原産地規則の原産地基準、特恵関税制度の見直しについて | KPMG | JP
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原産地規則の原産地基準、特恵関税制度の見直しについて

原産地規則の原産地基準、特恵関税制度の見直しについて

Trade and Customs Newsletter - 2017年HS条約改正に伴う関税率表の改正、関税や内国消費税の加算税の見直しに関する税関のリーフレット発行等、自由貿易協定(FTA)・経済連携協定(EPA)およびその他の関税・間接税に関する最新の情報をお知らせいたします。

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米国を取り巻く環境

1月23日に、トランプ米大統領はTPPから「永久に離脱する」とした大統領令に署名をしました。現行TPPの規定上、米国抜きでは発効しない枠組みとなっていることからTPP発効を目指す日本政府は引き続きトランプ政権を説得する構えを崩してはいませんが、トランプ米大統領の翻意は難しいという見方が大勢を占めており、同政権下でのTPP発効は厳しい状況です。米国は今後、TPPという枠組みではなく、2国間交渉に軸足を移すとも言われており、日本も2国間のFTA交渉を求められる可能性があります。

このような状況下、TPP参加国はポストTPPの行方を巡り、様々な思惑で次の一手を探り始めています。米国抜きの貿易協定の代替案として、新たな参加国として中国の名前が挙がるなど、世界各国が今後の行方を注視しています。

一方でトランプ米大統領は、メキシコ、カナダとの枠組みである北米自由貿易協定(NAFTA)についても再交渉を行うと表明しました。さらに再交渉の結果次第では、NAFTAから離脱するというようなこともほのめかしており、NAFTAについても今後の見通しが見えない状況になっています。なお、NAFTA協定上、離脱通知から6月経過後に離脱できることとされており、大統領令で離脱通知を行うことも可能とされているものの、議会の承認なしに離脱通知を行うことが現実的かどうかは不明で、大方の見方として短期間での正式離脱は難しいとされています。

Brexit

報道等によると、先日、英国のメイ首相によりEU単一市場からの撤退に係る基本方針と、離脱後にはEU及びその他各国とFTAの締結を目指す方向性が示されました。FTAを締結する場合には新たな関税合意に関する枠組み、関連規則等の整備が必要となります。今後は、3月末までにEU側に離脱を正式に通知し、原則2年の交渉を経て、2019年春までにEUから離脱する計画とされています。本ニューズレターでも今後の動向を随時アップデートしていきます。

メガFTA最新動向

1. 日 EU EPA
1月17日よりブリュッセルで首席交渉官会合が再開された模様です。昨年12月に東京で首席交渉官会合が行われましたが、日本が完成車や自動車部品等の関税撤廃を要求する一方、EU側は農産品等でTPP以上の市場開放を求めており、依然として関税撤廃を巡る両者の溝が埋まっておらず、そのような残された課題に係る議論が継続して行われている状況です。引き続き今後の動向に注視していきたいところです。


2. 日中韓FTA
1月9日から11日まで、日本、中国、韓国の3か国による、当該FTA締結を目指した11回目の交渉会合が北京で開催されました。関税削減に係る具体的な枠組み合意には至っていない状況です。
出典:外務省ホームページ

3. 東アジア地域包括的経済連携(RCEP)
RCEPはASEAN10ヶ国+6か国(日本、中国、韓国、オーストラリア、ニュージーランド、インド)が交渉に参加している広域経済連携です。報道等によると、次回(第16回)事務レベル交渉会合は2月27日から3月3日にかけて神戸市で開催される予定とされています。こちらについても、現時点では具体的な進捗は見られません。

日本:平成29年度関税改正について

平成28年12月22日に、「平成29年度税制改正の大綱」が閣議決定されました。今後は、この大綱をもとに作成された各法律案が国会に提出され審議されることとなります。今回の関税改正の内容としては「暫定税率の適用期限の延長」のほか、「特恵関税制度の見直し」、「特殊関税制度の見直し」、「事前報告制度の拡充」、「犯則調査手続の見直し」等が盛り込まれております。

中でも「特恵関税制度の見直し」は、除外基準の緩和によりこれまで特恵関税制度対象国であったマレーシア、メキシコ、タイ、中国、ブラジルがこの特恵関税制度対象国から新たに除外されるものです。今後、これらの国から特恵関税適用により貨物を輸入している企業にとっては関税負担の増加が懸念されることから、FTAの適用関係やサプライチェーンの見直しといった検討が求められています。

出典:財務省ホームページ(平成29年税制改正の大綱のうち関税は七.で記載)

コラム:原産地規則について(その2)

前回のニューズレター原産地規則の概要、日本商工会議所の原産地証明書発行審査手続きに関する情報についてで、FTA税率を適用するためには、輸出貨物がその適用を受けるFTAの原産地基準を満たしFTA締結国の原産品であることを証明する原産地証明書を用意する必要があることをお伝えしました。今回は具体的に、どのような原産地基準を満たせば原産品と認められるのか、というポイントについてご説明します。

原産品は大きく以下の三つに分けることができます。

 

1.完全生産品
締結国内のみで、原材料の段階から全て生産/育成/採取等されたものを言い、典型例として農水産品又は鉱物資源などが挙げられます。

2.原産材料のみから生産されたもの
「原産材料のみから生産されたもの」とは、最終生産品の生産に使用される材料そのものが原産品であり、その原産品である材料のみを用いて生産されるものを言います。最終生産品の生産過程において、一部でも他の国を原産地とする原材料(非原産材料)が用いられている場合には、この「原産材料のみから生産されたもの」に該当しません。

3. 非原産材料を用いて「実質的な変更」を行ったもの
工業製品などのように、多数の部品から構成されるものは、(1)又は(2)に該当することは稀で、多くのケースでは材料に非原産材料が含まれていることを前提に、原産性の判定を行います。 「実質的な変更」とは、非原産材料について、製造・加工等を施すことによる物品の様態や性質の著しい変更のことを言います。一般的には、以下の2つの変更基準を満たす変更を意味します。

3.1 関税分類変更基準
製品のHSコードと、その製品の生産に使用された非原産材料のHSコードが異なる場合に、その製品を原産品と判定する基準です。一般的に、その変更の程度に応じて以下の3パターンがあります。

  • HSコードの上2桁(「類」)の変更(CC:Change in Chapter)
  • HSコードの上4桁(「項」)の変更(CTH :Change in Tariff Heading)
  • HSコードの上6桁(「号」)の変更(CTSH:Change in Tariff Sub Heading)

3.2 付加価値基準
製品の生産過程において、十分な価値(付加価値)が加えられるような加工が締結国で行われた場合に、その製品を原産品と判定する基準です。各協定によって付加価値割合の計算方法が定められており、その計算式により算定された付加価値割合が、一定の閾値を超えていれば原産品と判定されます。

付加価値割合の計算式の一例:
付加価値割合=(輸出製品の価額 - 非原産材料の合計価額)/輸出製品の価額

 

上記いずれの基準についても、FTA協定ごとの品目別規則(HSコードごとに定められた原産地基準の規則)に、原産品とみなされるための詳細条件が定められています。

なお、税関ホームページの原産地規則ポータルで、日本が締結しているEPA/FTAの品目別規則が検索できますので適宜ご活用下さい。
出典:税関ホームページ

その他関税・間接税 Topics

1.日本:2017年HS条約改正に伴う関税率表の改訂
HS(Harmonized System)コードとは、物品の帰属を表すコードで、世界各国で共通して理解できるように取り決められた番号です。HS品目表は、技術革新による新規商品の登場や、国際貿易量の変化等に対応するため、1988年の条約発効以来、約5年間隔で定期的に見直しが行われており、2017年1月1日からはHS2017が導入されることになりました。これに伴い、日本の関税率表及び統計品目表についても2017年1月1日版(同日以降の輸出入申告から適用)に更新されています。基本的には各品目の税率変更を伴わない形での改正ではあるものの、一部品目の統廃合に伴い、例外的に税率の調整が必要となるものも存在していますので、関税率を確認される際には適宜最新のものを参照下さい。
出典:財務省 関税・外国為替等審議会資料 HS条約の改正に伴う関税率表の改訂資料(PDF:166KB)
出典:日本関税協会 HS新旧対照表(2017年 輸入統計品目表新旧対照表)(PDF:5,120KB)

2.日本:加算税の見直しの施行(日本語PDF資料)
2017年1月1日以降に法定納期限が到来する輸入貨物に対する、関税や消費税に係る加算税の見直しの内容に関するリーフレットが税関から発行されたことについては、前回のニューズレター原産地規則の概要、日本商工会議所の原産地証明書発行審査手続きに関する情報についてにてお伝えしたところですが、いよいよ施行日を経過し、実務的な影響が生じているため改めてお伝えさせていただきます。

これまで税関から事後調査の通知を受けた後で必要な資料の整理・準備等を進める中で発覚した申告漏れについては、調査開始前に自主的に修正の申出を行うことで、更正予知と認められる場合を除き、加算税が賦課されない取扱いとなっておりました。今後はこうした場合であっても加算税(過少申告5%、無申告10%)が賦課されてしまうため、輸入者である企業は、こうしたペナルティを軽減するため日ごろから自己点検を行い、必要な自主修正に努めることが、リスク管理の観点からも重要といえます。
出典:税関ホームページ(PDF:347KB)

執筆者

KPMG税理士法人
関税・間接税サービス
パートナー 梅辻 雅春
パートナー 神津 隆幸

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