取締役会の視点 - 環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組み - | KPMG | JP
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取締役会の視点 - 環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組み -

取締役会の視点 - 環境・社会・ガバナンス(ESG)への取り組み -

主要な機関投資家は、環境・社会・ガバナンス(ESG)の課題を優先事項とする姿勢を打ち出しており、それに対する社会全体の期待も高まっています。本レポートでは、41ヵ国の約900名の取締役や監査役といった経営幹部を対象に実施した調査結果から、企業がESGの重要性についてどのように考えているのか明らかにしています。

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ESGに対する認識

取締役がESGの重要性についてどのように考えているのか、企業がESGへの取組みをコア・ビジネス・プロセスに組み込んでいるのかどうかを調査するため、KPMGのAudit Committee Institutes(ACI)は世界41ヵ国の約900名の取締役や経営幹部を対象にアンケート調査を実施しました。回答結果から、取締役、CEOおよび上級経営幹部のESGに対する見方が、明らかになりましたが、そのなかでも、次の3点が浮き彫りになりました。

  • 主要な機関投資家が、「ESGの課題は企業の業績、ひいては長期的な価値の創造および維持にとって重要である」と繰り返し述べているにもかかわらず、「ESGの課題に注力すると企業の業績や競争優位性が改善する傾向にある」と回答した取締役や経営幹部は半数にとどまりました。
  • 企業のESGの取組みが、事業の中核としてではなく、周辺業務として受け止められていることが明らかになりました。企業はESGの課題を戦略、事業運営、リスクマネジメントといったコア・ビジネス・プロセスと統合することに苦慮しているようですが、ESGと長期業績の間に相関があると考えている取締役や経営幹部が半数しかいないことを考えれば、当然のことかもしれません。
  • 取締役会は、投資家がESGへの対応を重要視していることを受け止め、ESGの課題への取組みをリードするという重要な役割を果たす必要があります。アンケート調査では、取締役や経営幹部は、主として「ESGに戦略上の優先課題として取り組む」、「取締役会/委員会の監督責任を明確にする」、「ESGに関する企業の取組みの監視と社内外のコミュニケーションを改善することによって、ESGに対する取締役会の監督機能を大幅に改善する余地がある」と回答しています。

5つのポイント

ESGの課題に注力すると企業業績が改善する傾向にあると回答した取締役・経営幹部が半数を下回っている

主要な機関投資家がESGの課題と長期の企業業績に関連があると繰り返し述べているにもかかわらず、ESGの課題に注力する企業が同業他社よりも業績が良い傾向にあると述べた取締役・経営幹部は全回答者の47%にとどまり(日本は33%)、投資家のプレッシャーによりESGの課題への対応を強化したとの回答は、それをさらに下回りました。

顧客や従業員からのプレッシャーや、企業のレピュテーションへの潜在的な影響が、ESGの課題に注力する主な原動力になっている

調査対象の取締役や経営幹部の半数以上(52%)(日本では相当程度(38%))が、ESGの課題に注力する原動力となっている主な要因は、顧客、従業員またはその他ステークホルダーの期待であると回答しています。また、54%(日本は42%)は主な原動力としてESGへの対応状況による自社のレピュテーションやブランドへの潜在的な影響(良い影響または悪い影響)を挙げており、43%(日本は27%)はESGを通常のリスクとコンプライアンス活動の一部として対応・理解していると回答しています。日本では、これに加え41%が、会社の戦略が環境・従業員・顧客やコミュニティーに与える総合的な影響を理解することが重要であるためと回答しています。

ESGを戦略的な課題として扱ううえでの最大の障害は、ESGは、数値化できないブランドやマーケティングの課題であると考えられていること、ESGが事業部長レベルで優先事項として捉えられていないこと、また、短期業績へのプレッシャーである

最大の障害として、4分の1の回答者が、ESGを定義が明確でなく、数値化できないブランドやマーケティングの課題であると捉えていると述べ、32%(日本は31%)が四半期等の短期業績へのプレッシャーと回答しています。25%(日本は比較的少ない(16%))がESGの課題とコア・ビジネス・プロセスの関連付けがうまくできていないこと、29%(日本は37%)が経営幹部レベルで優先事項として捉えられていないことを挙げています。日本では、相当程度が、ESGは事業部長やマネジャーにとって優先事項ではない(37%)、取締役や執行役・執行役員はESGの長期的な企業業績への価値を認識していない(33%)と回答しています。

企業は、ESGの課題を戦略、事業運営、リスクマネジメントといったコア・ビジネス・プロセスと統合することに苦慮している

ESGの課題をコア・ビジネス・プロセスと相当程度統合しているとした回答者は、4分の1を下回りました(日本はさらに少ない(10%))。55%(日本は41%)は、ある程度コアビジネスと統合していると回答し、7%(日本は12%)はコアビジネスと統合しておらず、その計画もないと回答しました。日本では、コアビジネスと統合していないが必要だと考える割合が比較的高くなっています(35%)。

ビジネスの優先課題としてESGに取り組む、監督責任を明確にする、また、情報のフローを改善することで、ESGに対する取締役会の監督機能を改善できる可能性がある

ESGに関連するリスクと機会に対する取締役会の監督機能が十分に発揮されていると回答した取締役・経営幹部は、わずか11%(日本は8%)でした。回答者は、取締役会の監督機能を最大限発揮するための3つのステップとして、ESGを戦略的課題およびビジネスの優先事項として捉えること、ESGの課題に関する取締役会/委員会の監督責任を明確にすること、そしてESGの課題に関する企業の活動の監視と取締役会とのコミュニケーションを改善することを挙げています。

本調査の付録では、これら5つのポイントに対する調査のうち、20名以上の回答者があった15ヵ国について詳細な結果を記載しています。

調査結果の全文については、PDFをご覧ください。

調査回答者

役割

取締役 45%
筆頭独立取締役/非業務執行取締役会議長 10%
CEO 10%
CFO 12%
最高リスク責任者 5%
最高コンプライアンス責任者 8%
最高サステナビリティ責任者 2%
相談役 4%
その他執行役・執行役員 4%

 

会社の種類

上場企業 51%
非上場企業 41%
非営利企業 7%
その他 1%

 

企業の収益

5億ドル未満 45%
5億ドル以上15億ドル未満 19%
15億ドル以上50億ドル未満 15%
50億ドル以上100億ドル未満 7%
100億ドル以上 10%
該当なし
4%

 

業種または産業

金融/保険 23%
製造業/化学工業 16%
卸売・小売業 10%
エネルギー/天然資源 8%
テクノロジー/ソフトウェア業 5%
ヘルスケア 4%
不動産業 4%
運輸業 3%
建設業 3%
情報通信業/メディア産業 3%
製薬業 2%
高等教育 1%
その他 16%

KPMG's Audit Committee Institutesについて

35ヵ国以上のメンバーファームの支援により、KPMG's Audit Committee Institutesは監査役会等および取締役会に対し、実務的な洞察、資料、そして財務報告および監査品質の監視強化、リスクマネジメントや技術革新から戦略およびグローバルの法令順守など、取締役会や会社が直面している課題の数々に焦点を当てた情報交換の機会を提供しています。

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