日本企業の水リスクに関する調査報告書について | KPMG | JP

日本企業の水リスクに関する調査報告書について

日本企業の水リスクに関する調査報告書について

環境分野における保証業務を行うKPMGあずさサステナビリティ(所在地:東京都千代田区、代表:魚住隆太)は、英国の環境調査会社であるトゥルーコスト(Trucost)と共同で日経平均採用銘柄225社の操業時およびサプライヤーにおける水の消費量に関するデータを分析し、「ピークウォーター:日本企業のサプライチェーンに潜むリスク」と題した調査報告書を発行しましたので、お知らせします。

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清潔な水が豊富に、安価に、そして安定的に利用できる日本の企業にとって、水資源の問題は無縁のリスクと思われがちです。しかし日本企業の海外-特にアジア地域-への生産移転の加速に伴い、現地での水不足や洪水など、水に係る問題が注目を浴びています。これは、水道料金や商品価格の上昇、操業時の水の制約によるサプライチェーンの混乱や製造コストの増大といった、日本企業に大きな経済的インパクトを与える経営上のリスクとなり得ます。この度の調査で以下のような点が明らかになりました。

水の総使用量のうち、4分の3はサプライヤーでの水の使用量

日経225企業の操業における水の使用量は年間190億m3を超えるが、日経225企業の1次およびその川上のサプライヤーは年間で600億m3にのぼる水を使用しており、日経225企業における水の総使用量の75%以上はサプライヤーにおける水使用量である。

業種別では、6つのスーパーセクター注1(食品・飲料、基礎資源、工業製品・サービス、パーソナル用品・家庭用品、化学、自動車・部品)の操業およびサプライヤーにおける総水使用量が、日経225企業全体の総水使用量の82%を占めている。

自社の操業よりもサプライヤーでの水使用量の方が多い企業は149社であった。水の使用量の最も多い6つのスーパーセクターの中でも、サプライヤーにおける水使用量が最も多いのは、食品・飲料、パーソナル用品・家庭用品、および自動車・部品である。中でも、食品・飲料業界では水価格の上昇や水不足による主要商品のコスト増などにより水資源問題の影響を受ける可能性がある。

パーソナル用品・家庭用品メーカーのサプライヤーがアジアにおける水不足を反映したコストを負担することになった場合、サプライチェーンを通じて転嫁される水コストは、平均で分析対象企業のEBITDAの84%に相当する

日本では工業用水は一定の使用量まで定額制となっているが、海外においては水の使用が環境に及ぼす影響を反映した価格設定が行われる傾向が強まっており、水使用が環境に与える「外部コスト」は、その地域における水の希少性によって異なっている。トゥルーコストが算出した、アジア16ヵ国の水の希少性を反映した平均コストをサプライヤーが負担する場合、例えばパーソナル用品・家庭用品メーカー19社において、原材料のコストが8,820億円(約95億米ドル)増加する事になる。水の希少性を反映したコストを財務的な指標と比較することにより、水資源が重要な意味を持つ領域を特定し、サプライヤーがどの程度の水リスクにさらされているかを評価することができる。

調達データを用いることで、水使用量が著しいサプライヤーの業種を特定することが可能

トゥルーコストの持つ高度な環境モデリング手法により、水を大量に使用するサプライヤーの業種(ホットスポット)を特定することができる。AV機器メーカーを例にあげると、電子部品のサプライヤーや梱包材メーカーが水の使用におけるホットスポットになっており、こうしたサプライヤーに焦点を当てることで、サプライチェーンの水リスクを最も効果的に測定し、削減できる。
パーソナル用品・家庭用品のセクターにおいては、農業・漁業、特殊化学製品、鉄鋼が水のホットスポットとしてあげられる。アパレルなどの日用品メーカーは、中国をはじめとする国々から調達する綿などの価格変動が激しいことから、水リスクにさらされる危険が特に大きい。

サプライチェーンにおける水リスクの評価は、水の供給の確保や原材料コストの安定につながる

水資源がひっ迫している地域において大量の水を使用するインフラ整備や工事を行うと、予測を上回るコストが発生し、その結果、将来キャッシュフローや収益性が低下する可能性がある。水不足や洪水リスクのあるサプライヤーをあらかじめ特定しておくことは、事業活動の寸断、操業上の制約、水料金の引き上げといった経営への影響を最小限に抑える上で重要となる。

企業は、取水、水の消費量、排水に関するデータを監視することを通じ、自社の操業やサプライヤーが依存する水資源に対するリスクを把握する必要がある。水の希少性を反映した価格を水消費データに適用し、財務指標と比較することにより、水リスクを推計することができる。また、この指標を用いることで、財務上重要なリスクとなりうる水の大量消費を伴う事業活動を特定することができる。

自社の操業やサプライチェーンにおける水使用量を把握する企業は、水リスク管理を強化することで優位に立つことができる。また、水のホットスポットを特定し、サプライヤーがどの程度の水リスクにさらされているかを評価することにより、資源競争が激化している時代において、水管理を強化し、供給の確保と原材料コストを安定させることが可能となるため、今後海外での事業を中長期的に継続する上での重要な戦略となりうる。

調査方法

調査期間
2012年2月~3月
調査対象 日経平均採用銘柄225社
調査方法 トゥルーコストのデータベースと分析手法を用い、日経225企業の直接の操業に伴う水使用量とサプライチェーンにおける水使用量を分析し、サプライチェーンも含めた水使用量の売上高原単位の業種別比較等を行った。

「ピークウォーター:日本企業のサプライチェーンに潜むリスク」の日本語版レポート

以下のリンク先からご覧いただけます。

注1 スーパーセクター
産業分類ベンチマーク(ICB)の定義に従った、以下19の業種がスーパーセクターと定義されている:
自動車・部品、銀行、基礎資源、化学、建設・資材、金融サービス、食品・飲料、ヘルスケア、工業製品・サービス、保険、メディア、石油・ガス、パーソナル用品・家庭用品、不動産、小売、テクノロジー、通信サービス、旅行・レジャー、公益

トゥルーコスト(Trucost)について

トゥルーコストは、ビジネス活動による環境のインパクトを定量化し、組織、投資家、政府が理解することを支援するために、2000年に設立された環境調査会社です。トゥルーコストでは、過去12年にわたって世界各国の組織体から集めた環境データを調査、標準化し、検証しており、トゥルーコストの作成したデータは、温室効果ガス、水、大気汚染、廃棄物などの企業の環境負荷について世界で最も包括的なデータとして認められています。

図1 水の使用分布

図2 総水使用量の多い6つのスーパーセクター

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