学校法人の勘定科目と会計上の留意点 第4回:基本金

基本金における会計上の留意点を解説します。

基本金における会計上の留意点を解説します。

基本金

1.基本金の種類と各号基本金へ組入れるべき金額

基本金は第1号基本金から第4号基本金があり、それぞれの基本金に組入れるべき金額は以下のとおりとなっています。


1)第1号基本金
学校法人が設立当初に取得した固定資産で教育の用に供されるものの価額又は新たな学校の設置若しくは既設の学校の規模の拡大若しくは教育の充実向上のために取得した固定資産の価額

2)第2号基本金
学校法人が新たな学校の設置又は既設の学校の規模拡大若しくは教育の充実向上のために将来取得する固定資産の取得に充てる金銭その他の資産の額

3)第3号基本金
基金として継続的に保持し、かつ、運用する金銭その他の資産の額

4)第4号基本金
恒常的に保持すべき資金として別に文部科学大臣の定める額

2.各号基本金の特色及び留意事項

各号基本金ごとの特色及び留意事項は下記のとおりです。


1)第1号基本金

1.要組入高
第1号基本金の要組入高の当期末残高の金額は「第1号基本金の対象資産の取得価額+繰延額」と一致します。

なお、「第1号基本金の対象資産」は教育の用に供される固定資産になりますが、直接教育用に使用する固定資産に限定されてないため、基本的には固定資産から以下を除いたものが該当します。
(第1号基本金の対象とならない資産)

  • 特定資産
  • 投資を目的とする資産(有価証券、収益事業元入金、長期貸付金等)

このため、基本的には有形固定資産及び借地権、電話加入権、ソフトウェア等の無形固定資産等が該当しますが、運用資産に該当するものは、除く必要があります。

「繰延額」とは、過去に第1号基本金を組入れした資産を除却し、新たに代わりの資産を購入する場合(取替更新)の取得と除却時期にズレがある場合等に除却資産に係る基本金を取崩さず、新規資産の取得時まで繰延べる金額のことです。新規取得時は、当該取得価額と繰延額の差額を基本金組入れすることになります。このため、校舎の建替等を実施している場合、留意が必要です。

例えば、校舎の建替えをするに際し、旧校舎(取得価額600、第1号基本金組入れ済)を×1年度に取り壊し、同年度に新校舎(取得価額1,000、借入なし)の内、200を中間払い金として支払い建設仮勘定として処理した場合の×1年度の第1号基本金繰延額は400となります。
基本金明細表では下記の開示となります。

<×1年度>

事項 要組入高 組入高 未組入高 摘要
第1号基本金        
前期繰越高 ***,*** ***,***    
当期組入高        
校舎建設仮勘定 200 200    
旧校舎除却 △ 600 △ 600    
翌年度への繰延額 400 400    
小計 0 0    

2.未組入高
資産を借入金や未払金等で取得した場合、返済・支払が行われるまで基本金の組入れを行わず、未組入高とすることとされています。
しかし、必ずしも、未組入高=借入金、未払金等にはならない場合があります。未組入高とは要組入高のうち、借入金、未払金等の返済・支払が未了のため、基本金への組入れが行われていない額をいいます。このため、要組入高≧未組入高となります。
一方、取替更新の場合、新規取得資産のための要組入高は新規取得資産の取得価額と既に基本金へ組入れ済みの額(旧資産に係る基本金額及び当該案件に対する第2号基本金額)の差額となります。
このため、以下のようなケースでは未組入高=借入金とはなりません。

(例)校舎の建替えを実施。除却旧校舎に係る基本金は600(第1号基本金組入済)、新築校舎は1,000。資金の内訳は(1)第2号引当特定資産200、(2)(1)以外の自己資金500、(3)借入金300、借入金の返済は毎年30

基本金明細表

(注)未組入高の算定上、既に基本金に組入れられている額についての取崩しはしない。
未組入高は要組入高の範囲内になるため、借入金による未組入高は200。
組入は1年目~6年目は30、7年目に20行い終了。

 

借入金が多数あり、かつ、借入金の全額が未組入となっていない場合は、第1号基本金との関係がわかる表を作成し、管理することが望まれます。

管理表の例

管理表の例

2)第2号基本金
第2号基本金は将来高額な固定資産取得の際に取得年度に基本金の組入れが集中しないよう、事前に基本金組入計画を樹立し、取得年度に先行して、段階的に基本金の組入れ行うことにより、基本金を平準化することを目的としています。
また、理事会(評議員会が決定機関である場合は評議員会を含む)で決議された組入れ計画に基づき組入れを行う必要があります。

  1. 組入上限額
    第2号基本金の組入予定額は、将来の固定資産取得による第1号基本金の要組入予定額を超えてはいけません。(このため、校舎の建替等の場合は「新規校舎の取得価額-旧校舎の取得価額」の範囲となります。)
  2. 組入期間
    第2号基本金の組入れは、第1号基本金の設定対象の取得年度の前年度まで可能です。
  3. 計画の変更
    組入れ計画の変更(計画廃止を含む)を行う場合には、理事会等の計画の変更決議が必要です。

例えば、当年度は×1年度であり、将来的に校舎を新築予定です。新校舎代は1,000、旧校舎(除却予定、第1号基本金組入済)に係る基本金は600。着工は×5年度、完成は×6年度の予定であり、支払予定は×5年度300、×6年度700とします。

  1. この場合の第2号組入上限額は400となります。
    1,000(新規校舎代)-600(旧校舎に係る基本金)=400
  2. 2.新校舎の完成は×6年度であることから、組入期間は×5年度までとなります。


3)第3号基本金
第3号基本金は寄付者又は学校法人の意思によって元本を保持運用することによって生じる果実を教育研究活動に使用するといった事業を行うための基金です。
基金の設定計画及び組入れ計画の変更(計画廃止を含む)を行う場合には、理事会等の決議が必要です。


4)第4号基本金
第4号基本金として保持すべき金額は「恒常的に保持すべき資金の額について」の改正について(通知)(平成25年9月2日25高私参第9号文部科学省高等教育局私学部参事官通知)の別添「学校法人会計基準第30条第1項第4号に規定する恒常的に保持すべき資金の額について」において定められています。

 

1.第4号基本金として恒常的に保持すべき額
第4号基本金として恒常的に保持すべき額は次の計算額によります。
前年度の事業活動収支計算書における教育活動収支の

  1. 人件費(退職給与引当金繰入額及び退職金を除く)の決算額
  2. 教育研究経費(減価償却額を除く)の決算額
  3. 管理経費(減価償却額を除く)の決算額
  4. 教育活動外収支の借入金等利息の決算額
上記1.~4.の合計を12で除した金額
(百万円未満、端数切り捨て可)

 

2.特例
ア.計算額が前年度の保持すべき資金の額の100分の80以上100分の100未満の場合は、1)の計算額にかかわらず、前年度の保持すべき資金の額をもって、当年度の保持すべき資金の額とする。

すなわち、「前年度の保持すべき資金の額」の80/100≦計算額<「前年度の保持すべき資金の額」の100/100の場合は前年度の保持すべき資金の額を当年度の保持すべき資金の額とする。

イ.計算額が前年度の保持すべき資金の額の100分の100を超えて100分の120以内の場合は、1)の計算額にかかわらず、前年度の保持すべき資金の額をもって、当年度の保持すべき資金の額とすることができる。

すなわち、「前年度の保持すべき資金の額」の100/100<計算額≦「前年度の保持すべき資金の額」の120/100の場合は計算額あるいは前年度の保持すべき資金の額のどちらでも当年度の保持すべき資金の額とすることができる。

参考として数値を使った例をあげます。

(例示)

  例1
原則
例2
特例ア
例3
特例イ
例4
原則
前年度の保持すべき資金の額A 100 100 100 100
当年度の計算額B 75 90 115 130
B/A 75/100 90/100 115/100 130/100
当年度の第4号基本金額 75 90 100又は
115
130

 

上記の例1や例4のように計算額が前年度の保持すべき資金の額を大きく上回ったり、下回ったりした場合には計算額を当年度の第4号基本金にすることが必要です。

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