税務アップデート

税務アップデート

「税務アップデート」では、米国の税務に関する立法、司法、行政動向のうち、在米日系企業に影響が大きいと思われるものについて最新情報を提供しています。

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2014年4月

デラウェア州:州未請求資産法違反の代理訴訟を公表

デラウェア州高等裁判所は、特定の小売業者とギフトカード管理業者の間の取引が州未請求資産法の適用回避を目的とした実態を欠く取引であるとの訴訟が進行中であることを公表しました。これによれば、二十数社に上るデラウェア州法人として設立された小売業者が第三者のギフトカード管理会社と契約し、これらのギフトカード管理会社に未使用のギフトカードを名目的に保有させることにより、未請求資産を他州に帰属させているとの訴えがなされています。また、これら第三者の管理会社の多くは、フロリダ州やオハイオ州等、ギフトカードを未請求資産として供出することを義務づけていない州において設立されています。

この訴えは、私人が州政府のために代理で訴訟する「キイタム訴訟」として2013 年6月にオハイオ州の居住者により提起されたものですが、それ以来非公開審理となっていました。原告は、ギフトカードを発行する小売業者が未使用のギフトカードの法的所有権や経済的価値を継続的に保有していることから、ギフトカード管理会社とデラウェア州の小売業者との間の契約には経済的実体がなく、従って州に帰属すべき多額の税収を詐取することを目的としたスキームであると主張しています。

原告の主張が認められた場合には、被告の小売業者に多額の未請求資産の供出とともに罰金や利息等が課せられるのみならず、他のギフトカード管理会社を使っているケースや、ギフトカード管理を目的として設立された子会社を使っているケースについても、同様の訴訟が提起される可能性があります。デラウェア州では、すでにギフトカード管理子会社を使ったスキームについて税務調査が行われているとの報道もあります。

連邦会計検査院:IRSの人員と業績への連邦政府予算削減の影響について

4月21日、連邦会計検査院(GAO)は、IRSの人員と業績に対する連邦政府予算削減の影響に関する報告書を発表しました。「内国歳入庁:予算削減がもたらした大幅な人員削減と業績変動について(GAO-14-534R)」と題した報告書の主旨は、次の通りです。

  • IRSの予算は、2009年度レベルを下回り、フルタイム換算での職員数は2009年度と比較して8,000人減少した。
  • 徴税および納税者サービスの実績は悪化もしくは不安定化した。例えば、2014年度予算の概算要求で1.0%となっていた個人所得税の実地調査率は、2015年度予算の概算要求では0.8%に引き下げられている。
  • IRSは、2010年度以降、経費節減と効率化による9億ドルの予算削減を実施しているが、これはサービスの減少、遅延、撤廃を伴うものである。例えば、2つのIT関連プロジェクト(情報開示報告書の突合と申告書のレビュー・プログラムに関するもの)の実施が延期され、従業員トレーニングが大幅に削減されている。

「キラーB」最終規則を修正

4月25日、IRSは、外国法人を含む特定の三角合併における親会社の株式もしくは有価証券の取得に使用された資産の取り扱いについて規定した内国歳入法第367条(b)に関する財務省規則を変更・明確化する公告2014‐32号を発表しました。これは、いわゆる「キラーB規則」と呼ばれるもので、主な修正のポイントは次の通りとなっています。

  • 現行の規則の見なし現物出資モデルを撤廃。
  • 内国歳入法第367条(a)および(b)の優先ルール適用にあたって勘案される所得ならびに譲渡益の金額に関する規定を変更。
  • 濫用防止ルールの適用基準を明確化。

カリフォルニア州:法人税率を改定する上院法案

4月1日、カリフォルニア州議会上院において、州法人税率を改定する修正法案が提出されました。現行法では、州法人税の税率は一律8.84%ですが、この法案が可決された場合には、2015年1月1日以降に開始する課税年度において、上場会社に適用される州法人税率が7%から13%となります。

具体的な適用税率は、各法人納税者の「報酬比率」に基づき決定されます。「報酬比率」の分子は、当該法人納税者の最高執行責任者(COO)もしくは最高給与稼得者に支払われた給与額であり、分母は当該法人納税者の米国内の全従業員の給与額の中間値となります。これらの給与額は、いずれも当該課税年度の開始以前に終了した直近の暦年における額となります。

合算申告の対象となる法人納税者は、報酬比率の計算上、単一の納税者として取り扱われます。報酬比率が400を超える法人納税者には、最高税率である13%が適用されることになります。

なお、当該法案には、米国内のフルタイムの従業員数を一定以上削減する一方、外国での雇用を増やしている納税者の税率を50%引き上げる条項も含まれています。

連邦会計検査院:大規模パートナーシップとIRSの税務調査に関する報告書

4月18日、連邦会計検査院(GAO)は、大規模パートナーシップの実態とこれらの税務申告書に対するIRSの税務調査に関する報告書を発表しました。ここでいう「大規模パートナーシップ」とは、100名以上の直接のパートナーを有し、1億ドル以上の資産を保有しているパートナーシップを指します。

この報告書の骨子は、次の通りです。

  • 大規模パートナーシップの数は、2002年から2011年にかけて、720から2,226に増加した。
  • 大規模パートナーシップの直接のパートナーの数と保有資産の規模は増加する傾向にある。
  • 大規模パートナーシップの申告書の実地調査件数は、2007年から2013年にかけて、11件から31件に増加した。
  • IRSの資料分析調査の実施件数は、2007年から2013年にかけて、42件から143件に増加した。
  • 税務調査が更正なしで終了した比率は、2007年から2013年の各年度間で異なっているが、2013年度においては、資料分析調査で52%、実地調査で45%となっている。

2014年3月

2013年度APA統計を発表

3月27日、IRSは、暦年2013年分の事前確認(APA)プログラムに関する統計を発表しました。

件数:

 

2013年

累計

(1991年~)

米国内 二国間 多国間 合計
申請件数 20 89 2 111 1,856
締結件数 新規 12 56   68 832
更新 27 49 1 77 468
審査中件数(年度末) 新規 31 151 2 184 N/A
更新 20 126 1 147 N/A
破棄件数 0 0 0 0 11
申請取下件数 3 6 0 9 189

 

平均審査期間(月):

  新規 更新 全体
米国内 34.9 25.4 28.4
二国間・多国間 41.8 36.2 39.2
全体 40.5 32.4 36.2

2012年から2013年にかけて、申請件数は126件から111件と微減しましたが、締結件数は140件から145件へと微増し、年度末での審査中件数は391件から331件に減少しています。

2013年中に締結された二国間APAは、53パーセントが日米間のものとなっており、2位のカナダ(19%)、3位の英国(8%)を大きく引き離しています。

下院司法委員会の市場公正化法に関する公聴会

3月12日、連邦議会下院司法委員会において、電子商取引に対する売上税課税問題への代替解決策に関する公聴会が開かれました。この公聴会は、昨年連邦議会上院で可決された「2013年市場公正化法」に基づく電子商取引業者への売上税徴収義務の賦課に代わる対案について検証することを目的としたものです。2013年9月、同委員会のグッドラッテ委員長は、この問題を考える上で遵守すべき原則として、①税負担の軽減、②技術的中立、③代表なくして規制なし、④簡素化、⑤税制の競争力確保、⑥州政府の権利の擁護、⑦プライバシー保護の7項目を挙げていました。

公聴会の冒頭、同委員長は、市場公正化法の致命的欠点として、①同法が電子商取引に対する新税を課すものと一般に捉えられていること、②対応コストが嵩むこと、③電子商取引業者が拠点を持たない複数の州で税務調査の対象となる恐れがあることを指摘しました。

公聴会での証言者は、産業界、法曹界、政策団体等の州・地方税の専門家であり、次の代替策を提案しました。

  • 売上・使用税簡素化協定(SSUTA)に類似した電子商取引に関する多州間協定を締結する。
  • 電子商取引業者が居住地州の税率と課税標準に基づき徴収した売上税を当該州に納付し、当該州の税務当局が顧客の居住地州に売上に応じて税収を配分する(ホームベース方式)。
  • 売上税が徴収されていない売上に関する報告書を連邦政府機関に提出することを電子商取引業者に義務づけ、当該機関は各顧客ごとに情報を取りまとめ、顧客本人と顧客の居住地州政府に通知する。
  • 売上税を徴収しない業者の州内での事業活動を禁止する。
  • 顧客ではなく電子商取引業者の居住地州で売上税を課税し、当該州政府の財源とする。

連邦最高裁判所:解雇一時金は社会保障税の対象

3月25日、連邦最高裁判所は、強制解雇に伴う解雇一時金は社会保障(FICA)税を含む特定の雇用税の課税対象となる賃金であるとの判決を8対0の判事全員一致で下しました(United States v. Quality Stores, Inc., 12-1408 (S. Ct. March 25, 2014))。

この判決によれば、納税者の主張に基づく社会保障税の還付を認めた第6巡回区控訴裁判所の判決は、社会保障税法ではなく所得税法の源泉徴収に関する規定(内国歳入法第3402条(o))に基づく「賃金」の定義に依拠しており誤りであると結論づけています。また、この判決では、IRSが内国歳入庁通達(Rev. Rul. 90-72)において、州失業保険の受給と互換性がある解雇一時金については、社会保障税のみならず、所得税の源泉徴収の対象外と認めていることが指摘されています。

ニューヨーク州:法人税および銀行税改革法案が成立

3月31日、行政予算に基づく税制改革案を実現し、総額20億ドル規模の減税効果を伴う法案がクオモ州知事の署名により成立しました。法人税関連では、銀行事業税が撤廃され、一般法人事業税についても大幅に改正されます。改正後は、銀行も一般法人事業税の対象となります。法人税関連の改正は、原則として2015年1月1日以降に開始する課税年度に適用されます。ただし、ニューヨーク市議会で独自の法案が成立しない限り、ニューヨーク市の法人税法と銀行税法は現行通りとなります。

主な法人関連の改正点は、次の通りです。

  • ニューヨーク州内で100万ドル以上の売上がある法人は、ニューヨーク州内での活動により売上を稼得しているものと見なされ、法人税の申告義務を負う。
  • 子会社資本税を撤廃する。
  • 法人税は、現行では、包括的純利益、ミニマム課税所得、資本、最低法定額の4つの課税標準に基づく税額のうち最も高い額をもって課税されているが、このうちミニマム課税所得については撤廃する。また、課税標準のうち、「包括的純利益」を「事業所得」に変更する。事業所得は、包括的純利益から、投資純利益と「その他の非課税所得」を差し引いた額となる。
  • 2016年1月1日以降に開始する課税年度の事業所得に対する税率は6.5%とする。
  • 資本に対する税率は段階的に引き下げ、2021年1月1日以降に開始する課税年度においてはゼロとする。
  • 最低法定額に基づく税額の上限を5千ドルから20万ドルに引き上げる。
  • 米国外で設立された法人の包括的純利益は、米国実質関連所得に限定する(全世界課税制度の撤廃)。
  • 繰越欠損金は、州間配賦後の損失に基づき計算し、3年の繰り戻しと20年の繰り越しを認める。
  • 売上比率のみに基づく州間配賦比率の計算における売上の源泉地の決定方法を変更する。
  • ユニタリー・ビジネスを営み、50%超の直接もしくは間接的資本関係を有する関連会社に原則として合算申告を義務づける。ただし、ユニタリー・ビジネスを行っていない場合でも、合算申告を選択することができる。
  • メトロポリタン地区交通網整備目的追加税を恒久化する。

2014年2月

連邦議会下院政策委員長が税制改革案を発表

2月26日、連邦議会下院政策委員会のキャンプ委員長(共和党・ミシガン州選出)が包括的税制改革の提案書を発表しました。この979ページに上る提案書は、1986年の抜本的税制改革と同様に、内国歳入法の条項の多くを書き換えるものです。

事業者関連の主な提案は、次の通りです。

  • 5年間で法人税の最高法定税率を25%に引き下げ、現行の15%の税率区分を撤廃する。
  • 法人税の代替ミニマム税を撤廃し、未消化の繰越代替ミニマム税額控除は7年間で還付する。
  • 税率引き下げの財源確保のために、課税ベースの拡大を図る(加速度償却制度の撤廃もしくは見直し、現在損金算入が認められている研究開発費および広告費の償却の義務づけ、繰越欠損金の年間控除額の上限の設定、在庫に関する後入先出法および低価法の撤廃、国内生産活動特別控除制度の段階的廃止等)。
  • 試験研究費税額控除制度を恒久化し、代替簡素化税額控除法への一本化と特定の適格費用カテゴリー(コンピューター・ソフトの開発等)の廃止により制度を簡素化する。
  • 金融システムに重要な金融機関の5千億ドルを超える資産に14ベーシスポイントの物品税を賦課する。

国際関連の主な提案は、次の通りです。

  • 資本参加免税制度に移行し、米国法人の能動的外国所得の95%について受取配当控除を認める。
  • 無形資産から生じる所得が無形資産の簿価の10%を超える場合、その60%に課税する制度を段階的に導入する。
  • 全世界ベースでの負債対資本比率を上回る負債を米国で計上している場合等、米国の税源侵食を防止する対策を導入する。
  • 米国法人の海外子会社が溜め込んだ所得のうち、米国で課税されていないものについては、現金および現金等価物に投資されている場合は8.75%、それ以外の資産に投資されている場合は3.5%で課税する(8年間で分納)。

個人関連の主な提案は、次の通りです。

  • 現行の7段階の税率区分を10%、25%、35%の3段階とし、最高税率を39.6%から35%に引き下げる。35%の税率は、独身者の場合で40万ドル、夫婦合算申告の場合は45万ドル超の所得に適用。
  • キャピタル・ゲインおよび配当所得は通常所得と同じ税率で課税するが、所得の40%を非課税とすることで実効税率を引き下げる。
  • 個人の代替ミニマム税を撤廃する。
  • 標準控除額を引き上げる。
  • 以上の減税の財源として、各種優遇税制の見直しもしくは廃止、人的控除の撤廃、住宅ローン利息控除の元本上限額の100万ドルから50万ドルへの引き下げ、州・地方税控除の撤廃、慈善寄付金を除く項目別控除および標準控除の税効果を25%に限定、所得から除外されている優遇項目(特定の雇用者負担の厚生福利給付、外国勤労所得、非課税利息、非課税の社会保障年金等)への10%の課税を行う。

現行の条文へのその他の変更は多岐にわたっており、不一致や重複を解消するとともに、優遇税制の適用対象を縮小することを意図しています。例えば、現在15種類ある高等教育補助制度は、5種類(米国機会税額控除、職業関連教育費控除、奨学金等の免税、授業料に関する贈与税の免除、非課税の学費積立プラン)に集約することが提案されています。

保険業、不動産業、非課税金融取引、役員報酬、パートナーシップ等のパススルー事業体に関する税制の大幅な変更も提案されています。

また、提案に含まれている条項の内容を解説する一連の文書が両院租税委員会により発表されています。

IRSが移転価格関連税務調査の「行程表」を発表

2月16日、IRSの大規模事業者・国際(LB&I)部門は、移転価格関連の税務調査の「行程表(ロードマップ)」を発表しました。

この行程表は、移転価格税制施行部門(TPO)により、税務調査官に移転価格関連税務調査のテクニックやツールを提供し、調査の計画や実施を支援する目的で作成されたもので、基本となる24ヶ月の税務調査のスケジュールに沿ってアドバイスや関連資料へのリンク等が設けられています。

有形資産の除却に係わる会計方針の変更に関する手続細則

2月28日、IRSは、有形資産の除却に係わる規則草案に基づく会計方針の変更に関する手続細則(Rev. Proc. 2014-17)を発表しました。この91ページに上る手続細則の主な規定は次の通りです。

  • 現在保有している資産については、一般資産勘定の適用に関する事後選択を2013年まで認める。
  • それ以外の資産については、一般資産勘定の適用に関する事後選択を禁止する。
  • 一定期間中、規則草案に基づく部分的事後選択を会計方針の変更として取り扱うことを認める。
  • 減価償却しているものの物理的に存在しない「幽霊」資産ユニットについて会計方針の変更を認める(ただし、資産ユニットの部分的除却には適用しない)。
  • 一般資産勘定の選択の破棄を認める。

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