税務アップデート

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「税務アップデート」では、米国の税務に関する立法、司法、行政動向のうち、在米日系企業に影響が大きいと思われるものについて最新情報を提供しています。

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2014年1月

修繕費等に関する最終財務省規則に基づく税務会計方針変更手続のガイダンスを発表

1月24日、IRSは、修繕費等に関する最終財務省規則に準拠するための税務会計方針変更手続を規定した手続細則(Rev. Proc. 2014-16)を発表しました。修繕費等に関する最終財務省規則は、2014年1月1日以降に開始する課税年度に適用されます。

今回発表された手続細則は、特定の有形資産の取得、生産、改良のための支出に関する税務会計方針の変更にあたってIRSから自動承認を取得する手続を変更するものです。また、自社製作の資産についての合理的な税務会計方針や、差し押さえ等による不動産取得のための特定の費用について許容される税務会計方針に関するIRSの自動承認手続も定められています。

ただし、この手続細則では、資産の除却に関する財務省規則草案に基づく税務会計方針の変更はカバーされておらず、近日中に別の手続細則が発表される見通しです。

IRS・LB&I部門内部通達:投資銀行に支払う特定の「マイルストーン報酬」に関する否認回避を指示

1月27日、IRSの大規模事業者・国際(LB&I)部門は、一定の要件が満たされている場合、投資銀行への成功報酬の支払いを伴う事業買収取引に関連して支払われた「マイルストーン報酬」に関する納税者の取り扱いを否認しないよう指示する内部通達を調査官に発行しました(LB&I-04-0114-001)。この内部通達は、買収法人もしくは被買収法人により支払われた投資銀行への報酬についてのみ適用されます。

この内部通達によれば、手続細則2011-29号により、特定の取引において支払われた成功報酬は、原則として70%を損金算入、30%を資産計上することが認められていますが、この手続細則では、マイルストーン報酬については特に規定されていませんでした。

今回発表された内部通達では、(1) 納税者が適格マイルストーン報酬の70%超を損金算入していないこと、(2) 適格マイルストーン報酬の支払いについて争っていないことに加え、次のいずれかに該当する場合には、納税者の適格マイルストーン報酬の取り扱いを否認しないように調査官に指示しています。

  • 2011年4月8日以降に開始する課税年度については、納税者が対象取引について手続細則2011-29号に基づくセーフハーバー規定の選択手続を適時に行っていること。
  • 適格マイルストーン報酬の支払いが発生した課税年度においては成功報酬が未だ発生していないため手続細則2011-29号に基づくセーフハーバー規定の選択手続ができない場合においては、納税者が当該セーフハーバー規定を選択する意図があることを文書化しており、取引成約時には実際にセーフハーバー規定の選択手続を行っていること。
  • 2011年4月7日以前に終了する課税年度については、成功報酬がLB&I内部通達04-0511-012に規定する要件を満たしていること。

テキサス州:売上原価控除の対象となる適格費用の範囲を拡大する判決

テキサス州控訴裁判所は、総合石油開発サービス会社の子会社が使用済み掘削泥水の回収と廃棄のための費用を売上原価として控除することを認める判決を下しました(Combs v. Newpark Resources, No. 03-12-00515-CV)。

テキサス州事業税法上、課税標準となる粗利益は、次のいずれかの少ない方とされています。

  • 総収入の70%
  • 総収入から (1) 売上原価もしくは (2) 人件費を除いた額

このうち売上原価の控除に関する条文規定によれば、商品の取得もしくは生産のためのすべての直接費用に加え、その他の間接費用もしくは一般管理費の4%までを控除することが認められています。原則的には、不動産もしくは有形動産を販売する事業体のみが売上原価を控除することができ、売上原価の控除を選択した場合には、この選択が合算申告グループ全体に適用されることになります。

今回のケースでは、親会社の主な事業活動は、石油井掘削時のドリルの冷却と潤滑、岩石や土砂等の不要物の除去の目的で石油井に注入される掘削泥水の製造、販売、注入、回収となっていました。今回争点となった売上原価を控除した子会社を含む子会社数社が掘削泥水関連の作業に関わっており、問題の子会社は、掘削現場から廃棄物を回収し、処分場に運び、最終処分のための埋め立て作業を行っていました。

税務調査において、州税務当局は、テキサス事業税法上、掘削廃棄物の回収や処分はサービスの提供であり、売上原価の控除は認められないとして更正を行いました。その後、下級審では納税者が勝訴し、州税務当局が控訴していました。

今回の控訴審では、当該子会社による廃棄物処理のための人件費や原材料費等について売上原価控除が認められるか否かが主な争点となっていました。

州税務当局は、売上原価控除の可否の判断にあたり、子会社は固有の事業体として取り扱われるべきであり、当該子会社自体が物品の販売を行っていない限り、人件費や原材料費を売上原価として控除することは認められないと主張しました。これに対し、納税者は、グループに属する各社による売上原価の控除の可否は、合算申告グループ全体の事業活動に基づき判断されるべきであると反論していました。

州控訴裁判所は、合算申告グループを全体として取り扱うことを規定したいくつかの条文を分析した上で、「合算申告グループを単一事業体として取り扱うことにより所属する各社に同じ控除方法を義務づける一方で、売上原価の控除の可否についてのみ各社個別に判断することは、論理的整合性を欠くものと言わざるを得ない」と結論づけています。

2013年12月

失効時限措置を延長する法案を上院に提出

12月19日、連邦議会上院のリード多数党院内総務(民主党、ネバダ州選出)は、2013年12月31日で失効する57項目の減税措置を延長する法案を提出しました。しかしながら、当該法案は会期末までに審議されず、2014年に入ってからの審議予定についてもメドが立っていません。

これらの57項目は、2013年1月11日付の両院租税委員会の報告書により2013年末での失効が指摘されていたもので、次のものが含まれています。

  • 試験研究費税額控除
  • サブパートF条項における積極的金融所得の免除
  • 外国同族持株会社(FPHC)ルールにおける関連者である支配下外国法人(CFC)間の支払いに関するルック・スルーの取り扱い
  • 適格賃貸不動産、商業施設、レストランの内装費等の15年の定額償却
  • 初年度の50%ボーナス減価償却
  • 固定資産の一括損金算入枠の拡大
  • エネルギー関連ならびにバイオ燃料に関する奨励策
  • 勤労機会税額控除
  • 雇用者が負担する駐車代と公共交通機関運賃の非課税枠の不一致解消
  • 州・地方売上税の連邦個人所得税法上の控除

エネルギー関連の奨励税制改革に関する上院財政委員会提案書

12月18日、連邦議会上院財政委員会は、エネルギー関連の奨励税制の改革に関する提案書を発表しました。

現在、化石燃料に関する優遇税制12項目、再生可能エネルギーおよびエコカー関連の奨励策10項目、クリーン発電に対する税額控除6項目をはじめとするエネルギー関連の奨励税制は42項目に上っています。これらのうち、25項目は時限措置となっており、1年もしくは2年毎に更新されています。クリーン発電に対する税額控除制度に限っても、1978年の導入以来14回の改定がなされています。上院財政委員会によれば、これらの奨励税制を延長し続けた場合、向こう10年で1,500億ドルの財源が必要となります。

今回発表された提案書は、再生可能エネルギー、化石燃料、その他を問わず、あらゆる種類の燃料や技術の進化を柔軟に後押しするため、対象を絞った簡素な奨励策を少数導入すべきであるとしています。この提案書は、国内のエネルギー生産の支援と公害の削減を目指すもので、主な内容は次の通りです。

  • 技術に拘わらず国内のクリーン発電に対する新たな税額控除制度を導入する。
  • 技術に拘わらず国内のクリーン運輸燃料の生産に対する新たな税額控除制度を導入する。
  • 現行のほぼすべてのエネルギー関連奨励税制を上述の2つの税額控除制度に集約し、適切な移行措置を設ける。
  • 事業者および投資家の予見可能性を高めるため、新奨励制度の適用期間を十分長期に設定し、明確に定義された目標が達成された時点で段階的に廃止する。

この提案書は、上院財政委員会の共和・民主両党の議員による提案内容を色濃く反映したものとなっています。

関連者グループの試験研究費税額控除の取り扱いに関する規則草案

12月12日、財務省とIRSは、外国源泉収入を稼得する外国法人を含む関連者グループにおける試験研究費税額控除の計算方法に関する規則草案(REG-159420-04)を発表しました。

基本的な試験研究費税額控除の計算方法を適用する場合、「基礎額」を超える課税年度中の適格研究費の20%相当の税額控除を受けることができます。この基礎額は、過去の複数の課税年度の総収入額の平均に基づき計算されるため、一般的に総収入額が高い程20%の税額控除の対象となる適格研究費は少なくなります。

関連者グループに属するすべての納税者(法人、パートナーシップ、トラスト、遺産、個人事業者を含む)は、単一納税者として試験研究費税額控除を一旦計算し、これを各納税者に割り振ることが義務づけられています。財務省規則では、単一納税者としての計算においては、グループ内の関連者間取引は原則として勘案しないことが定められています。また、内国歳入法の条文上は、試験研究費税額控除の計算において、外国法人の総収入は、米国、プエルトリコ、米国保護領における事業活動と実質的に関連している場合のみ勘案することが定められています。

2006年、IRSは、米国納税者の関連者グループに50%超の持分を有する支配下外国法人(CFC)が含まれている場合、当該CFCへの売上は総収入から除外してはならないとの見解を示した文書通達を発表しました。また、当該通達の適用は、CFCが同じ商品もしくはサービスを米国外の第三者に転売した場合に限定されたものではありませんでした。2010年、連邦地裁は、IRSの通達は無効であると認定し、試験研究費税額控除の計算においてはすべての関連者グループ内取引を除外することが認められるとの判断を下しました(Procter & Gamble Company v. United States, 733 F.Supp.2d 857 (S.D. Ohio 2010))。この判決を受けて、IRSは2006年の通達の適用を停止しましたが、その一方で財務省とIRSは規則草案の改定に着手しました。

今回発表された規則草案では、有形資産や無形資産の販売ならびにサービスの提供から生じる関連者グループ内の売上については、これらの資産やサービスを米国、プエルトリコ、米国保護領内の事業活動に実質的に関連しない取引により第三者に転売する外国法人が関連者グループ内に含まれている場合、関連者グループの総収入の一部として勘案することが義務づけられています。

例えば、米国の親会社が米国外の子会社に商品を販売し、当該子会社が同じ商品を米国、プエルトリコ、米国保護領内の事業活動に実質的に関連しない取引により第三者に転売する場合、当該外国子会社の売上は勘案する必要がありませんが、米国の親会社は外国子会社への売上を除外することができません。

規則草案の前文によれば、IRSおよび財務省は、この様な状況において総収入を完全に除外することは、基礎額を歪曲し、議会が意図したものと異なる税額控除を認めることになるとしています。

規則草案に対するコメントは2014年3月13日まで受付られ、公聴会は同4月23日に開催される予定です。

2013年11月

政府間相互協議およびAPAに関する手続細則改正案

11月22日、IRSは、政府間相互協議および事前確認(APA)に関する手続細則の改正案を記載した公告(Notice 2013-78およびNotice 2013-79)を発表しました。これらは、2006年に発行された現行の手続細則を大幅に変更するもので、相互協議とAPAの制度運用の一体化を促進し、手続の透明性と効率の向上を目的としたものです。IRSでは、改正案に対するコメントを2014年3月10日まで受け付けています。

租税条約に基づく政府間相互協議に関する手続の主な変更点は、次の通りです(Notice 2013-78による)。

  • 納税者が提起した争点も政府間相互協議の対象となることを明確化。
  • 米国の相互協議室は、相互協議に関する問題について非公式な相談に応じることを明記。
  • 米国の相互協議室は、相互協議の申し立てがなくても相互協議手続を開始したり、相互協議の対象範囲を拡大する権限を有することを明記。
  • 相互協議の申請前手続を改定し、争点や更正額等を記載したメモの提出を義務づけ。
  • 各種相互協議の申請書式の記載項目リストを改訂。
  • 相互協議、促進相互協議(ACAP)、APAの申請手続のコーディネーションを強化。

APAに関する手続の主な変更点は、次の通りです(Notice 2013-79による)。

  • 申請前手続を拡大し、特定の争点に係わる事案についてはメモの提出を義務づけ。
  • 二国間および多国間APAの申請期日を変更。
  • APA申請書式の記載項目リストを改訂。
  • APA申請年度の文書化義務履行に基づくペナルティー免除の判断において、完全なAPA申請書(必要に応じたアップデートや補足を含む)の有無を勘案することを明確化。
  • 審査計画の通知、調査の実施、申請内容への見解の納税者への伝達等、APA申請後の審査プロセスの変更。
  • APA、相互協議、ACAPの申請手続のコーディネーションを強化し、特定の場合にはAPA申請手続を簡略化。
  • 時効が成立していない過去の課税年度の全てもしくは一部について、納税者がAPAの遡及適用を希望しているか否かに拘わらず、IRSの所轄署と遡及適用の可否を協議する可能性を明記。
  • 納税者は、APAの更新に際して簡易申請書の提出をリクエストできることを明記。

上院財政委員会が国際税務制度改革案を発表

11月19日、ボーカス上院議員(民主党、モンタナ州選出)は、内国歳入法の国際税務関連条項の改正案を発表しました。この改正案には、オプションYとオプションZの2案が示されており、いずれにおいても米国法人が支配下の外国子会社(CFC)を通じて稼得する国外所得への課税方法の大幅な変更が提案されています。

  • オプションY:現行法では、CFCが稼得する所得は、「サブパートF所得」に該当しない限り、米国の株主に配当されるまで原則として米国で課税されることはない。オプションYでは、サブパートF所得については、引き続き米国で当期課税の対象とするものの、CFCのその他の所得は、稼得時にも配当時にも米国での課税を免除される。ただし、サブパートF所得の定義は大幅に変更され、外国での実効税率が一定以下(暫定的に米国の法人税率の80%未満)の所得や、米国居住者への役務提供もしくは米国への輸出取引により稼得した所得が含まれる。なお、米国での課税の免除は、10%以上の持分を有する米国法人株主についてのみ適用される。
  • オプションZ:オプションZにおいては、CFCが稼得する所得はすべて米国株主の当期所得に算入される。ただし、「積極的国外市場所得」については、その一部(暫定的に40パーセント)を米国株主の当期所得から除外することが認められている。
  • 外国税額控除:いずれのオプションにおいても、外国税額控除は認められる。ただし、オプションYでは、米国での課税が免除される配当に係わる外国税について、またオプションZでは、部分的に課税が免除される「積極的国外市場所得」に係わる外国税については税額控除が認められない。
  • 支払利息:いずれのオプションにおいても、CFCの所得のうち免税となる部分(オプションYにおける免税所得やオプションZにおける「積極的国外市場所得」の免税部分)に係わる米国株主の支払利息は損金不算入となる。
  • 移行期間の特別措置:いずれのオプションにおいても、発効時点で課税が繰り延べられているCFCの所得については、米国法人株主の所得に算入し、一律20パーセントの税率で課税するが、8年間の分割納付とする。
  • 無形資産:国際税務関連条項における無形資産の定義を変更し、継続企業価値や暖簾をはじめ、有形資産や人的役務に基因しないあらゆる価値を含むものとする。
  • 税源侵食対策:本提案には、米国の税源の逸失を回避するための複雑な条項が含まれている。
  • チェック・ザ・ボックス・ルール:CFCが所属する関連会社グループにより完全保有されている事業体はすべて米国税法上法人として取り扱うことにより、同一グループに所属する国外の事業体に対する「チェック・ザ・ボックス・ルール」の適用を実質的に禁止する。
  • その他:本提案には、ポートフォリオ債務への源泉税の免除、受動的外国投資会社(PFIC)、外国(法)人不動産投資税法(FIRPTA)、在庫品の売上の源泉地の決定方法、米国内で事業活動を行うパートナーシップの持分の売却、国外関連者との再保険取引等に関する規定の改正案が含まれている。

IRS・LB&I部門:納税者が資料請求に応じない場合の手続に関する内部通達

11月4日、IRSの大規模事業者・国際(LB&I)部門は、納税者が期日までに資料請求に応じない場合や、完全な資料を提出しない場合における手続を新たに強化する方針を示した内部通達をウェブサイト上で公開しました(LB&I-04-1113-009)。この内部通達は、2014年1月2日より発効します。

この内部通達は、納税者が資料請求に応じない場合は、遅延通知、召喚状発行予告、召喚状を3段階で発行することを義務づけ、マネージャーによる早期の関与を促しています。また、現在税務調査の対象となっている納税者に対しては、2013年12月15日までに新たな手続について説明を実施することが指示されています。

The information contained herein is of a general nature and based on authorities that are subject to change. Applicability of the information to specific situations should be determined through consultation with your tax adviser. This article represents the views of the authors only, and do not necessarily represent the views or professional advice of KPMG.

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