関連会社に対する有形固定資産の現物出資(IAS第28号関連) - IFRICニュース2018年1月 - アジェンダ却下確定

IFRS解釈指針委員会ニュース(2018年1月) - 関連会社に対する有形固定資産の現物出資(IAS第28号関連)について、2018年1月のIFRS-IC会議で審議された内容を更新しています。

関連会社に対する有形固定資産の現物出資(IAS第28号関連)について、2018年1月のIFRS-IC会議で審議された内容を更新しています。

関連IFRS

IAS第28号「関連会社及び共同支配企業に対する投資」

概要

新たに設立した、共通支配下にある関連会社の持分と引換えに、有形固定資産を現物出資した場合、どのように会計処理するべきか。

前提条件は以下の通り

  • 同一の政府の支配下にある3つの企業(投資者)は、新たな企業を設立する(共通支配下における取引)。
  • 各投資者は、新たな企業の持分と引換えに有形固定資産(IFRS第3号の事業を構成しない)を現物出資する(IAS第16号に基づく経済的実質を有する取引)。
  • 各投資者は、新たな企業に対してそれぞれ重要な影響力を有している(支配及び共同支配は有さない)。
  • 当該取引の条件は、市場参加者との取引と同様である。

この取引に関して、3つの論点が議論された。

  1. 共通支配下における取引の会計処理について、例外規定がない限り該当するIFRSの規定を適用すべきか、それとも、IFRS第3号第2(c)項の例外規定にあるように、公正価値測定の対象外と考えるか
  2. IAS第28号第28項は、資産に係る関連会社との取引により生じる利得又は損失を、当該関連会社に対する「関連のない投資者」の持分の範囲でのみ認識することを定めている。ここで、「関連のない投資者」とは、報告企業以外の投資者を意味する(すなわち、利得及び損失は、他の投資者の持分の範囲で認識する)のか、それとも、IAS第24号における「関連当事者」の定義を満たさない企業を意味する(すなわち、利得及び損失は認識しない)のか
  3. 有形固定資産の現物出資取引により生じる利得又は損失の算定は、有形固定資産の公正価値に基づくか、それとも、関連会社に対する持分の公正価値に基づくか

ステータス

IFRS-ICの決定

IFRS-ICは、2017年9月のIFRS-IC会議で、次の通り指摘した。

  1. IAS第8号第7項は、取引が、あるIFRS基準に具体的に当てはまる場合には、当該取引に適用する会計方針は、そのIFRSを適用して決定しなければならないと規定している。このため、個別のIFRSが共通支配下における取引を適用対象外とする場合を除き、該当するIFRSの規定を適用すべきである。
  2. IAS第28号第28項における「関連のない投資者」は、IAS第24号で定義される「関連当事者」の対義語を意味するのではなく、報告企業以外の投資者を意味するものと見受けられる。これは、財務諸表は報告企業の観点で作成されているという前提とも整合する。すなわち、有形固定資産の現物出資から生じる利得又は損失は、関連会社への他の投資者の持分の範囲で認識する。
  3. 当該論点は、現物出資した有形固定資産の公正価値と、取得した関連会社の持分の公正価値が異なる場合にのみ影響が生じる。本件取引の前提条件に基づけば、一般的には、現物出資した有形固定資産と取得した持分の公正価値は同額であることが予想されるため、差異がある場合には、まず、その理由を検討し、公正価値測定に使用した手続や仮定をレビューすべきである。また、IFRSの規定を適用すれば、関連会社投資が減損しているという客観的証拠がない限り、有形固定資産の現物出資による利得または損失は、現物出資した有形固定資産の公正価値に基づいて算定される。減損の客観的証拠がある場合(有形固定資産の公正価値が取得した関連会社持分の公正価値を上回る場合)は、IAS第36号の減損規定を考慮することとなる。

IFRS-ICは、2018年1月のIFRS-IC会議で、既存のIFRS基準書により、関連会社に対する有形固定資産の現物出資取引に係る会計処理をどのように行うかの適切な基礎を示していると判断し、アジェンダに追加しないことを決定した。

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