IFRSの年次改善(2015-2017年サイクル) - IFRICニュース2018年1月

IFRS解釈指針委員会ニュース(2018年1月) - 2017年12月12日に公表された「IFRSの年次改善(2015-2017年サイクル)」について解説しています。

2017年12月12日に公表された「IFRSの年次改善(2015-2017年サイクル)」について解説しています。

1.資本に区分される金融商品に係る支払配当による法人所得税への影響

関連IFRS、概要は下記の通り。

関連IFRS

IAS第12号「法人所得税」

概要

背景

IAS第12号第52B項は、純利益又は留保利益の一部又は全部が配当として支払われる場合の法人所得税への影響を、第58項(a)及び(b)に示す状況から生じる配当の法人所得税への影響を除き、当期純利益に含めて認識することを要求している。IAS第12号第52B項はIAS第12号第52A項を参照していることから、この要求事項が、同項に規定されている、配当と未分配利益についての税率が異なる状況においてのみ適用されるのかを明確にすることが求められた。

改訂内容

本改訂は、IFRS第9号「金融商品」に規定される利益の分配としての配当から生じる法人所得税への影響は、当該利益がどのようにしてもたらされたかに関する過去の取引及び事象の当初認識時の会計処理に従って、純損益、その他の包括利益及び資本のいずれかで認識すべきであることを明確化している。

適用日

2019年1月1日以降開始される会計年度から適用される。早期適用は認められる。早期適用する場合には、その旨を開示することが要求される。

2.資産化後に発生した特定借入の借入コスト

関連IFRS、概要は下記の通り。

関連IFRS

IAS第23号「借入コスト」

概要

背景

IAS第23号第14項は、企業が一般目的で資金を借り入れ、適格資産を取得する場合、資産化に適格な借入コストの金額を、当該資産への支出に資産化率を乗じることにより算定することを要求しており、この資産化率の算定にあたっては、企業の当期中の借入残高から適格資産の取得のために特別に行った借入を除くことを求めている。ここで、借入コストの資産化率の算出にあたり、適格資産の取得のために特別に行った借入ではあるが、すでに適格資産への資産化対象ではなくなったものについて、一般借入の一部に含めなければならないのかを明確にすることが求められた。

改訂内容

本改訂は、借入コストの資産化率の計算における一般借入には、適格資産の取得のために特別に行った借入(ただし、それらの資産の意図した使用又は販売に向けた準備のための活動のほとんどすべてが完了するまでの期間に限る)を除く、当該期のすべての借入を含めることを明確化している。

適用日

2019年1月1日以降開始される会計年度から適用される。早期適用は認められる。早期適用する場合には、その旨を開示することが要求される。

3.共同支配事業に係る既存持分の再測定

関連IFRS、概要は下記の通り。

関連IFRS

IFRS第3号「企業結合」、IFRS第11号「共同支配の取決め」

概要

背景

企業が事業の定義に該当する共同支配事業に対する支配を獲得したとき及び共同支配を獲得したときの2種類の取引について、すでに保有している共同支配事業の資産及び負債に対する持分の会計処理を明確にすることが求められた。

改訂内容

本改訂は、以下の事項を明確化している。

  • IFRS第3号の事業の定義に該当する共同支配事業に対する支配を獲得する場合、既存持分を再測定する。
  • 共同支配事業に対する持分の変動により、共同支配事業に参加しているが共同支配を有していない当事者が共同支配を獲得する場合は、共同支配事業がIFRS第3号の事業の定義に該当しても、既存持分を再測定しない。

適用日

2019年1月1日以降開始される会計年度から適用される。早期適用は認められる。早期適用する場合には、その旨を開示することが要求される。

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