監査業務に対するデータ分析(Data & Analytics)技法の導入について

監査業務に対するデータ分析(Data & Analytics)技法の導入について

有限責任 あずさ監査法人(本部 東京都新宿区、理事長 酒井 弘行)は、データ分析(Data & Analytics、以後D&A)技法を用いた精査的手法(対象とする母集団100%について監査的検討を行うこと)の導入に取り組んでいましたが、このたびすべての監査業務において導入可能な体制を整え、2016年8月より全監査対象会社に対して展開することにしましたので、お知らせします。

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近年における情報技術の発展やビッグデータの普及・拡大を受け、企業および会計を取り巻く環境は大きく変わってきています。また、会計不祥事が後を絶たない状況下、監査に対する期待や監査そのもののあり方も大きく変わりつつあります。これらの急速に変化する社会の期待・ニーズに応えるべく、当法人は、2014年7月に「次世代監査技術研究室」を設置し、ビッグデータを利用した新しい監査技術の導入を検討してまいりました。このたび導入する精査的手法では、試査(対象とする母集団のうち一部を検証すること)では検出できなかった異常点が検出可能となるため、特に不正を示唆する取引を検出するための有効な手段になると考えています。当法人では、このたび監査業務におけるD&A技法を用いた精査的手法を全監査対象会社に導入可能な体制を整え、その実施が必要と判断される場合にはD&A技法を効果的に適用し、監査品質の向上を図っていく方針です。

すべての監査業務において展開するD&A技法を用いた監査手続

現在の監査は、企業の広範な会計取引に対して、内部統制を検証し依拠することにより、一部の取引のみ検証する試査を行い、財務諸表全体の合理的な保証を得る考え方に基づいて行われています。しかし、近年の会計不祥事の発生に伴い、監査人に対する不正や誤謬を発見する期待が一段と高まってきていることを踏まえ、当法人ではD&A技法を利用して企業の広範な会計取引の母集団100%に対して監査的検討を行う精査的手法を導入します。このような精査的手法は、従来は仕訳データ分析を中心に導入してきましたが、D&A技法を用いて仕訳データのみならず販売・購買などの財務および非財務データに対しても導入することで、試査では発見できなかった異常項目を検出していきます。

図表1:D&Aによる監査手法の進化

D&A技法を用いた監査手続の具体例は以下のとおりです。

 

■ 財務および非財務データを用いた分析技法

当該技法では、企業が記録・管理している財務および非財務データを入手し、対象となるすべての取引について各データ間の関係性を分析し、異常なものが含まれていないかを検証します。
たとえば、工事案件を例にとりますと、従来の大きな母集団から一部の取引を抽出する試査による監査手続では工事進行基準での進捗率の操作は、比較的発見が難しいとされていました。これにD&A技法を用いて、すべての工事案件に関する財務・非財務データを入手し、予算の達成率と実際の工事完成予定日から算出した工期の進捗率との関係性を分析し、標準的な関係となっていない取引を抽出します。このような手法により、取引母集団全体を検証し、かつ工事完成予定日等の非財務データを使った従来とは異なる視点での監査手続が実施可能となります(図表2参照)。

図表2:財務および非財務データを用いた精査的手法

■ 外部から入手したデータを用いた監査技法

企業が入手している外部データを利用する、または監査人が直接外部からデータを入手して、被監査会社のすべての取引についてITを用いて外部証憑と突合することにより、強い証拠力を有する手続です。例えば、企業の売上データと外部倉庫の出荷データを直接全件照合することによって、より強力な監査証拠を入手することができます。

図表3:外部からのデータを利用した証憑突合

一部の監査業務において展開するD&A技法を用いた監査手続

当法人がメンバーファームとして加盟しているKPMGでは、D&A技法を用いた新しい手続について様々なツールを研究・開発しています。

 

■ 高度な仕訳分析

今までの仕訳データ分析より、更に高度に仕訳データ分析を行うツールを開発しています。当該ツールにより、企業の属する産業ごとに想定される仕訳貸借組合せの情報を予めデータベース化し、年間を通じて発生したすべての仕訳データから、実際の仕訳貸借組合せと比較し想定されない組合せを抽出します。これにより異常な仕訳をより適切に検出することが可能となります。

図表4:高度な仕訳分析

■ 会社のデータを用いた監査手続、監査調書作成の自動化

会社の会計システム、販売システム等を含むERP(Enterprise Resource Planning)パッケージより会社が保有するデータを一括して入手し、その後、自動で当該データの分析および監査調書の作成までを実施する取り組みを行っています。

図表5:監査手続・監査調書作成の自動化

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