IASB Updateの主要論点 2017年12月号 | KPMG | JP
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IASB Updateの主要論点 2017年12月号

IASB Updateの主要論点 2017年12月号

本稿では、2017年12月に開催されたIASB会議の概要をまとめたIASB Updateについて、IFRSを適用している(又はIFRSを適用することを検討している)日本企業の観点から解説しています。

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オリジナルのIASB UpdateはIASBのウェブサイトから入手でき、日本語版もありますのでそちらをご参照ください。

総括

今月のIASB会議は2017年12月13日(水曜日)と12月14日(木曜日)に開催されました。アジェンダは大きく分けて次の7項目でした。

  • 基本財務諸表
  • 開示に関する取組み - 開示原則
  • のれん及び減損
  • 料金規制活動
  • 動的リスク管理
  • IFRS基準の適用上の論点
  • 共通支配下の企業結合

これらのうち、開示に関する取組み - 開示原則と料金規制活動については意思決定が行われていません。本稿では、基本財務諸表、のれん及び減損、IFRS適用上の論点について行われた意思決定について解説します。共通支配下の企業結合と動的リスク管理については意思決定が行われていますが、本稿では省略します。

基本財務諸表

今月の会議では、経営者業績指標(Management Performance Measure; MPM)とキャッシュ・フロー計算書上の表示について議論が行われました。

経営者業績指標(MPM)
企業が経営者業績指標(MPM)を特定し、それがIAS第1号「財務諸表の表示」の小計に関する要求事項を満たし、かつ、IASBが検討している新しい財務業績計算書の構造にも適合する場合には、財務業績計算書上に表示し、それ以外の場合には、IFRS基準で定義されている指標との調整表を別個に表示することを要求することが暫定的に合意されました。

日本企業への影響
これまで代替的業績指標(Alternative Performance Measure; APM)を表示していない企業でも、MPMを特定することが求められることになる可能性があります。また、財務諸表に含めることとなり、監査を受けている企業においては、MPMが監査対象となる可能性があります。


キャッシュ・フロー計算書上の表示

金融機関以外の企業について、IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」において認められている表示方法の選択肢を削除することが暫定的に合意されました。具体的には、財務活動に関連して生じた利息に関するキャッシュ・フロー、資産の取得原価に算入される支払利息に関するキャッシュ・フロー、及び支払配当金に関するキャッシュ・フローは財務活動によるキャッシュ・フローに区分し、受取利息及び受取配当金に関するキャッシュ・フローは投資活動によるキャッシュ・フローに区分することとされました。
また、間接法によるキャッシュ・フロー計算書を作成する場合の出発点として、「投資、財務及び法人所得税前利益」とすることが暫定的に合意されました。一方、キャッシュ・フロー計算書の営業区分と、対応する財務業績計算書上の区分とで整合を図らないことが暫定的に合意されました。

日本企業への影響
間接法によるキャッシュ・フロー計算書を作成する場合の出発点が変更される可能性があります。

のれん及び減損

今月の会議では、のれん及び減損プロジェクトの進め方について議論されました。
IAS第36号「資産の減損」の適用の改善については、未認識のヘッドルーム(回収可能価額が帳簿価額を上回る額)を減損テストの追加的なインプットとすることを検討することが暫定的に合意されました。また、関連する開示も検討することとされました。
一方、少なくとも年に一度、減損テストを実施するとの要求事項を変更すること、減損テストの単位を資金生成単位(CGU)から連結グループ又は報告セグメント単位に変更すること、企業結合に関する投資の回収期間(payback period)の開示を要求すること、及び回収可能価額の算定方法を一本化することについては、これ以上、検討しないことが暫定的に合意されました。また、報告セグメントごとに資産合計及び負債合計の開示を要求すること、及びIFRS第3号「企業結合」の開示規定を見直すことはプロジェクトの範囲外であることが暫定的に合意されました。
のれんの償却について、再導入することを検討しないことが暫定的に合意されました。
なお、今後のボードの会議において、次のデュー・プロセス文書をディスカッション・ペーパーとするか公開草案とするか、企業結合により取得した一部の無形資産をのれんに含めるかどうか、使用価値の算定を簡素化できるかどうかを議論する予定であるとされています。

日本企業への影響
のれんの償却の再導入については検討しないこととされ、当面、のれんの非償却は続くことになると考えられます。ボード会議の議論では、次のデュー・プロセス文書をディスカッション・ペーパーとすべきとの意見も多く、そうなった場合のディスカッション・ペーパーには、のれんの償却について、IASBの支持するアプローチではないとしつつも言及される可能性があります。

IFRS適用上の論点

今月の会議では、4つの論点が議論されましたが、本稿ではその中から2つの論点を取り上げます。

会計方針の変更(IAS第8号)
IAS第8号の改訂案の移行規定について議論され、IAS第8号の改訂の発効日後に企業がアジェンダ決定案の結果として行う自発的な会計方針の変更について、IAS第8号の改訂を適用することを提案することが暫定的に合意されました。

IFRSを初度適用する子会社(IFRS第1号)
IFRS解釈指針委員会からの提言に基づき、IFRS第1号「国際財務報告基準の初度適用」の改訂について議論がされました。IFRS第1号D16項(a)を適用する子会社は、親会社のIFRS移行日において、親会社により報告される金額を用いて換算差額の累計額を測定することを要求することを提案することで暫定的に合意されました。

日本企業への影響
中間親会社による孫会社の換算差額の累計額の測定方法が変わる可能性があります。親会社のIFRS移行日に合わせて換算差額の累計額を測定することになるため、換算差額の管理がしやすくなる可能性があります。

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部
パートナー 川西 安喜

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