税務アップデート

税務アップデート

「税務アップデート」では、米国の税務に関する立法、司法、行政動向のうち、在米日系企業に影響が大きいと思われるものについて最新情報を提供しています。

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2015年12月

「高速道路財源法」成立

12月4日、高速道路整備基金その他の財源からの支出権限を2020年9月30日まで延長する「米国地上交通網修理法(FAST法)」がオバマ大統領の署名により成立しました。

この法律には、ガソリン、ディーゼル燃料、ケロシン、特定のタイヤに対する税金等、高速道路関連の税法規定の適用期限を2022年9月30日まで延長する条項に加え、重量車両使用税の適用期限を2023年9月30日まで延長する条項が含まれています。

また、この法律には、以下の税法執行関連条項が含まれています。

  • IRSが追加で徴税職員を採用・トレーニングするための「特別コンプライアンス人員プログラム予算」を財務省予算から拠出する。
  • 未納となったまま放置されている滞納税の回収のために、適格な民間債権回収業者と契約することを財務省に義務づける。
  • 社会保険番号がない者や、5万ドルを超える深刻な滞納税がある者について、パスポートの返納命令や発行拒否を認める。
  • 2015年初頭に成立した様式5500(従業員厚生福利プラン申告書)の提出期日の自動延長を認める法律(2016年1月1日以降に開始する課税年度に適用)を撤廃する。
  • 特定の税関手数料について、消費者価格指数に基づくインフレ調整を行う(第1回の調整は2016年4月1日)。

BEPS国別報告書に関する財務省規則草案を発表

12月21日、財務省およびIRSは、大規模米系多国籍企業の親会社に対し、国別報告書の提出を義務づける規則草案(REG-109822-15)を発表しました。

この規則草案は、OECD・G20の「税源侵食と利益移転(BEPS)」プロジェクト行動計画13による国別報告書のモデル・テンプレートや記入要綱に基本的に沿った形となっていますが、一部の規定では、独自の詳細が追加されるとともに、行動計画13のアプローチとは多少異なるアプローチが採用されている部分もあります。

規則草案の前文では、規則草案の各規定は、原則的に国際規準に即したものとなっているものの、規則草案の根拠法となっている内国歳入法の米国居住者に適用される情報開示・報告規定との整合性を確保するために、一部修正が行われたことが述べられています。

この規則草案には、施行の趣旨、用語の定義、報告対象期間、報告書の内容、金融口座残高の報告方法、報告手続と期限、証憑の保存義務、適用免除要件、発効日・適用開始日等が規定されています。

また、規則草案の前文によれば、国別報告に使用する様式は、現在IRSが準備しており、様式番号も決まっていませんが、基本的にはBEPSプロジェクト行動計画13のモデル・テンプレートを踏襲したものとなる予定です。

規則は、これが最終化された日以降に開始する多国籍企業グループの親会社の課税年度から適用開始される予定となっていますが、規則草案の発表が遅れたことから、規則の最終化は2016年以降とならざるを得ず、暦年を課税年度として採用しているグループの報告は、当初の見通しより一年遅れの2017年度が初年度となるものと見られています。

規則草案では、前年度の年間売上が8億5,000万ドル未満の米系多国籍企業については、国別報告書の提出が免除されています。なお、BEPSプログラム行動計画13の報告免除規準は7億5,000万ユーロとなっています。

カリフォルニア州最高裁:州間配賦比率に関する逆転判決

12月31日、カリフォルニア州最高裁判所は、州高等裁判所の判決を覆し、州税法で義務づけられた方法に代えて、州間租税協定(MTC)の規定に基づき所得の州間配賦計算を行うことはできないとの判断を示しました(Gillette Co. v. Franchise Tax Board, S206587)。

判決文では、州間租税協定は、州政府間が互いを拘束し得る法的に有効な契約ではなく、カリフォルニア州が同協定から完全に脱退していないとしても、同協定に基づく州間配賦計算方法の選択を撤廃した1993年の州議会による法改正は有効であるとの見解が示されています。

2016年度のスタンダード・マイレージ・レートを引き下げ

12月17日、IRSは、事業、慈善活動、医療、引越等の目的で自家用車を使用した際のコストの計算に納税者が使用する2016年度のスタンダード・マイレージ・レートを規定した公告2016-1号を発表しました。

この公告によれば、2016年1月1日以降、自家用車(バン、ピックアップ、自家用トラックを含む)のスタンダード・マイレージ・レートは、以下の通りとなります。

  • 事業目的の場合、1マイルあたり54セント(2015年度は57.5セント)
  • 医療もしくは引越目的の場合、1マイルあたり19セント(2015年度は23セント)
  • 慈善目的の場合、1マイルあたり14セント(2015年度と同じ)

IRS:外国再保険は1パーセントの物品税の適用外に

12月23日、IRSは、米国外の保険会社もしくは再保険会社が別の米国外の再保険会社と締結している再保険契約に基づき支払う再保険料に対して、1パーセントの物品税を課さない方針を示した内国歳入庁通達(Rev. Rul. 2016-3)を発表しました。 これにより、この問題に関する従来の内国歳入庁通達(Rev. Rul. 2008-15)は撤回されます。

今回発表された通達によれば、内国歳入法第4371条は、米国外の再保険会社間での再々保険取引に連邦物品税を課すものではないとの2015年5月のワシントンDC巡回区連邦高等裁判所の判決を受け、IRSは、従前の通達の見直しを進めていました。

IRSは、旧通達に基づき納付済みの物品税の還付請求の処理時期については、明らかにしていません。

滞納税のある法人との連邦政府機関による契約を禁止

12月3日、国防省、連邦政府調達局、アメリカ航空宇宙局(NASA)は、連邦税を滞納している法人や連邦法上の重罪判決が確定した法人と連邦政府機関が契約することを禁止する暫定規則を連名で発表しました。ただし、契約の停止が政府の利益を守るために必要ではないと政府機関が判断した場合は、この限りではありません。

この暫定規則は、2016年2月26日付で発効します。また、500万ドルを超える政府機関との契約に関しては、税務関連の証明が義務づけられます。


2015年11月

上院外交委員会が日米租税条約改正議定書を承認

11月11日、上院外交委員会は、日米租税条約改正議定書ならびにスイス、ルクセンブルグ、ハンガリー、チリ、スペイン、ポーランド、OECDとの租税条約および条約改正議定書を承認しました。日本との議定書以外は、既に一度承認され、上院本会議に送致済みですが、審議はなされていません。

予算法およびパートナーシップ税制改正法が成立

11月2日、「2015年超党派予算法(下院法案1314号)」がオバマ大統領の署名により成立しました。

この法案は、2017年3月15日まで連邦政府債務上限の適用を停止し、2016および2017会計年度の国防費および裁量的支出予算を2011年予算管理法に基づくレベルから引き上げるものです。

また、財源確保のための増税項目として、次の2つのパートナーシップ税制改正条項が含まれています。

  • パートナーシップに対する税務調査および所得更正に関するルールの変更
  • パートナーシップのパートナーの定義に関する変更

税収予測によれば、パートナーシップに対する税務調査および所得更正に関するルール変更により93.25億ドル、パートナーの定義に関する変更により18.94億ドルの歳入増が10年間で見込まれています。

BEPSに関する連邦議会公聴会開催へ

11月24日、連邦議会上院財政委員会および下院政策委員会税制小委員会は、OECDの税源侵食と利益移転(「BEPS」)プロジェクトに関する公聴会を開催すると発表しました。

上院財政委員会の公聴会では、BEPSプロジェクトの最終報告書の内容と、EUの税優遇による違法な国家補助に関する調査が討議される予定であり、ハッチ委員長は次の通りコメントしています。

「今日のグローバル化した経済においては、多国籍企業が所得、活動、資産を高税率国から低税率国に移転させており、米国を含む多くの国が税源侵食の問題に直面している。OECDのBEPSプロジェクトは、経済のグローバル化とデジタル化が進む中で、オバマ政権および国際社会が税制に関する問題の解決策として推し進めてきたものであり、その努力は賞賛に値するが、OECDのBEPS報告書に含まれている行動計画の中には、納税者の秘密保持や、BEPS報告書の提言に基づき規則を発行する財務省の法的権限の観点から懸念すべき点も多い。また、EUによる米系多国籍企業に対する調査で、米国企業の国外事業の不確実性や税コストが高まっている。こうした状況に鑑み、来る公聴会では、OECDのBEPSプロジェクトが米国の納税者と米国税制の今後に与える影響や、EUの税優遇に関する調査が米国の歳入に与える影響について、広範な議論を期待したい。」

公聴会では、財務省のスタック次官補や全米製造者協会のコールマン副会長等の証言が予定されています。

下院政策委員会税制小委員会の公聴会は、OECDのBEPS最終報告書の行動計画と米系多国籍企業への影響に焦点をあてて討議が行われる予定です。ボウスタニー小委員長は、次の通りコメントしています。

「OECDのBEPS最終報告書の方向性を見ると、米国企業を狙い撃ちし、米国の税源を侵食しようとの意図が明確である。米国の雇用や米国における研究開発活動への影響は、我々の経済や外国企業との競争優位性を直接的に脅かすものである。我々は、米国企業とその従業員がグローバル市場で主導的立場を守れるように、破綻した税制を早急に建て直す必要がある。」

下院の公聴会での証言者は未定となっています。

コーポレート・インバージョンに関する公告

11月19日、財務省およびIRSは、コーポレート・インバージョン取引およびその後の再編に関する財務省規則の改正を予告する公告 2015-79号を発表しました。

これによれば、規則改正の骨子は次の通りとなっています。

  • 内国法人がインバージョン取引を行う能力を制限する。
  • 特定のインバージョン後の再編取引のメリットを低減させる。
  • 公告2014-52号によるインバージョン対策ガイダンスの一部の規定を明確化する。

公告2015-79号には、アーニングス・ストリッピング・ルールの改正は含まれていませんが、財務省およびIRSは、アーニングス・ストリッピング・ルール強化およびその他のインバージョン対策を引き続き検討するとしています。

ペンシルバニア州:繰越欠損金の使用制限に違憲判決

ペンシルバニア州裁判所は、2007年当時の繰越欠損金の使用制限が州憲法の課税の平等の原則(「ユニフォーミティー条項」)に反するものであるとの判決を下しました。この結果、納税者は無制限の繰越欠損金控除を認められ、州政府には法人税の過払い額の還付が命じられました(Nextel Communications Inc. v. Pennsylvania, No. 98 F.R. 2012 (Pa. Commw. Ct. November 23, 2015))。

ペンシルバニア州法人税法上、繰越欠損金の使用制限は長期間施行されており、2007年当時、課税所得の12.5%もしくは300万ドルのいずれか高い方が上限となっていました。

ペンシルバニア州内外で事業を営む電話通信会社である納税者は、2007年度において、過去の課税年度からの繰越欠損金1億5,000万ドルを有しており、当該年度のペンシルバニア州法人税法上の課税所得は4,500万ドルとなっていました。納税者は、12.5%ルールに基づき、560万ドルの繰越欠損金を控除しました。

その後、納税者は、繰越欠損金の使用制限は州憲法の課税の平等の原則に反するものであるとして、2007年度の法人税の還付を求めて訴訟を提起しました。州不服審判所および州財政歳入委員会が州憲法上の問題に対する管轄を有さないため、納税者の還付申請は否認され、事案は州裁判所に移されました。

裁判において、納税者は、繰越欠損金の使用制限は、課税所得300万ドル以下の納税者を不当に優遇するもので、「州政府の課税権が及ぶすべての管轄において、同じクラスの納税者に課せられるすべての税は同一でなければならない」と定めた州憲法上の課税の平等の原則に反するものであると主張しました。納税者によれば、繰越欠損金の使用制限ルールは、繰越欠損金を有する小規模納税者を優遇する一方、同様の状況にある大規模納税者に不利に働く制度となっており、同じ法定税率9.99%が適用されているにも拘わらず、小規模納税者の実効税率が大規模納税者の実効税率を下回る違憲な累進税率構造を作り出しているとしています。

州裁判所は、納税者の主張を認め、繰越欠損金の使用制限は、課税の平等の原則に反するものであるとの判決を下しました。ただし、州政府による控訴の公算が高く、州議会で何らかの法改正が行われる可能性もあります。

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