南アフリカとケニアにおける投資・会計・税務の概要 | KPMG | JP

南アフリカとケニアにおける投資・会計・税務の概要

南アフリカとケニアにおける投資・会計・税務の概要

本稿では、投資ガイドの公表に合わせて、南アフリカとケニアへの進出と外資誘致、会計および監査制度、税制および留意事項等を概説します。今後、南アフリカおよびケニアでのビジネスを検討する際の参考になれば幸いです。

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ポイント

  • 外資規制は相対的に緩く外貨送金も容易で、特定の業種を除き外資出資制限もない。ただし、南アフリカには黒人の経済力強化政策(Black Economic Empowerment Act、通称BEE)という黒人の地位回復を目的とした独特の制度があるので、注意する。
  • 英連邦に属する南アフリカ、ケニアの法制度は共通するところが多く、複雑な制度はない。ただし、制度変更が生じた場合には、当局の理解が追い付かず運用が不十分になる可能性があるので注意する。

I.日本企業の進出と外資の誘致

外務省の海外在留邦人数調査統計によると2016年10月1日現在の日本企業数は、在南アフリカ280社、在ケニア52社で、進出企業による現地提携企業の買収も目立ってきています。

特定の業種を除くほぼすべてのセクターが外国投資に対して開放されていて、外国投資に対する制限は限定的です。また、為替管理に特徴的な制度はなく外貨の国外送金は容易です。ただし、南アフリカには、BEEという黒人の経済的地位向上に向けた企業の取組みや貢献度をスコア化するものがあります。高スコアを取得するためには、黒人への議決権の譲渡や黒人の経営参画が必要となります。スコアの取得は義務ではありませんが、公共セクター以外の企業にも広く普及していることから、進出前にBEEにどの程度準拠すべきかを検討する必要があります。

日本企業の一般的な進出形態には、以下のようなメリット・デメリットがあります。

  メリット デメリット
子会社
  • 独立した現地法人として親会社の責任は出資額に限定される。
  • 会計監査またはレビューが必要になる。
  • 親会社からの資金援助は資本または借入金とされ、その実行は容易ではないため、堅実な事業計画が必要。
支店
  • 本社と同一法人とみなされるため、本社からの資金援助が行いやすいので、市場調査などの初期段階の事業活動に向いている。
  • 本社と同一法人とみなされ、支店の活動についての責任が本社に及ぶ。
  • 原則として本社の全取締役を支店の取締役として登記し、変更があった場合にも登記をする必要がある。登記の都度、申請書類を用意しなければならないので煩雑。


日本企業は、一般的に本社の補助的な活動を行う拠点を、法人税が課税されない駐在員事務所とする場合があります。ただし、南アフリカおよびケニアいずれの会社法、税法にも駐在員事務所という取扱いはありません。両国との租税条約に恒久的施設※1に関する具体的な取り決めがないと、日本企業の想定するような駐在員事務所は設立できず支店または子会社いずれかを設立することになります。特に日本とケニアとの間には租税条約がないので、注意が必要です。

※1 外国法人に対する課税の根拠となるもので、支店、出張所、その他の事業所、工場や倉庫業者の倉庫等、事業を行う一定の場所を意味する。但し、租税条約等により、資産の購入・保管用途のみに使用する場所、事業の遂行にあたり補助的な機能を有する事業上の活動(広告・宣伝・情報の提供・市場調査・基礎的研究等)を行うためのみに使用する一定の場所等は含まれない場合がある。

II.現地規制の概要

南アフリカ、ケニアはいずれも英連邦に所属しているため法規制は類似しており、複雑なものはありません。税制に関しては、法人税、個人所得税、社会保険、付加価値税(VAT)、関税、物品税、源泉税が設定されており、移転価格税制はOECDのガイドラインに基づいています。

また、現地会計基準は既に失効し国際会計基準(IFRS)に統一されており、会計監査制度が整備されています。ただし、支店については、南アフリカでは会計監査が原則不要であるのに対しケニアでは必要とされている点が異なります。

労働法規については、無期雇用契約と有期雇用契約のいずれも締結可能ですが、労働者の権利が強く、会社の業績悪化等による整理解雇は困難であり一般的に解雇しにくいこと、定期的な物価上昇に連動して賃金も上昇していく傾向にあること、ストライキが多いので労働組合との密な交渉が必要になる点に留意する必要があります。

III.進出に際しての留意事項

南アフリカは2010年頃から、ケニアは2015年ごろから進出企業が多様化し消費材・サービス分野への進出が目立っており、それぞれ東部、南部アフリカへの進出のハブとして、今後もさらに増加傾向が続くと予想されます。

ただし、近年、南アフリカにおいて入国管理法、ケニアにおいて会社法などが改正・施行されましたが、新制度の施行時に当局自身がこれを理解しておらず詳細なガイドラインも用意されていなかったことから、旧法の運用を継続するまたは担当官が独自の裁量を行うなど実務に混乱が生じたことがあります。このように、進出規制は複雑ではありませんが当局の制度運用には人治的な面がありますので、進出にあたってはあらかじめ、外部の専門家と密にコミュニケーションを取り最新情報を入手する必要があります。

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