税務アップデート

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「税務アップデート」では、米国の税務に関する立法、司法、行政動向のうち、在米日系企業に影響が大きいと思われるものについて最新情報を提供しています。

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2015年10月

日米租税条約改正議定書等に関する上院外交委員会公聴会を開催

10月29日、連邦議会上院外交委員会は、日米租税条約改正議定書をはじめとする租税条約ならびに改正議定書に関する公聴会を開催しました。財務省のロバート・スタック国際税務担当副長官および両院租税委員会のトーマス・バースホールド首席スタッフの2名が証言を行いました。

この公聴会では、日米租税条約の改正議定書に加え、スイス、ルクセンブルグ、ハンガリー、チリ、スペイン、ポーランドとの条約および改正議定書、OECD税務行政執行共助条約について審議がなされました。

条約の批准には、上院の同意が必要となるため、署名された条約は外交委員会で審議され、通常は公聴会を経て、推薦とともに本会議に付されます。

2014年初頭、上院外交委員会は、スイス、ルクセンブルグ、ハンガリー、チリ、スペインとの条約・改正議定書ならびにOECD税務行政執行共助条約を承認し、上院本会議に送付しましたが、ランド・ポール議員(共和党、ケンタッキー州選出)の反対により、全会一致での批准が見送られた経緯があります。

また、公聴会に先立ち、両院租税委員会は、日米租税条約改定議定書の解説書(JCX-136-15)を10月28日付で発表しています。

BEPS最終報告書に関する下院政策委員長の声明

10月5日、ポール・ライアン下院政策委員長(共和党、ワイオミング州選出)は、OECDのBEPS最終報告書に関する声明を発表しました。

この声明は、「膨大な額の米国企業の資本が米国外に留め置かれており、これらの所得を課税により召し上げることに熱心な外国政府の格好のターゲットになっている」として、海外子会社の所得の還流を妨げている現行の米国の税制を批判しています。

また、この声明は、BEPSの国別報告書制度への参加計画に関する懸念を示したライアン下院政策委員長とハッチ上院財政委員長からルー財務長官あての書簡にオバマ政権が回答していないことについても非難しています。

インターネット・タックス・フリーダム法を12月11日まで延長

連邦政府暫定予算案が連邦議会上下両院により可決され、オバマ大統領の署名により成立したことに伴い、インターネット・タックス・フリーダム法が2015年12月11日まで延長されました。これにより、州・地方政府によるインターネット接続料への課税や、電子商取引に対する差別的な税制の導入が引き続き禁止されます。ただし、1998年9月30日以前に7州において施行されていたインターネット接続料への課税については、継続が認められます。同法の延長は、一時的なものも含め、今回で6度目となります。

下院政策委員会次期委員長選出へ

10月29日、下院政策委員会のポール・ライアン委員長(共和党、ウィスコンシン州選出)が下院議長に任命され、下院政策委員会ならびに両院租税委員会の委員を辞任したため、次期下院政策委員長の選出が必要となりました。

現時点では、次期委員長選出のタイミングは明らかとなっていませんが、ケビン・ブラディー議員(共和党、テキサス州選出)、デビン・ヌネス議員(共和党、カリフォルニア州選出)、パット・ティベリ議員(共和党、オハイオ州選出)が意欲を示しています。政策委員会の発表によれば、当面は、最古参委員であるサム・ジョンソン議員(共和党、テキサス州選出)が委員長代理を務めることになります。

また、ライアン議員の辞任により、新たな共和党議員が政策委員会のメンバーに加わる可能性もあります。

「夫婦」の税務上の定義に関する規則草案

10月21日、財務省およびIRSは、税法上の「夫婦」の定義に関する規則草案を発表しました。

この規則草案によれば、連邦最高裁判所の判決を受け、IRSおよび財務省は、同性間の結婚を異性間の結婚と連邦税法上同等に取り扱い、従来の規則・通達等における「夫」、「妻」、「夫婦」等の用語は、異性間の関係のみならず、同性間の関係も含むと規定しています。

両院租税委員会:ボーナス減価償却恒久化法案のマクロ経済的影響を予測

連邦議会両院租税委員会(JCT)は、下院政策委員会の要請により、「ボーナス減価償却制度の変更と恒久化に関する法案(下院法案第2510号)」のマクロ経済的影響に関する報告書(JCX-134-15)を10月27日付で発表しました。

この法案は、ボーナス減価償却制度を恒久化するとともに、適格内装費、乗用車、長期契約等に関する規定や、ボーナス減価償却に代えて代替ミニマム税税額控除を増額する選択手続を改正し、パートナーシップの法人パートナーの扱いや、果樹の扱いに関する規定を新たに導入するものです。

JCTの報告書によれば、マクロ経済効果を無視した場合、法案は10年間で2,807億ドルの税収減をもたらしますが、マクロ経済効果を勘案した場合には、137億ドルの税収増が期待され、差し引き2,670億ドルの税収減となります。

JCTは、マクロ経済平衡成長モデルを使用して法案の景気刺激効果を測定しており、資本存在量の増加による経済成長で10年間に307億ドルの税収増が期待される一方、連邦政府負債の増加による利率上昇で170億ドルの支出増が見込まれ、税収減を緩和するマクロ経済効果は137億ドルに留まると予想しています。

カリフォルニア州:連邦税法準拠法案が成立

カリフォルニア州税法を連邦税法に準拠させる法案(州下院法案第154号)がブラウン知事の署名により成立しました。カリフォルニア州は、連邦税法の規定をすべて採り入れることはしておらず、特定の条項に限って採用していますが、今回成立した法案は、2015年1月1日以降に開始する課税年度における「準拠基準日」を2009年1月1日から2015年1月1日に変更するもので、原則として、この6年間に実施された連邦税法上の改正がカリフォルニア州税法上採り入れられることになります。

2015年9月

IRS大規模事業者・国際部門を再編

IRSの大規模事業者・国際(LB&I)局が大幅な調査手法の見直しと組織再編の実施を計画していることが明らかになりました。これは、9月17日に税務役員研究会(TEI)とIRSが共催した金融サービス会議において発表されたもので、産業別調整事案(Coordinated Industry Case)プログラムを主軸とした調査手法を見直し、個々の事案の状況に応じてコンプライアンス・リスクを特定・調査できる環境を整える方針をダグラス・オドーネルLB&I局長とローズマリー・セレティ金融サービス部長が示しました。コンプライアンス・リスクの特定は、様々なデータの解析結果に基づき、専門スタッフの一元的評価により行うとしています。

ただし、特定の問題点に焦点を当てるアプローチに移行する全体的方針の一方で、規模、複雑性、重要度により高位にある特定の事業者については、従来の産業別調整事案プログラムの手法を引き続き適用するとしています。

新たな組織は、新たな調査アプローチへの移行を前提として9つの執行部門に再編されます。うち4つの部門は、地理的管轄を担当し、実務執行ディレクターと所轄マネージャーにより管理されます。他の5つの部門は、以下の専門分野ごとに編成されます。

  • パススルー事業体
  • 一般事業者
  • 国際活動
  • 源泉税および個人納税者の国際課税問題
  • 租税条約と移転価格

LB&I部門の再編は、2016年初頭に実施される予定です。

不服審判所の仲裁プログラムを撤廃

9月8日、IRSは、不服審判所の仲裁プログラムの撤廃に関する手続細則2015-44号を発表しました。これによれば、同プログラムの14年間の歴史の中で、同プログラムを通じて成立した和解件数は僅か2件となっていました。

カリフォルニア州:異例取引を売上比率計算から除外

カリフォルニア州事業税局(FTB)は、所得の州間配賦比率の計算上、主要事業の売却対価を売上比率の計算に含めるべきか否かについての個別通達を発行しました。

カリフォルニア州の規則によれば、通常の事業活動で使用されている固定資産の売却等、異例な取引の対価は、売上比率の計算から除外することが認められています。当該事案における納税者は、2つの事業のうち1つの売却により、多額の対価を受領し、売却益を実現しており、当該事業の売却対価を売上比率から除外することの可否の判断を求めていました。

FTBによれば、売却対価を売上比率の計算から除外するためには、対価に重要性があること、取引が異例なものであることの2つの要件を満たす必要があります。カリフォルニア州の規則では、対価を計算から除外することにより売上比率の分母が5パーセント以上減少する場合に、対価に重要性があるものと認められます。今回のケースでは、納税者の売上比率の分母は、当該対価の除外により33パーセント減少しました。また、取引が異例なものであったか否かについては、カリフォルニア州の規則では、取引が納税者の通常の商取引の枠外で行われ、頻度が低いことが要件となります。今回のケースでは、納税者が特定のブランドや関連資産の取得や譲渡を過去に複数回行っていたものの、これらの取引が頻繁かつ日常的に行われていた形跡はなく、事業全体の売却も今回が初めてとなっていました。このことから、FTBは、本事案の事業の売却対価を売上比率の分子・分母双方から除外することが適切であると結論づけています。

ニューヨーク州:申告義務認定基準に関する規則草案を発表

ニューヨーク州税務・財務当局は、州法人事業税申告義務認定基準に関する規則草案を発表しました。ニューヨーク州では、2014年に成立し、2015年から施行されている州法人事業税改正法により、経済的ネクサスの一般的基準が導入され、顧客の居住地に基づくニューヨーク州源泉の収入が100万ドルを越える場合に州法人事業税の申告義務が発生します。なお、ニューヨーク市は、ニューヨーク州法人事業税の改正点の多くを取り入れた改正法を成立させていますが、経済的ネクサスに関する改正は実施していません。

今回発表された30ページに上る規則草案に対するコメントは2015年12月3日まで公募されています。また、当局は、顧客の居住地に基づくニューヨーク州源泉所得の決定方法等、他の税法改正項目に関する規則草案を近日中に発表する予定であるとしています。

インディアナ州:州政府による合算申告の強制を否認

インディアナ州租税裁判所は、州税務当局による関連会社との合算申告の強制を否認する判決を下しました(Rent-A-Center East, Inc. Department of State Revenue, No. 49T10-0612-TA-00106 (September 10, 2015))。

インディアナ州法によれば、州法人税の申告は、原則として、単体ベースで行うことが規定されています。ただし、州税務当局には、その権限の範囲内の他の方法で正確に納税者の所得が把握できない場合に限り、特定の関連会社との合算申告を納税者に強制する権限が与えられています。

州税務当局は、①本件納税者と関連会社は単一事業(ユニタリー・ビジネス)を営んでいる、②関連者へのロイヤリティーやマネージメント・フィーの支払いにより関連者の所得が歪められている等として、関連会社との強制合算の妥当性を主張しました。

これに対し、州租税裁判所は、①単一事業を行っていることのみを理由に合算申告を強制できるならば、単体ベースでの申告を原則とした州法上の規定が有名無実化してしまう、②連邦法人税目的で作成された移転価格スタディーによれば、関連会社との取引は第三者間取引基準を満たしており、インディアナ州源泉所得を歪める要因となっていない等として、州税務当局の主張を退けています。

ノースカロライナ州:事業税改正案が条件付で成立

9月18日、ノースカロライナ州では、成立が大幅に遅れていた税法改正条項を含む予算案(下院法案97号)が知事の署名により成立しました。新法は、付帯法案の成立を条件に、2016年1月1日より発効します。

事業者関連の主な税法改正は、次の通りとなっています。

  • 一般財源が前年度の税収により一定額に達することを条件に、州法人税率を3パーセントに引き下げ。
  • 3年間で段階的に州間配賦比率を売上比率に一本化
  • 関連者への支払利息の損金算入否認規定を導入
  • 事業税の課税標準の変更
  • 売上税の課税ベース拡大

2015年8月

政府間相互協議およびAPAに関する手続細則を改定

8月12日、IRSは、米国が締結している租税条約に基づく政府間相互協議の申請に関する手続細則(Rev. Proc. 2015-40)ならびに移転価格税制に関する事前確認(APA)の申請に関する手続細則(Rev. Proc. 2015-41)の改定版を発表しました。

このうち政府間相互協議の申請に関する手続細則2015-40号は、同2006-54号および公告2013-78号の草案の規定を大幅に変更するものとなっていますが、①相互協議の申請におけるAPA・相互協議(APMA)プログラムの活用拡大を奨励している、②相互協議手続の対象範囲を納税者がコントロールできる、③相互協議手続の特定の段階での納税者の役割が明確化・拡大されていることから、一般的に納税者にとって望ましい内容と受け止められています。

今回発表された手続細則は、国際間の租税紛争解決手段の改善を目指す経済協力開発機構(OECD)の税源侵食と所得移転(BEPS)行動計画14や、政府間相互協議に関するOECDのその他のプログラムと米国の相互協議手続の整合性を高める努力を反映した内容となっています。

この手続細則による主な変更点は、次の通りです。

  • 事前相談は、納税者が提起した取り扱いに関する申請についてのみ、受理の可否を判断する目的で義務づける。
  • 関連する他の問題点や他の年度を対象に含めることを相互協議の申請受理の条件としない。
  • 外国税額控除や見なし配当等、相互協議と関連して発生する可能性がある問題点について、米国の権限ある当局は納税者に情報の提供を求めることができる。
  • 米国が締結している租税条約の恩典制限(LOB)条項上の適格判定の申請に関するガイドラインを追加。判定申請料を引き上げ。
  • IRSとの更正合意書(様式870)への署名について、米国の権限ある当局への事前通知や、米国の権限ある当局による事前同意を相互協議の申請受理の条件としない。同様に、IRSとの最終合意書(クロージング・アグリーメント)等の締結前に米国の権限ある当局の同意を得る必要はないが、この場合の米国の権限ある当局による交渉は外国の権限ある当局から対応的調整を引き出すことに限定され、二重課税の完全排除ができなくなる可能性がある。
  • 不服審判の申し立てが同時進行している場合の米国の権限ある当局によるレビュー手続に関する規定を追加。
  • 米国の権限ある当局が相互協議の申し立てを却下もしくは相互協議を中断する際の根拠に関する規定を明確化かつ厳密化。

当該手続細則は、原則として、2015年10月30日以降に申請された相互協議について適用されます。

手続細則2015-41号は、APMAプログラムへのAPA申請手続とAPA締結後の運用について、同2006-9号(同2008-31号による修正部分を含む)の規定を改定するもので、公告2013-79号により草案として発表され、一般からのコメントが公募されていました。

この手続細則による主な変更点は、次の通りです。

  • APMAは、関連する問題点や他の年度を対象に含めることをAPA審査継続の条件とすることができる。
  • ロールバック対象年度をAPAでカバー可能であることを明確化する。
  • APA対象となる年度すべてについて、納税者が時効の延長に同意することを義務づける。
  • APA申請料を引き上げ。60日以内に同じ関連者グループ内の納税者により提出されたAPAの申請については、申請料を減額する。
  • ①二国間APAの対象となり得る事案について米国内APAを申請する場合、②簡易型APA(abbreviated APA)を申請する場合、③特定の無形資産、グローバル・トレーディング、事業再編、非法人化事業体、パススルー事業体、ハイブリッド事業体、税法上支店として取り扱われる事業体等が関係する場合については、事前相談メモの提出を義務づける。

当該手続細則は、原則として、2015年8月31日以降に申請されるAPAについて適用されます。

IRS:国際税務問題トレーニング資料12冊を公開

IRSの大規模事業者・国際(LB&I)部門は、特定の国際税務問題や移転価格問題に関する調査手法等を示した税務調査官向けのトレーニング資料(practice units)12冊を作成し、2015年8月中に続けて公開しました。対象となっているトピックは、以下の通りです。

  • 支店レベル利子税
  • 役務提供を伴わない定期・定額(FDAP)所得(配当、利子、ロイヤリティー等)
  • 米国資産から除外すべき短期ローンの取り扱い
  • 内国歳入法第911条における居住実態テスト
  • 外国に居住する米国納税者による子女税額控除の追加申請
  • 自営業者による外国勤労所得控除の計算
  • 外国税額控除枠計算上の厚生福利手当の源泉地の認定
  • 米国保護領における居住実態の認定
  • 給与・報酬の源泉地の認定
  • 従業員による外国勤労所得控除の計算
  • 租税条約恩典の受益者による開示
  • 米国実質関連所得(ECI)

これらの資料は、各トピックに関する理論や法的根拠を解説し、税務調査で争点となった際に調査官が請求・確認すべき資料に関するガイダンスを与える内容となっています。

デラウェア州:未請求資産制度改正法案成立

デラウェア州の未請求資産制度を一部改正する州上院法案141号が成立しました。

この法案の最大の改正ポイントは、従来1981年まで遡っていた調査対象期間を原則として22年間に限定したことです。

また、この法案は、自己診断を行い、2年以内に拠出を完了(もしくは分割拠出に同意)すれば、調査対象期間が19年に短縮される自主開示(VDA)プログラムを利用する権利について調査対象者に通知することを州政府に義務づけています。

一方、未請求資産の拠出遅延や拠出漏れに係わる利子については、2014年6月に一旦撤廃されていましたが、この法案は、2016年3月1日以降に報告もしくは拠出される未請求資産について、月0.5パーセント(最大で未拠出額の25パーセント)の利子を復活させています。

なお、この法案により、調査対象者は、外部のアドバイザーではなく、自社の従業員を調査における主たる窓口とすることが義務づけられています。

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