税務アップデート

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「税務アップデート」では、米国の税務に関する立法、司法、行政動向のうち、在米日系企業に影響が大きいと思われるものについて最新情報を提供しています。

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2015年4月

ホワイトハウスが日米租税条約改定議定書を連邦議会上院に送付

4月13日、ホワイトハウスは、日米租税条約改定議定書を連邦議会上院に送付したことを発表しました。

議定書は、2013年1月に署名されており、これが批准され発効すれば、2003年版の日米租税条約が改正され、日米両国が他国と締結している条約と近い内容となります。

現在、連邦議会上院では、スイス、ルクセンブルグ、ハンガリー、チリ、ポーランド、スペインとの租税条約およびOECD税務行政共助条約の改正の批准が待たれています。このうち、スイス、ルクセンブルグ、ハンガリー、チリ、OECDとの条約改正議定書の批准は上院外交委員会により承認され、本会議での審議に回されています。上院本会議では、伝統的に租税条約改正議定書の批准は全会一致が慣習となっているため、議員が一人でも反対すれば批准手続は中断され、合衆国憲法で定められた外国との条約の批准要件である時間無制限の審議と3分の2の議員による賛成が必要となります。2014年5月には、ランド・ポール議員(共和党、ケンタッキー州選出)がスイスとの租税条約改正議定書の批准に際し、全会一致での批准に同意しなかったことがあります。

ニューヨーク市法人税法を州法人税と整合化

4月13日、ニューヨーク市の法人税法および銀行税法を昨年成立したニューヨーク州の税法改正の内容に準拠して改正するとともに、昨年度の州税改正の規定上のエラーを修正する法案がクオモニューヨーク州知事の署名により成立しました。今回成立した法律は、2015年1月1日以降に開始する課税年度に遡及適用されます。

昨年度成立したニューヨーク州税法の改正と同様に、ニューヨーク市の法人税法は銀行税法と統一されます。また、ニューヨーク市の新法人税の規定は、次の点をはじめとする相当な部分がニューヨーク州の法人事業税の規定に準拠したものとなっています。

  • 納税者は、①ニューヨーク市に配賦された事業所得に基づく税額、②ニューヨーク市に配賦された事業資本に基づく税額、③ニューヨーク市源泉の総収入額に基づく定額最低税額のうち、最も高い税額を納付する。子会社資本税は撤廃。
  • 総額所得課税標準および繰越欠損金に関する規定を大幅に改定。
  • 顧客の所在地に基づく収入の源泉地決定ルールおよび適格金融商品からの収益の8%をニューヨーク市源泉と見なす選択制度を導入。
  • ユニタリー合算申告規定を導入。合算申告を行うための「重要な関連会社間取引要件」を撤廃。

一部、ニューヨーク市税の規定はニューヨーク州税の規定と一致していませんが、その多くは税率に関する規定となっています。

連邦議会下院が売上税控除規定の恒久化および遺産税撤廃法案を可決

4月16日、連邦議会下院は、個人納税者が州・地方売上税を控除する選択を行う規定を恒久化する法案(下院法案622号「2015年州・地方売上税控除公正化法」)および連邦遺産税を撤廃する法案(下院法案1105号「2015年「死税(Death Tax)」撤廃法」)を可決しました。

州・地方所得税の代わりに州・地方売上税について項目別控除を認める規定を恒久化する下院法案622号は、272対152で可決されました。この規定は、 2004年に時限立法で成立した法律に基づくものであり、その後数回の延長がなされています。直近では、2014年増税回避法により、2014年12月31日以前に開始する課税年度への適用が認められています。

240対176で可決された2015年「死税」撤廃法は、法案成立後に被相続人が死亡したケースについて、遺産税ならびに隔世移転税を廃止するものです。この法案では、贈与税は廃止されませんが、最高限界税率を35パーセントに引き下げるとしています。生涯免税枠は、従来通り5百万ドル(2012年以降はインフレ調整あり)となっています。また、相続もしくは贈与により取得した資産の簿価に関するルールも変更されないため、これらの資産の簿価は原則として従来通り時価となります。

上院での審議は未定ですが、オバマ政権は、政権政策声明を発表し、これらの法案に「強硬に反対する」としています。

試験研究費税額控除の関連者間配賦に関する財務省規則

4月2日、財務省およびIRSは、試験研究費税額控除の関連者間配賦に関する暫定規則(T.D. 9717)および同内容の規則草案(REG-133489-13)を発表しました。

試験研究費税額控除の計算上、すべての関連者は単一納税者として取り扱われます。このため、関連者グループ単位で計算された試験研究費税額控除は、グループ内の各社に配賦する必要があります。

2011年12月31日以前に開始する課税年度については、以下の2段階での配賦が義務づけられていました。

  • グループの税額控除が個社の税額控除の合計額を超えない部分については、個社単体の税額控除に比例して配賦。
  • グループの税額控除が個社の税額控除の合計額を超える場合、当該超過額は個社単体の適格試験研究費の支出額に応じて配賦。

2012年米国納税者救済法(2013年1月2日成立)により、2012年1月1日以降に開始する課税年度については、個社の適格試験研究費に応じて配賦することが義務づけられました。これを受けて、2013年3月、IRSは、各課税年度において個社が支出した適格試験研究費に応じてグループの試験研究費税額控除を配賦し、個社単体の税額控除額は問わないとする公告2013-20号を発表しました。

今回発表された暫定規則は、この公告の配賦方法を踏襲するもので、関連者グループ内の個社単体での税額控除額を計算する必要はありません。当該暫定規則は、2015年4月3日以降に開始する課税年度に適用され、2018年4月2日に失効します。納税者は、暫定規則を2012年1月1日以降2015年4月2日以前に開始する課税年度に遡及適用することを選択できますが、この選択を行わない場合、これらの年度には公告2013-20の規定が適用されます。

2015年3月

2014年度APA統計を発表

3月30日、IRSは、暦年2014年分の事前確認(APA)プログラムに関する統計を発表しました。

件数:

  2014年 累計

(1991年~)
米国内 二国間 多国間 合計
申請件数 31 74 3 108 1,964
締結件数 新規 11 42   53 885
更新 9 39   48 516
審査中件数(年度末) 新規 34 149 4 187 N/A
更新 28 119 2 149 N/A
破棄件数 0 0 0 0 11
申請取下件数 0 1 0 1 190

平均審査期間(月):

  新規 更新 全体
米国内 26.7 63.9 31.3
二国間 44.2 35.7 35.7
全体 40.5 35.9 35.9

2013年から2014年にかけては、申請件数が111件から108件へと微減するとともに、締結件数が145件から101件へと大幅に減少し、年度末での審査中件数は331件から336件に増加しています。

2014年中に締結された二国間APAは、47パーセントが日米間のものとなっており、2位のカナダ(15%)、3位の英国(10%)、4位の韓国(8%)を大きく引き離しています。

連邦議会上下両院で予算決議を可決

連邦議会上下両院でそれぞれのバージョンの予算決議が可決され、4月初旬の休会明けに召集が見込まれる両院協議会での交渉に向けた動きが本格化しています。連邦予算法では、予算決議を毎年5月15日までに成立させることが義務づけられていますが、この期日が遵守されなくても罰則規定はありません。

上下両院により合意された最終予算決議は、今後の歳出法案および税法改正法案の審議時の予算ガイドラインとなりますが、実際の歳出や税法改正に関する条項は含まれず、大統領による署名も必要ありません。

下院では、数人の議員により提出された異なる案を審議した後、予算決議案が3月26日に可決されました。下院で採択された最終決議案は、下院予算委員会により承認された案に近いもので、以下の税法改正に関する提案が含まれています。

  • 個人、法人、パススルー事業体の税率引き下げ(目標は、個人所得税、法人税ともに最高税率25%)。
  • 代替ミニマム税の撤廃。
  • 全世界課税制度から「より包括的な国際課税システム」への移行。
  • 特定の権益を保護し、経済活動を歪める税法上の抜け穴を塞ぐことによる課税ベースの拡大。
  • 増税条項、強制規定、補助金制度等を含むオバマケア制度の完全廃止。

また、下院の予算決議は、下院政策委員会に対し、増税を行うことなく今後10年間で財政赤字を10億ドル(マクロ経済予測ベース)減らす法案を起草することを指示しています。

一方、上院では、3月27日に予算決議が可決されましたが、本会議での長時間の審議を経て、上院予算委員会で承認された案には、税法改正関連のものも含め多くの修正が加えられました。

当初、上院予算委員会により提案された予算決議には、以下の条項が含まれていました。

  • 今後10年間で5.1兆ドルの歳出削減。
  • 税制改革、時限立法に基づく税法規定(具体的な規定は特定せず)の延長、医療機器物品税の撤廃等に関する税法改正案を考慮し、各委員会の歳入・歳出目標を見直し。
  • オバマケアの廃止。
  • 重要な税法改正案について、通常の歳入予測に加え、マクロ経済効果を反映した予測を作成することを両院租税委員会に義務づけ。
  • 税法改正に関する上院の審議手続の変更。

上院で最終的に採択された予算決議には、次のものを含む税法改正関連の修正が加えられています。

  • 労働者家庭、子供のいない労働者、中間所得層を対象とした給付還付金制度の拡充と延長。
  • 二酸化炭素排出の直接的または間接的原因となっている製品や事業体に対して二酸化炭素排出量に基づく税や手数料を課すことへの反対
  • 内国歳入法第179条に基づく小規模事業者による固定資産取得費用の一括損金算入枠の100万ドルへの恒久的引き上げならびに設備投資上限額の250万ドルへの引き上げ(ともにインフレ調整あり)
  • 米国の雇用の海外流出を回避するための法人税減税(具体的政策には言及せず)
  • 連邦遺産税の撤廃

租税回避戦略に関する民主党レポート

上院財政委員会で「税制の公平性」に関する公聴会が実施された3月3日、同委員会の有力委員であるワイデン上院議員(民主党、オレゴン州選出)は、同議員のスタッフが租税回避策であると指摘する6つの税務戦略と、これらを防止するための政策・規制に関する提案をまとめた報告書を発表しました。この報告書で租税回避戦略であると指摘されている手法は、次の通りです。

  • キャピタル・ゲイン課税回避を目的とした「カラー」等の複合的デリバティブ取引
  • 課税繰延を目的としたウォッシュ・セール
  • 通常所得をキャピタル・ゲインに、もしくはキャピタル・ロスを通常損に変換するためのデリバティブ取引
  • パートナーシップ持分の実質的所有認定ルールの適用回避のためのデリバティブ取引
  • 短期ゲインを長期ゲインに変換するためのバスケット・オプション
  • 課税回避を目的とした非適格繰延報酬プラン

2015年2月

2016会計年度予算教書における税法改正案

2月2日、オバマ大統領は、2015年10月1日から開始する2016会計年度における歳入と歳出に関する提案を示した予算教書を議会に送付しました。

概観:

オバマ大統領は、2011年予算管理法に基づく支出上限を740億ドル上回る裁量的経費の支出を提案しており、その内訳は国防費(5,610億ドル)と非国防費(5,300億ドル)が概ね半々となっています。

また、オバマ大統領は、6年間で4,780億ドルの輸送インフラ投資プログラムを実施する財源の一部を賄うため、米系多国籍企業が海外に溜め込んだ所得に対する一回限りの課税を行うことを提案しています。この海外に溜め込まれた所得に対する課税は、米国企業が今後海外で稼得する所得に低税率で毎期課税する制度への移行プロセスの一環として位置づけられています。

オバマ大統領は、法人税率を28%に引き下げることを提案していますが、予算教書では、その具体的な財源が示されておらず、加速度償却制度や「借り入れを原資とした投資に関する優遇税制」を見直すことのみが記載されています。

個人に関しては、特定の高額所得者についてキャピタル・ゲインの税率を引き上げるとともに、相続や贈与時にキャピタル・ゲイン課税を行うことが提案されており、これが実現すれば、遺産への課税の考え方が抜本的に変更されることになります。

事業者関連の税法改正案:

2016会計年度予算教書に含まれている事業者関連の税制改正案の多くは、過年度の予算教書に含まれていた馴染み深いものが多くなっています。

  • 国際課税制度改革
  • 企業の国籍離脱制限
  • 天然資源生産関連の優遇税制撤廃
  • 在庫に関する後入先出(LIFO)法および低価法の撤廃
  • パートナーシップのキャリード・イントレスト(ファンド・マネージャー等が成功報酬として受け取るキャピタル・ゲインの一部)の通常所得としての課税
  • 保険業界税制の改革
  • デリバティブの時価評価
  • 同種交換ルールの改正
  • 社用ジェット機の減価償却ルールの改正
  • 懲罰的賠償金の損金算入禁止
  • 試験研究費税額控除制度の恒久化および改革
  • 積極的金融活動に関するサブパートFルール上の例外規定の恒久化
  • 関連者である支配下外国法人(CFC)間の支払いに関するルック・スルー規定の恒久化

なお、過年度に提案されていたものの中には、今回内容が大幅に修正されているものもあります。

500億ドル超の資産を保有する金融機関の負債に対する税率は、17ベーシスポイントから7ベーシスポイントに引き下げられる一方、課税対象を保険会社、貯蓄組合持株会社、証券取引所、資産管理会社、証券ブローカー・ディーラー、特殊金融会社、グループ内金融会社等にも広げることが提案されており、これらが実施されれば、2015会計年度の予算教書と比較して約2倍の歳入が見込まれることになります。

2016会計年度の予算教書には、新たにいくつかの重要な提案が含まれていますが、このうち最も重要性が高いのが米国企業の海外所得に対する課税制度の抜本的改革案であり、10年間で4,740億円の歳入増が見込まれています。現行の未配当所得に対する課税繰り延べ制度に代えて、予算教書では、事業資産に投資された資本へのリスクフリー利回りを上回る外国所得に対してミニマム・タックスを課税することが提案されています。このミニマム・タックスは、国別に課税され、19パーセントから当該国の実効税率の85パーセントを減じた税率で毎期課税されますが、現金による配当は米国で課税の対象とはなりません。

この外国所得課税の新制度への移行プロセスの一部として、予算教書では、従来米国で課税対象になっていないCFCの未配当所得に対して、14パーセントの税率で一回限りの課税を実施するとしています。課税対象となる所得に係る外国税については、14パーセントと米国の法人税の最高実効税率の比率を当該外国税に乗じた額について外国税額控除が認められます。当該税は5年にわたって納付することになります。

個人関連の税法改正案:

事業者関連と同様に、個人関連も馴染み深い提案が多く含まれています。

  • 特定の控除や非課税所得の恩典の価値を上限28%とする。
  • 調整後総所得(AGI)の30%の新ミニマム税(フェア・シェア・タックス)を導入する。
  • 非課税の退職年金の拠出総額を制限する。
  • プロフェッショナル・サービス業における自営業者拠出法(SECA)税の課税方法を統一する。
  • 遺産税、贈与税、隔世相続税を2009年当時のレベルに戻す。

予算教書の主な改革案のひとつは、高額所得者のキャピタル・ゲイン課税制度に関するもので、これを中低所得者向け優遇税制の延長・拡大の財源とするため、キャピタル・ゲインに対する最高税率を現行の23.8%(3.8%の投資純所得税を含む)から28%に引き上げることが提案されています。また、含み益のある資産の譲渡は原則として資産の売却と見なされ、含み益のある資産の贈与者や遺贈者は、譲渡時点で資産の時価が簿価を上回る額に対してキャピタル・ゲイン課税を受けることになります。予算教書では、遺贈の場合には一人あたり10万ドルの非課税枠を設けるとともに、主たる住居に関しては課税対象外とする現行制度を継続することや、小規模事業者に関する救済措置を導入することが提案されています。これらの改革により、10年間で2,080億ドルの歳入が見込まれています。

こうした高額所得者に対する新税の導入は、以下の中低所得者向けの優遇税制の拡充の財源となります。

  • 子女税額控除および扶養者税額控除の最高額の引き上げ
  • 子女税額控除の還付給付制度の恒久化
  • 勤労所得税額控除制度の拡充と恒久化
  • $500の共働き税額控除の導入
  • 学費税額控除制度の恒久化

財務省の解説:

財務省は、2月2日、予算教書に含まれている税法改正案を詳細にわたり解説した通称「グリーンブック」 を発表しました。

The information contained herein is of a general nature and based on authorities that are subject to change. Applicability of the information to specific situations should be determined through consultation with your tax adviser. This article represents the views of the authors only, and do not necessarily represent the views or professional advice of KPMG.

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