IASB Updateの主要論点 2017年11月号 | KPMG | JP

IASB Updateの主要論点 2017年11月号

IASB Updateの主要論点 2017年11月号

本稿では、2017年11月に開催されたIASB会議の概要をまとめたIASB Updateについて、IFRSを適用している(又はIFRSを適用することを検討している)日本企業の観点から解説しています。

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オリジナルのIASB UpdateはIASBのウェブサイトから入手でき、日本語版もありますのでそちらをご参照ください。

総括

今月のIASB会議は2017年11月14日(火曜日)に開催されました。アジェンダは大きく分けて次の4項目でした。

  • 動的リスク管理
  • IFRS第8号「事業セグメント」の改善
  • 基本財務諸表
  • より広い企業報告

これらのうち、IFRS第8号の改善については意思決定が行われていません。本稿では、基本財務諸表及びより広い企業報告について行われた意思決定について解説します。動的リスク管理については意思決定が行われていますが、本稿では省略します。

基本財務諸表

今月の会議では、比較可能性を重視した、利息・税金前利益(Earnings before Interest and Taxes; EBIT)のような小計を表示するための投資カテゴリーと財務カテゴリーについて議論が行われました。また、その他の包括利益(OCI)の表示についても議論されました。

財務業績計算書における投資カテゴリーの表示

「投資カテゴリー」は「投資から生じる収益・費用」と呼ぶこととし、その定義は「個別に、また、企業が保有する他の資源から概ね独立してリターンを生み出す資産から生じる収益・費用」とすることが暫定的に合意されました。また、投資から生じる収益・費用の直前に示される小計を「営業利益」と呼ばないことが暫定的に合意されました。
持分法を適用する、関連会社及びジョイント・ベンチャーの損益に対する持分相当額の表示については、合意に至りませんでした。複数ある考え方については、次のデュー・プロセス文書に含めることとされました。

財務収益・費用の定義
財務収益・費用の定義に含まれる「現金及び余剰資金の一時的な投資」に代わる用語として「現金及び現金同等物」を用いることが暫定的に合意されました。また、財務収益・費用には5つの要素が含まれること、IAS第7号「キャッシュ・フロー計算書」の「財務活動」の記述を明確化し、それを5つの要素の説明にも用いることが暫定的に合意されました。

日本企業への影響
比較可能性を重視した小計は表示が強制される可能性があります。財務収益・費用には確定給付型の退職給付債務に係る利息費用も含めることが提案されており、損益の表示方法が大きく変わる可能性があります。


OCIの表示の改善

現在、「事後的に純損益に組み替えられないOCI項目」を「純損益の外で報告される再測定」と名称を変更し、「事後的に純損益に組み替えられるOCI項目」を「将来、純損益に含められることになる収益及び費用」と名称を変更することが暫定的に合意されました。一方、これらのカテゴリーの間に「純損益の外で報告される再測定考慮後の利益」と呼ばれる小計を導入しないことが暫定的に合意されました。
また、OCIの表示に関連して、IAS第1号「財務諸表の表示」が認めている、関連する税効果の表示方法(第91項)及び純利益に組み替えた(リサイクリングした)金額の表示方法(第94項)に関する選択肢を削除することについて需要があるかどうかを調査することが暫定的に合意されました。

日本企業への影響
OCIの表示については、次のデュー・プロセス文書において名称が変更される可能性があります。選択肢の削除については、今後の調査の結果次第ということになります。

より広い企業報告

今月の会議では、2010年に公表されたIFRS実務記述書「経営者による説明」を改訂するプロジェクトに着手することが合意されました。将来の会議において、プロジェクトの範囲と進め方について議論することとされています。

日本企業への影響
実務記述書は規範性がないため、直接的な影響は限定されると考えられます。

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部
パートナー 川西 安喜

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