将来の保険会社の人材に備える | KPMG | JP
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将来の保険会社の人材に備える

将来の保険会社の人材に備える

アジア太平洋地域でトップクラスの保険会社であり続けるAIAが、どのようにして将来の人材計画を策定しながら、現在の変革を管理しているのか、AIAシンガポールの最高人事責任者アイリーン・タン氏にお話を伺いました。

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ポール・ブレンチリー(PB):保険ビジネスはどのように変化しているとお考えですか?

アイリーン・タン(AT):保険業界はますますお客様本位になってきています。お客様がビジネスの中心にいて、保険会社は変化するお客様のニーズに応え、競争力を保ち続けるために、絶えずイノベーションを行わなければなりません。

すなわち、テクノロジーの寄与により、よりお客様の事情に合わせた保険契約への変革が可能になる、もっと言えば変革が必要となる中で、保険はお客様一人ひとりに合わせて複雑にパーソナライズされていくということです。例えば、その一部は、ヘルスケア管理を超えて、健康管理に目を向けています - この動きは、最新のシンガポールヘルスケア業界変革マップ(ITM: Industry Transformation Map)に示された主要な転換点とも整合します。

ビッグデータを分析する能力は、すでに私たちの業界を変容させつつあります。将来は、テクノロジーとモノのインターネット(IoT)が進歩し続ける中で、このようなデータの収集と分析をより詳細なレベルで行えるようになるでしょう。また、個人の健康とリスクを増加する行動のモニタリングを可能にし、それに合わせた保険の補償範囲と保険料の調整をより良いタイミングでできるようになるでしょう。

第二に、テクノロジーにより、企業レベルでも個人レベルでもより適切なカスタマイズができるようになります。これにより、保険会社に、個人や企業が単に今の健康状態をモニタリングして、即座にそのギャップに対処するための行動を取るのみならず、将来の健康と経済状況を管理する力を持つことを可能にする機会がもたらされます。自らの将来の健康と経済状況を管理するという個人の役割は、ギグエコノミー(インターネットを通じて単発または短期の仕事を請け負う働き方)が台頭する中で、ますます重要になっていきます。なぜなら、短期雇用契約で働く人は、長期的に持続する保障を求めて、より個人保険に依存するようになるからです。

収集・分析の対象となるデータは今後ますます増えていくと思いますので、保険会社はエコシステム内の他のステークホルダーとより緊密に協働して、お客様やそのご家族のニーズや目的に最も適した形に保険契約をカスタマイズできるようになるでしょう。

このような将来像を描いて、私たちはお客様の人生に付加価値を提供し続けるために、AIAバイタリティや統合デジタルプラットフォームなどのイノベーションに投資しているのです。

PB:それにより既存のAIAの人材にどのような影響がありますか?

AT:ビジネスが進化し、仕事の性質が本質的に変わっていく中で、当社の企業文化と社員の能力が進化しています。私たちの変革の旅を支え、持続させていくために何を社員に求めるか考え続けているので、これは常に進行中の作業です。

同時に、通常業務を続けていく必要性とのバランスも取らなければなりません。テクノロジー部門を例に取ってみましょう。これから導入する新たなアプリケーションについて理解している人員が必要です。同時に、ビジネスがスムーズに流れ続けるようにするために、レガシーシステムを維持できる人員も必要です。それが事業部門に大きなストレスを与えると思います。

最も重要なことは、チームとして前進し続けることです。なぜならば、私たちは全員、当社の目的、すなわち、人々がより健康に、より長く、より良い人生を送るお手伝いができることが、この大変な努力を価値あるものにすると信じているからです。

PB:どのようにして、今いる社員に新たな能力を身に付けよう働きかけているのですか?

AT:現時点では、それが大きな問題の1つです。一部の事業領域では、新たな能力を身に付けるのに積極的な社員もいますが、消極的な社員もいます。

私のチームでは、保険セクター以外から異なるスキルセットを持つ人たちを迎え入れることにより、この転換を加速させようとしてきました。人事チームがプロセスを改善するのを助けてもらうために、エンジニアリングのバックグラウンドを持つ人に入ってもらいました。また、テクノロジー企業出身者を雇用して、主に私たちがテストし、採用できるような新しいアイデアやモデルがないか探してもらっています。従業員エンゲージメントチームには、マーケティング専門家もいます。

重要なことは、私は単に一人で秘密裏に仕事をする「スナイパー」を雇っているわけではないという点です。こういった人たちを、新しいアイデアの採用に関心や能力を示す、私のチームの優秀な人たちとパートナーを組ませ、一緒にチームとして、新たなテクノロジーやアイデアの採用へと進んでいるのです。

PB:トップから適切な方向性を示すことは、どれだけ重要なのでしょうか?

AT:最高経営幹部からの了承や支援を得ることは極めて重要です。当社のCEOは、ビジネスは人で動くことをよく分かっており、ビジネスの変革を可能にするために人材のアジェンダに常に重点を置くように大変な努力を払っています。

同時に、CEOはタウンホール・ミーティングや社員とのコミュニケーションで、私たちが直面している変革について積極的に話をしています。タウンホール・ミーティングを、「各部門の報告」スタイルからビジネスの変革に不可欠な特定のテーマを重点的に取り上げる形に変更しました。各リーダーが、自分の部門がそのテーマをどのように取り込むかを共有します。これが、社員が点と点をつなぎ、この変革が自分にとって実際にどういう意味を持つのか理解し始めるのに役立ちます。

PB:現在、そして将来必要とする人材や能力を見つけられますか?

AT:シンガポールでは、幸運なことに、政府も業界も非常に積極的です。規制当局は銀行協会や業界団体と緊密に連携を取り、将来のスキル要件を理解し、計画を立てようとしています。政府は業界変革ロードマップに取り組んできましたし、業界が大学や協会と連携して新たな能力を見つけ、育成するのを非常に積極的に支援してきました。しかしながら、シンガポールは比較的小さな市場だということもあって、能力のギャップを埋めるために、国外――また、多くの場合、業界外――に目を向けなければならない場合もありました。

PB:将来の人材はどのようなものになると思いますか?

AT:確かな私なりの推測や考えはあるのですが、その答えは実際にデータに基づき、スマートエビデンスによって裏付けられる必要があります。それこそが、私たちが現在、重要な「組織設計プロジェクト」に取り組んでいる理由です。完全にデジタル化された企業に近付きたいことは分かっていますし、組織全体が「顧客」のことを常に考える必要があることも分かっています。また、このプロジェクトは、私たちがデジタルなお客様第一の組織を構築し、維持するために必要な、役割、ワークフロー、能力、構造を理解し、明確にするのに役立ちます。

PB:これまでの経験から何を学びましたか?

AT:主に2つあります。1つ目は、単なるマネジャーではなく、リーダーであることの重要性です。実業界にマネジャーはたくさんいますが、リーダーが少なすぎると思います。リーダーとは、部下がなぜ自分はこの作業をしているのか理解する手助けをするために立ち止まる人です。そしてチームを現在進行中の変化や将来の変化に取り組ませる人です。

私にとって重要なもう1つの学びは、リーダーとして、また個人として、自分が分かっていると思う知識を「一旦捨て去り」、学び直すことに前向きである必要があるということです。それは、言うは易く行うは難し、です―経営陣のように豊かな経験と多くの成功事例を持つ人々にとっては尚更です。一旦捨て去る必要があるものは、そもそも過去の成功要因である場合が多いのです。

PB:この先の変革を楽観視していますか?

AT:変革の目的と将来の人材構築戦略については非常に自信を持っています。重要なことは、課題を十分に認識し、経営会議レベルから新入社員レベルまで皆が協働して、当社のビジネスとお客様のために適切なソリューションを考え出すことです。

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