未知の領域へ:LNGの需給を巡る業界変貌

未知の領域へ:LNGの需給を巡る業界変貌

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液化天然ガス(Liquefied Natural Gas、以下LNG)の世界市場における需要には、さまざまな不確定要素が存在しています。KPMG Global Energy Institute (以下GEI)が発行する、LNGに焦点を当てたレポートの最新版によると、この変貌期にある業界は、未知の領域を航海中であるといえます。

事実、世界のLNG市場は、激変のさなかにあります。売り手や買い手の数のタイプが増えるにつれ、LNG市場はグローバル化しています。供給増とエネルギー価格低下を受け、価格モデルは変化しつつあります。また、価格に対する参加者の期待や新規の供給計画は、需要予測にかかっていますが、需要には不確定要素が存在します。

本KPMGによるGEIレポートでは、「未知の領域へ: LNGの需給を巡る業界変貌」と題し、短期・中期・長期における需要の不確実性を論じています。

  • 短期: 日本の原子力発電所再稼働、ウクライナ危機、LNG貯蔵、商社の垂直統合
  • 中期: 需要家のアライアンス(JERA)、日本のエネルギー分野での規制緩和、中国の経済成長、ロシアの新規パイプライン、新たなガス輸入国 
  • 長期: アジアにおける都市化の進行、輸入分野でのLNG利用、再生可能エネルギー、気候政策

今後、世界のLNG需要は、現在の年間2億3800万トンから、2020年には年間3億6500万トン、2025年には年間5億トンまで増えると予想されています1

KPMGカナダのLNGグローバルリーダー、メアリー・ヘミングセンは以下のようにコメントしています。

「近年の膨大なLNGの供給増は、世界の需要増の70 ~ 80%を占めると予想されていたアジアの需要拡大を前提にしていたもので、この需要は、高い価格で維持できると考えられていた。しかし、こうした楽観的な短期、中期の需要予測に対していささかの疑問を生じさせる新たな要因が出現している。2020年に予想される世界の需要のうち、年3億6500万トンの需要は底堅いが、 5500万トンは価格次第で市場間を移動する「浮動」需要である。」

長期的な見通しについては、当然のことながら不確実性は高まりますが、前途は有望です。当レポートでは、2030年およびそれ以降のLNG需要を左右するとみられる、5つの主要要因の概要について記載しています。

  • アジアの経済成長と環境問題の圧力:中国のLNG需要は、ガス消費の伸びと、パイプラインガスの調達の可否次第で、2025年までに年間4560万トンから7350万トンになり得る。この量は、韓国もしくは日本と同程度の規模に相当する2。インドの輸入量は年間3300万トンと現在の韓国の輸入量と同程度 になり、より小規模なアジア諸国のLNG購入量は合計で年間3500万トンに達する見込みである。
  • 供給の多様化:米国、カナダおよび東アフリカの参入により、 LNGはより多くの供給源から入手可能になりつつある。これによってエネルギー源の安定確保が可能となり、ホルムズ海峡や南シナ海経由の航路への依存度を低減させ、需要家 の安心感を高めている。だが、LNGは新規のパイプラインガスと競争しなければならない。例えば、ロシア、中東およびカスピ海地域からの欧州向けパイプラインガスや、ロシア、中央アジアおよびミャンマーからの中国向けパイプラインガス等である。中国、アルゼンチン、豪州等の国々では、国内産の非在来型ガスが出現している。それらは、状況次第で国内需要を賄いLNGの輸入にとって代わる、ないしは、LNG輸出に向けられるかもしれない。
  • LNGのコモディティ化:供給者および需要家の多様性の増大、浮体式再ガス化設備の設置数の増加、および取引可能なLNGの流動性の増加により、LNGは石油のようなコモディティ商品と化す可能性がある。原油価格の下落は、石炭からガス への切替えを促し得るが、輸送分野における石油からガスへの切替え意欲の減退を招く。大手の戦略的プレーヤーは、このコモディティ化にもかかわらず、少なくともそれが適した一部の市場では、LNGを高級燃料として維持しようとするだろう。
  • 新たな市場:地理的なニッチ市場として、中東やラテンアメリカ、そして、小型化が進み柔軟性が向上した浮体式貯蔵再ガス化設備のおかげでアクセスしやすくなった東南アジアやカリブ海の離島がある。南アフリカ、ケニヤ、ガーナ、ベナン等のサハラ砂漠以南のアフリカ市場も可能性として考えられる。セクター的なニッチとしては、輸送業界があり、船舶のバンカー燃料としてのLNGに関心が高まっている。LNGを燃料とするトラック輸送も注目を集めつつある。
  • 地政学的な混乱やその他の不確定要素:戦争、破壊行為、環境災害および政治的動乱は、予測可不能な間隔で出現し、LNGの輸出を制約し、輸送を妨害し、輸入国の経済成長を損ない、エネルギーインフラストラクチャーの重要な部分を使用不能にしてしまう可能性がある。同時に、政治的変革や飛躍的な技術進歩により、新たな地域でのガス探査やLNG開発が可能になるかもしれない。

詳細に関しては、レポート全文を下記リンクよりダウンロードしてください。

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  1. Roberts (2014); BG Group (http://files.the-group.net/library/bggroup/files/doc_592.pdf) AND BG Group (http://www.bg-group.com/480/about-us/lng/global-lng-market-outlook2014-15/)
  2. Howard Rogers, ‘The Impact of Lower Gas and Oil Prices on Global Gas and LNG Markets’ – Oxford Institute for Energy Studies, 2015

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