事前確認(APA)に関する新歳入手続細則について

Explanation of New APA Guidance

Rev. Proc. 2015-41 new APA guidance

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背景

2015年8月に事前確認制度(以下、“APA”)に関する新歳入手続細則 Rev.Proc.2015-41(以下、“APAに関する新歳入手続細則”)が公表されました。

2013年11月22日にInternal Revenue Services(米国内国歳入庁、以下“IRS”)及び財務省はAPAに関する財務省歳入手続細則の改正案(以下、“APAに関する新歳入手続細則改正案”)を公開し、同改正案に対するパブリックコメントを考慮した後、今回の歳入手続き公表に至りました。APAに関する新歳入手続細則は、IRS内のAdvance Pricing & Mutual Agreement Programオフィス(以下“APMAオフィス”)が引き続き、APAの合意までの手続をより効率的に行うための改革の一環と考えられます。

同時に租税条約締結国間に置ける相互協議を申請・取得する際の手続についても新たな歳入手続細則 Rev.Proc.2015-40 (以下、“相互協議に関する新歳入手続細則”) を施行しました。

本稿においては、APAに関する新歳入手続細則の要点について、2013年11月22日に公開されたAPAに関する新歳入手続細則改正案、2015年8月31日以前に適用されていたAPAに関する旧財務省歳入手続細則「以下、“旧細則”」と比較することで解説していきます。

柔軟性、遡及適用、時効時効成立の延長

APAに関する新歳入手続細則は、APMAオフィスが納税者に対して、APAの確認対象取引でない国外関連取引等についても関連性が高い場合には、確認対象取引に含めるように要求することができるようになりました。(それらの取引には、同年度に発生している関連性が高い取引、APA確認対象年度外に発生している確認対象取引と類似する取引・関連性の高い取引、及び確認対象となる相手国以外で発生している確認対象取引と類似する取引・関連性の高い取引が含まれます)APMAオフィスはAPAの原理原則、効果、効率性や、納税者及び相手国との相互協議の意見を考慮した後、確認対象取引の拡大を納税者に要求してきます。同時に、APMAオフィスは関連性の高い取引やAPA対象外取引を確認対象取引に含める可能性がある場合は、納税者に速やかに通知することとしています。

APAに関する新歳入手続細則は関連性が高い取引について列挙しています。

  • 納税者が関連者間の無形資産のライセンス取引において当該無形資産を過去において関連者間で譲渡している場合
  • 無形資産の使用に関連する関連者間のサービス取引において、サービス取引で使用される当該無形資産を過去において関連者間で譲渡している場合
  • コスト・シェアリングに関連する無形資産の譲渡取引をAPAに含む場合における関連者間の無形資産形成に関する開発費の負担
  • 米国販売会社である納税者が、国外製造関連者から購入する製品を対象とする二国間APAにおいて、購入した製品の大部分を別の国外関連販売会社に再販売する場合

他にAPAと関連する事項としては、金融関連会社におけるグローバルトレーディング、ハイブリッド事業体又は米国税法上課税対象とはみなされない事業体を含むケースが挙げられます。

遡及適用の取り扱いについてもAPAに関する新歳入手続細則では手続きが明確となりました。過去年度に対してAPAの遡及適用を実施したい場合、その旨をAPMAオフィスに申請する必要があります。APMAオフィスは遡及適用申請をIRS内部で審議し、遡及適用の可否を判断することになります。納税者が遡及適用を申請しない場合においても、APMAオフィスは独自にIRS内で審議を行い、納税者に対して遡及適用を要求する場合もあります。

APAを申請した際には、納税者は確認対象期間については時効成立の延長に合意することが求められます。時効成立の延長は、一般的な時効成立の延長を行う場合と、APAの確認対象取引に限定して時効成立の延長を行うかのいずれかになります。APAに関する新歳入手続細則では、APMAオフィスはIRS内部での審議・納税者との協議を経て、時効成立の延長の対象について合意することとなっています。確認対象取引に限定して時効成立の延長を行う場合には、APMAオフィスが提示する定型の書式を使用することになります。多くの場合においては一般的な時効成立の延長をAPAに関する新歳入手続細則は求めています。

相互協議に関する新歳入手続細則については、一定の柔軟性を納税者に確保しています。具体的には、APMAオフィスが、①関連性の高い取引についても確認対象取引に含めること、②特定の年度を確認対象年度に含めること、③時効成立の延長に合意することを要求し、それらの要求を納税者が拒否した場合においても相互協議の申し立てを棄却されることはありません。一方、APAにおいては、当該要求を納税者が拒否した場合、APA申請が棄却される可能性があります。

APA申請要件

APMAオフィスは、APA申請に際し、事前にAPMAオフィスとミーティング「以下、“事前相談”」を実施することを納税者に推奨しています。特定の場合には必須としています。同様に、事前相談メモランダムを提出することを推奨しており、特定の場合には必須としています。納税者が事前相談を希望する場合は、事前相談の依頼に事前相談メモランダムを添付することになります。下記の場合には事前相談メモランダムが必須となります。

  • バイラテラルAPA(二国間APA)を申請し得る場合において、ユニラテラルAPA(米国の納税者とIRSのみとの間で結ばれるAPA)を申請する場合
  • 簡略型APAを申請する場合
  • 確認対象取引に、無形資産取引、グローバルトレーディング取引、組織再編、又はパススルー事業体、ハイブリッド 事業体、米国税法上課税対象とはみなされない事業体を含む場合

事前相談メモランダムはメモランダム形式で確認対象取引に係る情報を十分に記載する必要があります。事前相談メモランダムが必須とならない場合においては、必ずしもメモランダム形式である必要はありませんが、下記の内容を含む必要があります。

  • 納税者が事前相談を希望するか否か。事前相談を希望する場合には事前相談においてAPMAオフィスと相談する内容
  • 事前相談を行う候補日(3候補日を提示すること)
  • APAにおいて論点となる取引に関する取引チャート(APAに関する新歳入手続細則において、APA申請書に添付するExhibit 11参照)
  • 簡略型APAを申請する場合には、APA申請書において省略する情報や書類を特定し、省略する理由
  • 納税者名、連絡先、代理人名及び委任状(Form2848)
  • 時効成立前の期間の特定及び税務調査の状況

APA申請書

APAに関する新歳入手続細則改正案で要求されていたAPA申請時に必要となる資料・情報に関しては、APAに関する新歳入手続細則に踏襲されています。旧細則と比較し、APA申請書に記載する必要のある資料・情報は詳細かつ増加しており、これはAPMAオフィスが、APA申請書において十分な情報とデータを入手することで、APAの手続をより効率的に行う事を目的としています。

APAに関する新歳入手続細則では、APMAオフィスがAPA申請書を正式に受理するにあたり、納税者が提出する資料・情報が申請要件に充足しているかの判断基準が厳しくなりました。APMAオフィスに提供する資料・情報が十分でないと判断された場合、APA申請完了日が遅れる可能性があります。

簡略型APAを申請する場合には事前にAPMAオフィスの承認を得る必要があります。APMAオフィスの事前承認を得ずに、簡略型APAを申請した場合には、APA申請書で提供される資料・情報については申請要件を充足していないと見なされます。

APA申請手数料

APA申請の際に支払う申請手数料は変更になりました。

具体的には、APA申請手数料は5万ドルから6万ドルに増加しました。

APA更新申請の手数料は、前回APAから事実関係、確認対象取引の内容、移転価格算定手法を含むアプローチに重要な変更が無い場合には、旧細則と同じ3万5千ドルとなります。

APA修正申請の手数料は、旧細則における1万ドルから12,500ドルに増加しました。

小規模APA申請手数料は22,500ドルから3万ドルに増加しました。小規模APA申請の要件は旧規則よりも厳しくなり、下記全ての要件を満たす必要があります。

  • 同一の関連者グループ内における各納税者の直近3年間の売上が5億ドル以下であること
  • 確認対象期間における確認対象取引金額の合計が 5千万ドルを超えないこと
  • 無形資産取引が確認対象取引である場合、確認対象期間における当該取引金額の合計が1千万万ドルを超えないこと
  • 確認対象取引において、無形資産の形成に関する問題が含まれていない

施行時期、新旧規則の移行時の取扱い

APAに関する新歳入手続細則は2015年9月1日以降に申請されるAPAに適用されます。

ただし、2015年9月1日以降に申請されるAPAにおいても、2015年12月29日までに旧細則上で要求される資料・情報を充足した申請書が提出できる場合には、旧規則の適用を受けることができます。この場合には120日間のAPA申請書の提出の延長は認められません。

2015年12月29日までに提出されるAPAについては、納税者は新旧どちらのAPA財務省歳入手続細則の適用を受けるのか明示する必要があります。

上記に関する更に詳しい内容につきましては、KPMGの移転価格グループの下記の連絡先までご連絡ください。

Steven Wrappe | (408) 367-4185 | swrappe@kpmg.com
Jana Lessne | (202) 533-3066 | jlessne@kpmg.com
仲 知威 | (408) 367-4162 | tnaka@kpmg.com
岩城 成紀 | (404) 222-7646| siwaki@kpmg.com

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