IFRS保険会計Q&A(第5回)(週刊経営財務2017年11月20日号) | KPMG | JP
close
Share with your friends

IFRS保険会計Q&A(第5回)(週刊経営財務2017年11月20日号)

IFRS保険会計Q&A(第5回)(週刊経営財務2017年11月20日号)

週刊経営財務(税務研究会発行)2017年11月20日号に、国際会計基準審議会(IASB)が2017年5月に公表した「IFRS第17号『保険契約』」に係るKPMG/あずさ監査法人の解説記事が掲載されました。 第5回は、保険料配分アプローチ(PAA)および再保険の各論点を解説しています。

関連するコンテンツ

はじめに

約20年に及ぶ議論を経て、2017年5月に国際会計基準審議会(IASB)がIFRS第17号「保険契約」(以下、「IFRS第17号」または「本基準書」という)を公表した。
本連載では、難解といわれるIFRS第17号を分かりやすく解説するため、IFRS第17号の適用にあたり検討が必要となる主な論点をQ&A形式で説明する。
第5回目の本稿では、保険料配分アプローチ(PAA)および再保険の各論点を取り上げる。
なお、文中の意見に渡る部分は私見である。

(注)特に断りのない限り、項番号および付録は本基準書のものを指す。

保険料配分アプローチ(PAA)

Q1.保険料配分アプローチ(Premium Allocation Approach, PAA)とはどのようなものですか。

A1.PAAは、保険期間が1年以内であるなどの一定の要件を満たす場合にかぎり適用可能となるビルディング・ブロック・アプローチ(BBA)の簡便法です。PAAのもとでは、保険契約負債(残存カバーに係る負債)は、原則として、BBAのように将来のキャッシュ・フローを見積ることなく、主として未経過保険料(保険契約に定めた保険期間のうち、決算期において、まだ経過していない期間に対応する責任に相当する保険料)に基づいて保険契約負債が計上されることになります(IFRS17.53項)。

IFRS第17号が定める保険契約負債の一般的な測定方法であるBBAは、保険契約に基づいて将来に生じることが予想される保険料および保険金・給付金等のキャッシュ・フローを見積ることにより、保険契約負債を計算するアプローチであるため、実務上の負担が少なくありません(詳細は第2回( No.3330 )および第3回( No.3332 )参照)。

他方、保険期間が短い契約においては、BBAの適用を要求しても十分な便益を得られず、BBAを採用することによるコストに見合わないと考えられるため、IFRS第17号の審議の過程でも、コストとベネフィットのバランスを考慮した代替的測定方法の必要性が認識されていました。

その結果、1年以内の短期契約であれば、その保険期間中にBBAの構成要素である将来キャッシュ・フローの見積り、割引計算、リスク調整、契約上のサービス・マージン(CSM)に重大な変動が生じる可能性は低く、時間の経過とともに安定的にゼロに近づく可能性が高いだろうと考え、受取保険料のうち残存カバー期間に比例した未経過部分を残存カバーに係る負債とする、簡便的な測定方法であるPAAが認められることになりました。

なお、PAAは保険契約負債のうち残存カバーに係る負債の測定にのみ認められた簡便法であり、発生保険金に係る負債の測定に適用することはできません。PAAを採用した場合における発生保険金に係る負債は、一般的な測定方法であるBBAにより測定されることになります。その場合、発生保険金に係る負債は、BBAの場合と同様に将来キャッシュ・フロー、割引計算およびリスク調整をその構成要素として含むものでなければなりませんが(図表1参照)、このうちリスク調整は、保険金の発生から支払いに至るまでに保険者が負担する非金融リスクに係る不確実性に対する対価を計上する性格のものと言えます。また、割引計算に関しては、発生保険金に係るキャッシュ・フローがその発生日から1年以内に支払(または受取)が見込まれるものについては、計算が免除されます (IFRS17.59項(b))。

図表1 BBAとPAAによる保険契約負債の構成要素の違い

Q2.保険料配分アプローチを適用するための要件はどのようなものですか。

A2.保険契約負債の測定において、以下のいずれかの要件を満たす場合には、残存カバーに係る負債についてPAAを用いることが認められています(IFRS17.53項)。

(a)PAAによる残存カバーに係る負債の測定が、BBAを適用した場合と重要な差異がないと合理的に予想される場合
(b)保険契約グループ内の各契約のカバー期間が1年以内の場合

上記の(a)の要件を満たさない例としてIFRS第17号は、「保険契約グループの開始時点で、残存カバーに係る負債の測定に影響を及ぼす履行キャッシュ・フローに重大な変動性が予想される場合」を挙げています。この場合、BBAによる測定結果とPAAによる測定結果が合理的に近似しているとは言えないためです。こうした履行キャッシュ・フローの変動性を増大させる要因としては以下が考えられます(IFRS17.54項)。

  1. 将来キャッシュ・フローと保険契約に組み込まれたデリバティブの関係度合
  2. 保険契約グループのカバー期間の長さ

他方、1年以上のカバー期間であっても、BBAによる測定結果と比べ重要な差異は生じないと合理的に予測される場合は、PAAを適用することが可能と考えられます。


Q3.保険料配分アプローチによる残存カバーに係る負債の当初認識および事後測定はどのように行われますか。

A3.(当初認識)
PAAでは、残存カバーに係る負債の当初認識は受取保険料から当初認識時点における新契約獲得に係るキャッシュ・フローを控除し、当該保険契約グループが認識される前に発生した新契約獲得に係るキャッシュ・フローの資産または負債計上額のうち当初認識時点で認識中止された金額を加減算することで算定されます (IFRS17.55項)(図表2参照)。

図表2 PAAにもとづく残存カバーに係る負債の当初認識

(事後測定)
PAAにもとづく残存カバーに係る負債の事後測定は、当該負債の期首帳簿価額に当期受取保険料を加算し、新契約獲得に係るキャッシュ・フローを控除し、当期に費用として認識した新契約獲得に係るキャッシュ・フローの償却額と金融要素の調整を加算し、さらに、当期に提供した保険カバーについて保険収益を認識した金額および支払済または発生保険金に係る負債に振り替えた投資要素を控除する、とされています(IFRS17.55項)(図表3参照)。

図表3 PAAにもとづく残存カバーに係る負債の事後測定

ここで、新契約獲得に係るキャッシュ・フローについては、保険契約グループ内の各契約のカバー期間が1年以内であることを条件として、発生時に費用処理することも認められます(IFRS17.59項(a))。この方針を選択した場合、新契約獲得に係るキャッシュ・フローは、当初認識および事後測定における残存カバーに係る負債を構成しないことになります。

また、金融要素の調整とは、保険契約グループの中の保険契約に重要な金融要素が含まれている場合に、当初認識時の割引率を用いて貨幣の時間価値を反映する調整を行うことを意味しますが、これは例えば、長期間の保険カバーに係る保険料を一括前払いで受け取る場合に、当該保険料の算定上重要な金利要素が加味されており、同じ期間における分割払保険料の合計額と比較するとその差が重要である場合が想定されます。そのような場合は毎期金利要素の調整を行い、残存カバーに係る負債を調整することが求められます。ただし、新契約獲得に係るキャッシュ・フローに関する免除規定と同様に、契約開始時において、保険カバーの提供時点と当該カバーに係る保険料の支払期日の間隔が1年以内と想定される場合は、このような調整を行う必要はありません(IFRS17.56項)。


Q4.日本における未経過保険料計算とどのような点が異なりますか。

A4.日本の保険会社は毎決算期において責任準備金を積み立てることとされ、その内訳の一つとして未経過保険料が定められていますが(保険業法施行規則第69条第1項および第70条第1項)、当該未経過保険料の計算は実務上、収入した保険料を基礎として未経過期間に対応する未経過割合を乗じることにより行われています。この方法にはさらに1/12法、1/24法、1/2法、1/365法といったいくつかの種類が実務で存在します。このような未経過保険料計算は、PAAと比較して、カバー期間に応じ保険契約負債を算定するという基本的な考え方においては同じであると言えるものの、主に以下の点において相違する可能性があるため、留意が必要です。

  • 適用要件の違い:A2に記載のとおり、PPAには適用要件があるため、未経過保険料の計算を行っているものであってもPAAを適用できないものがある可能性があります。この点は逆も然りです。
  • 保険料配分の基礎:PAAにもとづく残存カバーに係る負債の測定は、保険契約にもとづくリスクからの解放のパターンが、時間の経過に比例しているという前提のもとに行われるのが通常ですが、保険金の発生パターンに著しい季節変動が見られるなど、そのような前提が崩れていると認められる場合には、保険サービス費用の発生が予想されるタイミングに基づいて配分することが求められます(IFRS17.B126)。そのため、PAAであっても必ずしも時間の経過に比例した保険料の配分とならない可能性があります。
  • 金融要素の調整:A3に記載のとおり、IFRS第17号は、それが重要である場合において貨幣の時間価値を反映する調整を行うことを求めていますが、日本の未経過保険料計算に関してはそのような明示的な要求はありません。


Q5.保険配分アプローチによる負債測定の具体的な数値例(仕訳例)を教えてください。

A5.以下の設例により説明します。

保険会社AはX0年9月30日に保険契約を引き受けたが、以下の前提を置く。


前提条件

  • 保険期間は12か月であり、保険料1,200は保険期間の開始時に全額受け取る。
  • 新契約獲得に係るキャッシュ・フローは24であり、すべて保険契約の開始時に支出し、保険期間にわたり償却する。
  • 保険期間開始、年度末(X1年3月31日)までに360の保険事故が発生する。
  • 発生保険金に係るリスク調整は30とする。
  • この保険契約はPAAの適用要件を満たしているものとし、金融要素の調整は行わない。また、投資要素もない。


(当初認識)

借方 貸方
現金 1,200 保険契約負債(残存カバーに係る負債<受取保険料部分>) 1,200
保険契約負債(残存カバーに係る負債<新契約獲得に係るキャッシュ・フロー部分>) 24 現金 24

残存カバーに係る負債の当初認識は受取保険料から新契約獲得に係るキャッシュ・フローを控除することにより算定されます。したがって、受取保険料1,200 - 新契約獲得に係るキャッシュ・フロー24=残存カバーに係る負債1,176となります。

(事後測定)

借方 貸方
保険契約負債(残存カバーに係る負債) 600 保険収益(※1 600
保険サービス費用 360 保険契約負債(発生保険金に係る負債) 360
保険サービス費用(※2 30 保険契約負債(発生保険金に係る負債) 30
保険サービス費用(※3 12 保険契約負債(残存カバーに係る負債) 12

※1:保険料1,200/保険期間12か月×経過期間6か月=600
※2:リスク調整額
※3:新契約獲得に係るキャッシュ・フローの当期償却額。新契約獲得に係るキャッシュ・フロー24/償却期間12か月×経過期間6か月=12

保険料の受領時であっても必ずしも収益認識を行わない点はBBAと同様です。本設例では、時間の経過とともに保険サービスが提供される前提に立っているため、保険期間12か月のうち経過期間である6か月に相当する金額を、当初認識時の保険契約負債から保険収益に振り替え、保険収益として認識します。また、発生保険金に係る負債の測定においては、発生保険金のキャッシュ・フローの見積りだけでなく、その不確実性に備えるためのリスク調整が必要である点は留意が必要です。


Q6.BBAのもとでは不利な契約という概念がありますが、PAAのもとで不利な契約はどのように取り扱われるのでしょうか。

A6.第3回でも触れた通り、保険契約に係る将来キャッシュ・インフローが将来キャッシュ・アウトフローおよび非金融リスクに係るリスク調整の合計額を下回る場合、言い換えれば、保険料によって将来の保険金等の支払を賄いきれないことが判明している場合は、当該金額を損失(負債)として認識しなければなりません。このような契約を「不利な契約」と呼び、適用される保険契約負債の測定方法がBBAであろうとPAAであろうと、この点は変わりません。

PAAを適用している保険契約に関し、カバー期間のいずれかの時点で当該保険契約が不利であることを示す事実および状況が判明した場合、保険者はまず、以下に記載する両者の差額を計算しなければならないとされています(IFRS17.57項)。

  • PAAを適用して算定した残存カバーに係る負債の帳簿価額
  • 当該保険契約の残存カバーに係る履行キャッシュ・フロー(

発生保険金に係る負債の測定に際しIFRS17.59項(b)に規定する一定の要件を満たすことで割引計算を行わないこととしている場合には、履行キャッシュ・フローの見積りに際しても、当該割引計算の影響を含めません。

その結果、残存カバーに係る履行キャッシュ・フローがPAAにもとづく残存カバーに係る負債の帳簿価額を上回っていることが判明した場合、保険者は、当該超過額の範囲で純損失を認識し、残存カバーに係る負債を増額しなければなりません(IFRS17.58項)。


Q7.PAAを適用している保険契約に不利な契約が存在するか否かの評価は、いつ実施しなければならないのでしょうか。

A7.PAAは、BBAのように将来のキャッシュ・フローを見積ることなく保険契約負債を測定することができる点に意義のある簡便法であるため、仮に、A6に記載した履行キャッシュ・フローの見積りをも含む計算を常時行わなければならないとすると、それは実質的にBBAを適用していることと変わらず、PAAの意義が減殺されてしまうと考えられます。そのため、PAAを適用している保険契約に不利な契約が存在するか否かの評価は、そのカバー期間にわたり常に行うことまでは求められていないと解されます。

他方で、IFRS第17号は、カバー期間のいずれかの時点で「事実および状況」が不利な契約の存在を示している場合に、上記の評価ステップを踏むことを要求しているのみであり、どのような場合がここで考慮すべき「事実および状況」なのかという具体的なガイダンスを示していません。したがって、保険者はどのような事実および状況をもって不利な契約を認識するかという点も含め、その認識方針・方法を事前に策定する必要があると思われます。
当該認識方針・方法を策定するにあたっては、例えば以下のような点を考慮することが考えられます。

  • カバー期間に係る保険料に対する保険金の割合に関する、予想と実績の比較(損害率等の予実比較)
  • 将来キャッシュ・フローに重要な影響を与え得る経済環境ないし規制環境の変化の有無
  • 保険契約を履行するためのコスト発生態様の著しい変化の有無(例:内部的な組織再編や保険契約上の義務を履行するために利用するサービス・商品価格の大幅改定等)

再保険

Q8.再保険契約に関して、元受保険契約における保険負債の一般的な測定モデルと異なる点はありますか。

A8.引き受けた元受保険契約について、リスク移転のために他の保険会社と再保険契約を結ぶ場合(出再)、当該出再者が出再した部分の保険リスクの測定は、元受保険契約の測定と同様、BBAによる測定を原則としています。また、その適格要件を満たす場合には、PAAを適用することも可能です。ただし、出再者においては、再保険契約によって当該再保険の対象となる元受保険契約の契約者に対して負っている保険金支払額は削減されるものではないため、いずれのモデルの適用においても、測定対象となる出再保険契約については、対応する元受保険契約とは分離して会計処理を行います(IFRS17.BC298項)。なお、不利な契約における取扱いは、出再者の出再保険契約を測定する際には適用されません(IFRS17.29項)。

一方、再保険契約を結ぶことで他社の保険リスクを引き受ける場合(受再)、当該受再者が引き受けた部分の保険リスクの測定には、元受契約における取扱いと同じ基準が適用されます。

なお、再保険契約は、直接連動の有配当契約には該当しないため、出再者および受再者いずれにおいても、変動手数料アプローチ(VFA)は適用されません(IFRS第17.B109項)。


Q9.出再者において、当初認識のタイミングについて留意すべき点はありますか。

A9.対象となる再保険契約の種類によって、以下のように当初認識のタイミングが異なります。

  • 比例再保険等、元受保険契約において生じた保険金支払額を比例的にカバーする再保険契約の場合、出再者は当該再保険契約のカバー期間開始、もしくは、関連する元受保険契約の当初認識の時点のいずれか遅い時点において当該再保険契約の認識を行います(IFRS17.62(a)項)。
  • 上記以外の非比例的な再保険契約の場合、当該再保険契約のカバー期間の開始時点において当該再保険契約の認識を行います(IFRS17.62(b)項)。


Q10.出再者において、BBAを適用する場合、契約上のサービスマージン(CSM)の当初認識における留意点を教えてください。

A10.出再保険契約に関しては、関連する元受保険契約とは別個に会計処理を行う必要がありますが、当該出再保険契約にかかる将来キャッシュ・フローの現在価値算定における仮定は、関連する元受保険契約の将来キャッシュ・フローの現在価値算定における仮定と整合的でなければなりません。なお、受再者の不履行リスクの影響については、当該リスクにかかる金額と発生のタイミングを出再保険にかかる将来キャッシュ・フローの算定に織り込む必要があります(IFRS17.63項)。また、出再保険契約にかかるリスク調整は、出再者から受再者へ移転されたリスク金額を考慮することとなります(IFRS17.64項)。このような検討を経て、出再保険契約におけるCSMは、再保険購入により生じる正味のコストまたは利益として計算します。通常の場合、出再保険料等、出再者による支払金額は出再保険契約によるキャッシュ・インフローを超過するため、正味のキャッシュ・フローはマイナスとなります。この場合、CSMは借方で認識されることとなりますが、再保険カバーは、通常は将来の事象をカバーするため、当該CSMにかかる金額は即時損益処理するのではなく、繰延べ処理されます。ただし、再保険カバーが過去の事象をカバーしている遡及型再保険のようなケースでは、繰延べ処理することなく、即時に費用処理します(IFRS17.65項)。一方、出再保険契約においてプラスの正味キャッシュ・フローが認識される場合においては、貸方のCSMが認識され、この場合も繰延べ処理されることとなります(IFRS17.BC310項およびBC311項)。


Q11.出再保険契約に関する出再者側のCSMの計算について、関連する元受保険契約との対比がわかるように具体的な数値例で教えてください。

A11.以下の設例により説明します。


前提条件

  • 保険会社Bは、自らが保有する元受保険契約の一部に対して、再保険会社Xとの間で20%の比例出再保険契約を締結した。
  • 単純化のため、貨幣の時間価値には重要性がないと仮定する。
  • 当該出再保険契約に関連する元受保険契約の当初認識時の見積りは、キャッシュ・インフロー1,500、キャッシュ・アウトフロー1,350、リスク調整90、CSM60である。
  • B社は保有している出再保険契約に関して、次の見積りを行っている。
  • キャッシュ・インフローは、関連する元受保険契約に係るキャッシュ・アウトフロー1,350の20%の回収額である270とする。
  • リスク調整について、保有している再保険契約が、関連する元受保険契約から生じるリスクを20%削減するとB社は見込んでいるため、リスク調整を元受保険契約に係るリスク調整90の20%である18とする。
  • キャッシュ・アウトフロー(受再保険者に支払う一時払再保険料から、受再保険者から受け取る出再手数料を控除)は、次の2つのパターン(出再(1)、出再(2))があるとする。

出再(1):350
出再(2):280


分析
出再保険契約(出再(1)および出再(2))および関連する元受保険契約の当初認識時の測定は次のとおりです。

  元受 出再(1) 出再(2)
キャッシュ・インフロー 1,500
270
270
キャッシュ・アウトフロー (1,350)
(350) (280)
リスク調整 (90)
18 18
履行キャッシュ・フロー 60 (62)
8
契約上のサービス・マージン (60)
62 (16)

当該設例においては、出再保険契約において、CSMが正値(借方=資産計上)となる場合と負値(貸方=負債計上)になる場合があることを想定しています。


Q12.出再保険契約に関連している元受保険契約が、当初認識において、「不利な契約」に該当する場合の取扱いを具体的な数値例で教えてください。

A12.元受保険契約が不利な契約に該当する場合は、不利な契約損失(マイナスのCSM)については即時損益処理を行いますが、対応する出再保険契約については、即時損益認識は行われません。以下の設例により説明します。


前提条件
既出A11の設例の前提について、元受保険契約におけるキャッシュ・インフロー(元受保険料)を1,200とした(ほかの前提はA11設例と同じ)。


分析
出再保険契約(出再(1)および出再(2))および関連する元受保険契約の当初認識時の測定は次のとおりです。

  元受 出再(1) 出再(2)
キャッシュ・インフロー 1,200 270 270
キャッシュ・アウトフロー (1,350)
(350)
(280)
リスク調整 (90)
18 18
履行キャッシュ・フロー (240)
(62)
8
契約上のサービス・マージン - 62 (8)
当初認識時における損失 (240)
- -

上記設例は、元受保険契約が不利な契約のケースにおける出再保険契約の処理を示しています。元受保険契約の測定においては、不利な経済損失(マイナスのCSM)が生じており、当初認識時に即時損益認識を行いますが、出再保険契約の測定においては、当初認識においては、即時損益認識は行われません(IFRS17.65項, BC311項)。


Q13.出再者において、BBAを適用する場合、契約上のサービスマージン(CSM)の事後測定における留意点を教えてください。

A13.報告基準日におけるCSMの計算は以下の算式によって算定されます(IFRS17.66項)。

なお、元受保険契約における履行キャッシュ・フローの変動は、出再保険契約にかかる履行キャッシュ・フローの変動にかかる処理と整合させることで、正味の影響額を損益認識するため、元受保険契約においてCSMを調整しない履行キャッシュ・フローの変動については、これに関連する出再保険契約にかかる履行キャッシュ・フローの変動も直ちに損益認識します。また、将来サービスにかかわらない再保険者の不履行リスクの変動に伴う履行キャッシュ・フローの変動額は、直ちに損益認識します。

参考情報へのリンク(外部サイト)

金融機関に関する最新情報

お問合せ

 

RFP(提案書依頼)

 

送信