テクノロジーを活用した税務ガバナンス体制の構築~税務業務の効率化と高度化~

「ビジネステーマ解説2018」連載第9回 - テクノロジーの活用を含めたこれからの税務ガバナンスのあり方について考察する。

テクノロジーの活用を含めたこれからの税務ガバナンスのあり方について考察する。

BEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの最終報告に基づく新たな国際課税ルールの導入により、世界規模で損益配分や納税状況が可視化される。また、各国の税務当局からの圧力が高まる中、親会社の支援がないまま、海外子会社が現地の税務当局に対抗することは極めて困難な状況となる。企業を取り巻く税務の環境変化の中、日本企業も、親会社主導によるタックスガバナンス体制構築・強化は喫緊の課題となりつつある。

税務関連情報の収集

タックスガバナンス体制構築の第一歩として、親会社税務部門が各国子会社の税務ポジションをタイムリーに、かつ、的確に把握する仕組みを構築する必要がある。税務部門の限られた人員の中でそれを実現するためには、ITツールを活用し、親会社主導で情報収集を可能とする、タックスガバナンス体制を構築することで、税務リスクの適切な管理と連結実効税率の最適化が可能となる。

税務申告業務のプロセス管理・税務関連書類の一元管理

日本企業の多くは、税務担当者の人事異動により、これまでに蓄積された税務に関する知見が失われている。税務ノウハウ・知見を継承するためには、ITツールを活用し、情報共有の基盤となるデータベースを構築し、各国子会社の税務申告書などを一元管理したり、過去の専門家からのアドバイスをデータベース化することが重要となる。過去の経験で培った知見をグループの税務担当者全員で共有・継承することは、税務コンプライアンスの向上と税務リスクの低減をもたらし、企業経営を支える強固な基盤として、その持続的成長を底支えしていくものとなる。

ウェブベースの管理ツールによる税務ワークフローと情報・書類の一元管理

ウェブベースの管理ツールによる税務ワークフローと情報・書類の一元管理

執筆者

KPMG税理士法人
インターナショナル・コーポレート・タックス
パートナー 河崎 元孝

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ビジネステーマ解説2018