日EU・EPA大枠合意と協定発効までのロードマップ | KPMG | JP

日EU・EPA大枠合意と協定発効までのロードマップ

日EU・EPA大枠合意と協定発効までのロードマップ

Trade and Customs Newsletter - 日EU・EPAが大枠合意に至ったことを踏まえ、関税上のインパクトや協定発効までのロードマップについてポイントを整理しています。

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大枠合意の概要

7月6日、ブリュッセルで開催された日EU定期首脳協議において、日本とEUとの経済連携協定(EPA)が大枠合意に達しました。本協定が発効すれば、総人口約6.4億人、世界のGDPの約28%、世界貿易額の約37%(日本及びEUの総輸出入額(EU域内貿易含む)が世界全体の貿易額に占める割合)を占める巨大なメガFTAが誕生することになり、注目を集めています。

EU側は、すべての工業製品(経済産業省所管品目ベース)の関税撤廃に合意しており、交渉の大きな焦点となっていた自動車の関税について、完成車は現行10%から段階的に引き下げられ8年目に撤廃、自動車部品は輸出額ベースで約92%が即時撤廃される見込みです。

グローバル企業はこのようなメガFTAを適用することによって、自社製品の現行税率が、何年目に、何パーセント引き下げられるのかという先々の関税コスト低減のインパクトを、タイムリーに分析、把握し、戦略的なサプライチェーンを構築することで国際競争を高めることができます。

参照:日EU経済連携協定(EPA)に関するファクトシート(外務省)(PDF:1.5MB)

発効までのロードマップ

今回の大枠合意は、関税分野等のEPAの基本的な要素で一致したことを示します。合意に至らなかった投資家と国家間の紛争解決制度(ISDS)等の貿易ルール分野については、協議を継続することになっており、年内に最終合意する見通しです。

EU側は本協定の発効時期について2019年初めと想定していますが、関税以外の分野はEU28カ国の国内承認が必要であるため、発効までには2年以上を要するとの見方もあります。EUとカナダの自由貿易協定(CETA)においては、ベルギー南部のワロン地域政府が署名に反対したことで調印が遅れた経緯もあり、加盟国の動向にも注意を払う必要があります。

しかしながら、関税以外の分野の承認プロセスが遅れた場合でも、関税に特化した枠組みについて部分的に早期発効される可能性も十分あることから、発効されれば即時に適用できるように、前広に業務体制を整えておくことが望ましいと言えます。

EUのFTA原産地ルールの特徴

日EU・EPAの原産地ルールの詳細はまだ公表されていませんが、EUのFTA原産地ルールの特徴として、認定輸出者証明制度が採られていることが挙げられます。これは、輸出国政府の認定を受けた輸出者自身による判定・申告に基づいてFTAが適用される制度であり、輸出国政府が指定する第三者機関(商工会議所等)に輸出の度に発給を依頼する第三者証明制度※注に比べて、時間的・費用的にメリットがあります。

FTAの枠組みの中では、輸入国当局(税関等)が、輸出国政府又は輸出者等が発行する原産地証明書の有効性について検認を行うことが認められています。輸入国によってその傾向は様々であると想定されるものの、一般的にEU側当局の検認実施件数は、韓国EU・FTAの例を見ても、比較的多いと言われています。したがって、日本の既存EPAと、今回の日EU・EPAの原産地ルールの違いを正しく把握した上で、検認等で説明を求められた場合には適時に説明ができるようなコンプライアンス業務体制の整備が求められます。

※注 日本のFTAは基本的に第三者証明制度を採用していますが、日メキシコEPA、日ペルーEPA及び日スイスEPAは第三者証明制度と認定輸出者証明制度の併用制となっています。

 

Trade & Customs Newsletter No.5

執筆者

KPMG税理士法人
関税・間接税サービス
パートナー 梅辻 雅春
パートナー 神津 隆幸

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