IASB Updateの主要論点 2017年9月号 | KPMG | JP

IASB Updateの主要論点 2017年9月号

IASB Updateの主要論点 2017年9月号

本稿では、2017年9月に開催されたIASB会議の概要をまとめたIASB Updateについて、IFRSを適用している(又はIFRSを適用することを検討している)日本企業の観点から解説しています。

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オリジナルのIASB UpdateはIASBのウェブサイトから入手でき、日本語版もありますのでそちらをご参照ください。

総括

今月のIASB会議は2017年9月20日(水曜日)と9月21日(木曜日)に開催されました。アジェンダは大きく分けて次の7項目でした。

  • 動的リスク管理
  • IFRS基準の適用上の論点
  • 料金規制活動
  • 共通支配下の企業結合
  • リサーチ・アップデート
  • 基本財務諸表
  • 概念フレームワーク

これらのうち、動的リスク管理、料金規制活動、共通支配下の企業結合、リサーチ・アップデートについては意思決定が行われていません。概念フレームワークについては意思決定が行われていますが、その内容の重要性はそれほど高くないものと考えられます。本稿では、IFRS基準の適用上の論点と基本財務諸表について行われた意思決定について解説します。

IFRS基準の導入上の論点

今月の会議では、次の3つの論点について議論されました。

  • 会計方針の変更(IAS第8号の修正):閾値の提案と適用時期の問題
  • 返金の利用可能性(IFRIC解釈指針第14号の修正)及び制度改訂、縮小又は清算(IAS第19号の修正):IFRIC解釈指針第14号の修正の影響及びIAS第19号の修正の最終確定
  • IFRS基準の年次改善(2015年-2017年サイクル):デュー・プロセスの確認


本稿では、最初の論点について解説します。

会計方針の変更(IAS第8号の修正):閾値の提案と適用時期の問題
IFRS解釈指針委員会が公表したアジェンダ決定には規範性がないため、アジェンダ決定に従い会計方針を変更した場合には自発的な会計方針の変更となり、原則として遡及適用が求められます。また、アジェンダ決定については経過措置や発効日が定められず、公表後直ちに適用する場合には通常の会計基準の変更に比べ負担が重いと言われています。
今月の会議では、アジェンダ決定の公表後直ちにその内容を適用することを期待することは現実的ではなく、企業は準備期間を十分にとってから自発的な会計方針の変更を行うべきであることが確認されました。この点についてIAS第8号を修正する必要がないものの、IASBのこの考え方については結論の根拠において説明することとされました。
また、今月の会議では、アジェンダ決定に従い会計方針を変更した場合には自発的な会計方針の変更となることが確認され、原則として遡及適用することが確認されました。ただし、次のいずれかの場合には遡及適用しなくてもよいことを明確化することが暫定的に合意されました。

  • 変更を行った期間に固有の影響額又は変更の累積的影響額を算定することが、実務上不可能である
  • その影響額を算定するためのコストが、新しい会計方針を遡及適用することにより財務諸表の利用者にもたらされると予想される便益を上回る
日本企業への影響
アジェンダ決定の内容は公表後直ちに適用しなければならないと解釈していた企業にとっては、これまでよりも長い準備期間をとる余地があることが明確化される可能性があります。また、遡及適用にあたり費用対効果を考慮するという従前のIAS第8号にはない考え方が導入される可能性があります。

基本財務諸表

財務業績計算書における投資カテゴリー及び追加的な小計の導入
基本財務諸表プロジェクトにおいては、財務業績計算書における小計として、比較可能性を重視し企業の裁量を限定した小計(利息・税金前利益(EBIT)など)と、柔軟性を重視し企業の裁量を認めた小計(経営者業績指標)が並行で検討されていました。今月の会議では、比較可能性を重視した小計の開発を先行して行い、その結果を受けて経営者業績指標について検討することが暫定的に合意されました。
また、EBITのIに相当する利息(財務収益及び財務費用)の範囲における議論において、投資カテゴリーを設けることが提案されたため、今月の会議で検討が行われ、議論の結果、投資カテゴリーを設けることが暫定的に合意されました。

日本企業への影響
IFRS基準には財務業績計算書の構成についてほとんど規定がありませんでしたが、一定の標準化が行われることになります。企業が現在表示している小計の一部について、本表において表示できなくなる可能性があります。

 

費用の機能別分類及び性質別分類
IAS第1号は、財務業績計算書において費用を機能別分類又は性質別分類により表示することを要求しています。また、企業が機能別分類を用いて費用を表示する場合に、性質別分類を注記することを要求しています。
今月の会議では、企業が性質別分類を首尾一貫して恣意的ではない方法で各機能に配分することができない場合には、性質別分類によらなければならないとすることが暫定的に合意されました。
また、企業が性質別分類を用いて費用を表示する場合に、機能別分類を注記することは要求しないことが暫定的に合意されました。

日本企業への影響
現時点で性質別分類を用いて費用を表示する日本のIFRS任意適用企業は限定的であるため、機能別分類・性質別分類に関する暫定合意の影響は限定的であると考えられます。

執筆者

有限責任 あずさ監査法人
会計プラクティス部
パートナー 川西 安喜

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