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ビジネスにゴーサインが出るのはいつか?

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The Brexit Column - テレーザ・メイ英首相の野心的なスピーチを受けて、Brexitのタイムテーブルはかなり厳しいものになるだろう、とKPMG英国パブリックポリシー部門担当ディレクターのMark Essexは述べています。

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先週、テレーザ・メイ首相が行ったBrexitスピーチに対してビジネスグループはさまざまな反応を示しました。英産業連盟(CBI)および取締役協会(IoD)は、メイ首相が妥協する姿勢を強調したことは好意的に受け止めたものの、政府の計画についてその時期や詳細をもっと明確にする必要があった、と述べています。

一方、英国商工会議所(BCC)の見解は異なり、今回のスピーチでメイ首相の方針は明確になったが、企業には最終的な協定がどういったものになるのか未だに不明のままである、としています。

筆者もBCCと同意見ですが、これは深刻な事態です。英国のEU離脱まで残すところ1年余りとなり、企業は事業計画策定に向けたゴーサインを待っていますが、メイ首相のスピーチにより、ギリギリまでゴーサインが出ない可能性が高くなりました。

その理由は、メイ首相のスピーチが曖昧で保身的な内容だからではなく、英国は以下のようなものを目指す、という野心的な声明であったことが挙げられます。

  • 国境での摩擦がほぼない貿易を可能にし、関税同盟ではなく関税協定の形式による自由貿易協定。
  • アイルランドにはハードボーダー(厳格な国境管理)を導入せず、一部のビジネスに現状のまま(追加的な検問を受けることなく)取引の継続を認めることに対するEUの承認。
  • 一部の分野において異なる規則を採用する一方で、単一市場の外から単一市場へのアクセスの継続。

今回のスピーチは大成功だったといえます。先日、残留支持派の保守党下院議員が労働党と共に英国の関税同盟残留への賛成票を投じるようなことがあれば、政府が崩壊する可能性があるという深刻な憶測が流れましたが、メイ首相のスピーチは、Brexit賛成派のみならず、こうした保守党内の反対派をも納得させることに成功したようです。党内を団結させるという不可能とも思われていたことを成し遂げたことで、メイ首相は自らの方針を変更する必要はなくなりました。

一方で、EUにはまだ団結面の課題があります。欧州委員会の委員はメイ首相のスピーチの内容についてはまともに取り合っていませんが、メイ首相が今回のスピーチにより方針を確立したことは認識しています。そこで欧州委員会は今後について、もっと柔軟な対応をするか、あるいは27加盟国の結束を試すかの決断を迫られることになりました。欧州委員会は、欧州議会のBrexit交渉担当者であるヒー・フェルホフスタット氏が英国の示した方針の一部を好意的に受け止めたという事実を考慮する必要があります。また英国との交渉について最終的な決断を下すのは、今後もEU加盟国の代表者で構成される欧州理事会であるよう求める一部の加盟国からの懸念についても注視する必要があります。

いずれにせよ、EUの諸機関による妥協は簡単に決議されることはないでしょう。すべての関係者にとってのリスクが高いことを踏まえ、欧州委員会は英国の方針を容易に認めないことで、ルールは簡単には変えられないということを加盟国に示そうとするのではないでしょうか。


明日の百より今日の五十
クライアントとの対話の中で、多くの英国企業は、より有利な内容の協定が締結されることを期待してぎりぎりまで待つよりも、適度な内容の協定が早めに確定されることを望んでいた、という声が聞かれました。しかし、私たちは、確実に前者のパターンを突き進んでおり、交渉が決裂して合意なしとなる可能性も高まっています。ドナルド・トゥスク欧州理事会議長の水曜日(2018年3月7日)の強気な発言は、EUがメイ首相の方針を認める気はないことを明確に示していました。

次に事態の進展が予想されるのは3月22日、23日にブリュッセルで開催されるEU首脳会議で、英国はそこで移行措置についての合意が得られることを望んでいますが、この合意は6月に開催予定の次回の首脳会議までずれ込む可能性があります。ただし、いつ公表されるにせよ、確実なことは何も期待できません。せいぜい移行措置に関する合意案か、うまくすれば最終版が公表されることはあっても、より全般的な交渉が終わるまで「署名」されることはないからです。いったい、いつになれば法的に確実なゴーサインが出るのでしょう?

Brexitの条件に関する合意の目標期日は2018年10月です。英国、EU双方がそれぞれの方針について譲歩の姿勢を見せなければ、第1段階交渉に関する合意が去年の10月から12月に延期になったのと同様に、今回もずれ込む可能性があります。その場合、実際に合意が得られるとしても、その時期は今年の12月になる可能性があります。

仮にそうなった場合、2019年3月29日のEU離脱までに企業に残される期間は3ヵ月程度ということになります。メイ首相がスピーチを行った後、一部の大企業はその内容を受けて「No Deal」シナリオに備えるための投資を実施し、サプライチェーンや従業員に関する対応の準備に取り掛かりました。

その他にも、実際に起こるかどうかわからないシナリオに備えてそこまでのコストをかけることはしないまでも、いつ出るとも知れないゴーサインを待つ間に、在庫を蓄積する、影響を受ける可能性のある地域を避けてサプライチェーンのルートを変更するなど、さまざまな対策に着手している企業はたくさんあります。待つことはもどかしいことかもしれませんが、どの企業にも、その間にやっておけることはあると思います。


本稿は英語版(原文)のコンテンツを和訳したものです。日本語版と英語版との内容に相違がある場合は英語版が優先されます。

The Brexit Column: When will business get a green light?

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