Brexit後に顧客の期待にこたえるには | KPMG | JP

Brexit後に顧客の期待にこたえるには

Brexit後に顧客の期待にこたえるには

ブランド・ロイヤルティで最も重要なことは慎重に期待を管理することです。これはBrexit後には極めて重要になる、とKPMG英国のリテール部門を統括するPaul Martinは述べています。

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顧客の立場からすれば、今は非常に便利な世の中です。ほどよく熟した新鮮な桃を12月に食べることができ、インターネットで今日選んだジャケットが明日、場合によっては当日中に届きます。私たちは贅沢な環境にいるのです。家に居ながらにして洋服を選びオンラインで瞬時に買い物ができ、季節に関係なくどんな製品も手に入り、ブラックフライデーセールがあり、無料で返品ができる、というように顧客の願いを小売店が叶えてくれるのです。

しかし、英国とEUの通商交渉が決裂した場合、こうした環境は一晩にして変わってしまう可能性があります。WTOの関税が適用になれば消費者向けの価格は上昇し、摩擦のない国境が失われれば、現在欧州全土からの迅速な製品の輸送を可能にしている円滑なサプライチェーンが分断されることになります。
知識の豊富な顧客は品質、選択肢、価格、スピード、信頼のおける配達を当たり前のものと思っています。Brexitプランの欠如によりこの中のどれかが失われれば、顧客の足が遠のくばかりでなく、ソーシャルメディアなどを通じてその不満が拡散されることになりかねません。

KPMGの最新レポートでは、小売店にとって顧客の期待に応えることはこれまで以上に重要である、としています。調査によれば、顧客満足度ランキングの上位100に名を連ねるブランドのうち、2017年にスコアを伸ばしたのはわずか8%で、これは主に顧客からの期待値が上昇していることを表しています。今や消費者は競合他社と比べて評価しているだけでなく、自分たちのお気に入りの航空会社やエネルギー供給会社とも比べているのです。

加えて、価格上昇と賃金停滞による英国消費者のお財布事情の逼迫という問題もあります。KPMGが行った別の調査によれば、英国消費者の可処分所得の76%は生活必需品に費やされており、2017年1月から10月までの食品以外の項目のリテール売上減少率は2.1%と、過去最大となりました。
こうした状況の中、すでにマージンの低下、コストの上昇、加えてあらゆる面で競争激化にさらされている小売業はどうなるのでしょうか?

顧客を満足させる6つのステップ

1.サプライチェーンに光を当てる
製品の仕入れから顧客への配達までのすべての工程を詳細に調べ、ビジネスモデルの中で問題の起きそうな箇所を特定し、それが顧客にどう影響するのかを明確にする。輸入税またはサプライチェーンの分断により価格と入手可能性の面で特に影響を受けやすい製品について評価する。


2.顧客を知る
いつ、どこで、なぜ、どのように買い物をしたいか、という消費活動を筆者は「5つのMy:My Motivation, My Attention, My Connection, My Watch and My Wallet」と纏めていますが、顧客の行動や購買決定に影響を及ぼす要因は無数に存在します。これらの意思決定の背景にある要因を分析し、今後、顧客の期待に対応できるようにするのです。


3.ビジネスについて正確な情報を伝える
Brexit後のサービス提供に関する予測(影響)について正直に伝える必要があります。サービス内容の変化の理由について顧客が理解できるよう、配達の遅れ、価格の上昇、取扱製品の減少などの事象とBrexitとの直接的な相関関係を伝えます。たとえば、今後は12月に新鮮な桃を提供することができなくなるのであれば、そのことを伝えます。


4.対話を継続する
顧客のいちばん最初の購買決定までさかのぼる体系的なコミュニケーション戦略を考案します。追加料金での翌日配達か、少し低めの送料(または送料無料)での3日後の配達かという選択肢を提供している場合、それを支払手続きの時だけでなく、広告、PR記事、メディアを使ったキャンペーン、郵便物、eメール、ソーシャルメディアなどすべてにおいて明示します。


5.問題が起きたときははっきり伝える
顧客は常に正しい、という考え方はBrexitの後も変わりません。状況の変化により期日通り配達ができなくなる場合は、すぐに対処しすべてを説明します。消費者は、どうにもならない状況については理解を示すものの、状況および今後の対応についての説明を求めるものです。当初の予定通りに進まなかった場合の代替案を用意しておき、顧客の期待値を再設定する必要がある場合には、その期待を上回るという固い決意をもって取り組むのです。


6.「これがお気に召したならこちらも」戦略を使う
EU製の代わりに英国製の製品を紹介することになる場合もあるでしょう。例えばWTOにおいて40%の関税がかかるスペイン産やイタリア産のオリーブオイルの代わりに、英国産の菜種油を紹介するケースであるでしょう。そうした場合、顧客に対する啓もう活動が必要となるため、製品についてポジティブな印象をもたらすパッケージ、店舗やホームページのレイアウト、検索エンジンに出てくる写真などを活用し、顧客の嗜好を変更するよう促す必要があります。

迫るタイムリミット

Brexitまであと15ヵ月しかありません。消費者へ伝えるべきメッセージ内容の変更や、不可欠なコンティンジェンシー・プラン(影のサプライチェーンの構築等)の策定などを通常業務の傍ら行っていくことを考えると、残された時間はあまりありません。また、小売業が対応を求められる新しい規制やコンプライアンス関連の取組み(GDPRやIFRS第16号「リース」など)、さらには業界内でのさまざまな構造的な問題もあります。今こそ、顧客の期待を管理するのみでなく期待を超える施策について計画を始めるときです。


本稿は英語版(原文)のコンテンツを和訳したものです。日本語版と英語版との内容に相違がある場合は英語版が優先されます。

Managing your customers’ expectations after Brexit

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