アルゼンチン:法人所得税率の引き下げを含む税制改正案 | KPMG | JP

アルゼンチン:法人所得税率の引き下げを含む税制改正案

アルゼンチン:法人所得税率の引き下げを含む税制改正案

2017年10月31日、アルゼンチン財務省(Ministerio de Hacienda)は、今後5年間にわたり、法人所得税率を現行の35%から25%まで引き下げ、雇用者に係る給与税の引き下げ、また、労働力を「定型化」した企業に対するインセンティブの付与といった政策を盛り込んだ、税制および労働改正案を公表しました。

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この改正案はまた、特定の海外とのデジタル情報サービスに対する付加価値税の導入や、アルゼンチン居住者に対する新たなキャピタルゲイン課税も含んでいます。1年から5年の期間において、連邦および地方レベル両方で適用される見込みです。また、当該税制改正案には、移転価格税制に関する国家間の事前確認制度(APA)の導入に係る規定も含まれていますが、詳細については未定です。

当該税制改正案は、アルゼンチン経済の競争力を高めることを狙いとして、近日中に国会にて審議される見通しです。

KPMGの所見

これは納税者の負担を減らし外資を呼び込むことを企図した、ビジネスにとって有利となるような、待望の税制および労働改正です。現行政府は、立法上の過半数を欠いているものの、野党勢力の一部も、この税制改正案について政府と交渉する意欲を示しています。

この公表されたばかりの税制改正案については、既に進出済みまたは進出を検討している多国籍企業においては、注意を払う必要があるでしょう。特に、法人所得税の税率引き下げについては、アルゼンチンに再投資された利益についてのみ適用される予定です(例;国外に配当された利益は対象外)。また、資本的支出に係る付加価値税の還付についても、当該改正案に盛り込まれています。この、税率引き下げに伴う税収減をカバーするため、改正案には、糖分を含む飲料およびアルコール飲料に対する課税を増やすことも盛り込まれています。

税制改正案の骨子

税制改正案の対象となる税目は、以下のものが含まれています。

  • 社会保障関連負担金
  • 法人および個人所得税
  • 付加価値税
  • 金融取引税
  • 総売上税
  • 印紙税
  • 国内関税
  • 物品税
  • 石油に関する環境税
  • 不動産取引税

法人所得税:法人所得税の税率は、段階的に以下のスケジュールで逓減される見通しです。

  • 2018年 - 35%
  • 2019および2020年 - 30%
  • 2021年以降 - 25%

なお、配当や利益の分配に対して追加的に課税がなされるため、それらを含めた税率は35%となる見通しです。


付加価値税:付加価値税の仕入税額(クレジット)の還付については、より早期に適用される見通しです。なお、特定の資産に対する資本的支出に係る付加価値税のクレジットについて、6ヵ月以内での利益との相殺消去はできないすべての企業に対して還付可能となります。税制改正案では、どのような資産が対象となるのかが明確ではありませんが、そのような付加価値税のクレジットを生じる固定資産が含まれることが期待されています。


社会保障関連負担金:12,000アルゼンチンペソまでのグロス所得については、社会保障関連負担金が免除される見通しです。なお、この改正は、5年にわたって実行される予定で、特に低所得者層に対する雇用コストの低減と正規雇用の促進が期待されています。


重層的課税の低減:生産過程とその連鎖を通じて税金が累積する、いわゆる「重層的課税」については、ひずみが生じているとみられています。重層的課税の例として、(1)税制改正案において所得税の前払額として充当可能となる見通しである、金融取引税や、(2)連邦および地方政府間で将来合意が形成される見通しの、地方税である総売上税および印紙税が含まれます。


キャピタルゲイン課税:金融商品から得た所得を有するアルゼンチンの個人に対しては、新たにキャピタルゲイン課税が課される見通しです。

  • 15% - 指数または外国通貨建ての有価証券に起因する収益またはその他の財務収益。なお、為替差益は、当該課税には含まれない。
  • 5% - アルゼンチンペソ建てで固定条件かつ固定収益型の有価証券に起因する収益。政府の裁量により、最大15%まで税率が上げられる可能性がある。
  • アルゼンチンの証券取引所に上場している株式に適用される税金については、一定の条件の下、変更されない見通しである。


アルゼンチンの個人が行った固定資産取引に係る税金:セカンドハウスの売却により実現したキャピタルゲインに対しては、15%が課される見通しです。


デジタル情報サービスに対する付加価値税は21%課税:外国企業によって提供されたデジタル情報サービスの課税対象については、ビデオ、音楽、ゲーム等で、アルゼンチン国内で使用される製品へのアクセスやダウンロードといったサービスを含めるべく拡大される見通しです。クレジットカード会社は、実質的に、回収と支払の代理人として取引することになるでしょう。


糖分を含む飲料およびアルコール飲料:17%まで段階的に増税される見通しです。


その他、まだガイダンスが公表されていない項目:

  • 租税条約を含む相互協議手続(MAP)に関するルール
  • 多国籍企業に関するAPAのルール
  • 税に関する刑法の改正


英語版につきましては下記よりご参照ください。
Argentina: Tax reform proposals include reduced corporate income tax rate

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