自身を知り、EUを知る | KPMG | JP

自身を知り、EUを知る

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The Brexit Column - KPMG英国・ロンドン事務所税務パートナーのTim Sarsonは、Brexit(英国のEU離脱)の後、企業はEU内部の仕組みについてもっと熟知すべきだとコメントしています。

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9月12日未明、EU法を英国法に置き換える「欧州共同体法廃止法案」が賛成多数で可決し、英国はBrexitに一歩近づきました。Brexitに向けた動きが加速する中、その影響に対しどのように備えるべきかについて、企業による準備・対策が本格化しています。しかし、英国が離脱した後のEUの状況について知識を深める必要があることを理解している人はどれだけいるでしょう?

もちろん、変わらないこともあります。フランスが英国のケント海岸から21マイル(約34km)しか離れておらず、アイルランドが平野や川を隔てて英国の北部アイルランド地域に隣接しているということは変わりません。つまり、英国とEU間の地理的な近さを考慮すれば、両者間の貿易量は多いままでしょう。


未知の世界
しかし英国がEUから離脱した後は、両者間の貿易に適用される規則が、多くの点で大幅に変更されると見込まれています。英国の企業は、これまで欧州諸国への対応を、いわば国内市場の延長線上のようにして扱うことに慣れてきました。全ての市場に単一の規則や規制が適用されていたからです。しかし、離脱後の世界は、英国企業にとってこれまでの馴染みのないものへと一変する可能性があります。

EU加盟国と何らかのビジネスを行っている場合、2種類の規制枠組み、2種類のVAT(付加価値税)、そして場合によっては2種類の出入国管理制度への対応が必要になるかもしれません。企業がEUの政策に影響を与えようとする場合、自ら行動を起こさねばならないことが多くなるでしょう。欧州委員会だけでなく、加盟国全体で事業活動を規制する無数の公的機関や、事業に関する許認可権限を持つ官僚や検査官とやりとりしなければならないことが増えるでしょう。


英国企業の代弁
また、政策形成のために欧州委員会へのロビー活動を開始している企業や貿易団体もすでに一部存在しますが、こうした活動が英国企業の利害を代弁するという意味において、英国政府や欧州議会議員に左右される点も見逃せません。EUから離脱した後は、英国政府が欧州委員会や欧州理事会に自動的に参加でき、英国企業の利害を代弁できるとは限らないからです。EUの構造をよく把握し、政策形成過程を理解することが、今後の優先課題といえます。具体例を挙げるなら、欧州委員会が入居するビルでは、オランダ、ベルギー、ドイツやフランスの企業に比べ、英国企業がすでに減少し始めています。

ロシア、インド、中国や中南米で取引を実施している英国企業は、何が必要かについてすでに把握しています。市場参入過程は複雑であり、現地の法規制の把握、官僚との協力、採算性の確保に数ヵ月、数百万ポンドかかる場合もあります。新たな市場ごとに、新たな税関を通過しなければならず、異なるビザ規則や製品規制が課されます。これは事業を実施する上で当然のプロセスにすぎません。同様のプロセスが、18ヵ月以内には欧州連合加盟国とのやりとりにも適用される可能性があるのです。「EUに関しては成り行きに任せるしかない」といった心構えは、もう通用しません。

では、今、何をすればよいのでしょうか。現在、EUやその制度について詳細に把握している人は多くありません。Brexitを専門とするKPMGですら、豊富な知識を身に付けたのはつい昨年のことです。できるだけ早期にEUとその制度の仕組みをよく理解し、その中に自社のビジネス、製品、サービスがどう位置づけられるかを把握することが競争優位性の強化につながります。

第三国としてEUから遠ざかれば遠ざかるほど、EUについて熟知する必要が出てくることは、Brexitに関する逆説の1つと言えるかもしれません。


本稿は英語版(原文)のコンテンツを和訳したものです。日本語版と英語版との内容に相違がある場合は英語版が優先されます。
The Brexit Column: Knowing me, knowing EU

Brexit(英国のEU離脱)に関する解説

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