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希望の泉は枯れず

希望の泉は枯れず

The Brexit Column - KPMG英国ロンドン事務所パブリックセクター部門ディレクターのMark Essexは、ブリュッセルを訪問後、EU加盟国27ヵ国の足並みが揃いさえすればBrexitの交渉が成功する可能性があるという期待が生まれた、と感じました。

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報道されている内容と、生で聞く情報はまったく違うものであることが多々あります。英国メディアは、EUのミッシェル・バルニエ主席交渉官の英国「シティ」への警告や交渉におけるその他の強気な発言について報道していますが、バルニエ主席交渉官のブリュッセルでのスピーチを聞いて、報道されていることよりもよりポジティブな印象を受けました。

もちろん、スピーチの大半はEUの聴衆受けする内容となっており、金融政策に関するEU内の意見の一致について語ったり、英国のデービス離脱担当大臣についてウィットに富んだコメントを述べていたりしました。バルニエ主席交渉官の断固たるアプローチはEUびいきの聴衆には好評で、英国のジャーナリストにとっては期待どおりの内容となりました。

しかしその中で特に私に期待を持たせたのはバルニエ主席交渉官が、英国との今後の関係についての野心を語ったときです。彼は、EUにとって望ましい選択肢は、公正な競争、国家補助、ダンピング関税、食の安全、社会的・環境基準といった主要項目について妥協点を見出したうえでの秩序ある撤退であると語りました。

そしてその前提として「もちろん、EUはもっとも野心的なFTAアプローチを提案する予定です」と付け加えていますが、この極めて重要なコメントはほとんどのメディアでは取り上げられていません。


交渉の行方はまだ不透明
それはあたかも、これまで英国が交渉可能な最高の内容であるとされてきたカナダとの貿易協定以上の条件での協定も実現可能であると言っているように聞こえました。

11月21日火曜日のスピーチでは期待が膨らんだものの、11月22日水曜日の予算編成(Autumn Statement 2017)は現実的な対応を促すものとなりました。財務相は「交渉決裂」の事態に備えて30億ポンドを計上しており、企業も同様な対応をしておくことが望ましいと考えられます。

その理由としては、バルニエ主席交渉官が前向きな姿勢であっても、清算金に関する問題が解決したのち、EUの加盟国間の足並みを揃えることはいくら熟練の外交官とはいえ容易なことではないからです。農業部門が重要な割合を占める国の優先順位は、国の繁栄が摩擦のない製造業のサプライチェーンに依拠している国の優先順位とは大きく異なります。また実体経済が金融の中心地であるロンドンへのアクセスに依拠している国と自国をロンドンのライバルと考えている国の優先順位も大きく異なります。その一方で、アイルランドの国境問題が12月のEUサミットにおける進展を妨げる大きな脅威として急浮上しています。

英国政府が清算金としておよそ400億ポンドの支払いに合意したとみられることから、交渉の成功を望む私たちにとっては希望が見えてきました。また私は、バルニエ主席交渉官の前向きな考えをにおわせる発言にも希望を見出しています。しかし、交渉の行方を確実に推測するためには、加盟諸国間の状況を推し量る必要があります。ブリュッセルの会議の脇では、欧州旗の後ろに深い溝、各国の利害関係、対立する哲学的見解などが潜んでいたのです。そしてこれらが離脱交渉の決裂へとつながる可能性があります。

コンティンジェンシープランの実行について検討中の企業は、ロンドンでの動きのみではなく欧州大陸の政治動向にも同様に注目することを推奨します。


本稿は英語版(原文)のコンテンツを和訳したものです。日本語版と英語版との内容に相違がある場合は英語版が優先されます。

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