関するミシガン事業税(MBT)テスト(2012年から法人所得税の目的でも適用される)では、グループメンバーの中の1社が直接的または間接的に他のメンバーの所有持分の50パーセント超を所有または支配していることが要件になっています。ユニタリー事業グループ のコントロールテストについて取り扱っている歳入行政公報RAB第2010-01号では、州財務省はある集団が所有および支配に関するテストの要件を満たしているかどうかを判断する際に、内国歳入法第318条の種類の帰属ルールを採用しています。RAB第 2010-01号に概略が記されているこのテストを適用し、州財務省はこれらの当事者たちがユニタリーグループを構成していると判断しました。納税者はこの判断に対して異議を申し立てました。

当事者たちはいずれの事業体も他社の50パーセント超を保有していないことについては合意していたため、裁判における争点は十分な間接的所有または支配が存在するかどうかという点でした。MBT 法では間接的所有の定義がなされていませんが、同法の中で用いられ、かつ異なる意味の定義がなされていない用語は、連邦法の中の同等の文脈において用いられる場合と同じ意味を持つと認められました。第一審裁判所は、直接適用可能な連邦法の規定はないとしつつも、状況的に最も類似している規則は、米国株式保有者に対して被支配外国企業の所得を申告書に含めることを求めている国際税務規則であるとの判決を下しました。これらの連邦規則は、州財務省がRABに適用した内国歳入法第318条における帰属ルールを採用していることから、第一審裁判所はこれらの当事者はユニタリーグループであるとの判決を下し、これに対して納税者は控訴しました。

控訴裁判所は、間接的所有テストの要件が満たされているかどうかを判断する際に財務省の内国歳入法第318条を適用したことについて棄却しました。控訴裁判所は、MBT法では、法令上で定義されていない用語を定義する際には連邦税法を適用するよう義務付けているものの、連邦税法上の背景とミシガンの案件における背景が比較可能なものでなければならない点を強調しました。控訴裁判所は、法的擬制である「みなし所有」と「間接的所有」は「比較可能な背景」には該当しないとの判断を下しました。さらに、連邦税の法規制には間接的所有とみなし所有は二つの異なる概念であることを示す多くの例が含まれていました。内国歳入法には連邦法と比較可能な背景が存在しないため、控訴裁判所は「間接的所有」に関して「通常の状況において一般的に認識されている意味」を適用し、最終的に、間接的所有は法的擬制に基づく所有ではなく、媒介を通じた所有を意味すると定義しました。控訴裁判所は、これらの当事者たちはユニタリーグループではないとし、納税者による略式判決の申立てを認めました。

 

2016年3月

規則案:FBAR報告に関する変更

米国財務省の金融犯罪取締ネットワーク(FinCEN)は、「外国銀行および金融口座に関する報告」(FBAR)に関する銀行秘密法を導入する規則の改正案が公告されると発表しました。

規則案の内容は以下のとおりです。

  • FBAR規則を修正し、会社または事業体の役員および従業員が、外国金融口座に関して署名権か他の権限を有しているが、その口座との経済的利害関係がなく、あくまで業務上の理由によるもので、かつその雇用者に外国金融口座について報告するFBAR提出義務がある場合には、これらの役員および従業員に対する当該口座の報告義務を撤廃することにより、特定の米国個人に対する免除規定の対象範囲を拡大し、内容を明確化する。
  • 米国人が25を超える外国金融口座に対して経済的利害関係または署名権限を有している場合に、限られた口座情報を報告することを認めている特別ルールを撤廃し、FBARの提出義務を有するすべての米国人に、FBARの対象となるすべての外国金融口座に関する詳細情報の報告を義務付ける。
  • 各機関に対し、外国金融口座に関して署名権限または他の権限を有する役員および従業員のリストを保持し、FinCENおよび法執行機関の要請に応じて利用可能にすることを要請する。
  • 2017年度のFBAR報告書の提出期限の変更やFBARの電子申告を反映する改正等、その他の変更を行う。

提出期限

FBARは暦年基準の報告書であり、2015年度のFBARの提出期限は2016年6月30日です。ただし、最近の法律制定で変更されたとおり、暦年の2016年よりFBAR報告の提出期限は報告最終日である12月31日の翌年の4月15日となります。過去5年間においてFinCENの各種の通知により認められた延長についてはこの規則案では言及されていません。

規則案の注釈において、FinCENは「これまで認められてきたFBAR 延期に関する規則案の効力について最終規則の中で決定する必要がある。」と記載しています。この規則案には発効予定日は記載されていません。

ルイジアナ州:新しい法人所得税、フランチャイズ税、売上税に関する法律

ルイジアナ州の特別立法議会は、2016年7月1日に始まる会計年度の財政赤字に対処するための措置として増税および支出削減(ほとんどが一時的なもの)に合意して閉会しました。

法人所得税およびフランチャイズ税

法人所得税とフランチャイズ税の規定における措置は以下のとおりです。

  • 銀行から受領する配当に関する配当控除を復活させる。
  •  パススルー事業体の持分を通じてルイジアナ州で事業を行うすべての会社にフランチャイズ税が適用されるよう適用範囲を拡大し、また「会社」の定義を修正する。
  • 欠損金(NOL)の繰越控除に限度額を設け、2015年7月1日以降に提出される申告書からルイジアナ州における純利益の72パーセントに相当する金額を限度とすることを明確化する。
  • 関連者間で発生した費用に関する損金不算入規定を採用する(加算規定)。
  • 過年度のNOLを適用する順序を変更する。
  • 税額控除の適用順序に関する規定を設置する。
  • エンタープライズ・ゾーン控除額を減額し、ホテルを適用対象から除外する。
  • 連邦所得税納付額の法人所得税控除を廃止するよう州憲法を改正することについて有権者に投票を認める。

売上税および使用税

議会はまた、州の売上税および使用税に関するネクサス・ルールの範囲を拡大する法案、州に代わり売上税および使用税を徴収および納付することに対するベンダー報酬額に限度額を設定する法案、およびこれまで売上税および使用税に関して認められていた免税額および控除額に限度額を設定する法案を可決しました。原則として、売上税および使用税に関するこれらの変更は2016年4月1日より適用となります。

また、2016年4月1日から2018年6月30日の期間については、1パーセントの売上税および使用税が州税として課されます。

 

2016年2月

IRSはAPMAがインドとの二国間APAを受け付けると公表

2月1日、IRSはAdvance Pricing and Mutual Agreement office(APMAオフィス)が米国およびインド間における二国間事前確認(二国間APA)の申請受付を2016年2月16日より開始すると公表しました。この2月中旬という日程は、インドにおける新会計年度の開始(4月1日)に向けて、納税者にAPAの申請を提出するのに十分な時間を与えるという配慮に基づき決定されています。

今回のIRSのリリース(IR 2016-13)の内容は、多国籍企業に対する課税における両国の政府間のつながりを強める重要な一歩を表しています。二国間APAにより課税に関する予測可能性が高まり、お互いの国で事業活動を行う際の不確実性の緩和につながります。

背景

2015年1月、米国およびインドの権限ある当局は、長期にわたり権限ある当局で検討されてきたインドの関連会社がIT対応サービスまたはソフトウェア開発サービスを提供している案件の解決に向けた枠組みについて合意したことを合同で発表しました。この合意を踏まえ、APMAは2015年3月に米国とインド間の二国間APAに関する事前相談(PFC)の申請の受付を開始しました。

米国およびインドの権限ある当局はすでに100件に及ぶ相互協議手続案件を解決し、さらに多くの案件が今年の初めに解決される予定であると報告されています。その後も両国の権限ある当局による案件解決が順調に進んだ結果、現在はIT対応サービス、ソフトウェア開発サービス、移転価格税制の基本原則に関連するその他の案件を対象とした二国間APAの申請を受け付ける準備が整っています。

第1445(a)条のFIRPTA源泉税率は2016年2月17日から15パーセントに引き上げ、IRSは様式8288および記入要綱を改正

2016年2月17日水曜日から、第1445 (a) 条に基づく源泉徴収税率は「米国不動産持分」(USRPI)の譲渡により外国人が受領した金額の15パーセント(従来は10パーセント)に引き上げられます。第1445条には外国不動産投資税法(FIRPTA)に関連する源泉徴収税の規則が定められています。

2016年2月17日以降、外国人からUSRPIを取得する者(「源泉徴収者」)には、この外国人から譲渡代金に新税率の15パーセントを乗じた金額を徴収した上で、様式8288「外国人による米国不動産持分譲渡に係る米国源泉徴収税申告書」を使用して取得から20日以内にIRSに納付することが義務づけられます。この源泉徴収額を適時に納付しなかった源泉徴収者は、滞納額に加え、罰金や延滞利息についても連帯責任を負うことになります。

様式8288の改正

第1445 (a) 条で規定されているFIRPTA源泉徴収税の15パーセントへの引き上げと「2015年米国人を増税から守る法律」P.L. 114-113(PATH法)で変更されたその他のFIRPTA規定を反映するため、IRSは様式8288の新しいバージョン「外国人による米国不動産持分譲渡に係る米国源泉徴収税申告書(2016年2月改正)」および様式8288(2016年2月改正)の記入要綱を発行しました。

様式8288(2016年2月改正)の記入要綱には、第1445(a)条に基づく源泉徴収税の引き上げに関する説明、およびPATH法による改正のうち様式8288の提出者に影響を及ぼしうるFIRPTA規定に関連する内国歳入法の説明が記載されています。例えば、これらの記入要綱にはPATH法第323条によって新たに追加された適格外国年金基金に対するFIRPTA税および源泉徴収の免除に関する記載があり、適格外国年金基金または当該基金によって完全に保有されている事業体は様式8288で申告するFIRPTA源泉徴収税上の外国人にはあたらないとしています。

背景

内国歳入法第1445 (a) 条に基づく源泉徴収税率の15パーセントへの引き上げは、2015年12月18日(発効日)にオバマ大統領の署名により発効したPATH法の第324条によるものです。この引き上げは、PATH法発効日の60日後以降に行われる譲渡に対して適用されます。

米国モデル租税条約(2016年)

米国財務省は、租税条約の交渉に際して基準書として利用する改訂版「米国モデル租税条約」を公表しました。今回の公表は、2006年以来初めての米国モデル租税条約に対するアップデートとなります。

概要

財務省の公表によれば、2016年モデル租税条約には以下が含まれています。

  • 脱税や租税回避を通じた非課税や税額軽減の機会を創出することなく、二重課税を排除することを目的とするいくつかの規定。ただし、優遇税制体制のもとで低税率や非課税の恩恵を受ける関連者への「移動性の高い所得(納税者がロイヤルティや利子といった損金算入可能な支払いを通じて容易に世界中に移転させることが可能な所得)」の支払いに関する源泉徴収税は軽減されない。
  • 相互租税条約の交渉を通じて発展した技術的改善を反映するための改訂で、従来のモデルに対する大幅な変更を加えないもの。
  • 条約相手国の国内法の変更により、条約に含まれる交渉済みの恩恵の当初想定されていたバランスや条約により二重課税を軽減する必要性について問題が生じた場合、必要に応じて条約締結国間で条約改正に向けた協議を行うことを義務づける新たな規定。
  • コーポレート・インバージョンによる税務上のメリットを減少させる措置で、インバージョンを行う企業からの関連外国人への米国源泉所得の支払いに対する軽減源泉徴収税の否認。
  • 租税条約の適用に関する税務当局間の争いは、法的拘束力のある強制仲裁措置を通じて解決することを義務付ける規則。新モデル租税条約に含まれる仲裁の「ラスト・ベスト・オファー」アプローチは現行の4つの米国租税条約の仲裁条項および上院の助言と承認を待っている3つの米国租税条約とほぼ同じ内容となっている。

財務省は、2016年モデル租税条約には2015年5月に公表されたモデル租税条約改定草案に対するコメントが反映されていると報告しています。

技術解釈の公表予定

財務省は、2016年モデル租税条約に関する詳細な技術解釈を作成中で今春に公表予定であるとしています。モデル租税条約の前文では、第22条(恩典の制限)における「能動的取引または事業」テストに関する技術解釈の中で取り扱うべき特定の状況についてコメントを募集しています。本件に関するパブリックコメントの締め切りは2016年4月18日となっています。

通商法の一部としてインターネット接続料への課税禁止法が制定

2016年2月24日、オバマ大統領は、おもに貿易および関税に関するH.R. 644法案「2015年貿易促進実施法案」に署名しました。またこの法律には、州や地方政府がインターネット接続料に対して課税することや電子商取引に対して複数の差別的課税を行うことを恒久的に禁止する規定が含まれています。新しい法律は、州や地方政府による現行のインターネット接続料への課税を2020年の6月まで認める「グランドファーザー条項」を含んでいます。

この法律に基づく措置により生じる税収減は、税関使用料および申告書の未提出に対する罰金の増額により賄われます。

背景

州および地方政府によるインターネット接続料への課税や、電子商取引への複数の差別的課税を禁止する法律は1998年に暫定的に制定されて以来その後何度も延長されてきました。1998年10月1日より前からインターネット接続料に対する課税を行っている州および地方政府は、「グランドファーザー条項」により2020年6月まで引き続き課税が認められます。

連結グループメンバーに関する移転価格調整

2月29日、連邦租税裁判所は、IRS長官が内国歳入法第482条に基づく権限に基づき納税者とその外国関連会社との間で移転される物品に係る報告価格を調整するにあたり、その移転価格調整と同時に連結グループ内の各被支配納税者の「真実の個別課税所得」を決定する必要はないという結論を下しました。連邦租税裁判所はさらに、IRS長官が取引種類ごとに個別に調整を行う代わりに、1つ以上の類似取引を合算して調整を行うことも認めています。これらの判決に伴い、連邦租税裁判所は納税者による部分的略式判決を求める申立てを却下しました。(判例:Guidant LLC v. Commissioner, 146 T.C. No. 5)

要約

納税者は連邦所得税申告において連結納税を行う米国企業です。訴訟の対象となっている年度において、納税者はその外国関連会社と取引を行っていました。この取引には無形資産のライセンス許諾、製品の売買、およびサービスの提供が含まれていました。

IRSは、関連会社との取引から生じた所得が独立企業間原則に基づき配分されているかどうかを評価し、納税者による移転価格スタディや納税者から提供された財務データ等の情報に加えてその他の入手可能な公開情報を検討しました。

IRSは、所得は独立企業間原則に基づき配分されていないと判断し、納税者が報告した関連会社間の移転価格を調整しました。またIRSは調整額の全額を連結グループの親会社の個別課税所得に計上することで連結グループの「真実の連結課税所得」を決定しました(その結果グループの連結課税所得は増加)。IRSは子会社の個別課税所得については個別の調整を行わず、また有形資産、無形資産またはサービスのみに関連する調整額の金額についても特定しませんでした。

これに対し納税者は、IRSは (1)各被支配納税者の「真実の個別課税所得」を決定しておらず、(2) 無形資産のライセンス許諾、物品の売買またはサービスの提供の各取引について個別の調整をしていないことを理由に、この調整は専横的で一貫性がなく、法律上不合理と主張して部分的略式判決を求める申立てを行いました。

連邦租税裁判所は、第482条とその関連規定によればIRS長官は第482条に基づく権限を行使するにあたり、移転価格調整と同時に連結グループ内の各被支配納税者の真実の個別課税所得を決定する必要はないとし、本日、納税者による略式判決請求を求める申立てを却下しました。

現政権の2017会計年度予算における税務関連規定

オバマ大統領は2016年2月9日、2016年10月1日から開始する会計年度における歳出と税金に関するオバマ政権からの提案を含む2017会計年度の予算教書を議会に提出しました。大統領予算教書のすべてについて、議会が採決はおろか成立させることは想定されていませんが、その予算教書には歳出および歳入の予算編成方針に関してオバマ政権が最適と考える方向性が示されています。

概要

大統領の提案する歳出額は4兆1,470億ドルです。歳出額は2015年超党派予算法により昨年秋に改正された2011年予算管理法の強制歳出削減で規定される上限額を遵守するものとなっていますが、今後この上限額は引き上げられることが想定されています。

ホワイトハウスによれば、今年度の予算は10年間で2.9兆ドルの財政赤字を削減する計画となっています。このうち9,000億ドル超についてはキャピタルゲイン課税の変更と富裕層に対する優遇税制の縮小を通じて実現される予定です。またその他の削減措置として、国外事業所得に対する課税の変更(10年間で約8,000億ドルの新たな税収をもたらす見込み)や、その他の事業関連課税の変更(約3,370億ドルの税収の見込み)も盛り込まれています。

また大統領は、石油に対する新たな課金の賦課(10年間で約3,200億ドルの税収をもたらす)も提案しています。この新しい収入はCO2排出燃料への依存度が低い「クリーン」な輸送システムを構築するための複数省庁による計画の一部として輸送情報インフラに投資されることになっています。

今年度の予算教書では、オバマ大統領が以前から目標に掲げている法人税率の引下げや構造改革の実施、税制の抜け穴を塞ぐ対策といった内容を再度強調してます。。大統領は2012年2月に発表した「法人税改革に関する枠組み(The President’s Framework for Business Tax Reform)」の中で、法人税率を28パーセントに引き下げることを提案しています。しかしながら、予算教書にはその税率引下げによる税収減を埋めるための歳入が含まれていません。

法人税に関する提案事項

2017会計年度予算教書に含まれる税制関連の提案事項の中には、過去の予算教書に含まれていたものも多く、以下のようなものが挙げられます。

  • 国際課税制度の改革
  • 国内企業の国籍離脱に制限
  • 天然資源産出に対する優遇税制の廃止
  • LIFOおよびLCM会計の廃止
  • パートナーシップにおけるキャリード・インタレストを通常の所得として課税
  • 保険業改革
  • 金融デリバティブ商品を時価評価し、利益を通常の所得として処理
  • 社用航空機に対する減価償却規則の改正
  • 懲罰的損害賠償の損金算入の否認

過去の予算教書に含まれていた提案の一部は大幅に修正されています(例:同種交換ルールの変更案の対象となる物品の範囲拡大)。

また今年度の予算教書には、昨年度に続き、総資産が500億ドルを上回る金融機関から負債額の0.07パーセント相当の税金を課するという提案も含まれています。

大統領は、現行の国外所得課税繰延制度に替えて、事業資産に投資された資本へのリスク・フリー利回りを上回る国外所得にミニマム税を課すことを再度提案しています。国ごとに異なる税率で課税されるミニマム税は、19パーセントから、該当国の実効税率の85パーセントを減じた税率で課税されます。新しいミニマム税は当期ベースに課税され、課税後の所得が本国に送金された場合は米国において追加課税は発生しません。

予算教書には、国外所得に関して新しい課税制度への移行措置の一環として、これまで米国で課税対象となっていなかった被支配外国法人(CFC)の留保所得に対する1回限りの14パーセントの課税が盛り込まれています。

個人所得税の改正

事業体の場合と同様、個人所得税についても以下のような過去の予算教書と同じ提案が多く含まれています。

  • 特定の控除および除外項目の税務上の価値を28パーセントまでに制限する
  • 調整後総所得(AGI)の30パーセントの新ミニマム税(通称「バフェット・ルール」)の課税
  • 税務上の利点のある退職給付の積立総額に対する上限設定
  • 遺産税、贈与税及び世代飛ばし譲渡税の規定範囲を2009年に有効であった内容に戻す

大統領の提案する改正案に含まれる重要項目の一つに、中・低所得者層向けの税制優遇措置の適用および拡大により生じる税収減を埋める対策として富裕層向けのキャピタルゲイン課税の見直しがあります。

キャピタルゲインに対する最高税率は23.8パーセント(3.8パーセントの純投資所得税を含む)から28パーセントに引き上げられます。さらにグリーン・ブック* には、含み益のある財産の移転は原則として財産の売却として扱われると規定されています。そのため、含み益のある財産の寄贈者または遺贈者は、移転日における当該資産の時価が取得原価を上回る部分についてキャピタルゲイン税が課されることとなります。

予算教書には、純投資所得の定義を拡大し、通常は雇用税の対象にならない個人の取引や事業から得られる総所得および利益を含めるという提案も含まれています。この変更は有限責任会社のリミテッドパートナーとメンバー、およびSコーポレーションの所有者にも影響を与えることとなります。

事業者提供の医療保険制度に加入する従業員が、医療費が国内平均よりも高い州に住んでいることにより不当に医療保険制度改革法のもとで高コスト制度に課される物品税の対象になるのではないかという懸念に対し、大統領はその物品税が適用される閾値を変更することを提案しています。この提案では、閾値を現行法の閾値または州ごとに計算される「ゴールドプラン平均保険料」のいずれか高い数値に引き上げるとしています(この税制は現在2020年に発効予定となっています)。

財務省の説明

2月9日、財務省は予算教書に含まれる税制関連の提案事項の説明書として、提案事項の内容を詳述した添付資料「財務省グリーン・ブック*」を公表しました。

* 現政権の2017会計年度歳入提案に係る全般的説明


ノースカロライナ州:市場ベースの源泉ガイドライン

配賦可能所得が1,000万ドルを超えており、配賦率が100パーセント未満の法人納税者は、法人税と資本金税の両方について市場ベースの源泉規則を用いて2014年の配賦額を再計算し報告することが義務付けられます。税務当局は市場ベース源泉ガイドラインおよび市場ベース源泉情報報告(2016年4月15日が提出期日)を行う際の様式を発行しました。

ノースカロライナ州:税務当局が2016年3月1日に発効する売上・使用税の対象となる修理、維持管理、および設置サービスについてのガイドラインを発行

昨年署名された法律に基づき、2016年3月1日から特定の修理、維持管理および設置サービスはノースカロライナ州の売上・使用税の課税対象となります。最近、ノースカロライナ州税務当局は新たに課税対象となるサービスに関する2つの通達を公表しました。1つ目の通達SD-16-2では、売上・使用税が修理、維持管理および設置サービスに適用される状況についてのガイダンスが提供されています。もう1つの通達SD-16-1では修理、維持管理および設置サービスが課税対象となるかどうかを判断する際に検討すべき定義上の変更点について説明しています。

SD-16-2では、修理、維持管理および設置サービスの定義には、有形動産の検査および修復、有形動産に関する問題点の修理または特定、ならびに有形動産の設置が含まれるとされています(当該動産が不動産業者により設置される場合を除く)。「小売業者」の定義には、有形動産の配送、組立、設置または作動に従事する者が追加されました。この小売業者の新定義から除外されるのは、不動産請負業者としてのみ活動する者や、修理、維持管理および設置サービスのみを提供する者で、その活動内容が「小売業」の定義に該当しない者です。言い換えると、小売業に従事する者が行う修理、維持管理および設置サービスは、他の免除規定に該当しない限り小売売上税の課税対象となるので、「小売業」に従事することの意味を理解しておく必要があります。SD-16-1には「小売業」の定義に関するガイダンスとして「[a] 収益の大部分が消費者に対する有形動産、デジタル資産またはサービスの小売りから生じる取引」と記載されており、この変更により影響を受ける業種の例も記載されています。注目すべき点としては、ノースカロライナ州では北米産業分類システム(NAICS)の小売業セクター(セクター44-45)に分類される事業(ハードウェア販売店、電気製品店、敷物販売店)はノースカロライナ州で小売業に従事していると見なされるということです。小売業セクターに分類されていない事業であっても、収益の大部分が州内で消費者に対して有形動産、デジタル資産またはサービスを小売りすることから生じている場合は「小売業」の定義に該当する可能性があります。税務当局のウェブサイトによれば、現在登録されているすべての売上税納税者にeメールまたは郵便でこれらの変更および売上税法に関するその他の最近の変更について連絡されるとのことです。

 

2015年1月

上院財政委員は財務省に対しEUの国家が促進する調査の対応強化を要請

上院財政委員会の指導部および委員らはジャック・ルー財務長官に対し、米系多国籍企業に対するEUの国家が促進する調査について書簡を提出しました。

背景

近年、欧州委員会はEU加盟各国による特定の多国籍企業の取扱いについて正式な調査を開始しました。2014年6月、ECはアイルランド、オランダ、ルクセンブルグに対する調査開始を発表しました。2014年10月、ECはルクセンブルグに対する調査開始を発表し、2015年12月にはルクセンブルグのさらに別の案件について調査を開始したことを発表しました。

2015年10月、ECはオランダの案件およびルクセンブルグの案件について最終決定を公表しました。これらの決定の中でECは両国に対し、該当企業が税金として支払うべきであったとECが判断した金額を過去10年まで遡って回収するよう指示しました。

2015年12月の上院財政委員会では、この調査が米国企業に及ぼしうる潜在的な影響について検討しました。

財政委員会の書簡

本日の書簡(財政委員会ウェブサイトでも閲覧可)はルー財務長官に対し、国際税務基準と矛盾する遡及的処分を課すことを回避するよう欧州委員会に警告することを強く要請するものです。この書簡は以下の文章で締めくくられています。

「我々が懸念しているのはこれらの最初の案件のことのみではなく、これらを前例としてEUが今後さらに多くの米国企業の過去の収益に対し、場合によっては10年前にまで遡って課税するという事態になりかねないということです。我々は財務省に対して、このような遡及的処分は国際的に認められている基準に矛盾するものであり、また米国はそのような処分を米国の利益に対する直接的な脅威とみなすという理由を踏まえ、欧州委員会がそのような結論に至ることがないようさらに強く働きかけていただくことを要請します。また第891条に照らし、米国企業が差別的課税の対象となっていないかどうかという点についてもご検討いただくことを要請します。」


上記に関する更に詳しい内容につきましては、下記の連絡先までご連絡ください。

五十嵐美恵 | +1 404 222 3212 | mieigarashi@kpmg.com

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