税務アップデート

税務アップデート

「税務アップデート」では、米国の税務に関する立法、司法、行政動向のうち、在米日系企業に影響が大きいと思われるものについて最新情報を提供しています。

Related content

2014年7月

旧様式W-8の使用を2014年12月31日まで容認

7月7日、IRSは、源泉税および外国口座租税コンプライアンス法(FATCA)関連の報告に関する様式W-8IMY、W-8EXP、W-8ECI、W-8BEN-Eの改訂版を発表し、源泉徴収義務者は2014年末まで旧様式(2006年版)を受け付けることができることを確認しました。

財務省規則によれば、これらの様式は、原則として改訂日から6ヶ月経過後(様式W-BEN-EおよびW-8ECIは2014年9月1日、他の様式は2014年11月1日)に使用開始が義務づけられていますが、IRSは、源泉徴収義務者と外国金融機関(FFI)に時間的猶予を与えるために、改訂版の様式の使用開始時期を遅らせる方針を非公式に表明しており、今回はその方針を正式に発表したものとなります。

今回の改訂により各様式の1ページ目に追加された文言によれば、今後2014年末までに提出された2006年版の様式は、源泉税目的では通常の有効期間、FATCA関連の目的では移行期間終了(「プライマ・フェーシーFFI(名称等から金融機関であることが明らかである事業体)」の場合は2014年12月31日、それ以外の事業体の場合は2016年6月30日)まで、効力を有することが確認されています。

最終財務省規則:支払調書等における納税者番号の省略を容認

7月14日、財務省およびIRSは、完全な納税者番号が支払調書等(パートナー、Sコーポレーション株主、トラスト受益者等に発行されるスケジュールK-1を含む)に記載された場合の個人情報盗難リスクを軽減するため、納税者番号の最後の4桁以外をアストリスク(*)もしくはエックス(X)で代用することを認める最終財務省規則(T.D. 9675)を発表しました。

この最終規則は、2013年に発表された規則草案を一部変更して最終化したもので、内国歳入法、財務省規則、通達等により特に禁じられていない限り、支払調書および特定の様式・書類上、原則として次の番号を省略することが認められます。

  • 納税者の社会保障番号
  • IRS個人納税者ID番号
  • IRS養子納税者ID番号
  • 雇用者ID番号

2013年 に発表された規則草案では、特にIRSが認めた場合にのみ納税者番号の省略が可能とされていましたが、今回発表された最終規則の前文によれば、情報開示報告手続に関するすべての規則の改定を避けるため、特に禁じられていない限りは支払調書等における納税者番号の省略を原則的に認める修正的アプローチが採用されています。

ただし、納税者番号の省略がすべての様式上認められる訳ではなく、例えば申告書等のIRSに提出する様式については、税法へのコンプライアンスや申告内容の確認のために完全な納税者番号が必要となります。

この最終規則は、7月15日の官報に記載され、原則として2015年1月1日以降に発行される支払調書について適用されます。

デラウェア州:未請求資産の自主開示プログラムを延長

2012年に開始されたデラウェア州の未請求資産に関する自主開示プログラムの延長が決定されました。当該プログラムへの参加申請期限は、当初2014年6月30日となっていましたが、今回成立した上院法案第228号によれば、プログラムが次の通り延長されます。

  • 参加申請期限を2014年9月30日まで延長
  • プログラムの終了期日を2015年7月1日から2016年7月1日まで延長

ただし、州未請求資産局から調査通知を受領済みの会社については、プログラムへの参加資格はありません。

また、この法案により、未請求資産の供出を怠った場合のペナルティーと利子の賦課に関する規定が緩和されています。従来、月5%、最高50%のペナルティーが徴収され、これに加え最高50%の利子が賦課される可能性がありましたが、今回の法案により、次の通り緩和されます。

  • 未請求資産報告書の未提出に対するペナルティーは、月5%もしくは1日100ドルのいずれか低い方とする。
  • 未請求資産の供出漏れに対するペナルティーは、最高50%とする。ただし、5,000ドルを超えないものとする。
  • 未請求資産の供出漏れに対する利子の賦課は撤廃する。

なお、この法案では、ペナルティーおよび利子に関する改正規定の適用開始日が明記されていません。

ニュージャージー州:クリック・スルー・ネクサス法成立

ニュージャージー州において、2014年7月1日以降の売上についてクリック・スルー・ネクサス規定を適用する州下院法案第3486号が成立しました。このニュージャージー州法は、ニューヨーク州で2008年に導入され、昨年ニューヨーク州最高裁で合憲とされた法律とほぼ同内容となっており、州外の事業者がニュージャージー州内に物理的拠点を有する独立代理人から直接もしくは間接的にインターネットのウェブサイト等を通じて対価と引き換えに顧客の紹介を受けた場合、当該事業者は原則として州内で販売活動を行っているものと見なされます。この規定は、当該事業者の前4四半期のニュージャージー州内の顧客への売上が10,000ドルを超える場合にのみ適用され、また、ニュージャージー州内の独立代理人が当該事業者のために合衆国憲法上の事業活動認定基準を満たす販売促進活動を実際に行っていなかったことを証明できれば適用が回避されます。

ミシガン州:事業税の計算における多州間協定の選択を認める

7月14日、ミシガン州最高裁判所は、2008年度のミシガン州事業税の計算上、売上、人件費、有形資産の3要素に基づく所得の州間配賦方法を定めた多州間協定の適用の選択を求めた納税者の主張を認める判決を下しました(International Business Machines Corp. v. Department of Treasury, No. 146440 (Mich. July 14, 2014))。

2012年11月、ミシガン州高等裁判所は、ミシガン州事業税法独自の所得配賦方法の使用を義務づけた法律が立法化された時点で、多州間協定に基づく配賦方法の使用を認める制度は撤廃されたとの見解を示し、納税者による多州間協定の選択を認めない非公開判決を下していました。

今回の判決において、州最高裁判所は、州高裁の判断を覆し、調整後総所得を課税標準とするミシガン州事業税は、多州間協定上の「所得に基づく税」に該当することから、2008年当時のミシガン州事業税額の計算上、多州間協定に基づく州間配賦方法の選択は認められるべきであると結論づけています。

2014年6月

修正申告により試験研究費税額控除の代替簡便法選択を認める暫定規則および規則草案を発表

6月2日、財務省およびIRSは、試験研究費税額控除を申請していない課税年度について、修正申告により代替簡便法(ASC)の選択を行うことを認める暫定規則(T.D. 9666)と同内容の規則草案(REG-133495-13)を発表しました。

代替簡便法は、選択制の試験研究費税額控除の計算方法で、課税年度中の適格研究費が過去3年間の適格研究費の平均額の50%を上回る額の14%について税額控除が認められます。また、この方法を選択した納税者の過去3年間のいずれかの年度の適格研究費がゼロとなっている場合には、当期中の適格研究費の6%について税額控除が認められます。ただし、一旦代替簡便法を選択すると、変更にはIRSの承認が必要となります。

今回発表された暫定規則の前文によれば、通常の方法による基礎期間の試験研究費の適格性の証明には多大な時間とコストがかかり、通常の方法と代替簡便法のいずれを選択すべきかを決定するには長期間を要することが多いことから、2011年6月に最終化された現行の規則を改正し、修正申告による代替簡便法の選択を認めるべきであるとの意見が財務省とIRSに多数寄せられていました。今回発表された暫定規則および規則草案では、これらの要望に応えて修正申告により代替簡便法を選択することを禁止する規定が撤廃されています。

ただし、今回発表された暫定規則上も、過去に提出した申告書上で既に試験研究費税額控除を申請している場合には、修正申告により代替簡便法を選択することはできません。また、関連者グループに属している納税者の場合、同じ関連者グループに属する他の納税者が代替簡便法以外の方法で試験研究費税額控除を申請している年度については、修正申告により代替簡便法を選択することができません。

この暫定規則は、2014年6月3日以降に終了する課税年度に適用され、2017年6月2日に失効します。ただし、2014年6月2日以前に終了する課税年度についても、時効が成立していない場合は、この暫定規則に基づき代替簡便法を選択することが認められます。2014年6月3日から90日間、コメントおよび公聴会の開催希望が受け付けられます。

通牒230号を改定する最終規則を発表

6月9日、財務省およびIRSは、文書による税務アドバイスの基準や税務アドバイザーの行動規範を定めた通牒230号を改正する最終財務省規則(T.D. 9668)を発表しました。これは、2012年9月17日に発表された規則改正案(REG–138367–06)に若干の修正を加えて最終化したものとなっています。

この最終規則による主な改正点は、次の通りとなっています。

  • 「指定意見書(covered opinion)」に関する規定を撤廃する。
  • 指定意見書に関する規定に代えて、文書による税務アドバイスに関する規定を拡大し、すべての税務アドバイザーが文書による税務アドバイスを発行する際に遵守すべき基準とする。
  • 通牒230号の規定遵守を担保するための社内手続導入義務の適用対象を通牒230号のサブパートA、B、Cすべてに拡大する。
  • 税務アドバイザーの資質に関する一般的基準を改定し、すべてのアドバイザーは、アドバイスの対象となる事項に関し、適切なレベルの知識、スキル、注意度、準備を欠いてはならないこととする。
  • 税務アドバイザーは、顧客に発行された連邦税の還付金小切手について、電子的手段か否かに拘わらず、アドバイザーもしくは関連者が保有する銀行口座への入金指示や受け取りをはじめとする一切の裏書や換金等を行ってはならない。
  • 特定の非違行為を行った税務アドバイザーに対して即時資格停止を発動できるように緊急懲戒手続制度を導入する。

改正版の通牒230号は、2014年6月12日以降に文書で発行された税務アドバイスに適用されます。

様式W-8BEN-Eの記入要綱を発表

6月25日、IRSは、様式W-8BEN-E(源泉税と情報開示の目的での所得の受益者の居住ステータス証明書(事業体用))の最終版記入要綱をホームページ上で公開しました。

最終版の様式自体はすでに発表されており、米国外の事業体が、源泉税の対象となる所得の受益者として米国非居住者であることを証明する場合や、外国金融機関(FFI)の支払先もしくは口座保有者としての外国口座税務コンプライアンス法(FATCA)上のステータスを通知する場合に使用するものです。

今回発表された記入要綱によれば、同様式は、W-8BEN、W-8IMY、W-8ECI、W-8EXP等とともに、次の通り、源泉税ならびにFATCA上の文書化義務の履行に必要となります。

  • FATCA上、参加FFIおよび特定の見なし遵守FFIは、口座への支払いが源泉税の対象となるか否かに拘わらず、原則として米国口座保持者を特定する必要があります。
  • 米国源泉税の源泉徴収義務者ならびにFFIは、2014年7月1日以降、FATCAに基づき特定の支払いについて源泉税の徴収を開始する必要があります。
  • 様式W-8BEN-Eは、FATCA上の支払先もしくは源泉税目的での受益者としてのステータス(租税条約に基づく源泉税の減免を含む)を通知する目的で事業体のみが使用することができます。
  • 個人がステータス(租税条約に基づく源泉税の減免を含む)の通知を行う場合には、W-8BEN-Eではなく、W-8BENを使用する必要があります。
  • FFIに口座を保有している事業体がFATCA上のステータスの通知を怠ると、非協力的顧客もしくは不参加FFIと見なされ、FFIからの支払いに対して30%の源泉税が課税されます。

2014年5月

2013年度相互協議事案統計を発表

5月29日、IRSは、2013年度の相互協議事案に関する統計レポートを発表しました。米国の相互協議室は、事前確認および相互協議(APMA)プログラムと租税条約関連補助・解釈チーム(TAIT)の両方を管轄しており、当該レポートには、APMAとTAITが手がけた相互協議事案の統計が記載されていますが、別のレポートにまとめられている事前確認(APA)の情報は含まれていません。なお、従来の年度は10月1年から9月30日の12ヶ月となっていましたが、2013年の統計は、2012年10月1日から2013年12月31日までの15ヶ月をカバーしています。

APMA

 

発生件数

処理件数

調整発生国

合計

調整発生国

合計

米国

外国

米国

外国

2009

24

134

158

30

55

85

2010

23

77

100

31

115

146

2011

25

141

166

18

119

137

2012

51

130

181

16

74

90

2013

48

218

266

40

119

159

 

 

2013年中の処理事案内訳

調整発生国

合計

米国

外国

納税者による取り下げ

5

9

14

調整発生国による更正の全面的取り下げ

18

18

36

補償調整による全面的救済

11

19

30

部分的補償調整と部分的取り下げ(全面的救済)

5

59

64

部分的補償調整もしくは部分的取り下げ(部分的救済)

1

7

8

救済なし

0

7

7

合計件数

40

119

159

 

 

繰越件数

調整発生国

合計

米国

外国

2013

91

433

524

TAIT

 

発生件数

処理件数

事案発生国

合計

事案発生国

合計

米国

外国

米国

外国

2009

45

41

86

22

20

42

2010

31

48

79

23

41

64

2011

23

48

71

46

58

104

2012

18

37

55

16

34

50

2013

77

60

137

53

49

102

 

 

繰越件数

事案発生国

合計

米国

外国

2013

91

118

209

コーポレート・インバージョン対策税制法案を連邦議会上下両院に提出

5月20日、カール・レビン上院議員は、コーポレート・インバージョン(法人納税者が外国で法人として再設立することにより米国での租税を回避する行為)への対策を強化する法案(「2014年コーポレート・インバージョン防止法」)を提出しました。この法案の骨子は、次の通りです。

  • 2年間の時限立法により、外国法人の買収等の方法で法人の居住地を外国に移転し、米国での納税を回避することを禁止する。
  • 米国法人が外国法人と合併し、低税率国で法人として再設立することにより、外国での所得に対する米国での課税を回避する抜け道をふさぐ。

現行法では、存続会社の株式の20%超が合併前の米国法人の株主以外の株主によって所有されている場合、あるいは存続会社の従業員、売上、資産の25%以上が米国外の法人登記国に所在している場合には、存続会社は外国法人として米国税法上取り扱われます。

今回提出された法案は、合併前の米国法人の株主以外の株主による持分比率基準を20%から50%に引き上げるとともに、経営と管理の拠点が米国に残り、従業員、売上、資産の25%以上が米国内に所在している場合には、存続法人を米国法人として取り扱うとしています。

この法案は、2年間の時限立法となっており、当該法案による強化対策の対象とならないコーポレート・インバージョンについては、大枠の税制改革の一環として議会で長期的な対策を図るとしています。

また、5月23日には、連邦議会下院政策委員会において、サンディー・レビン委員が上院の法案とほぼ同内容の法案を提出しています。

財務省規則草案:内国歳入法第381条における「合併法人」の定義を変更

5月6日、財務省およびIRSは、内国歳入法第381条における「合併法人」の定義を変更する財務省規則草案(REG-131239-13)を発表しました。

内国歳入法第381条では、非課税の法人組織再編取引における「合併法人」は、被合併法人の欠損金等を引き継ぐことが規定されていますが、現行の財務省規則では、合併法人は被合併法人のすべての資産を直接譲受する法人もしくは再編計画に基づき被合併法人のすべての資産を最終的に譲受するその他の法人と定義されています。

これによれば、例えば、非課税の法人組織再編取引により被合併法人が法人Xに吸収合併され、Xが再編計画に基づき被合併法人の資産を一部を除き子会社に譲渡した場合、Xが合併法人となり、被買収法人の欠損金等をすべて引き継ぐことになります。一方、仮にXが再編計画に基づき被合併法人の資産すべてを子会社に譲渡した場合には、子会社が合併法人となり、被合併法人の欠損金等をすべて引き継ぐことになります。

今回の規則草案では、最初に被合併法人の資産を譲受する法人が、再編計画に基づき被合併法人の資産の一部もしくは全部を他の法人に譲渡するか否かに拘わらず、被合併法人の欠損金等をすべて引き継ぐとしています。

The information contained herein is of a general nature and based on authorities that are subject to change. Applicability of the information to specific situations should be determined through consultation with your tax adviser. This article represents the views of the authors only, and do not necessarily represent the views or professional advice of KPMG.

Connect with us

 

Request for proposal

 

Submit

KPMG's new digital platform

KPMG's new digital platform