BLT:「クロスボーダーM&Aと海外企業の経営」成功の鍵 | KPMG | JP
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BLT:「クロスボーダーM&Aと海外企業の経営」成功の鍵

BLT:「クロスボーダーM&Aと海外企業の経営」成功の鍵

本稿では、BLT(ビジネスロジックとテクノロジー)とは何か、またクロスボーダーM&Aと海外事業の運営におけるBLTの役割について説明します。

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2000年以降、海外企業の間では情報システムや先進「テクノロジー」が急速に浸透しました。今ではそれらのコモディティー化が始まっており、あらゆる産業で「テクノロジー」を取り込んだ成長が進展しています。
先進企業には、競争力あるロジックに基づいて、経営資源のひとつである「テクノロジー」を用いた戦略をいかにして構想し、それを実現できるかという経営能力が求められています。
長年にわたり、海外におけるM&Aを含む経営改善の支援や、企業経営にも携わった筆者の経験から、優秀な経営陣に共通しているのは「ビジネスロジックとテクノロジー(本稿ではBLTと称します)」の重要性を誰もが認め、深い造詣を持っているということです。海外事業の成功には、BLTを理解することでコミュニケーションの壁を低くし、経営改善に繋げていくことが重要だと考えます。
本稿では、BLTとは何か、またクロスボーダーM&Aと海外事業の運営におけるBLTの役割について説明します。
なお、本文中の意見に関する部分は、筆者の私見であることをあらかじめお断りいたします。

ポイント

  • 海外市場におけるニーズに対して、技術を所有することで勝負するのでなく、戦略に組み込んだアイデアを迅速、かつ完璧に実行に移す手段を組立て、広域で展開するためには、「ビジネスロジック&テクノロジー(BLT)」の理解と実践が重要である。
  • クロスボーダーM&Aに際しては、通常のDDに加え、このBLT視点から対象会社を検証する。対象会社の過去の業績から今後の成長可能性を測るには、インタビューを通して、BLTに造詣が深く、才能や現状の対象会社の業績に対する貢献度が高い真のキーマンを探し出す力も重要である。
  • また、海外事業を担う経営のキーマン達を現地で雇い、維持するためには、日本側からもBLTに深い造詣を持ち、同じ視点でコミュニケーションを図り、海外市場でチャレンジすることができる経営人材を現地法人に送り込む必要がある。

I.次世代の競争を制するビジネスロジック

1.先端「テクノロジー」も、時代は「モノ消費」から「コト消費」の対象へ

(1)テクノロジーのコモディティ化

情報システムや機械設備といった先端「テクノロジー」も、早いスピードで技術が解明されていきます。所謂、「リバーステクノロジー」が同時並行で発展したことで、あらゆる商品や技術が長期間その優位性を保てなくなり、すべてにおいてコモディティー化が進んでいます。さらに欧米を中心とした先進諸国が優位を保っていた先端産業や情報技術も、インターネットの普及や予期せぬ情報流出などによって、あらゆる技術が瞬時に世界に共有される環境になったことで、技術拡散を通じたコモディティー化が進んでいます。これまで利益の源泉であった優位性のある技術を所有しているだけでは生き残ることができないという新たな脅威が生まれています。


(2)クラウド技術の浸透と生産戦略の変化

こうした「テクノロジー」の変化は身近にもあります。日本の基幹情報システムも、最近までは数億円もする黒画面の自社製メインフレームの時代でしたが、現在は多くの企業がネットワークを用い比較的維持費が安価なサーバー型に移行を終えています。さらに近年ではそうした企業の基幹システムでさえ、ミニコンピュータと化した携帯電話のように、クラウドベースでのアプリやデータストーレージといった共同利用型へ、すなわち従来のソフトウェアの所有型から、利用に応じた従量課金型へと移行し始めています。
ハードウェアの代表である産業ロボットや「テクノロジー」を備えた自社工場も、生産ロットの確保、変動する需要の吸収や稼働率の管理から脱却して、差別化された技術を維持しつつ、戦略的により効率性の高いCMO工場へ外注する海外企業も増えています。かつて、大企業が巨額投資による工場設備や情報システムの構築を他社に対する参入障壁にすることができた時代から、企業の規模にかかわらず、誰でもアイデアがあれば低コストで適正規模のファイナンスを行い、必要な設備や技術を調達し、何でも作ることができる時代へとパラダイムシフトを始めています。


(3)消費の変化に対応する経営のダイナミズム

国内の独占的な地位とは異なり、海外市場では、世界中のエンドユーザーの嗜好がさらに多様化しています。B2BだからといってB2Cの少量多品種展開の影響を受けることは免れません。たとえば、完成品メーカーが持つマス生産主体の工場においても、求められるデザインの高度化や、商品や技術に係るライフサイクルの短縮化によって、既存の顧客ベースであったとしても、価格・性能・スピード等の面で要求水準を満たすことができなければ、すぐに受注に影響が出て、工場稼働率の低下や減価償却負担の増加に直面します。ボトムアップ経営で「モノ消費」型販売を追求し、自社所有のマス生産工場における生産と雇用を維持し続けるには、後進の「モノ消費」主体国での販路開拓、ロングテール汎用品大手としての地位の確立、もしくは高付加価値品へのシフトしてモデル存続を図る等、選択肢は限られます。
圧倒的な資金力を誇る資源メジャーであれば天然資源やエネルギーを制し、コモディティー市場でも長期間にわたって存在感を示すことができるかもしれませんが、多くの企業はそうではありません。世界中で資金がだぶついている現在、所有にこだわって勝負するビジネスに向かうと、さらに資金力のある企業に太刀打ちできません。したがって、「コト消費」経済へと移行している今、経営トップを中心に求められるのは、海外市場における消費者や顧客企業のニーズの細かな変化を見極めながら、「テクノロジー」や工場の所有には重きを置かず、柔軟かつ細部にわたって完璧なソリューション戦略やアイデアの提供手段を、スピーディーに組み立てる機動力です。

2.「ビジネスロジック」とは何か

(1)「テクノロジー」を活用した組織内部の「からくり」

経営のアイデアを競争力の源泉として事業展開するためには、細部にわたって経営のポリシーを「からくり・アルゴリズム」として組み込み、事業そのものを経営者の意図に沿う形に整える必要があります。グローバル展開する事業においてはなおさら、その根本となる考え方をどの国でも通用するクリアなものにしておく必要があります。そうした経営のコアとなる考え方、すなわちビジネスモデルを実現するために必要なものが、経営資源である「テクノロジー」を活用して論理的に構築した「からくり」であり、これが「ビジネスロジック」です。
ビジネスモデルを想定通りに機能させるためには、経営者が「ビジネスロジック&テクノロジー(BLT)」を正確に理解し、実行までの組立てを綿密に考え、組織内に浸透させていかなければなりません。そのためにも、経営の意思を「テクノロジー」を使って末端までいかにして伝えるのかがカギとなります。経営陣は号令をかけるだけで、あとは下部組織に任せるだけでは解釈に差が生じるリスクが大きく、また、特に迅速な判断が求められる海外市場では、現地の経営陣がBLTを理解したうえで判断を下していく必要があります。「テクノロジー」の力を駆使し、海外を含めたグループ全体を統制する仕組みづくりを取り入れる必要があります。


(2)自社の経営資源の把握とバリューの最大化

図表1は「ビジネスモデルを支えるビジネスロジック」の相関図を示しています。

図表1 ビジネスモデルを支えるビジネスロジック

外部環境の微妙な変化の中にニーズを見い出し、そこにサービスや商品を提供するアイデアを構想することで、経営者による適切な外部環境の理解に基づいたビジネスモデルの構築活動 - 効果的な戦略商品やサービスの提供 - が企業の外側に位置しています。
内側の核には、ビジネス戦略に基づいた事業計画の実行に向けて、内部経営資源をフル活用して企業利益の最大化を目指すバリューチェーン活動があります。「テクノロジー」を含む、入手できるすべての経営資源(ヒト、モノ、カネ、知財、外部支援等)を把握したうえで、自社が持つバリューチェーンの強み、弱みを明確にする必要があります。それら内部経営資源を十分に活用し、最適に制御する中枢に「ビジネスロジック&テノロジー(BLT)」が位置しています。経営陣がここを完全に制御することが、競争を勝ち抜いていくうえでの重要なカギで、特に海外企業の経営では重要になります。

II.BLTを通じた海外企業の経営陣とのコミュニケーションの改善

1.海外市場で求められるBLTの理解力

(1)マス市場(小売り)におけるBLTの視点

巨大資本を背景にした天然資源やエネルギーを独占する資源メジャー、もしくは嗜好品として価格支配力がある高級ブランド企業を除けば、多くがマス市場のニーズを狙う企業に該当することでしょう。

  1. 試されるバリューチェーンの対応能力
    マス市場を狙うにあたり、BLTの視点をもった運営が必要となる例をいくつか挙げてみます。まずは、米国のマス市場において長年自前進出で活躍していた日系の消費財メーカーの例です。15年以上前になりますが、その海外子会社は米国における小売りチェーン最大手のWMからナンバーワン・サプライヤーの地位を獲得しました。現在も米国内に約5,000店舗を展開するWMは、当時から販売数量も非常に多く、日系企業でなくても誰もが取引先としたい魅力的な最大の小売り事業者でした。
    しかしながら、サプライヤーにとっての課題は、指定されたディストリビューションセンター(DC)に集約された納品指定とはいえ、米国中に5,000近い店舗を抱えているため、日々の売れ行きの変動率は極めて大きくなります。サプライヤーには、そうした店頭からの販売動向に関するデータを頼りに、必要なパターン・アルゴリズムをSKU(Stock Keeping Unit=品番)別やその他の商品属性区分別に見分ける機動的分析力が求められます。つまり、「毎日の厳しい値下げ交渉に対応するだけでなく、注文量の激しい増減に対しても、それぞれのDCに遅延なく、かつ過不足なく正確な時間に届けること」を誓約しなければなりません。サプライヤーにとっては、バリューチェーンの対応能力が試されており、厳しい条件の下でも、サプライヤーとしての適応力があるかという視点で選別されているのです。
  2. 顧客ニーズに対応したロジスティックス構築
    実際、こうした海外の大手小売プレーヤーと取引する場合、何千という納品業者が存在するなかでの調整になりますので、仮にスケジュール通りに搬入することができなければ、配送トラックは平気で3 - 4日搬入できずに外で待機させられるケースはよくあります。これに伴って店舗の商品棚欠品ペナルティー、つまり売上機会損失のペナルティー、遅配ペナルティーに加え、トラック配送業者からの待機コストも課せらることになります。物流は、外部のサードパーティー・ロジスティクス(3PL)業者に依頼するのが通常ですが、3PLのオペレーションも自ら見直し、必要に応じて改善して顧客ニーズに対応しなければ、マス消費財ビジネスにとっては、途端に上記ペナルティーが重しとなって大きく収益を圧迫することになります。この外部のロジスティックス部門の業務にこそ、「ビジネスロジック」と「テクノロジー」を同時に理解することが必要となります。
    こうした状況の下、「テクノロジー」を用いて、まず販売計画に利用する顧客別、SKU別、また週次、月次、四半期、半期、年次ごとのデータを入手し、ビジネスロジックやデータソースの過去のイベント分析や正常販売量分析から始めます。取引先のデータを用いて、商品毎に標準偏差や変動率、さらには顧客企業の発注までのリードタイム等を加味してデータ分析をします。個々のひずみは何とかマニュアル補正することができますが、海外のようなマス市場になってくるとデータのひずみも拡大するため、「テクノロジー」を駆使した異常検索も必要になります。
    さらに社外に対しても、GPSやASN/ATPといったロジスティックス用EDIを用いたデジタル化対応力の活用、もしくはITとの親和性が高い物流会社に「テクノロジー」パートナーとして契約を締結するなどの決断も必要になることがあります。日常的にデータを分析し、経営者に代わってある程度の影響までを合理的に足切りして判断し、管理監督していくには「テクノロジー」を用いた「ビジネスロジック」を見直していくしかありません。

(2)幅広い領域を全体最適化するロジック

商品開発から、材料仕入、生産・出荷・配送に至るプロセスやリードタイムをオペレーション上で最適化し、顧客が求める条件を厳守するためには、図表2に詳細を示した中にもあるように「ビジネスロジック」のいくつかを、情報システム機能の中に反映しなければなりません。

図表2 幅広い機能領域のオペレーションを全体最適化する

経営企画 商品企画・開発
  • 戦略分析・ベンチマーク・事業計画
  • KPI管理データ属性設計・解析手法
  • 買収統合計画・カーブアウト計画・PMI支援
  • 組織再編(持株会社・会社分割・合併等)
  • ガバナンス設計・導入(組織・役割・責任)
  • 販売価格設定・割引/リベート設定計算
  • MD(マーチャンダイジング)
  • SM(ストアマネジメント)
  • マーケティング(従来型・デジタルマーケティング)
  • Eコマース運営
  • 市場リサーチ・商品別市場占有度把握
営業・受発注業務 在庫管理
  • 大口VIP管理・CRM顧客管理
  • 受注Quotation
  • コールセンター運営:照会・返品・クレーム対応
  • SKU別在庫数量計画(発注点・EOQ)
  • 在庫管理手法
需要管理 調達・サプライチェーンマネジメント
  • 需要予測・需要計画:POS解析・需要予測アルゴリズム・イベント管理・CPFR
  • 営業支援ツール:Salesforce等
  • イベントマネジメント・データ整理
  • SOP:生産販売会議(PSI)
  • MPS:マスタープランニング
  • MRP:最適資材調達計画
  • 調達スケジュール/輸出入業務
  • 労務シフト管理(正社員/パート)
  • MRO:副資材管理計画
製品・部品設計・製造設計 製造
  • CAD連携・PLM連携
  • BOM部品構成整備・設計図面管理
  • 標準化・モジュール化整備
  • Process & Discrete Manufacturing
  • Shop Floor Control (工程管理)
  • CF/RCF:生産能力計画
  • 生産スケジューリング
  • ロットコントロール・バッチコントロール
  • Kitting・Packing計画
  • 品質管理(SPC)
倉庫管理 ロジスティックス
  • 倉庫内在庫管理(循環棚卸)
  • 小口・BOX・長尺物棚割
  • ピッキング導線
  • ピッキングオーダー
  • 返品・棚戻し・棚替え
  • 搬入出庫管理・DPS
  • 自動倉庫・ソーター・DPSシステム
  • DRP:物流拠点別所要計画
  • 配送ルート管理計画・GPS・T&T
  • トラック運行管理と積載計画
  • 出荷計画・Track & Trace
原価管理 システム・マテハン機器・産業機械
  • 標準原価計算
  • 期間別原価計算・総合原価計算
  • 原価設計・プロセス・システム導入
  • 直接間接人件費、機械設備償却費配賦
  • 基幹システム(ERP/レガシー)導入
  • データベース(属性/DC/クレンジング)
  • ネットワーク(WAN/LAN/EDI)導入
  • サイバーセキュリティー(ソフト・HD)導入
  • WEB/ポータルサイト・ワークフロー
  • SCM専門システム(WMS/TMS)導入
  • マテハン及び産業機械連携(PLC)
  • BCP/DR支援・IT資産管理
財務その他本部機能
  • CF管理(資金繰り)・ALM感応分析
  • 為替・オフバランスポジション
  • 決算・開示体制(月次/四半期/年度)
  • 内部統制(Segregation of Duty・決裁権限・コンプライアンス・Active Directory・Workflow・SOX/JSOX)

ここまで複雑化すると、これまでのやり方を変えることはないと主張する海外の現地経営陣に妥協し、海外事業は赤字にさえならなければよいと諦める本社経営陣が多いのも事実です。


(3)海外子会社の経営におけるBLT視点

この点は、クロスボーダーM&Aの取組みを検討するうえにおいても重要です。ここ数年において、日本企業による海外企業買収件数は上昇傾向にありますが、残念ながらそれらの取組みが必ずしも成功、すなわち相乗的な企業価値の向上に繋がっていないケースは数多く存在します。理由は様々ありますが、なかでも海外子会社との「コミュニケーション・ギャップ」は、BLTの視点で現地経営陣とビジネスの目線を合わせた議論を尽くせていないことに起因していると思います。つまり、課題解決のためには、買収した海外子会社と対立するのではなく、第三者である外部専門家等も交えつつ、冷静かつ客観的な議論が肝心です。そうすることで、海外子会社が持つ経営への拘りや、お互いのBLTへの理解も深まり、結果的に成功までのリードタイムを短縮することに繋がります。海外市場で、堅牢な「ビジネスロジックス&テクノロジー」の理論を確立した企業は、不況時においても、柔軟に変化に対応することができるでしょう。

2.BLTの視点に基づくコミュニケーションを通じた海外法人の経営

(1)成長計画が達成できない海外子会社の本質

長年自前主義に拘り、かつ腰を据えて海外事業の梃入れをすることもなかったために、既に海外現地法人単独の努力では、本社が求める成長計画を達成できなくなっているケースもあります。
海外子会社経営をするにあたって、日本から幹部を派遣したり、破格の報酬で現地幹部を雇ったりしたとしても、彼らのBLTに対する理解度を見抜くことができず、そのまま当該海外子会社に打つ手がなくなっているケースもあります。海外市場に進出しても、海外での競争によって成長を目指すよりは、子会社経営は赤字を出さないことを優先し、安定経営に重きを置いてしまうと、どうしても縮小均衡に陥ってしまいます。


(2)BLTを理解するキーマンの確保

海外において保守的な日本人を支えるには、日本人にとって付き合いやすい現地の人材よりも、企業買収の際、時々存在するBLTに造詣が深く、今後生じうる市場の変化に対応して経営をけん引することができる特別な現地のキーマンを探し出し、確保することも重要です。
実際に買収で成功している企業では、売上と顧客を持った対象会社を買ったというよりは、BLTに対する造詣が極めて深い素晴らしいキーマンを見つけられたケースが多いです。そのキーマンは必ずしもCEO・CFOといったCの冠を持っていない場合もあります。昔で言えば、羽柴秀吉にとっての黒田官兵衛のような、将来の会社を支えてくれる参謀と言われる人材を見つけるのです。こういう人材を特定し、積極的に迎え入れると、市場の変化にも柔軟に対応できる足腰の強い会社への変革を後押しする原動力になると思い
ます。


(3) 海外と本社の絶え間ないコミュニケーション

ただし、こうして手に入れた優秀な人材は、日本の経営者側からBLTの議論に参加させ続け、インサイトや知的なチャレンジといった刺激を与える続けることを怠ると辞める可能性が高い傾向があります。日本の経営陣側も、そうした人材の流出を招くことがないように、こうした議論を通じて現地幹部と積極的にコミュニケーションを図り、お互い切磋琢磨できる経営人材になっておく必要があります。そうすることで将来における市場の変化にも、本社と現地経営陣と二人三脚で力強く対処する、機動力の高い会社に成長させることができるでしょう。現地法人の経営においては特にこうしたコミュニケーションが重要になると思います。


(4)買収後を見極めるBLT視点

ビジネスロジックは、M&Aといった経営上の意思決定においても重要な判断基準の1つになり得ます。M&Aでは、収益規模やビジネスモデルを見て買収先を決めるのが伝統的なやり方です。しかしながら、企業には、創業以来培われてきた特性やDNAがあります。買収のシナジー効果の創出には、これらを早い段階で見極めることが重要になります。海外企業の買収では、わずか数時間の面談で業務やキーマンのBLTの理解度についても把握しなければならないケースがほぼすべてといっても過言ではありません。買収判断やポストディールの環境を見極めるためにも、「ビジネスロジック」と「テクノロジー」に注目し、バランス感覚をもって対象企業を見ていくことが重要です。

執筆者

株式会社 KPMG FAS
トランザクションサービス(TS/PMI)
ビジネスロジック&テクノロジー(BLT)
パートナー 伊藤 久博

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