税務アップデート

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「税務アップデート」では、米国の税務に関する立法、司法、行政動向のうち、在米日系企業に影響が大きいと思われるものについて最新情報を提供しています。

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2015年1月

歳入予測ルール改正案を下院が可決

1月6日、連邦議会下院は、「1974年議会予算法」を改正し、議会予算局(CBO)および両院租税委員会(JCT)に対し、主要な税法改正案の歳入への影響を予測する際に、マクロ経済的要素(国民総生産(GNP)、雇用、資本市場への影響等)を反映することを義務づける下院法案第5号を可決しました。

従来、JCTの公式な歳入予測では、税法改正に伴う一定の行動的変化は勘案されていましたが、GNPは不変と仮定されていました。 

下院規則13号(2003年導入)では、JCTに対し、下院政策委員会により報告された税法改正のマクロ経済的影響に関する分析を別途行うことが義務づけられていますが、これは公式な歳入予測には反映されていません。

昨年、キャンプ政策委員長が税制改革案を発表した際には、当該改革案のマクロ経済的影響を勘案した非公式の歳入予測の作成を要求しました。これに対し、税制改革による財政赤字、金融・財政政策、個人の勤労・貯蓄動向、企業行動等に関する異なる前提を採用したモデルを用いてJCTが同委員長の税制改革案を分析したところ、従来の歳入予測と比較して、10年間で500億ドルから7,000億ドルの歳入の増加が見られました。

今回下院で可決されたルールによれば、JCTは、マクロ経済効果を勘案した上で、歳入予測のレンジではなく、歳入予想額を一本化して報告することが求められています。

JCTがマクロ経済モデルを採用した場合、経済成長の影響を織り込むことで従来の予測よりも多くの歳入増加が見込まれることが予測されるため、歳入中立を守りつつより大胆な税率の引き下げや優遇税制の温存等が可能となり、税制改革の方向性や内容を大きく左右するのではないかと見られています。

連邦議会上院では、同様の法改正に関する審議は現在なされていません。

上院財政委員長が税制改革およびインバージョンに関して発言

1月23日、連邦議会上院財政委員会のハッチ委員長(共和党、ユタ州選出)は、国際税務、インバージョン、税制改革等に関する幅広いトピックをカバーしたスピーチを行いました。

ハッチ委員長は、ブルッキングス財団主催の「コーポレート・インバージョンと租税政策」と題した会議において、次の通り、インバージョンへの最も効果的な対策は税制改革に他ならないと述べています。

「インバージョン問題への最も効果的な解決策は、私見によれば、税制改革以外にない。税制改革を正しく実施すれば、我が国の経済は成長し、雇用は増加し、企業が外国に逃げ出すのを防ぐとともに、企業を誘致することすら可能になるだろう。私は、その気になれば、今年度中に税制改革を実施する環境は十分整っていると考えており、もちろん私はその気だ。」

また、同委員長は、多国籍企業に対する課税制度に関する税制改正については、海外配当免税制度への移行を支持することを明確にし、次の通りコメントしました。

「私個人としては、海外所得の課税については、現行の外国税額控除制度は適切ではなく、方針を転換して外国税額控除制度から国際的な海外所得課税制度の趨勢である海外配当免税制度に移行すべきであると考えている」

「言っておくが、私はインバージョンを決して快く思ってはいない。ただし、こうした企業の行動は、高すぎる税率と海外子会社の所得を課税する現行の税制が機能不全に陥っている結果として生じた病状であると考えている」

「我々は、現行の税率や海外子会社所得の取り扱いを変更することなく国際的競争力を勝ち得ることなど到底できないと考えている」

同委員長は、今年度中に税制改革を実施する意向を強調し、自らの税制改革案を委員会に提出することを確約しました。

なお、以前の上院財政委員会の発表によれば、同委員長は、同委員会の税制改革案作成に関する各ワーキング・グループに対し、報告書を5月末までにまとめるように指示しています。

社内使用目的のソフトウェア開発費用の試験研究費税額控除に関する財務省規則草案

1月16日、財務省およびIRSは、社内使用目的のソフトウェア開発費用の試験研究費税額控除に関する規則草案(REG-153656-03)を発表しました。

試験研究費税額控除に関する多くのガイダンスを示した現行の最終規則(T.D. 9104)は2003年末に発表されていますが、社内使用目的のソフトウェア開発費用についてはガイダンスが存在しておらず、具体的な指針の発表が長く待たれていました。

内国歳入法第41条(d)(4)(E)によれば、社内使用目的のソフトウェアの開発費用については、財務省規則で認められた特定のものを除き、原則として試験研究費税額控除が認められないとされています。これまで、この点に関する規則草案は複数発表されていますが、社内使用目的のソフトウェア開発は、「ハードルの高いイノベーションテスト」に関する追加要件を満たすことが求められていました。

IRSと納税者の間では、このテストの適用方法に加え、「社内使用目的のソフトウェア」の定義に関して論争が続いていますが、IRSは、2004年初頭に規則草案の作成を続ける方針を発表していました。

当該規則草案に関するIRSでの公聴会は、4月17に予定されています。当該規則草案が最終化された場合には、遡及適用はなく、最終規則草案が官報に掲載された日以降に終了する課税年度のみに適用されます。しかしながら、IRSは、2015年1月20日以降に終了する課税年度における当該規則草案に準拠した取り扱いについては、更正を行わないとしています。

上院財政委員会:医療機器物品税撤廃法案を提出

1月13日、連邦議会上院財政委員会のハッチ委員長をはじめとする10人の超党派議員グループは、医療機器物品税を撤廃する法案を同委員会に提出しました。

患者保護および医療費負担適正化法(いわゆる「オバマケア法」)に基づき導入された医療機器物品税は、特定の医療機器の製造業者および輸入者の売上に対して2013年1月1日より、2.3%の税率で課税されています。

2014年12月

失効時限立法条項延長法案成立

12月19日、「2014年増税回避法」がオバマ大統領の署名により成立しました。この法案は、連邦議会下院により12月3日に、上院により17日に可決されたものです。

これにより、2013年末もしくは2014年中に失効した時限立法条項のほぼすべてが遡及復活し、2014年末まで延長されます。それ以降については、今後の議会での再延長の議論を待つことになります。

また、同法には、失効条項の延長に加え、両院租税委員会の承認が必要となる法人への還付額の基準を200万ドルから500万ドルに引き上げる条項が含まれています。

さらに、同法には、特定の身体障害者が内国歳入法第529条に基づく貯蓄口座を開設することを認める下院法案(ABLE法)の条項も含まれています。

包括的歳出法案の一部としてインターネット・タックス・フリーダム法延長を可決

12月15日、連邦議会は、インターネット・タックス・フリーダム法を2015年10月1日まで延長する条項を含む1,603ページに上る包括的歳出法案を可決しました。

インターネット・タックス・フリーダム法は、州・地方政府がインターネットへのアクセスに課税したり、電子商取引に差別的な課税を行うことを禁じたもので、2014年11月1日での失効が予定されていましたが、連邦政府閉鎖回避のための2014年11月の両院決議の一部として、2014年12月11日まで失効が延期されました。

その後、同法の失効が議会により再延期された後、同法の直近の延長条項を含む包括的歳出法案の上下両院による可決となりました。

IRS主席法務官室:顧客が無料でダウンロードするアプリから国内生産総収入は発生せず

12月5日、IRSは、顧客が有料のオンラインサービスにアクセスするためのアプリを無料でダウンロードしても、国内生産活動所得特別控除に関する内国歳入法第199条の規定上、国内生産総収入が発生したものとは認められないとの結論を示したメモをウェブサイト上で公表しました(AM2014-008)。

これによれば、銀行業を営む納税者は、顧客に対して銀行のアプリを通じたオンライン・バンキング・サービスを提供し、アプリのダウンロードや使用自体は無料としていましたが、アプリを通じて提供する一部のバンキング・サービスについては、ウェブサイトを通じて提供する同様のサービスと同額の手数料を徴収していました。

IRSは、このメモの中で、①顧客がアプリをダウンロードした際にコンピューター・ソフトウェアの所有権を譲渡していない、②銀行は、アプリの販売から何ら収入を得ていない、③当該事例は、財務省規則に規定する自己比較対象もしくは第三者比較対象の要件基準を満たしていない、と指摘しています。

また、IRSは、仮に顧客によるアプリのダウンロードがソフトウェアの所有権の譲渡であったとしても、納税者が稼得する収入はあくまで有料のオンライン・サービスによるものであり、ソフトウェアの譲渡によるものではないとしています。

上院財政委員会共和党スタッフによる包括的税制改革案

12月11日、連邦議会上院財政委員会は、「2015年以降の包括的税制改革」と題した共和党スタッフによる300ページ以上に上るレポートを発表しました。

この発表にあたり、ハッチ上院議員(共和党、ユタ州選出)は、記者発表で次の通り述べています。

「このレポートは、我が国の税制の現状と過去の変遷を明らかにすると共に、近い将来我々の改革努力がどの様な方向に進むべきなのかについて、背景をとりまとめたものである」

このレポートは、個人所得税、法人税、国際税務について、①効率化と経済成長、②公平性、③簡素化、④税収中立、⑤恒久性、⑥競争優位性、⑦貯蓄と投資の奨励の7つの原則に照らして税制改革を論じています。

このレポートによれば、パススルー事業体が存在していることから、税制改革には、個人所得税と法人税の両方を含んだ議論に基づく包括的なアプローチが不可欠であるとしています。

連邦租税裁判所:納税者法人CEOに対するIRSの召喚を棄却

12月10日、連邦租税裁判所は、アマゾン・ドット・コムの創業者でCEOのジェフ・ベゾス氏に対するIRSの召喚の棄却を求めた同社の請求を認める決定を下しました。この裁判は、同社とルクセンブルグの関連会社との間のコスト・シェアリング取引に関する移転価格税制の適用に基づく2005年と2006年の追徴について争われているものです(Amazon.com, Inc. v. Commissioner, T.C. Memo. 2014-245 (December 10, 2014))。

当初、同CEOは、IRSの事実関係認定のための証人喚問対象者のリストには含まれていませんでしたが、2014年9月に対象者候補となり、裁判での証言を求めた召喚状がIRSにより発行されていました。

これに対し、アマゾン・ドット・コムは、ベゾス氏の出廷には、同氏による相当な時間的コミットメントが必要となり、同社の最繁忙期であるホリデー商戦の時期における同氏の経営者としての責任に重大な支障を来たすとして、召喚状の棄却を求めていました。

租税裁判所は、同社の6人の最高経営幹部等を対象とした17日間の証人喚問を経て、ベゾス氏に対するIRSの召喚を棄却する決定を下しました。

IRS:2015年1月に予定通り個人所得税申告書を受付開始

12月29日、IRSは、2015年の個人所得税申告シーズンを予定通り2015年1月に開始すると発表しました。

IRSの公告(IR-2014-119)によれば、12月に入ってから失効時限立法条項の延長法案成立がありましたが、通常通り2015年1月20日から電子申告を受け付け、同時にハードコピーで提出された申告書の処理も開始するとしています。

2014年11月

中間選挙後の税法改正案起草委員会の委員長交代

中間選挙での共和党の勝利により、連邦議会上院では、財政委員会の委員長がワイデン議員(民主党、オレゴン州選出)からハッチ議員(共和党、ユタ州選出)に交代しました。また、連邦議会下院では、政策委員会のキャンプ委員長(共和党、ミシガン州選出)が本年初頭に引退を表明しており、ライアン議員(共和党、ウィスコンシン州選出)およびブラディー議員(民主党、テキサス州選出)がともに委員長ポストを目指して共和党下院議員の支持を取り付けるべく活動しています。

カリフォルニア州:州外のリミテッド・パートナーの0.2%のファンド持分は申告義務認定に繋がらず

カリフォルニア州フレズノ郡高等裁判所は、納税者のサマリー判決請求に応じ、アイオワ州法人による経営参画権のない0.2%のファンド持分の保有は、カリフォルニア州内での「事業活動」には該当せず、800ドルの法人ミニマム税の納付義務はないとの判決を下しました(Swart Enterprises Inc. v. FTB, No. 13CECG02171 (Superior Court, Fresno County, November 14, 2014))。

本件納税者であるアイオワ州法人は、ファンド持分の保有以外には、カリフォルニア州内でいかなる事業活動も行っておらず、カリフォルニア州との物理的接点を有していませんでしたが、カリフォルニア州税務当局(FTB)は、カリフォルニア州内で運営されているリミテッド・ライアビリティー・カンパニー(LLC)の持分の保有は、州内での経済的もしくは金銭的利益の獲得を目的とした積極的活動に該当すると主張していました。

フレズノ郡高裁は、リミテッド・パートナーはパートナーシップの運営に積極的に関与せず、営利目的の活動に積極的に関わっているとは言えないとの州不服審判所(SBE)の判断(Amman & Schmid Finaz AG, (1996) 96-SBE-008)を法的拘束力はないものの「非常に説得力がある」として参照し、リミテッド・パートナーは、リミテッド・パートナーシップの特定の資産に対する権利を有さず、パートナーシップの経営に関与する権限も持たず、パートナーシップを法的に拘束する力もなく、パートナーシップの負債に対する責任も負っていないとの指摘を引用しています。

裁判所は、本件も同様に、納税者がファンドの特定の資産に対する権利を有さず、ファンドの負債に対する直接的な責任を負わず、ファンドの運営に関与する権限もなく、ファンドの代理人として活動したりファンドを法的に拘束することも出来ないと認定しました。また、本件納税者は、ファンドへの投資家としてLLCをコントロールする力を有しておらず、ファンドの創始者でもないことから、過去にファンドをコントロールする力を有していた事実もなく、また、仮にファンドをコントロールする権限を有していたとしても、持分が小さすぎて経営判断に影響を与えることはできないであろうとの見解を示しています。

ニュージャージー州:関連者への支払利息損金算入否認条項の解釈に関する租税裁判所判決

ニュージャージー州租税裁判所は、同州税法上の関連者への支払利息損金算入否認条項の例外規定の適用に関する判決を下しました(Morgan Stanley & Co., Inc. v. Director, New Jersey Division of Taxation)。ニュージャージー州法によれば、ニュージャージー州法人事業税の計算上、関連者への支払利息は原則損金不算入とされていますが、いくつかの例外規定が設けられています。本件納税者は、特定の関連者への支払利息を損金不算入とした申告書を一旦提出しましたが、後に支払利息を損金算入した修正申告書を提出し、還付を請求しました。これに対し、州税務当局は、支払利息の損金不算入額を計算し直し追徴を行ったことから、租税裁判所への訴訟の提起に繋がりました。

租税裁判所は、本件納税者による支払利息の損金算入の可否を判断するにあたり、二つの例外規定について検証を行いました。まず、「課税対象取引」に関する例外規定では、利息を受け取った関連者がニュージャージー州の税率を3%下回る税率以上で所得に対する課税を他州で受けていること等、条文上の一定の要件を満たしていることを明確かつ説得力のある証拠により確立することで関連者への支払利息の損金算入が認められます。もう一つの例外規定は、「不合理な状況」に関するもので、損金算入の否認が不合理な結果に繋がることを納税者が明確かつ説得力のある証拠により証明することのみが必要となります。

租税裁判所は、まず、支払利息の一部が「課税対象取引」に関する例外規定の適用対象となるとの納税者の主張について検討しました。利息の受け手の一部は、ニューヨーク州で課税対象となっており、争点となっている課税年度においてニューヨーク州の合算申告に含まれていましたが、合算グループは最終的にミニマム税を支払っており、所得に基づく課税は受けていませんでした。租税裁判所は、合算グループに課せられたミニマム税の課税標準には、納税者が支払った利息が含まれていないことは明らかであるとして、「課税対象取引」に関する例外規定は適用不可と結論づけました。

次に、租税裁判所は、ニューヨーク州の合算申告に含まれていた関連者ならびにそれ以外の関連者に支払われた利息について、「不合理な状況」に関する例外規定の適用の可否を検討しました。租税裁判所は、支払利息損金算入条項の立法の経緯ならびに条文の文言を検証した結果、納税者の主張を退け、支払利息の損金不算入が不合理な状況を生み出していることを立証するには、利息の支払いに関する節税以外の正当な事業上の理由や経済的実体の存在を証明するだけでは不十分であると結論づけました。裁判所の見解によれば、「不合理な状況」に関する例外規定の適用を認めるべき状況には、不公平な二重課税が生じている場合、テクニカルな理由で例外規定の要件が満たせない場合、法的もしくは財務的な制限により例外規定が適用できない場合、違憲状態が生じている場合、実質的に第三者間の借り入れ取引に該当することが証明できる場合等が含まれるとされています。

テキサス州:ダウンロードによるソフトウェアおよびデジタル化画像のライセンス供与で物理的存在に基づく売上税の徴収義務を認定

テキサス州行政審判官(ALJ)は、同州内の顧客に対するソフトウェアおよびデジタル化画像のライセンス供与を理由に売上税の徴収義務を認定する判断を示しました。ユタ州を拠点とする本件納税者は、デジタルコンテンツならびにソフトウェアを全米各地の顧客にライセンス供与していましたが、ライセンス供与契約上、製品に関するすべての権利は納税者が保有することが規定されていました。税務調査の結果、州税務当局は、テキサス州の顧客に対するソフトウェアおよびデジタルコンテンツのライセンス供与にあたり、納税者は売上税を徴収すべきであったと認定しました。これに対し、納税者は不服を申し立て、行政審判官の判断を仰ぐことになりました。

行政審判官は、納税者と顧客との間のライセンス供与契約において、納税者が製品に対するすべての権利を保有することが規定されており、テキサス州法上、ソフトウェアはその販売方法に拘わらず有形資産として取り扱われるため、テキサス州内の顧客にライセンス供与された有形資産に対する権利の保有は州内での物理的存在の認定に繋がるとの判断を示しました。

The information contained herein is of a general nature and based on authorities that are subject to change. Applicability of the information to specific situations should be determined through consultation with your tax adviser. This article represents the views of the authors only, and do not necessarily represent the views or professional advice of KPMG.

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