取得原価で会計処理される子会社に対する投資:段階的な取得(IAS第27号に関連) - IFRICニュース2019年1月 -アジェンダ却下確定

IFRS解釈指針委員会ニュース(2019年1月) - 取得原価で会計処理される子会社に対する投資:段階的な取得(IAS第27号に関連)については、2019年1月のIFRS-IC会議で審議された内容を更新しています。

取得原価で会計処理される子会社に対する投資:段階的な取得(IAS第27号に関連)については、2019年1月のIFRS-IC会議で審議された内容を更新しています。

関連IFRS

IAS第27号「個別財務諸表」

概要

以下の前提において、企業はIAS第27号に基づく個別財務諸表上、

a)子会社に対する投資の取得原価を次のいずれとすべきか

  1. 子会社に対する支配の獲得日における当初持分の公正価値に、追加持分に対して支払った対価を加算(みなし原価としての公正価値アプローチ)
  2. 当初持分に対して支払った対価に、追加持分に対して支払った対価を加算(累積原価アプローチ)


b)累積原価アプローチを適用する場合、子会社に対する支配の獲得日における当初持分の公正価値と当初の支払対価との差額をどのように会計処理するのか

前提条件は以下の通り:

  • IAS第27号第10項を適用し、子会社に対する投資を取得原価で会計処理することを選択している。
  • 他の企業に対する当初の投資を保有しており、当該当初投資はIAS第32号第11項で定義される資本性金融商品に対する投資である。投資先は関連会社でも共同支配企業でもなく、当該当初投資を会計処理する際にIFRS第9号を適用している。
  • その後、追加取得を行い、企業は当該投資先に対する支配を獲得し、子会社とする。

ステータス

審議の状況

(質問 a)

  • IFRS第27号は、取得原価を定義しておらず、段階取得の会計処理も明示的に定めてていないが、他の基準書では取得原価を定めている(例 IAS第16号第6項、IAS第38号第8項、IAS第40号第5項)。
  • 上記の2つのアプローチは、段階取得取引を次のどちらと捉えるかの見解の相違から生じるものである。
  1. .当初持分及び追加取得持分の支払対価と、投資先に対する支配持分との交換と捉える。
  2. 当初持分を保持しつつ、追加持分を購入するものと捉える。
  • 基準の要求事項を合理的に読めば、段階取得の会計処理は上記2つのアプローチのいずれかに従って会計処理すべきである。
  • 企業は、すべての段階取得取引に対して、首尾一貫していずれかのアプローチを適用することが必要であり、IAS第1号第117項~第124項を適用して、選択したアプローチを開示することになる。

IFRS-ICは、2019年1月のIFRS-IC会議で、段階取得に係る投資の取得原価をどのように決定するのかを扱う限定的な基準開発を行うべきかどうかを検討したが、現時点で基準開発を行うべきと判断するための十分な情報を得ていないため、アジェンダに追加しないことを決定した。


(質問 b)

  • IFRSは、累積原価アプローチを適用した場合の、子会社に対する支配の獲得日における当初持分の公正価値と当初支払対価との差額は、概念フレームワークの収益又は費用の定義を満たすため、IAS第1号第88項に基づき、当該差額を純損益に認識すべきである。
  • これは、支配獲得前に当初持分に係る公正価値変動を純損益に表示していたのか、その他の包括利益に表示していたのかを問わない。

IFRS-ICは、2019年1月のIFRS-IC会議で、現状のIFRS基準書の要求事項が十分な判断の基礎を示していると判断し、アジェンダに追加しないことを決定した。

IASBへの報告

質問aに関して、IFRS-ICメンバーは、IFRS基準の要求事項を合理的に読めば、みなし原価としての公正価値アプローチ又は累積原価アプローチのいずれかの適用という結果が得られると結論を下した。しかし、彼らの見解では、累積原価アプローチよりみなし原価としての公正価値アプローチの方が財務諸表利用者により有用な情報を提供すると考えている。

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