2018年5月開催TRGの解説(週刊経営財務2018年6月25日号) | KPMG | JP
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2018年5月開催TRGの解説(週刊経営財務2018年6月25日号)

2018年5月開催TRGの解説(週刊経営財務2018年6月25日号)

週刊経営財務(税務研究会発行)2018年6月25日号に、2018年5月開催TRG(移行リソースグループ)に係るKPMG/あずさ監査法人の解説記事が掲載されました。

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はじめに

2017年5月、国際会計基準審議会(IASB)はIFRS第17号「保険契約」(以下、「IFRS第17号」または「本基準書」という)を公表した。IFRS第17号は、原則として2021年1月1日以後に開始する事業年度より適用されるが、本基準書の適用をサポートするため、IASBによりTransition Resource Group(以下、「TRG」という。TRGに関する説明については本連載第1回(No.3354)を参照。)が設置されている。2018年は、2月、5月、9月及び12月の4回にわたって開催されるスケジュールとなっており、本稿では、2018年5月に開催されたTRGの議論の内容について解説する。なお、文中の意見に渡る部分は私見であり、特に断りのない限り、項番号および付録は本基準書のものを指す。

2018年5月開催TRGの概要

2018年5月に開催されたTRGでは、以下の議題について議論された。

  1. 複数の保険契約の結合
  2. 個別企業およびグループレベルでのリスク調整の決定
  3. 契約の境界線内のキャッシュ・フロー
    ・契約の境界線を評価する際の制約
    ・保険カバーを追加するオプション
  4. 価格の再設定が可能な再保険契約に係る契約の境界線
  5. カバー単位を識別するための給付の量の決定
    ・投資要素を含まない契約
    ・投資要素を含む契約
  6. アウトリーチにて報告された適用上の課題
  7. その他IASBへ寄せられた要望書

1. 複数の保険契約の結合

複数の保険契約を同一の保険契約者と同時に締結し、保険契約者はそれらの保険契約全体で割引を受けるような場合がある。このような場合、IFRS第17号では、当該複数の保険契約を単一の保険契約として扱う必要があるかについて、TRGで議論された。

アジェンダペーパー01では、図表1のようなシナリオが示されたうえで、保険契約の結合について主に以下のようなIASBスタッフの見解が示された。

・複数の保険契約を結合するかどうかは、すべての関連する事実および状況を考慮して慎重に判断すべきである。
・一方の契約の失効または満期が、他方の契約の失効または満期の原因となる場合には、これらの契約が全体として商業的効果を達成し、1つの契約として処理されるべきことを示唆している場合がある。
・保険契約者が複数の保険カバーを購入した場合に割引を受けるという事実だけでは、必ずしも複数の保険契約が全体として商業的効果を達成するということにはならない。
・一方のリスクが他方のリスクを相殺または減少させる場合など、異なるリスクが相互に依存している場合には、それらの契約が全体として商業的効果を達成することを示唆している場合がある。相互に依存するリスクの例としては、死亡リスクと生存リスクがある。

図表1 アジェンダペーパー01で例示されたシナリオ

同一契約者に対して、住宅総合保険と自動車保険がセットで 割引販売されるケース

シナリオ

  1. 保険契約の価格設定において、企業は住宅総合保険と自動車保険のそれぞれにおいて固有のリスクだけではなく、保険契約者の所在地や両者の相互関連性に係るリスク(例えば、火災、洪水、盗難等)も考慮に入れる。
  2. 企業は、2つの契約を同一の契約者と締結することで生じる新契約費の回収を考慮する。
  3. 同じ保険契約者が1つの保険契約のみ加入する場合は、2つの保険契約を同時に加入した場合に適用されるのと同レベルの割引を受けることはできない。
  4. それぞれの保険契約が単独で失効する場合もあれば、一方の保険契約が失効した際に、他方の保険契約も同時に失効する場合もある。


(出典:TRG アジェンダペーパー01より筆者作成)

TRGの議論では、法的形態が単一の契約とされているような保険の取り決めは、基本的には実質的に単一の契約と考えられ、複数の保険契約であっても、それらが実質的に単一の契約と考えられる場合には、関連する事実や状況を考慮したうえで、保険契約を結合する場合があるという点が確認された。また、「複数の保険契約の結合」に関する原則は、2018年2月にTRGで議論された「単一保険契約からの構成要素の分離」(本連載第1回を参照)に関する原則と整合的であるべきとの意見を述べたTRGメンバーもいた。

以上の議論を踏まえると、複数の保険契約が実質的に単一の保険契約であると考えられるような兆候がある場合には、それらの契約を結合することが適切かどうかを判断する必要がある。

2. 個別企業およびグループレベルでのリスク調整の決定

非金融リスクに係るリスク調整(以下、リスク調整)は、企業がリスクを負担するために要求する報酬を決定する際に考慮される分散効果を反映すると規定されているが(B88項(a))、どのレベルでリスク調整を決定すべきかについては規定されていない。そのため、企業またはその企業グループが単一の企業の枠を超えて(例えば、連結グループレベルで)分散効果を考慮できるか否かについて、TRGで議論された。

アジェンダペーパー02では、以下のようなIASBスタッフの見解が示された。

  • リスク調整の計算に保険契約の発行企業よりも高いレベルで発生する分散効果を反映するのは、当該発行企業が非金融リスクを負担するために要求する報酬を決定する際に、発行企業よりも高いレベルで発生する分散効果を考慮している場合に限られる。
  • 企業グループの連結財務諸表においては、連結財務諸表上のリスク調整は、単一企業レベルのリスク調整と同じであり、連結グループレベルで異なるリスク調整に関する決定をすることは、IFRS第17号におけるリスク調整の原則と矛盾する。

TRGの議論では、連結財務諸表上のリスク調整の取扱いについて、2通りの意見があった。まず、一部のTRGメンバーは、リスク調整の金額は保険契約を発行する企業が一義的に決定すべきであるという意見を述べ、IASBスタッフの見解に同意した。この場合、グループレベルのリスク調整の金額は、グループ企業の個別財務諸表のリスク調整と同じでなければならない。一方で、他のTRGメンバーは、グループ内の個々の企業は、連結ベースで見た非金融リスクとは異なる非金融リスクの認識を持つ可能性があるという意見を述べた。この場合、同じ保険契約グループに対して、報告単位によって異なるリスク調整の金額が計算される可能性がある。

また、連結財務諸表上のリスク調整の取扱いは、すべての保険契約グループに対して一貫して適用されるべきだと述べたTRGメンバーもおり、その点について特段の反対意見はなかった。なお、TRGの議論の中で、単一の企業を超えた分散効果は、グループ企業間の資本配分によって根拠づけられる場合があることが確認された。
以上の議論を踏まえると、企業グループとして、リスクの分散効果も含めどのようなリスク管理・リスク評価の枠組みを構築し、その枠組みにおいて個別企業がどのような事業を行っているのか(例えば、単一企業の枠を超えて、グループレベルの分散効果を反映したうえでリスク評価を行っているかなど)を考慮したうえで、リスク調整を決定する必要がある。

3. 契約の境界線内のキャッシュ・フロー

アジェンダペーパー03では、2018年2月開催のTRGに引き続き、契約の境界線の規定に関する、以下の論点が取り上げられた。

(1)契約の境界線を評価する際の制約
(2)保険カバーを追加するオプション


(1)契約の境界線を評価する際の制約

IFRS第17号34項にしたがい、企業が保険契約者にサービスを提供する実質的な義務を負っている場合、実質的な権利と義務から生じるキャッシュ・フローは契約の境界線内にあり、関連する保険契約グループの測定に含まれる。このサービスを提供する実質的な義務は、企業が特定の契約者(または保険契約ポートフォリオ)のリスクを再評価する実質的な能力を有し、その結果、当該リスクを完全に反映する価格または給付水準を設定できる場合に終了する。ここで規定されている「価格の設定」に関する実質的な能力は、どのような制約を受けるのかという要望書が寄せられ、TRGで議論された。

アジェンダペーパー03において、IASBスタッフは、新契約と既存契約に等しく適用される制約は、企業の実質的な能力を制限しないであろうという見解を示した。また、IFRS第17号は価格の設定に関する潜在的な制約要因を規定していないため、制約要因は契約上、法的または規制上の制約に限定されるものではない、という見解も示した。

TRGの議論においても、TRGメンバーは上記の見解について合意したようである。

以上の議論を踏まえると、企業は、市場やその他の要因から生じる制約が同じ法域のすべての保険会社の新契約と既存契約に等しく適用されるかどうかを検討することが重要となる。


(2)保険カバーを追加するオプション

一部の保険契約には、保険契約者が将来的に保険カバーの追加を可能とするオプションが付されたものがあり、当該オプションが行使された場合、保険会社は追加のカバーを提供する義務を負う。そこで、将来のオプション行使に伴う期待キャッシュ・フローが契約の境界線内に含まれるか否かについて、TRGで議論された。

アジェンダペーパー03では、図表2のようなフローチャートとともに、以下のようなIASBスタッフの見解が示された。

  • 契約条件を企業が保証しているオプションについては、オプションにより生じるキャッシュ・フローが契約の境界線内にあることは明白である。
  • 契約条件を企業が保証していないオプションについては、オプションにより生じるキャッシュ・フローは、契約の境界線内となる場合もあれば、境界線外となる場合もある。

(i)保険契約者がオプションを行使した時点で、企業が契約全体を再評価する実質的な能力を有している場合、当該オプション行使に伴う期待キャッシュ・フローは契約の境界線外となる。
(ii)保険契約者がオプションを行使した時点で、企業が将来の追加カバーのみを再評価する実質的な能力を有する場合、当該オプション行使に伴う期待キャッシュ・フローは契約の境界線内となる。

図表2 アジェンダペーパー03で示されたフローチャート

(出典:TRG アジェンダペーパー03 Appendix Aを筆者要約)

TRGの議論では、オプションが基本契約とは別個の契約とみなされる場合、オプションの契約の境界線を、保険契約の残りの部分とは分けて評価するという点について確認された。オプションが基本契約と別個の契約とはみなされない場合については、図表2のフローチャートの考え方自体には特段の反対意見はなかったものの、契約条件を企業が保証していないオプションから、実質的な権利と義務が生じるか否かについては複数の見解が示され、統一的な合意はなされなかった。

以上の議論を踏まえると、オプション行使に伴うキャッシュ・フローが既存の保険契約の境界線内にあるかどうかを判断する場合、まず、基本契約とオプションを別個の契約に分割する必要があるかどうかを評価する必要がある。オプションが別個の契約とはみなされない場合、保険契約者にオプションを提供することにより実質的な権利と義務が生じるかどうかを検討する必要がある。

4. 価格の再設定が可能な再保険契約に係る契約の境界線

再保険契約の中には、元受企業に事前通知を行うことを条件として、残存カバーの価格を将来に向かって改定することができる条項が含まれている場合がある。このような契約においては、元受企業は、再保険者が通知した場合に限り再保険契約を中途解約する権利を有することが一般的である。ここで、保有する再保険契約において、再保険者にとって通知が可能な期間までの将来キャッシュ・フローのみを契約の境界線に含めるか、通知可能期間が終了した後の期間も含めて契約の境界線に含めるべきかを問う要望書があり、TRGで議論された。

アジェンダペーパー04で示された事実および状況においては、IASBスタッフは、通知可能期間が終了した後の期間も含めて契約の境界線に含めるという見解(見解A)を示した。この根拠として、以下のような考え方が提示された。すなわち、元受企業がカバーを終了させる権利は、再保険契約の価格を改定するという再保険者の決定により生じるものであるため、元受企業がコントロールできるものではなく、再保険者への元受企業の支払義務は継続する。また、再保険者の価格改定によって、元受企業がサービスを受ける期間が短くなる可能性があるという事実をもって、契約の境界線が短くなるという結果につながるわけではない。こうした考え方を要約すると、図表3のようになる。

図表3 アジェンダペーパー04で示された再保険契約の例

再保険契約の特徴

  1. 再保険者は、既に発行された再保険契約の保険料率を再設定する権利を有する。当該再設定は、将来に向かって適用される。
  2. 当該再保険契約のリスクを再評価し、保険料率の再設定を行うことに関して、再保険者の能力に実質的な制限はない。
  3. 再保険者は、最低3カ月の通知期間を条件として、いつでも保険料率を再設定することができる。
  4. 再保険者が保険料率を引き上げない場合、元受企業は再保険者に保険料を支払い続ける義務を負う。
  5. 再保険者が保険料率を引き上げる予定である旨を通知した 場合、元受企業は再保険契約を終了させることができる。
  6. 再保険契約を終了させる場合、元受企業は再保険料の支払を中止し、再保険者はカバーの提供を中止する。再保険契約を終わらせることに関連する金銭の決済(未経過保険料の返還を除く)はない。


(出典:TRG アジェンダペーパー04より筆者作成)

 

TRGの議論では、TRGメンバーはIASBスタッフの見解に合意した。ただし、アジェンダペーパーに記載の設例はあくまでも限定された例であることを指摘したメンバーもいた。

以上の議論を踏まえると、企業は、再保険契約の条件および関連するすべての事実および状況を分析し、契約の境界線を決定する必要がある。

5. カバー単位を識別するための給付の量の決定

契約上のサービス・マージン(Contractual Service Margin, 以下、「CSM」という)は、カバー単位に基づいて各報告期間の損益として認識されるが、カバー単位は、それぞれの契約において提供される給付の量とカバー期間を考慮して決定される(B119項(a))。ここでいう「提供される給付の量」はどのような定義かという要望書が寄せられ、TRGにて議論された。本論点は2018年2月のTRGから継続して議論されており、今回のTRGでは、前回議論された投資要素を含まない保険契約に加え、投資要素を含む保険契約についても議論された。


(1)投資要素を含まない保険契約

2月のTRGでの議論結果も踏まえ、アジェンダペーパー05で示されたIASBスタッフの見解は図表4のように要約される。

図表4 アジェンダペーパー05で示されたIASBスタッフの見解

1 保険契約グループについてのCSMの金額は、保険契約グループに基づいてその期間に提供されたサービスを反映するために、各期間の純損益に認識する(B119項)。
2 上記1.の目的を達成するため、各報告期間によってサービスのレベルが異なる場合には、その点を反映させるべきである。
3 企業は、個々の保険契約が提供する給付の量と契約の予想カバー期間を個々の契約ごとに検討することによって、契約グループが提供するサービスを決定する(B119項(a))。
4 個々の保険契約が提供する給付の量を決定するため、企業は、保険契約者が受ける給付の量を検討する必要がある。
5 保険契約者が受ける給付は、保険事故が発生した場合に保険契約者が請求する保険金のみから生じるものではなく、企業が正当な保険金請求に応じるように待機している状態から生じる。したがって、保険契約者が請求することができる金額が、請求することができるという給付の量に影響する。保険契約者が保険金を請求する確率は、請求することができるという給付の量には影響しない。
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IFRS第17号は、給付の量を決定する具体的な方法を規定していない。したがって、各期間に提供される保険サービスを反映するという目的を達成する限り、様々な方法で給付の量を決定することができる。考えられる方法としては以下のようなものを利用することが挙げられる。

  • 各報告期間の契約上の最大カバー
  • 保険事故が発生した場合に保険契約者が各期間に正当に請求することができると企業が期待する金額
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以下の方法は上記の目的を達成しない。

  • 投資要素を含まない保険契約に対して、給付の量が企業の資産の成績に影響を受ける方法
  • 企業が正当な保険金請求に応じるように待機しているにもかかわらず、その期間にCSMの配分が行われないような方法
  • 保険料を基礎とする方法(企業が提供するサービスを保険料が合理的に表象していることが説明可能な場合を除く)
  • 期待キャッシュ・フローを基礎とする方法(企業が提供するサービスをキャッシュ・フローが合理的に表象していることが説明可能な場合を除く)

 

(出典:TRG アジェンダペーパー05より筆者作成)

TRGの議論では、上記のIASBスタッフの見解に対しては、TRGメンバーからは特段の反対意見は述べられなかった。また、複雑かつ多岐にわたる保険契約に対して、企業が提供するサービスを見積るための体系的かつ合理的な方法を決める必要があることについて、TRGメンバーは合意した。前述の図表4で提示された方法も含め、TRGでは、企業が提供するサービスを合理的に表象しうる限り以下のような方法も当該目的を達成しうる方法として議論された。

  • 保険契約グループ内の契約数を反映して、時の経過に伴い直線的にCSMを配分する方法
  • 各報告期間の契約上の最大カバーを使用する方法
  • 保険事故が発生した場合に保険契約者が各期間に正当に請求することができると企業が期待する金額を使用する方法
  • 保険料を基礎とする方法(特定の状況下では適切な方法ではない可能性がある)
  • 期待キャッシュ・フローを基礎とする方法(特定の状況下では適切な方法ではない可能性がある)


(2)投資要素を含む保険契約

投資要素を含む保険契約に係る主要な論点として、当該保険契約のカバー期間およびカバー単位は、保険カバーのみを反映すべきか、投資要素の特徴も反映すべきかという論点がある。

アジェンダペーパー05では、投資要素を含む保険契約のうち、直接連動有配当契約に該当する場合(変動手数料アプローチ)と、該当しない場合(一般的なモデル)のそれぞれについて、IASBスタッフは以下のような見解を示した。すなわち、直接連動有配当契約は、保険サービスと投資関連サービスの両方を提供する契約であり、各報告期間の損益として認識するCSMは、保険サービスと投資関連サービスの両方を反映すべきである。一方で、直接連動有配当契約に該当しない場合、当該契約は投資関連サービスを提供する契約としては扱われず、したがって各期間の損益として認識するCSMは、保険サービスのみを反映すべきである。

TRGの議論では、直接連動有配当契約に関するIASBスタッフの見解について確認したうえで、当該見解に関して基準の規定をより明確化する必要があるかについて議論された。一部のTRGメンバーは規定を明確化する必要があるかもしれないという意見を述べたが、その必要はないという意見を述べたTRGメンバーもいた。

直接連動有配当契約に該当しない契約については、IASBスタッフの見解に対して、多くのTRGメンバーが保険サービスのみを提供するものとして扱われるべきではないという意見を述べた。

本論点は、5月のIASBボードにも報告されたうえで、今後のTRGでも継続して議論されるものと考えられる。

6. アウトリーチにて報告された適用上の課題

アジェンダペーパー06は、アウトリーチ活動(TRGメンバーによる各地域の保険会社とのディスカッション)にて報告された適用上の課題をIASBスタッフが取りまとめたものである。
今回のTRGでは、以下の3つの課題が示され、現行実務上の取り扱いやTRGメンバーの意見などが報告され、TRGメンバーはこれらの課題は優先的に解決すべき重要論点として認識している点を説明した。

  • 財政状態計算書における保険契約グループの表示
  • 保険料配分アプローチ(PAA)を適用する場合の「受け取った保険料」の定義
  • 決済期間中(例えば、支払査定中)にある保険契約を取得した場合における事後測定の取扱い(PAAの適用可能性も含む)

これらの課題は、5月のIASBボードにも報告されたうえで、今後のTRGでも継続して議論されるものと考えられる。

7. その他IASBへ寄せられた要望書

アジェンダペーパー07は、TRGに寄せられた要望書について、IASBスタッフが以下のような基準で分類・整理したものである。

(a)IFRS第17号の文言を適用するだけで回答可能なもの
(b)要望書の要件※を満たさないもの
(c)TRG以外の手続により検討する(年次改善の提案など)

アジェンダペーパー07に関して、TRGメンバーよりコメントがあった主なものを図表5に要約している(IDは要望書のSubmission Logより)。

図表5 アジェンダペーパー07に関する主なコメントとIASBスタッフの見解

ID 分類 内容 IASBスタッフの見解
S13 (a) 移行措置の際に完全遡及アプローチを採用した場合であっても、一部に見積りや概算に基づく計算を使用することが認められるか。 完全遡及アプローチであっても、一部に見積りや概算に基づく計算を使用することを妨げるものではない(IAS第8号51項参照)。
S29 (a) 実効金利法に基づいて割引率を設定するか、イールドカーブに基づいて割引率を設定するかによって、事後測定における保険金融収益・費用の計算結果が大きく異なる可能性があるのではないか。 IFRS第17号は、実効金利法およびイールドカーブの使用に関して、特定の方法を強制しない(IFRS第17号B72項(e)(i)参照)。
S33 (c) 保険会社でない企業がIFRS第17号の適用対象となる商品を保有している場合に、IFRS第17号の適用が必要となることを認識していない可能性はないか。 IASBスタッフは本件について調査する。


(出典:TRG アジェンダペーパー07およびTRGの議論結果より筆者作成)

※要望書の要件

  • IFRS第17号に関連している、または、IFRS第17号から発生する
  • 実務において多様な会計処理が発生する可能性がある
  • 影響が広範囲に及ぶ(広範囲の利害関係者に関連する)

Next Step

前回および今回のTRGの議論についてIASBスタッフが作成したサマリは、TRGのWebサイトで確認することができる。次回のTRGは、2018年9月26日の開催が予定されている。

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