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CDP2018質問書の概要

CDP2018質問書の概要

2017年12月、CDP2018質問書が公開されました。これは同年9月までに行われたコンサルテーションを通じてCDPへ寄せられた要望や意見を踏まえ、コンサルテーションドラフトから修正・変更が加えられたものとなります。※

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コンサルテーションドラフトの内容については2017-9-20ニューズレターをご参照ください。

ここでは、コンサルテーションドラフトから変更の有無を中心に、CDP2018の全体像と同質問票(一般質問書)の概要を以下に整理します。

CDP2018スケジュール

2018年2月7日時点で、CDPより以下のスケジュールが公表されています。
回答対象企業においては、まずは公表済のCDP2018質問票を確認し、新規設問への回答を中心に検討を開始し、「回答ガイダンス」と「回答評価方法」が公表された段階で回答をブラッシュアップしていくという進め方が推奨されます。また、回答期限が7月31日(サプライチェーン質問書は8月15日)である点にも留意が必要です。

2017年
12月
CDP2018質問票の公表(CDPウェブサイトにて閲覧可能)
2018年
2月
回答対象企業への通知(回答を求める旨、所属するセクター)
3月 「回答ガイダンス」、「回答評価方法」の公表
4月 回答受付開始
サプライチェーンプログラムの調査対象企業への通知
7月 回答期限:2018年7月31日
8月 回答期限(サプライチェーン):2018年8月15日

全体的な変更点

1.セクター別質問票・Minimum質問票の導入

コンサルテーション時点で公表された通り、気候変動、ウォーター、フォレストの別によらず、セクター別質問書が導入されました。セクター質問票が設けられたセクターは、下表の通りです(コンサルテーションから変更なし)。

テーマ
気候変動 ウォーター フォレスト
石油・ガス
石炭
電力
石油・ガス
電力
輸送機器製造
輸送サービス
セメント 金属・鉱業
鉄鋼
金属・鉱業
化学
化学
食品・飲料・タバコ
農産物
紙・林業
食品・飲料・タバコ 紙・林業

 

また、質問票は完全版(Full version)と簡易版(Minimum version)の2つに区分されました。簡易版質問票は一定の要件を満たす企業のみが利用することができます。
「自主回答かつ年間収入250百万ユーロ未満」もしくは「回答初年度」の場合

2018年2月に、企業はCDPから、どのセクター質問票に回答する必要があるか、簡易版を適用する要件を満たしているかが通知される予定です。

2.質問票の構成変更

コンサルテーションで示されていた通り、気候変動・ウォーターともに、質問票の構成が変更されました。今般の見直しは、TCFD提言に応じて質問内容を見直したものであり、CDP2018に回答することはTCFDが推奨する情報開示の一部に対応することにつながると考えられます。


(1)気候変動
気候変動質問書は、これまでの15セクションから14セクション(Introduction除く)に再構成されました。コンサルテーションドラフトでは8セクションで構成されていましたが、コンサルテーションドラフトにおける“C5.指標”がC5~C10に分割されています。また、C13が新規追加されました。(ただし、C13は全問がセクター別質問であり、食品・飲料・タバコ、農産物、紙・林業の3つのセクターに属する企業のみが対象となります。)

CDP2017との対応関係を下表に示します。コンサルテーションドラフトと同様、CDP2017における”CC2.戦略”が複数のセクションに分離されています。

 

CDP2018質問書 対応するCDP2017質問書のセクション
C0.イントロダクション CC0、CC8
C1.ガバナンス CC1
C2.リスク/機会 CC2、CC5、CC6
C3.事業戦略 CC2
C4.目標とパフォーマンス CC3
C5.排出量算定方法 CC7
C6.排出量データ CC8、CC12、CC14
C7.排出量内訳 CC7、CC9、CC10、CC12
C8.エネルギー CC7、CC11
C9.追加的な指標
C10.第三者検証 CC8、CC14
C11.カーボンプライシング CC2、CC13
C12.エンゲージメント CC2、CC4、CC14、
C13.土地管理によるその他の影響
C14.回答の承認 CC15

(2)ウォーター
ウォーター2018質問書は、コンサルテーションドラフトでは15セクションで構成されていましたが、最終的に2017質問書とほぼ同様の11セクション(Introduction除く)となりました。ただし、例えば2017質問書のW7(コンプライアンス)が2018質問書ではW2に加えられたり、2017質問書のW6(ガバナンス及び戦略)が2018質問書ではW6とW7に分けられたりと、セクションの再構成が行われるとともに、W10が追加されました。2017質問書との対応関係を下表に示します。

CDP Water 2018質問書 対応するCDP Water 2017質問書の
セクション
W0.イントロダクション W0
W1.現状 W1
W2.ビジネスへの影響 W1、W7
W3.手続き W2
W4.リスクと機会 W3、W4
W5.施設別の水のアカウンティング W5
W6.ガバナンス W6
W7.ビジネス戦略 W6
W8.目標 W8
W9.相関とトレードオフ W9
W10.検証
W11.回答の承認 W10

3.回答にかかる費用

CDPはすでに多くの国で回答を有料化しており、CDP2018から日本国内で上場する企業はCDP質問票に回答するためにCDPへ料金を支払う必要があります。料金は1社97,500円とされており、回答したテーマの数によりません(つまり、気候変動のみに回答する場合も、気候変動、ウォーター、フォレストのすべてに回答する場合も同一)。


質問の変更
TCFDの最終提言を踏まえ、新たな設問が追加されました。CDP2018質問書では、すべての設問に対して“CDP2017からの変更状況(原文 Change from CDP2017)”が示されており、以下の4つに区分されています。ただし、ここでNew questionやModified questionとされていても、CDP2017に同様の趣旨の設問がある場合もあり、個別にどのような変更がされているか、自社の回答に影響を与えるか否かを確認することが推奨されます。

  • New question:新たに策定された設問
  • Modified question:CDP2017から変更された設問
  • Minor change:CDP2017から軽微な変更が行われた設問
  • No change:変更なし

ここでは、一般質問書においてNew QuestionもしくはModified questionと区分された設問のうち、多くの企業にとって変更による影響が大きいと考えられる質問につき、以下において質問書別に解説します。

(1)気候変動質問書での主な変更点

番号 質問 変更の概要
C2.1 貴社では、短期、中期、長期の時間軸をどのように定義しているか、回答してください。 Change from CDP2017:New question
短期、中期、長期とはそれぞれいつからいつまでを指すのか、数値で回答することが求められています。
C2.3a 自社の事業に実質的に財務的もしくは戦略的な影響を与える可能性のある気候変動関連のリスクがあると考える場合、その詳細を説明してください。 Change from CDP2017:Modified question
C2.3aでは回答する気候変動関連リスクを”移行リスク“と”物理的リスク“に区分することが求められています。
CDP2017(CC5.1a~f)では“規制によるリスク”、“物理的影響によるリスク”、“その他のリスク”に区分して回答していましたが、CDP2018では上記の2区分に集約されました。
C2.3b 自社の事業に実質的に財務的もしくは戦略的な影響を与える可能性のある気候変動関連のリスクがないと考える場合、そのように考える理由を説明してください。
C2.4a 自社の事業に実質的に財務的もしくは戦略的な影響をもたらす可能性のある気候変動関連の機会があると考える場合、その詳細を説明してください。 Change from CDP2017:Modified question
C2.4aでは回答する気候変動関連の機会を”資源効率“、”エネルギー源“、”製品・サービス“、”マーケット“及び”レジリエンス“の5種類に区分して回答することが求められています。
上記同様、CDP2017(CC6.1a~f)では“規制による機会”、“物理的影響による機会”、“その他の機会”に区分して回答していましたが、CDP2018では上記の5区分に集約されました。
C2.4b 自社の事業に実質的に財務的もしくは戦略的な影響をもたらす可能性のある気候変動関連の機会がないと考える場合、そのように考える理由を説明してください。
C2.6 財務計画プロセスに、特定されたリスクや機会がどのように反映されたか説明してください。 Change from CDP2017:New question
C2.3やC2.4で特定されたリスクや機会が、財務計画プロセス、つまり将来の財務予測にどのような影響を与えるかを回答することが求められています。回答にあたっては、収益・事業費用・資産・負債等、財務諸表のどの領域に関連するのかを回答する必要があります。
C3.1d 事業戦略を策定する際に気候シナリオ分析を用いている場合、利用した気候シナリオ分析の詳細を説明してください。 Change from CDP2017:New question
気候シナリオ分析とは、一定の気候変動シナリオのもとにおいて自社の事業がどのような影響を受けるかを分析する手法を指します。ここでいうシナリオとは、いわゆる2℃シナリオ等、一定の前提条件下における将来の姿を指します。IEA(国際エネルギー機関)やIPCC(国連気候変動に関する政府間パネル)といった機関が複数のシナリオを公表しています。
CDPは気候シナリオ分析に関するテクニカルノートを発行しています。
C3.1g 事業戦略を策定する際に気候シナリオ分析を用いていない場合、気候シナリオ分析を利用しない理由を説明してください。


上記のほか、C8.2cでは燃料種別ごとに用途別内訳(発電用、発熱用、蒸気生成用等)の回答が求められる等、定量情報についても回答方式の変更が見られます。定量情報の収集や集計にはある程度時間を要することが考えられるため、事前に質問形式を回答することが望まれます。

(2)ウォーター質問書での主な変更点

ウォーター質問書の主な変更点は以下に示すとおりです。

番号 質問 変更の概要
W1.2 貴社の操業全体において、水に関する以下の側面はどの程度の割合で定期的に測定およびモニタリングを実施していますか? Change from CDP2017:Modified question
これまでの項目に加え、水ストレスの高いエリアにおける取水量、取水する水の水質、排水の温度、再生水/再利用水の量について、モニタリング状況を回答することが求められています。
W1.2d 貴社の総取水量のうち、水ストレスの高い地域からの取水量の割合をご回答ください。 Change from CDP2017:New question
水ストレスの高い地域における取水量について、その割合と前年度との比較、地域を特定したツールの回答が求められています。
W1.2j 再生水/再利用水の割合をご回答ください。 Change from CDP2017:New question
W1.2で再生水/再利用水についてモニタリングしている場合に回答が必要です。なお水リスクのある個別の施設についても、再生水/再利用水について回答が求められています(W5.1c)。
W1.4 水関連の問題について、貴社のバリューチェーンとエンゲージメントを実施していますか? Change from CDP2017:Modified question
これまでのサプライヤーではなく、「バリューチェーン」に関するエンゲージメントについて回答が求められています。なお複数の設問においても、上記と同様に「バリューチェーン」へ変更されています(W1.4d、W4.2a等)。
W2.1a 貴社に対して悪影響を及ぼした水に関連する問題について、その対応や財務的な影響をご説明ください。 Change from CDP2017:Modified question
財務的な影響について、数字での回答が必要です。なお、財務的な影響(コスト)などについては、複数の設問において具体的な数字での回答が求められています(例W4.2、W4.2a、W4.3a等)。
W6.2b 取締役会が水に関する問題を監督する状況について詳細を回答してください。 Change from CDP2017:New question
ガバナンスに関する設問は、取締役会と、これ以下の階層に分割されました。また、取締役会による直接の監督がない場合も、その理由について説明が求められています。
W6.2c 貴社において、水関連の問題について取締役会レベルの監督がない理由をお教えください。また、今後これを変更する予定はありますか?
W6.3 取締役会より下位のレベルで、水に関連する問題に関して責任を負っている、最高水準の管理職または委員会についてご回答ください。 Change from CDP2017:Modified question
取締役会以下の階層における水に関するガバナンスについて、回答が求められています。
W6.5 水に関する政策に対して、直接的または間接的に働きかけを行っていますか。どのような形で協働しているか、以下から当てはまるもの全てを選択してください。 Change from CDP2017:New question
水に関する公共政策への関与について、回答が求められています。詳細については、自由回答となっています。
W6.5a 政策への直接的または間接的な関与が貴社の水に関する方針やコミットメントと整合しているかどうか、どのようなプロセスで確認していますか。  
W7.1 水関連の問題は、貴社の長期事業戦略のいくつかの側面に含まれていますか? Change from CDP2017:New question
長期事業戦略に含まれているか否かと、詳細な説明(自由回答)が求められています。
W7.2 貴社の水に関連する設備投資(CAPEX)及び操業費(OPEX)のトレンドについてご回答ください。また、次の報告年度におけるトレンドの予測についてもご回答ください。 Change from CDP2017:Modified question
CAPEXとOPEXについて、トレンドの将来予測に関する回答が求められています。
W7.3 貴社は気候シナリオ分析の結果を、ビジネス戦略に含めていますか? Change from CDP2017:New question
気候シナリオ分析において、水に関する問題が特定されたか否かについて、説明が求められています。CDP Water 2017では、W2.6にシナリオ分析に関する設問がありましたが、CDP Water 2018では本設問のみとなっています。
W7.3a 気候シナリオ分析から、水に関する課題を特定しましたか?
W7.3b 気候シナリオ分析から特定された水に関する課題はどのようなものでしたか。また貴社はその課題に対してどのように対応しましたか?
W7.4 貴社は、ウォータープライシングを導入していますか? Change from CDP2017:New question
活用の有無や、その説明(自由回答)が求められています。
W8.1a 貴社において、会社レベルでモニタリングを行っている水に関する目標の詳細と、進捗状況についてご回答ください。 Change from CDP2017:Modified question
これまで、目標やゴールの適用範囲については問われていませんでしたが、CDP Water 2018より、会社レベルでモニタリングされている目標やゴールについて、回答が求められています。
W8.1b 貴社において、会社レベルでモニタリングを行っている水に関するゴールの詳細と、進捗状況についてご回答ください。

ここでは一般質問書の主な変更点について記載しましたが、セクター別の質問書においては、上記に記載のない情報の開示が新たに求められているので、留意が必要です。例えば、気候変動質問書では、化学セクターには「スコープ3カテゴリ1排出量(購入した物品・サービス)の原料別内訳」(C7.8)、食品・飲料・タバコセクター等には「サプライヤーによる農地・森林の管理状況」(C12.2)が問われています。また、ウォーター質問書では、金属・鉱業セクター及び石油・ガスセクターにおいて、「事業に伴う産出水のモニタリング状況」について回答が求められており(W1.2)、また食品・飲料・タバコセクターでは、「生態系や健康に被害を及ぼす可能性のある水質汚濁物質」に関する設問があります(W3.1、W3.1a)。

考察

コンサルテーションで示されていた通り、CDP2018質問書はTCFDの最終提言の影響を色濃く受けて、新たな設問が加えられました。一部の設問には、回答作成に相当の準備が必要になると考えられるため、早い時期から質問書を理解し、回答の準備を始めることが推奨されます。回答への負荷は増大することが予想されますが、CDP2018質問書に照らして、TCFDの提言が求めていることと現状とのギャップを把握することは、TCFDの提言に沿った情報開示を行うための準備として大いに意味があると考えます。

※2018質問書の各セクションの表題及び設問内容はKPMGによる仮訳

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