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The Brexit Column - Brexitから希望通りの結果を得るためには、企業は産業戦略や今後の経済についてもっと検討する必要があります。そうすることで合意への道も開ける、と新しくKPMG英国のBrexit責任者に着任したJames Stewartは述べています。

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現在の英国や英国のビジネス界にとって最大の問題はBrexitなのでしょうか?
2週間前にKPMGのBrexit担当に着任した私からの質問としては少し奇妙なものに聞こえるかもしれません。

なぜこの質問をしたかというと、これまで7年間、インフラストラクチャー部門統括責任者として世界中を回りながら、国際社会や世界経済ではすでに根本的な変化が起こっていることを目の当たりにしてきましたが、これらの変化について十分な議論がなされていないと感じているからです。私たちの目の前でデジタル革命が起こっています。優秀な頭脳を持つ機械が人間よりも迅速に判断し学ぶことができる世界が訪れ、そのうち私たちが必要とするほぼすべてのものを作ることのできる目に見えないほど小さなナノマシンを誰もが持つ時代が来るかもしれません。そんな世界に向けて英国はどうなっていくのでしょう?

2017年11月、英国政府は45年ぶりに独自の産業戦略を発表しました。Brexitに触発された可能性はありますが、上述したような長期的な課題に取り組むにはちょうど良いタイミングでの発表だったのではないでしょうか。しかしながら、この産業戦略はその重要性にもかかわらず、国民が議論するメイン・トピックから外れてしまっています。たしかに英国王室の婚約発表の日と重なってしまったことで新聞の一面から外されてしまったという不運もありましたが、そこから巻き返すことができずにいるのです。Googleで検索すると「Brexit」に対しては3,300万件もの検索結果が表示されるのに対し、「産業戦略」は60万件程度です。

Brexitを忘れろと言っているわけではありません。これはどちらかを選ばなければいけないという問題ではないからです。ただ、産業戦略についてもっと議論することでBrexitに関する課題の解決にも役立つことになると提案しているのです。私たちの求めるBrexitについて定義するためには、まず目指すべき経済や国についてのビジョンを明確にする必要があります。

この長期的な課題について議論することで得られるもう1つのメリットは、企業からしっかりとした明確な意見を聞くことができるかもしれないということです。これはこれまでBrexitというトピックに関して欠けていたものです。それはなぜでしょう? その理由は今週初め、KPMG英国のチェアマンであるBill Michaelが主催した企業幹部や政治家との懇親会のときに判明しました。彼らがBrexitに対して期待するものがあまりに違うのです。これはかつてのEU残留か離脱かに関する議論の再現ではなく、緩やかな移行を支持する人たちと、できるだけ早くかたを付けて終わらせてしまいたいと考えている人たちとの意見の対立でした。中には、欧州との密接な協力関係を保つことに賛同する人や、より規制の少ない「非欧州」モデルこそが英国の目指す将来だという人もいました。検討すべきいくつもの議論が展開されていました。

つまり、ビジネス界の意見がまとまっておらず、これからもまとまる可能性は低いということです。ただし、これは当然のことです。「ビジネス」は画一的なものではなく、いくつもの業界から構成されており、業界ごとにBrexitがもたらす機会や脅威は異なります。各産業界には何千社もの企業が属し、それぞれの企業が独自の希望と懸念を持っています。そして各企業に勤める個人が皆、違う感情と経験を持っています。

そのため、「ビジネスははっきり主張をすべきだ」という人に対して私は「どんな主張ですか?」と質問します。もしBrexitに関する合意が必須条件ということになれば、十分な意見が聞かれないままになってしまう恐れがあります。

それに対し、共通性のある問題について力を合わせて対処することで有意義な結果をもたらすことができます。先日開催されたプラスチック包装の使用に関する全国的な討論会がちょうど良い例で、ビジネス界において何らかの対応が必要だという幅広い合意が得られています。こうした課題について、私たちは政府を支持するのみでなく、率先して行動を起こす必要があります。

もう1つ解決しておかなければならない実務上の問題として、官民間のコミュニケーションの改善があります。私が政府とインフラ業界とのリエゾンとしての役割を担うInfrastructure UKの代表者を務めていた約10年間に、同じような状況を何度も見てきました。業界から政府に対して多くの意見やメッセージを伝えるものの、政府からは何の反応も得られないということは何度もありました。

意思の疎通を図ることは容易ではなく、お互いが誤解し合っていることがよくあります。そこで、新年の抱負というわけではありませんが、私がこれからKPMG英国において、産業戦略、地政学、Brexit担当を務める任期中に達成すべき目標として、官民の意見がしっかりと相手に伝わるよう両者間のチャネルを強化することを掲げたいと思います。


本稿は英語版(原文)のコンテンツを和訳したものです。日本語版と英語版との内容に相違がある場合は英語版が優先されます。
The Brexit Column: See the bigger picture(英語)

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