KPMGが大規模な多国籍企業による税の透明性に関する報告書の作成業務を支援

KPMGが大規模な多国籍企業による税の透明性に関する報告書の作成業務を支援

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企業が新しい市場を求めて世界に進出するようになり、そうした企業の税務方針や支払う税金の額は、政府、メディア、株主そして世間の厳しい目にさらされるようになりました。その流れは弱まることなく、経済協力開発機構(OECD)が税源浸食と利益移転(BEPS)に関するプロジェクトを発足したことも受けて、国際税務の透明性に対する要求は世界中でますます高まっています。その結果、企業の社会的責任、タックス・ガバナンス、対税務当局の透明性の改善、税務のアカウンタビリティに対する「公平な負担分」といったトピックに関して白熱した議論が展開されるようになっています。その対応として、世界中の大手企業の税務ディレクターは税務に対する考え方やアプローチの抜本的な変化による潜在的な影響を評価中です。また将来を見越している企業は、近い将来適用となる報告義務1に向けた準備や、政府がOECDのBEPS行動計画2への対応として適用する規制や要件に対する準備を始めています。

こうした大手多国籍企業のうちの一社(以下「当企業」)がKPMGの支援を求めてきました。

BEPSとは何か?

BEPSは、一部の法域で高い関心を呼んだことなどをきっかけとしてOECDが開始したプロジェクトで、利益移転を促進し、「二重非課税」を容認し、国内の課税ベースの侵食の原因となっていると見られる国際課税規則への対応を協力体制のもと実施していくことを目的としたものです。焦点は改革であり、執行ではありません。BEPSおよび税務の透明性に関する一般的な議論の詳細については、KPMGのBEPS|税務の透明性に関するウェブサイトhttp://www.kpmginstitutes.com/taxwatch/insights/2013/tax-transparency.aspx をご参照ください。

前兆

当企業は税の透明性に関する問題が起こることを予測しており、税の透明性に係る報告義務が、確実に包括的開示の方向に動くと考えていました。また当企業は、大きな問題になりつつある「税の倫理性」に関しても、メディアが知名度の高い企業や有名なブランド名を標的にしていることや、米国上院および英国決算委員会が経営幹部を証人喚問したことなどから危機感を抱いていました。さらに、当企業は英国や米国といった、特に公的調達に関する規制が厳しい国々の政府と多数の取引があるため、新しい報告義務が適用になった時に、税務データの取得に苦労したくない(あるいは苦労していると見られたくない)と考えていました。

こうした事情を背景として、当企業は、世界中のあらゆるタイプの課税のもとでの税金支払額を合算しさらなる理解を深めるために税務の透明性に係る報告書のプロセスを開始することを決断しました。当企業は新たな税務の透明性に係る報告書要件に備えるためだけではなく、当企業のすべての税金支払額を示すデータによりグローバル・ベースの税務記録の開示に関する潜在的な基準を確立するリーダーになることを望んでいました。

報告プロセスの策定および精緻化

当企業は、KPMGのチーム(複数国のKPMGインターナショナル・メンバー・ファームに所属するプロフェッショナルが含まれます)に、税の透明性に係る報告プロセスの構築および精緻化(当企業のグローバル・オペレーションにおいて支払われたすべての税金額の収集、合算、分析および報告)における支援を要請しました。

当企業の導入プランには、複数の報告期間にわたる内部用の新しい報告手続きの策定が含まれていました。またKPMGチームは、税務報告プロセスに関する一層の信頼性と分析結果を提供するため、当企業が重要な営業活動を行っているいくつかの複雑な管轄区におけるデータおよびプロセスについて、より詳細なレビューを実施しました。

概して、当該プロジェクトの目的は、税の透明性に係る報告書を外部に公表することが求められる前に、当企業が入手可能なデータの入手元とギャップの理解について継続的な改善と効率性を図り、データ収集プロセスを精緻化し、税務報告内容の検証を行うことでした。

もし税金のように見えたら . . .

税の透明性に係る報告書に関する課題の一つは、支払った税金を適切に把握し分類することです。この作業は通常、税金の一般的な定義3を基に行いますが、これはいつも簡単な作業とは限りません。

ある法域において「税金」とされるものが、別の法域の企業においては「サービスフィー」として指定されている可能性もあります。所得税のような税金は企業が負担します。売上税のようなその他の税金は企業によって回収され、その後「パススルー」の支払いとして政府に納税されます。雇用税の場合は、税金の一部は企業が負担し、残りはパススルーとして納税されます。

これらの矛盾に対処するため、KPMGは当企業向けの税務報告用フレームワークおよび多国籍企業向けの税務の透明性に係る報告書のために以下を含む税金の定義を作成しました。

  • 法人所得税
  • 売上税(Sales taxes)
  • 付加価値税
  • 物品サービス税
  • 物品税(Excise taxes)
  • ライセンス・フィー
  • 固定資産税
  • 関税
  • 給与税
  • 社会保険料
  • 消費税 (Consumption taxes)
  • 譲渡税
  • 環境税

データの追跡

各種税金に関するデータを収集するもっとも正確で効率的な方法の確立は大きな課題です。法人所得税のデータは通常総勘定元帳から入手しますが、給与税のデータは給与システムから入手します。現地の税金、認証、固定資産税といったその他のフィーは多くの場合、総勘定元帳の他の箇所から入手されます。税金の支払額(支払いまたはパススルー)は現金ースで把握しなければなりませんが、多くの大企業においては、これらの金額は発生主義で報告されます。

KPMGチームのメンバーは、当企業のERP、給与システム、VATシステム等から入手可能な税金データの特定の性質を識別するデータ収集プランを採用しました。またチームメンバーは、当企業がこれらのデータを抽出および検証するための最適な方法を決定する際のサポートも行いました。チームがこれらのデータを本店のシステムから入手できなかった場合、KPMGはKPMG LINK 360を用いて当企業の各国の経理担当者に詳細な質問書を配布して回答を得ました。またその他の入手可能な情報が限られる状況において、KPMGは統計的サンプリングおよびデータ分析技術を用いて税金額を見積りました。

税の透明性に関する報告書による恩恵

KPMGが企業に提供する支援内容の概要は以下の通りです。

  • 全社の税金データに関する収集源と方法を解明する
  • 集中管理された、または集中管理されていないデータ元からのデータの収集
  • 報告目的でのデータの合算
  • 業務改善のための内部プロセスの見直し

KPMGが、クライアントにおけるグローバル・レポーティング向けの普遍的なデータの分類基準の作成および現地の税金情報の収集作業を支援したことにより、各国の税務報告に含まれるデータの信頼性が高まりました。税の透明性に係る報告書において、KPMGチームは、回収および合算されたすべての税務データに関する解説文について提言を行いました。

当企業はすでに税務透明性イニシアティブからの恩恵を受けています。すべての税金に関する定義および数値化が一つの報告書の中にまとめられていることで、経営陣は税金支払額の総額を慎重に分析することが可能となりました。全体の税金費用や税金負担額と税金の回収額または納税額との比較が可視化されることで、経営陣にとっては、グローバル・ベースの税金に関する説明において、当企業が事業活動を行っている各地域での経済的および社会的貢献をより明確に反映するような、より的確な表現方法についての新たな手がかりを提供します。当企業は引き続きそのプロセスの改善、および税務の透明性に係る報告書と標準的な報告義務との統合を行っています。KPMGは、将来の税務の透明性に係る報告書に関する要件に備えるための当企業のこうした取り組みに対して積極的に支援しています。

KPMG LINK 360

KPMG LINK 360は、企業がコンプライアンス要件や状況をモニターしたり管理するためのオンライン・ベースのアプリケーションです。KPMG LINK 360は、共同作業、プロセス管理、情報の特定および収集のための安全で構造化された環境を提供しています。このシステムにより、費用対効果の高いコンプライアンス義務の履行が可能になるのみでなく、リスクとプランニングのより広範にわたる管理が可能となります。

KPMG LINK 360を通じて企業は以下のことが可能となります。

  • コンプライアンス・プロセスの改善による、グローバル・ベースでのリスク管理の向上およびプロセス・コントロールのより明確な可視化と証拠の入手を達成
  • 税務および税金以外の申告義務の監視
  • 24時間体制でデータ、ファイル、文書へのアクセスが可能な情報源の作成
  • より的確な経営関連情報の取得
  • グループ全体に包括的かつ一貫的な報告体制を導入
  • コストの効率性の高いデータ収集および報告を達成

今後企業に求められる行動

税の透明性に係る報告に関する要求が高まるにつれ、新しい規則が適用される前に、自社の報告プロセスを内部でテストし精緻化することにより潜在的なブランドおよび財務エクスポージャーを評価することを検討しなければなりません。税の透明性に係る報告が現実のものとなったとき、早期適用者はブランド・イメージを維持または必要に応じて防御したり、競業他社より優位に立ったり、政府からの質問に対応したり、ネガティブなメディアの精査に関するリスクを軽減したりすることが容易になります。

1. 透明性に関する主な法律には、採取産業透明性イニシアティブ(EITI)、ドッド・フランク・ウォール街改革および消費者保護法、EUにおける会計および透明性に関する指令、EUにおける資本要求指令Ⅳが含まれます。

2. http://www.oecd.org/ctp/BEPSActionPlan.pdf

3. OECDの分類では、「税金」という用語は政府一般に対する強制的で「一方的な」支払 いに限定されています。税金は、政府から納税者に対する恩恵は通常その支払額に比例しないという意味で一方的とみなされます。

The information contained herein is of a general nature and based on authorities that are subject to change. Applicability of the information to specific situations should be determined through consultation with your tax adviser. This article represents the views of the authors only, and do not necessarily represent the views or professional advice of KPMG.

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