アカウンティング・ファームにおける働き方戦略 | KPMG | JP

アカウンティング・ファームにおける働き方戦略

アカウンティング・ファームにおける働き方戦略

本稿では、私たちの働き方改革が目指す姿と経営戦略方針における位置付け、働き方改革の具体的な取組みについてご紹介します。

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あずさ監査法人では、働き方改革に取り組む目的を、「プロフェッショナルとしてのさらなる成長」と捉えています。時間当たり成果の向上、思考能力等のスキルアップなど個人およびチームが成長することによって、法人は業務の品質を高めることが可能となります。人的資源を充実させることが、競争力を強化し、法人のビジョンを実現するための重要な施策(経営戦略方針の一部)となるのです。
人的資源の充実を目指すために、私たちは、現在、各部署の特性に応じて、さまざまな働き方改革の取組みを行っています。本稿では、私たちの働き方改革が目指す姿と経営戦略方針における位置付け、働き方改革の具体的な取組みについてご紹介します。

I.はじめに

ここ最近、「働き方改革」についてテレビや新聞で目にしない日がないほど話題になっています。書店にも働き方改革に関する書籍が数多く並んでいますが、「働き方改革」と同じ言葉を使っていても、その内容は幅広く、イメージも一人ひとり異なっています。
あずさ監査法人では、働き方改革に取り組む目的を、「プロフェッショナルとしてのさらなる成長」と捉えています。それは、個人が成長することにより、法人は業務の品質を高めることが可能となるからです。人的資源を充実させることが、競争力を強化し、法人のビジョンを実現するための重要な施策(経営戦略方針の一部)となると、私たちは考えています。

II.あずさ監査法人の経営戦略方針(Our Story)

1.私たちの存在意義(Our Purpose)と目指す姿(Vision)

あずさ監査法人の経営戦略方針についてご説明する前に、その前提となる、普遍的に変わることのない、私たちの存在意義と目指す姿をご紹介します。
私たちの存在意義は、経済社会に対して情報の信頼性を確立し、企業や社会が自ら行動し変革する力を支援することです。そして、私たちが最も重視する「社会からの信頼」を獲得し続けることにより、社会、クライアント、構成員から「常に選ばれる存在」(「The Clear Choice」)であることを目指します。

2.経営戦略方針

私たちが「常に選ばれる存在」(「The Clear Choice」)であるために、「Quality(確固たる品質の確保)」「Career(プロフェッショナルの育成)」「Cube(総合力の発揮)」の3つを軸とする経営戦略方針を掲げています。
「Quality」は、アカウンティング・ファームとして、企業の視点に立った品質のみならず、独立した専門家として質の高い監査を追求することです。「Cube」は、KPMGのネットワークを通じて知見を集約し、変革に向けた適切な解決策を見出すことです。「Career」は後述します。

3.Career~プロフェッショナルの育成

KPMGは、企業や社会から信頼される真のプロフェッショナルの育成を目指しています。私たちの求める“真のプロフェッショナル”とは、企業や社会の課題に真摯に向き合い、高い専門性を駆使して適切に判断し、いかなる状況にあっても、最後まで問題解決に誠実に立ち向かう人材です。
現在の日本では、労働人口の減少、人口構造の変化に伴い、就労者による介護・育児の必要性の増加や、生活スタイルや価値観の多様化などによって、労働環境が変化しています。そして、そのような環境変化のなかで、人々の働き方もまた多様化しています。
私たちは、そのような環境変化に適応した業務のあり方、企業風土を追求し、さまざまな制度や仕組みを導入することで、すべての構成員が成果を上げやすく、多様性を認め合い、お互いに働きたいと思う職場環境にすべく取り組んでいます。この働き方改革は、人材育成を効果的に進めるためにも必要なのです。
構成員一人ひとりの個性を尊重し、企業や社会に貢献する真のプロフェッショナルを育成することが、KPMGの目指す姿「The Clear Choice」の実現のために不可欠であると考えています。

III.私たちが働き方改革に取り組む目的「成長」

働き方改革は、残業抑制や長時間労働の是正として論じられることもありますが、私たちが働き方改革に取り組む目的はそうではありません。私たちの働き方改革の目的は、プロフェッショナルとしてのさらなる「成長」と「競争力の強化」にあります。過度の長時間労働は、心身の健康に悪影響を及ぼすため、回避しなければなりません。しかし、単に「早く帰る」ことだけが働き方改革でもありません。
誰しも平等に1日24時間しかないのですから、そのなかで付加価値の高い業務を行うには、思考する力と時間当たりの成果の向上が不可欠です。一方で、変化の激しい環境下では、時間をかけること・量をこなすことが自動的に成長に結び付くとは限らないという現実があります。成長に結び付かせるには、成長に結び付けられるような仕事の経験の仕方・させ方が重要となります。構成員一人ひとりが時間当たり成果を意識し、「価値創造のために何が重要なのか」を考え、創意工夫して質の高い業務に注力するのです。そうすることにより、各人の成長はより早まり、競争力は強化されます。同時に法人の競争力も強化され、ビジョンの持続的な実現が可能になります。
時間当たりの成果を向上させるには、チーム内での適時・適切なコミュニケーションやOJTは必須です。KPMGでは、OJTの一環として、適時のフィードバックを行っています。「価値創造のために重要なこと」を識別し、それに焦点を当てて業務に取り組むことによってはじめて「Quality(確固たる品質の確保)」は向上するのです。
また、持続的に成長していくためには、質の高いインプットおよび余裕、そしてそのための時間確保も大切です。なぜならば、働き方改革によって創出したプライベート時間を勉強やスキルアップなどの自己研鑽に充てることにより、さらなる成長に繋がるからです。成長するためには少しの余裕が必要であり、その余裕を創るためにも時間を創出しなければならないということです。
こうした働き方改革の取組みは、働き方や人材の多様性に繋がっていくでしょう。

IV.具体的な取組み事例

私たちは、各部署の特性に応じて、さまざまな働き方改革の取組みを行っています。ここでは、その一部をご紹介します。

1.本質的な監査の実現

監査の重要項目を見極めて、リスクアプローチをさらに徹底し、ゼロベースから監査手続を構築し、最適な人員配置を含めた監査資源の再配分を行っています。併せて必要なガイダンスの提供や職位別研修も行います。
また、監査チーム内のコミュニケーションとOJTを充実させるための各種施策を積極的に進めています。

2.企業風土づくり

(1)朝夕メール
各チームメンバーが当日の業務および所要時間(予定時間と実績時間)をお互いに共有しています。朝夕メールをする目的は、業務を見える化し、現状分析・課題特定を行い、目指す姿に近づくためのヒントを得るためです。具体的には、「現状はどうか」「何が問題なのか」「原因はどこにあるのか」「どうすれば解決できるか」等を考えるヒントが得られます。

朝夕メールを通して、たとえば、当日の実施作業が明らかになることで、業務の優先順位がより明確になるだけでなく、「作業内容の進め方をチーム内で話し合う機会が増えた」「業務の平準化が進み繁忙期の業務時間削減により作業効率が良くなった」というケースがあります。朝夕メールは、業務の見える化を行い、改善すべきヒントを見つけ出していく過程で、欠くことのできない重要なステップです。


(2)カエル会議
カエル会議では、朝夕メールを含む今までの振り返り、課題の特定、チームレベルでの解決策の検討などを行います。場合によっては、昼食をとりながら施策の実施状況やその効果、改善案、新たな課題について意見交換をすることもあります。課題に対して施策を考え、小さく早くPDCAサイクルを回すことが、カエル会議の目的です。


(3)働き方の行動指針
働き方改革を進めていくためには行動指針が必要です。そこで、各部署で働き方改革の指針を策定し、部署内で目指す働き方の価値観や行動指針を一致させるようにしています。指針の一例には、「私たちは、チームで働き、チームで成長します」「私たちはスマートに会議を行います」などがあります。また、会議の心得、コミュニケーションの取り方を行動指針としている部署もあります。
これら行動指針は、全員に浸透させるためにポスターを掲示し、ビジュアルで訴求しています。


(4)ツールの活用
各会議室にタイマー付き時計を設置しています。たとえば、会議アジェンダが予定時間にしたがって進捗しているかを確認したり、タイマー機能で会議の経過時間を可視化して残り時間を意識したり、会議終了予定時刻にアラームを設定し、会議終了時刻を厳守するといった使い方をしています。
また、会議目的に応じて電話会議を開催しやすくするために、各会議室に電話会議用のスピーカーを設置し、活用しています。さらには、Skypeの画面共有機能やインスタントメッセージ機能の活用も行っています。

3.環境整備

(1)法人内ネットワークの接続制限
土日休日および平日21時以降は、法人内ネットワークへの接続を制限しています。これは、健康を維持するための環境を創ることと、限られた時間内で業務に集中する環境を創ることを目的としています。


(2)在宅勤務
働き方の多様性の確保、業務生産性の向上、ワーク・ライフ・バランスの向上、そして事業継続性(BCP)の確保など、様々な面でメリットがある「在宅勤務制度」を導入しています。在宅勤務は、妊娠、育児や介護との仕事を両立している職員、その他在宅勤務を希望する職員を対象に、週2日、月6回程度を上限に利用することができます。
利用者からは、通勤時間の短縮、体力的な負担の軽減などから業務生産性の向上に繋がった、子どもや家族との時間が増加し、ワーク・ライフ・バランスが向上した、など導入に賛同する声が寄せられています。

V.おわりに

働き方改革は、まだ端緒についたばかりです。しかし、構成員が心身ともに健康かつ成長できる環境を整備することは、持続的に社会的な責任を果していくための重要な取組みです。私たちは、この取組みを飽くことなく継続的に実践してまいります。

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
専務理事 HR 統括
パートナー 大塚 敏弘

働き方改革推進プロジェクトリーダー
パートナー 川端 美穂

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