優秀な人材の流出を防ぐには | KPMG | JP

優秀な人材の流出を防ぐには

優秀な人材の流出を防ぐには

EU国籍の労働者を確保するには、どうすればよいでしょうか。KPMG英国・ロンドン事務所のBrexit People & Immigrationを統括するPunam Birlyは、実務面について考えること、自分の問題として捉えること、準備を整えることが重要だとしています。

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あらゆるビジネスにおいても、人材は欠かせません。食品製造業から金融サービス業に至るまで、多数のEU市民を従業員として雇用している多くの英国企業にとって、従業員のスキルや専門知識が貴重な資産となっています。

昨年英国のEU離脱を問う国民投票を実施し、EU離脱となった結果、EU国籍の労働者の多くに大きな不安を残しました。KPMGが直近に行った意識調査では、英国在住のEU国籍市民の3分の1超が「国外移住を検討している」と回答しました。さらに、「年齢が若く、未婚で学歴の高い人材ほど、英国を離れる可能性が最も高い」という結果が出ました。

しかし、優秀な人材流出に歯止めをかけることは不可能ではありません。英国とEUの交渉が加速する中で、企業経営者がEU国籍の優秀な人材を引き留めるためにできることは数多くあります。


実務面について考える
EU市民が何よりも求めているのは、雇用の保証と助言です。自分たちの立場はどうなるのか。英国に残ることを望む場合、どのように居住権を申請すればいいのか。その他にも何をいつすればいいのか、といったことを知りたがっています。

英国政府が2017年6月に発表したポリシー・ペーパー(政策文書)は、Brexit(英国のEU離脱)後のEU市民の立場について取り上げており、大まかな原則をいくつか定めました。

現時点で分かっているのは、EU離脱までに設定する指定日の前に英国に入り、離脱後の期間も含めて英国暮らしが5年以上経過すれば永住権(定住資格)を与えられるということです。EU離脱後2年の猶予期間の終了時点(2021年3月29日)で資格を満たさない者は、新たな規則の下で、一時的な居住権(滞在許可)を申請しなければなりません。

英国に住んでいるEU国籍市民がどの時点から居住権を取得できるかについては大きな問題となっており、現在の交渉下で依然として議論されています。さらに合意に至っていない他の問題を挙げると、海外派遣労働者に対する影響の有無、EU国籍市民の家族の権利、市民権の執行における欧州司法裁判所(ECJ)の役割などがあります。不安を抱えながら仕事をしているEU国籍の労働者にとっては、まだ他にも多くの疑問が残っています。こうした疑問に対し、当面、具体的な回答が得られない可能性があります。しかし、見通しが不透明だからといって、行動しないわけにはいきません。筆者の私見では、企業全体の約70%が依然としてこの問題に適切に取り組んでいないと推察しています。分かりやすい事実を挙げましょう。今、EU国籍の従業員に対し、多くの支援を提供すればするほど、従業員が英国に残ろうという機運が高まり、彼らは企業に対して貴重な貢献を続けるのであろうということです。

企業は以下のことを実施すべきです。

  • EU国籍の従業員数を正確に把握しなくてはなりません。
  • 移住要件や、居住権に関する変更内容について、可能な限り伝達します。
  • 居住権申請の期限を決定し、EU国籍の従業員にいつ何をすべきかを助言します。
  • ビザ申請手続きの説明会を開催します。
  • 今後、ビザ申請が急増する時期を避けるため、EU国籍の従業員に対して現時点での永住権申請を奨励します。
  • ビザ申請の支援と申請手続きに関して提供できる金額について、方針を幅広く決めなくてはなりません。


自身の問題として捉える
当事者の立場になって考えてみましょう。あなたが今回のように不確実な状況(英国のEU脱に伴う将来への不安)に直面したら、どう感じるでしょうか。BrexitがEU市民に及ぼす影響の調査では、国外へ流出するリスクを高める最大の要因として、英国で生活・勤務するEU国籍の従業員が「現在歓迎されていない、雇用が保証されない」と感じていることが示されたといいます。

企業は、英国への残留希望を伝えるとともに、EU国籍の従業員の高まる不安や懸念を払しょくするために安心感を与えたり、従業員がいつでも相談したりする体制にすれば、支援の要請に応えることが可能です。


準備を整える
Brexitまでの過程がいかに不透明であっても、さまざまな想定に備えて計画を今から立て始めれば、企業は自ら可能性を作り出すことができます。

例えば、以下の事項について検討してみましょう。

  • 自社の従業員だけでなく、サプライヤー(供給[納入]業者)やクライアントの従業員も含め、どのような優秀な人材が国外へ流出するのでしょうか。
  • 離職する従業員をどのように補充すればいいのでしょうか。現地採用を増やすべきでしょうか。
  • 違法就労の防止を目的とした現行の「働く権利」の枠組み拡大に向けた準備は整っていますか。従業員が正式な就労許可証を持っていることを確認するために、チェックを要する新たな様式の文書は何でしょうか。


最大限の努力をする
多くのEU市民は、Brexit後も英国に残るかどうかをすでに決断しようとしています。企業経営者が今、EU市民に強い安心感を与え、滞在に関する実務を手厚く支援できれば、EU市民が将来、企業にとっての貴重な資産になる可能性も高まるものと思います。


本稿は英語版(原文)のコンテンツを和訳したものです。日本語版と英語版との内容に相違がある場合は英語版が優先されます。
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