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Me, My life, My wallet 私、私の人生、私の財布 - グローバル消費行動調査の日本語版リリース

Me, My life, My wallet - グローバル消費行動調査の日本語版リリース

本稿では、調査レポート「Me, My life, My wallet」から得た知見をもとに、変化する消費者行動を理解し対応するためのポイントを紹介します。

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KPMGジャパンは、企業が、変化する消費者行動を理解し、対応するためにKPMGインターナショナルが作成した調査レポート「Me, My life, My wallet」の日本語版を発行しました。本調査レポートは、米国、英国、インド、中国の10,000人を対象とした調査から得た知見をもとに、KPMG Global Customer Center of Excellence と KPMG Innovation Labs が、21世紀の消費者との関係づくりをする最適な方法としてフレームワークを開発・ご提案したものです。情報が溢れる時代、今日だけでなく将来の消費者像を理解するため、如何にこれらの情報を活用すべきか、また、調査から得た知見をもとに、成長に向けた戦いに勝つためにビジネスモデルをどう転換すべきかについて結果をまとめています。また、21世紀の多元的な消費者との関係づくりをするために開発した新たなアプローチ・多元的なフレームワークとして「5つのMy」、「消費者の財布」、「世代間サーフィン」を紹介しています。本稿では、そのポイントについて述べます。

ポイント

  • 消費者行動の「5つのMy」 - My motivation(動機)、My attention(関心)、My connection(つながり)、My watch(時間)、My wallet(財布) - を理解し組み合わせることで、消費者の複雑な意思決定プロセスをより深く理解することができる。
  • 「消費者の財布」に影響を及ぼす様々な分野のトレードオフを、世代間の相違や重要なライフイベントの影響といったコンテクストの中で考えることや、5つのMyとの組み合わせで考えることが有効。
  • ライフステージの長期化とライフイベントの変化によって、「世代間サーフィン」の在り方も変わってきている。
  • 消費者の行動様式の変化が及ぼしている各セクターへの影響は、一時的なものでなく構造的なものである。

I.多元的な消費者

消費者行動の変化を捉える

消費者の行動は急速に変化しています。決定権は企業から消費者へ移り、携帯電話は私たちの生活のリモコンとなり、制度や従来の広告に対する信頼は失われつつあります。消費者のトレードオフと意思決定は不透明になり、より短期間で変化します。斬新なビジネスモデルの新規企業の登場により、様々なセクターでバリューチェーンが変化し、エコシステムが再構築されています。10億ドルの価値を有する企業が瞬く間に誕生します。このような不確実な時代においてどのように将来の消費者像を理解すればよいのでしょうか。成長に向けた戦いに勝つために、どのように事業とビジネスモデルを転換すればよいのでしょうか。

KPMGは長年、クライアントと協力し消費者の態度、行動、期待を理解すべく取り組んできました。セクターを超える大きな行動様式は一時的なものでなく構造的な変化であるとの認識のもと、多面的な調査プログラムに着手し、その考えを検証し、消費者の声を聞くとともに、グローバルネットワークと豊富な経験を活用することで21世紀の消費者との関係を構築する最適な方法を特定することが可能となりました。以下にご紹介するKPMGのアプローチ:「5つのMy」、「消費者の財布」、「世代間サーフィン」は、企業が変化する消費者を特定し、理解し、対応するための具体的なフレームワークを提供します。

II.5つのMy

消費者の意思決定の複雑さを理解するためのフレームワーク

近年、人間の意思決定の基本要因は急速に複雑化し、取引データ、従来の市場調査、人口動態・プロファイルだけでは、消費者行動の内容や背景を十分に理解できません。その結果、多くの企業が消費者と調和できずにいます。私たちはまず、消費者の行動を外から内へと見ていくことで、人間の意思決定の多層構造とそれらの相関関係を企業が理解できるようにします。具体的には、消費者行動の5つの主要要素 (5つのMy) - 動機(My motivation)、関心(My attention)、つながり(My connection)、時間(My watch)、財布(My wallet) - に注目しました。これらを組み合わせることで、企業は消費者の複雑な意思決定プロセスを理解し、変化する態度、ニーズ、行動について理解を深めることができます。さらに自社が扱う分野だけでなく消費者の人生のあらゆる側面を探求していくことが重要です。「5つのMy」を理解することで、企業は、人口動態には表れない人の行動様式を理解できるようになり、消費者と企業双方に価値をもたらす体験、商品、サービスをより的確に生み出すことが可能になります。


1.My motivation(私の動機):行動と期待を促す特質

消費者は、最高の体験をもたらしてくれるあらゆる企業を比較しており、利便性を求め、より感覚的で個々に合わせた体験を求めています。ピア・レビューやソーシャルでの推薦を重視し、企業や機関より個人のインフルエンサーを信頼しています。消費者のメッセージはいたってシンプルです。「簡単にしてほしい」、「私を知ってほしい」、「私を大事にしてほしい」。企業は、消費者がどの体験を重視し、何が行動規範となるかを知ることで、無駄を排し、差別化に注力できます。


2.My attention(私の関心):関心と注目を向ける方向

誰もが指一本でかつてない量の情報を、いつでも、どこでも入手できるようになりました。一方で、時間が細分化されるにつれ、情報を処理しふるいにかける方法にも変化が起きています。消費者がいかに時間と感心に優先順位をつけ整理しているかを理解することが、ノイズとカオスの中を切り抜け、さらに深く有意義な関係を企業と消費者が築くために重要です。私たちが日々さらされる膨大な量の情報、通信、コンテンツ、メディアは、残念ながら私たちの関心を奪うものとなっていません。消費者の関心を引く方法を理解すれば、投資ターゲットとそのタイミングを見定め、投資収益率を最大化することが可能となります。
41%の人は情報の多さに完全に圧倒されており、可能であれば情報を避けています。


3.My connection(私のつながり):デバイス、情報、人とのつながり方

インターネットの普及により、デジタルで「つながった」相互関係が増えています。私たちは世界についてよくわかるようになり、世界は私たちのこと、つまり、私たち個人個人について、ほかの「似た人たち」のことについて、社会、文化、マクロやミクロのトレンド、共通性のある集団についてより多くの知識を身に着けつつあります。広範囲にわたる相互関係とネットワークの形式やパターンを理解することが、いつ誰がどのように意思決定に影響を与えるのかを理解する上で重要となります。このようなつながりを通じて消費者をより深く知ることで、ビッグデータを状況にあてはめ、行動に結び付くインサイトを得られます。

  • ミレニアル世代の30%は、通知がなくても5分に一回以上携帯電話の画面を見ます。


4.My watch(私の時間):時間の制約をバランスよく調整する方法と、ライフイベントを通じたバランスの変化

時間がどれだけあるか、あると思っているかによって、人、サービス、企業とのかかわり方は変化します。いつも購入する食品や日用品の注文、次に購入する商品、見るもの、聴くものを案内してくれるアルゴリズムの利用など、テクノロジーが作業を自動化したり高速化してたりする機会が増えています。企業は、ライフイベントの影響や時間とお金のトレードオフを理解することで、まだ満たされていないニーズを探し出し、それを満たし、最も効果の大きい時期に消費者と関わることができるでしょう。ライフイベントの前の“ポケット”を見極めることで、顧客ロイヤルティや結びつきを高めるための新たな機会を創出できます。


5.My wallet(私の財布):ライフイベントに応じた支出配分の調整方法

時間と並行して、私たちの財布のあり方も主なライフイベントに応じて変化していきます。所有資金額、その割り振り方、お金に対する態度は、給与や年齢だけでなく様々な要因によって変化します。所得、消費、支出構成の関係と、ライフイベントを通して見た世代ごとの変化を理解することで、従来の人口動態モデルでは得ることができなかったレベルの情報も入手することが可能です。消費者が決める時間とお金のトレードオフを理解することで、最高の未来の消費者とその期待を見極めることが可能となります。

III.消費者の財布

唯一かつ真の競争相手は消費者の財布です

消費者が財布の紐を緩めたり締めたりする要因は大きく変化しています。また、人口動態と経済のシフトにより、消費者の収入・支出動向の予測が難しくなっている上に、新しいテクノロジーの普及とオンデマンド経済の成長により、様々な分野でトレードオフが変化しています。収入、借入、貯蓄、支出の相互関係や構成を、世代間の相違や重要なライフイベントの影響といったコンテクストの中で考えることや、5つのMyとの組み合わせで考えることが有効
です。

  • ミレニアル世代の22%は、両親を収入源とみています。インドではこの数字は35%にもなります。
  • 予算の重要性を強調する一方で、利便性や自己改善のためなら価格を度外視することがあります。そのようなときは、時間とお金、動機とお金が作用し合います。「レジャー・アップグレード」のトレンドにも現れているとおり、消費者はレジャー活動に費やす時間を単なる楽しみ以上ののものにしたいと考えており、新しいスキルを身に着けたい、健康状態を高めたいと考え、財布の支出構成よりも優先する場合があります。
  • 時間とお金について、特に若い家族でこれらのトレードオフがはっきりみられました。彼らにとって家族は、食品など必需品の予算を決める主要因である一方、家族は買い物や食事にスピード、手軽さ、便利さをもたらしてくれる高価なオンデマンド・サービスやデリバリー・サービスを利用したいと思わせる要因にもなります。これは節約行動とは完全に矛盾するものとなります。

IV.世代間サーフィン

ライフステージの長期化とライフイベントの変化

サーファーは海のパターンを観察し、タイミングを計ってビッグウェーブを捉えます。最高の波は弧を描くような形の波で、経験豊富なサーファーはブレイクポイントの前の“ポケット(端境)”を探します。波の上部が落ち始めると、新しい波に乗るのに理想的なスポットが現れます。波が小さくなり始めると、3つの選択肢があります。うまくタイミングを計って次の波を捉えるか、タイミングを誤って転倒するか、そのまま乗り続けて徐々に乗り終えるか。企業にとっても同じことが当てはまります。ビッグウェーブは、若年成人期、子育て期、子どもの独立、退職など、消費者のライフステージに相当します。これらのステージを理解し、変化のパターンを読もうとする企業は、消費者のライフステージが移るたびに新たなニーズに対応する、あるいは一つのライフステージに対象を絞って、そこに入ってくる新しい世代の波を捉えるなど、世代間サーフィンを成功させるための準備をすることができます。

しかし、ライフステージ(若年成人期、子育て期、子供の独立、引退など)もライフイベント(大学卒業、結婚、家の購入など)も、世代が異なれば、パターン、順序、タイミングが同じとは限りません。そして、各世代のそれらに変化の兆しが見えてきました。ベビーブーム世代は、次のライフステージを前の世代とは違ったものに描きなおそうとしています。多くの人が賃金のないまま退職し、平均余命は伸び、医療費は膨らみ、ミレニアル世代の子供と場合によっては親までも長期にわたり経済面で支えなければならない可能性があります。その結果、支出のピークを迎えるはずだった時期に混乱に陥り、新たな課題に直面します。ライフイベントは、人生の節目となる転機であり財布に新たなプレッシャーを生み出す瞬間となります。企業がこうした消費者の人生における「移り変わり」を捉えて、ニーズ、行動、トレードオフに対応することができれば、競争から一歩抜き出る機会を得ることができるでしょう。

  • 最初のスマートフォンは車の購入より重要
  • ミレニアル世代が第一子を授かる年齢は、ベビーブーム世代より10歳上
  • ミレニアル世代が最初の家を購入する年齢は、ベビーブーム世代より10歳上
  • 長寿と年金受給開始年齢の引き上げ
  • 定年を過ぎても退職しない(働き続ける)選択

V.インダストリー・ビュー


1.消費財・小売

データが最強
テクノロジーと人口動態の変化によってエコシステムを破壊された消費財メーカーや小売業者は、脅威と機会に同等に直面しています。消費者の行動と期待は変化し、需要に応えるためには組織のあらゆる階層でデータ主導のインサイトを生かす必要があり

ます。


2.メディア・情報通信

私による私のためのキュレーション
消費者のニーズと新規参入によって競争ルールが変化する中、消費者の関心と財布内シェアを奪い合う戦いが激しくなっています。消費者は自らコンテンツのエコシステムをキュレーションしており、さらにパーソナライズされた敏速な商品とサービスを求めています。


3.医療

パワーを手にした患者
従来の医療システムは、診断と治療という連続的なイベントを中心に構築されていました。しかし、消費者の期待は、健康を中心としたセルフマジメントと、従来型システムとは異なるエンパワーメントによる意思決定へと次第に向かっています。新しいデジタル医療の選択肢が、従来の医療提供者中心の医療サービスに対し問題を投げかけています。


4.リテールバンキング

シンプルなファイナンシャルライフを求めて
リテールバンキングの消費者は、自分の財産のあらゆる面を管理するための選択肢が次第に複雑になり、ファイナンシャルライフが細分化される状況に直面しています。フィンテックのスタートアップや他業種からの参入が相次ぎ、従来のバリューチェーンはアンバンドリングされていますが、まだ再編の可能性も残されています。


5.保険

リスクではなく人を中心に再設定する
テクノロジーは消費者の保険体験に変革を起こしていますが、業界の進化は始まったばかりです。保険業界が遅れを取り返し、消費者の人生のあらゆる局面にわたり、消費者の期待を上回る形で、消費者のために価値を生み出す方法を再定義する時です。シンプルで便利であることが最も重視され始め、競争のルールが書き換えられつつあります。

執筆者

株式会社KPMG FAS
パートナー 中村 吉伸

株式会社KPMG コンサルティング
パートナー 箕野 博之

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